コラム

エアバッグ作動履歴を正しく見極める 整備記録簿の読み解きとOBD(SRS)診断、汎用/純正機の違いと対応策

なぜエアバッグの作動履歴を整備記録簿とOBDで確認する必要があるのか?

ご質問の「なぜエアバッグの作動履歴を整備記録簿とOBDで確認する必要があるのか」について、実務上の意味と法令・制度面の根拠を交え、詳しく説明します。

エアバッグ作動履歴とは何か

– エアバッグは衝突時に作動する受動安全装置で、SRS(Supplemental Restraint System)に属します。

作動が一度でも起きると、エアバッグ本体、インフレーター、シートベルトプリテンショナー、衝突センサー、SRSコントロールユニット(ACU)など、複数部品の交換が必要になるのが一般的です。

– 多くの車種では、ACUが「作動(展開)イベント」を不揮発メモリに記録します。

これにはDTC(故障コード)や、作動回数、対象回路(運転席側・助手席側など)、場合によっては作動条件の一部が含まれます。

この記録は簡単には消去できない(あるいは消去してはいけない)設計が多く、修理の正当性確認や事故調査の手掛かりになります。

なぜ「整備記録簿」で確認するのか(文書的な根拠と実務的理由)

– トレーサビリティと責任所在の明確化
– エアバッグ作動後は、どの部品を、いつ、どの規格の純正または適合品で交換したか、作業者と管理者は誰か、といった情報が必要です。

整備記録簿に記載されていれば、修理の適正さと工程管理が担保され、再販売時や後日の不具合発生時の責任の所在が明確になります。

– 法令等の要請(記録の作成・保存)
– 道路運送車両法および関連する省令・告示では、点検整備を行った事業者に対し、点検整備記録簿の作成・保存が義務付けられています。

SRS関連作業は安全性に直結する「重要保安部品」に関わり、記録の厳格さが求められます。

– 2020年に導入された「自動車特定整備制度」でも、電子制御装置に関わる整備は適切な手順・機器の使用と記録管理が求められ、SRSの診断・復帰確認を含む作業は、記録簿によって裏付けられるべきものと位置づけられています。

– 事故歴の適正表示・消費者保護
– 中古車販売においては、業界の表示基準(自動車公正競争規約や査定・検査機関のガイドライン等)で事故・修復歴の適正表示が求められます。

エアバッグ作動は重大事故の強い指標であり、整備記録簿により修復内容を裏付けることが、消費者保護・信頼性確保の観点で重要です。

– リコール・サービスキャンペーン対応の証明
– エアバッグ(特にインフレーター)には過去大規模なリコールがあり、対策済みか否かの履歴管理が必要です。

記録簿は、対策部品への置換や点検実施日の証跡になります。

なぜ「OBD(故障診断機)」で確認するのか(技術的根拠と制度的背景)

– 目視・警告灯だけでは不十分
– SRS警告灯が消灯していても、配線にダミーレジスタが入れられていたり、メーターパネルの警告灯自体が不正に無効化されている事例があります。

OBDでSRSユニットに直接アクセスし、現故障・履歴故障・作動イベントの有無を読み出すことで、不正や未修理を見抜けます。

– 不揮発メモリの作動履歴・ロック状態の確認
– 多くのACUは作動履歴を保持し、一定のイベントが記録されるとユニット交換が必須となる設計です。

汎用のDTC消去では消えない履歴や、メーカー固有のデータ領域を、適合スキャンツールで確認することが必要です。

これにより、記録簿の記載と実車の電気的事実を照合できます。

– 2024年度からの「OBD検査」導入
– 国土交通省は、車検での電子制御装置チェックを強化する「OBD検査(車載式故障診断装置を活用した検査)」を段階導入しています。

ブレーキ・安定化装置・エアバッグ等の安全関連システムの故障記録や自己診断の状態が検査対象となり、重大なDTCが残存していると不合格になり得ます。

したがって、整備現場ではOBDによる事前確認が実務上の必須要件になりつつあります。

– 品質保証・再発防止
– 修理後にOBDで全系統のDTCクリアと学習初期化・ゼロ点調整(例 助手席着座センサーのキャリブレーション)を行い、走行後の再スキャンでDTC再発がないことを確認するのが品質保証の定石です。

記録簿と合わせ、電子的な確認結果を残すことで再発時の原因追跡が可能になります。

両方を「必ず併用」するべき理由

– 片方だけではリスクが残る
– 記録簿のみ 書面は偽装可能で、現車のSRSが安全に作動できる状態かは保証できません。

– OBDのみ 交換部品の真贋や品番適合、トルク管理、サービス情報に沿った作業有無など、物理的・手続的な適正は確認できません。

– クロスチェックで安全性と信頼性を最大化
– 記載部品とECUの構成(ソフトウェア番号、ユニットID、シリアル)を照合。

– 記録上の作業日とDTCの発生日・走行距離の整合を確認(不一致は不正・未修理の兆候)。

– 作動履歴ありの場合に、プリテンショナー、センサー、ハーネス、ACUの交換・エアバッグ未展開側の自己診断正常化まで完了しているか、OBDで実測値・アクティブテスト含めて検証。

実務での具体的なチェックポイント

– 整備記録簿
– 作動(展開)発生日、損傷部位、交換部品(品番、左右・位置)、メーカー指定の同時交換部品、締付トルク・エアバッグ取付要領遵守の記録、作業者・検査者の署名。

– サービス情報(TSB)やリコール作業指示に基づく手順遵守の記載。

– OBDスキャン
– イグニッションON時のSRS警告灯の自己診断シーケンス確認。

– SRS系統の現DTC・過去DTC・フリーズフレームの読出し。

– メーカー固有データ(Deployment history、Event data、ユニットロック状態、着座分類センサーのキャリブレーション値)。

– アクティブテストや抵抗値・電源電圧の実測(可能な範囲で)、ゼロ点再学習の実施と結果保存。

法令・制度・業界基準上の根拠(要点)

– 道路運送車両法および道路運送車両の保安基準
– 装着されている安全装置は適正に機能し、警告灯の表示は正常であることが求められます。

SRS警告灯の常時点灯・点滅や機能停止は車検・使用過程における不適合となり得ます。

– 点検整備記録簿の作成・保存義務
– 点検・修理を実施した整備事業者は記録を作成・保存する義務があります(様式・記載要領は国交省の告示等で示されています)。

SRS関連作業は重要保安事項として記録の正確性が要求されます。

– 自動車特定整備制度(2020年施行)
– 電子制御装置に係る整備は、適切なスキャンツールの使用、サービス情報の参照、記録の保存が求められます。

SRS診断・復帰確認は同趣旨に沿うものです。

– OBD検査の導入(段階的)
– 令和6年度から段階的に車検でOBDを活用した検査が導入され、安全関連のDTCや自己診断の状態が合否に影響します。

事前にOBDで確認・是正する必要性が制度的に高まっています。

– 中古車の表示基準・消費者保護
– 事故・修復歴の適正表示は業界規約で強く求められ、虚偽表示は景品表示法等の問題になります。

エアバッグ作動の有無は重要情報で、記録簿とOBDによる裏付けが推奨されます。

– リコール・サービスキャンペーン
– メーカーのリコール対応の実施証跡は、整備記録とECUの適合情報の一致で確認するのが確実です。

いつ確認すべきか(推奨タイミング)

– 事故修理後の完成検査時(納車前)
– 中古車の買い取り・販売前の車両状態確認(AIS等の検査と併用)
– SRS警告灯点灯・点滅や、関連DTC検出時
– リコール・サービスキャンペーン実施時とその後の確認
– 車検・定期点検前の予備診断

注意点・限界

– すべての車種で「作動履歴」が標準OBDモードで読めるわけではありません。

メーカー専用診断機や拡張PIDに対応したスキャンツールが必要な場合があります。

– 一部車両では、ACUに作動履歴が記録されるとユニット交換が規定され、無理な消去や中古流用は安全上・法令上問題となります。

– EDR(イベントデータレコーダ)領域は事故調査用で取り扱いに法的・倫理的配慮が必要です。

目的外の抽出・保管は避け、必要に応じて権限者が扱います。

結論
– エアバッグの作動履歴は、単なる「過去の出来事」ではなく、現在の安全性・法令適合・市場での透明性に直結する重要情報です。

整備記録簿は作業の適正と責任を示す文書的根拠、OBDは車両ECUが保持する電子的事実であり、両者を突き合わせることで初めて安全性・信頼性が高水準で担保されます。

– また、日本の制度面でも、点検整備記録の作成保存義務、特定整備制度、そして段階導入されるOBD検査などにより、記録簿とOBDでの確認は「望ましい」から「実務上必須」へ移行しています。

安全確保、法令遵守、消費者保護のすべての観点から、エアバッグ作動履歴の記録簿・OBD両建てでの確認は不可欠です。

整備記録簿から作動・交換・リコール履歴を読み解くには?

以下は、整備記録簿と故障診断機(OBD/スキャンツール)を使って、エアバッグ(SRS)に関する「作動(展開)」「交換」「リコール」履歴を読み解くための実務的な見方と、根拠となる制度・技術背景の整理です。

中古車評価、事故修理後の確認、法定点検・車検の適合確認などに役立つよう、手順・チェックポイント・注意点を体系的にまとめています。

前提整理(知っておくべき基本)

– エアバッグ(SRS)は車両の受動安全装置で、展開が一度でも発生すると、多くの車種でSRSエアバッグECU(エアバッグ診断ユニット)が「展開イベント(クラッシュデータ)」を記録し、ECU自体の交換が必要になります。

シートベルトのプリテンショナーも同様に「作動=発火」後は交換が前提です。

– 設備・表示上の確認では、「SRS警告灯がキーON時に点灯→自己診断後に消灯」が正常。

点灯しっぱなし、点滅、点かない(球抜き・キャンセルの疑い)などは整備・調査が必要です。

– 故障診断は一般的なOBD-II(排ガス系中心のPコード)だけでなく、車体(Bコード)・SRS専用のプロトコル/アプリが必要です。

メーカー純正診断機またはSRS対応の高機能アフタースキャンツールが実務上の前提になります。

整備記録簿から読み解くコツ(作動・交換・リコール)

– 記録簿の基本欄
– 作業日、走行距離、実施者(事業者名・認証番号)、点検種別(法定12カ月/24カ月、臨時整備等)
– 作業内容(不具合申告・診断結果・処置)
– 部品交換欄(部品名、部品番号、数量、左右・席別の別、純正/社外の別)
– リコール・改善対策・サービスキャンペーンの実施欄(届出番号、対策番号、実施印)
– 作動(展開)を示唆する記載例と読み方
– 「SRS展開に伴い運転席/助手席エアバッグASSY交換」「SRS-ECU交換」「プリテンショナー交換」「ダッシュパネル交換(エアバッグドア破断伴う)」
– 「DTC履歴 SRS展開記録あり」「クラッシュデータロック」「エアバッグ警告灯点灯のため診断→展開記録判明」
– 事故修理明細と一体のケースが多く、板金・外装部位、ステアリングホイールASSY、コンソール/シート側部材等の同時交換記載が手がかりになります。

– 交換履歴の確度を高める見方
– 具体的な部品番号(例 運転席エアバッグモジュール、クロックスプリング、SRS-ECU、各種インフレータ、サイドカーテン、センターエアバッグなど)。

同一日に複数SRS部品をセットで交換していれば、展開に起因する可能性が高い。

– 「再使用不可」部品の交換有無。

SRS配線(黄色カプラ)、衝撃センサ、プリテンショナー等の同時交換は展開・事故の強い証拠。

– 走行距離推移と整合(展開イベントの前後で短期間に内装/安全部品の大量交換がある等)。

– リコール・改善対策・サービスキャンペーンの判別
– リコール 安全性に関わる不具合に対する無償修理。

国交省への届出番号が付与されます(例 リコール届出番号、対策番号)。

– 改善対策 保安基準不適合のおそれに対し行う措置(無償)。

– サービスキャンペーン 安全性に直結しない品質改善(任意、無償が多い)。

– 記録簿には「実施済」の押印・シール、届出番号、実施ディーラー名が残ることが多い。

エアバッグではタカタ製インフレータ関連など、該当VINでの実施有無を記録で確認し、国交省のリコール検索(VIN/型式指定)で裏取りするのが実務です。

– 記録簿が不完全・欠落のときの補完
– 納品請求書・見積書・保険会社の修理見積明細(部品番号・工数)も強い根拠になります。

– 販売店の「点検整備記録簿写し」やディーラーDMS(履歴照会)を取り寄せ。

電子整備記録(メーカーアプリ)も増えています。

OBD/スキャンツールでのエアバッグ作動履歴の見方

– 機器の要件
– 一般的なOBD-II読取機(エンジンPコード中心)ではSRSにアクセスできないことが多い。

SRS対応スキャンツールかメーカー純正機を使用。

– CAN/UDS対応で、SRSエアバッグECUに「システム選択」してDTC(Bコード)とデータリスト、イベント/フリーズフレームを取得できること。

– 基本手順
1) バッテリー電圧の安定化(12V以上)、イグニッションON(エンジン停止)。

2) 全ECUヘルスチェック→SRS(エアバッグ)を選択。

3) DTC読取(現状/過去/保存) 展開・発火を示すコード、回路抵抗異常、警告灯回路異常、キャンセル器(ダミーロード)疑いなどを確認。

4) データリスト/ステータスの読取 「Driver/Passenger Airbag Deployment Recorded」「Pretensioner Fired」「Event Counter」「Crash Data YES/NO」など車種固有のフラグを確認。

5) SRS警告灯作動点検(自己診断点灯→消灯)と実測値(回路抵抗値)の整合を確認。

6) 診断レポートの保存(PDF/スクリーンショット)。

DTC消去はむやみに行わず、原因究明と修理完了後に実施。

– 読み取り時の留意点
– 多くの車種で「展開記録(クラッシュデータ)」は消去不可。

ECU交換が前提。

DTCだけ消えてもイベントフラグが残る場合があります。

– シートベルトプリテンショナーの発火も、SRS側で明確にフラグ/カウンタが残る車種が多い。

– 汎用OBDアプリでは「Bコード非対応」「SRS非表示」になりやすい。

対応表(車種×年式)を事前確認。

– キャンセル抵抗(違法改造)の検出 警告灯消灯でも実測の回路抵抗値やシート占有センサ/ハーネス状態から疑義が判明することがあります。

発見時は是正が必要。

– 結果の解釈例
– DTCなし、イベントフラグなし、自己診断正常=展開履歴なしの可能性が高い(記録簿とも照合)。

– DTC履歴のみ(断続/過去)=配線接触不良・シート下コネクタなどの既発生トラブルの痕跡。

修理記録と突き合わせ。

– イベントフラグあり=過去の展開・発火。

記録簿/修理明細でECU・関連部品の交換が完遂されているか確認。

現車の物理確認ポイント(記録・診断の裏付け)

– ステアリング/ダッシュのチリやエアバッグドアの痕跡、ダッシュ交換歴。

– シートベルトの製造タグ(年週)・巻取り状態・ロック作動・プリテンショナー型式と年週の整合。

– 黄色系SRSカプラの状態、車体側/シート側の配線新旧差。

– 事故修理塗装跡、エアバッグ搭載部位付近のクリップ/ブラケット交換跡。

まとめ用ワークフロー(中古車診断・納車前点検の実務)

– 事前ヒアリング 事故歴の申告、リコール実施状況。

– 記録簿精査 該当期間の修理/部品番号/対策番号を抽出。

– VINでのリコール・改善対策の公的照会(国交省リコール情報検索)+メーカーサイト照会。

– スキャンツール診断 SRS DTC/イベント/データリスト保存。

– 現車目視・作動確認 自己診断、警告灯、シートベルト。

– 矛盾点の洗い出しと是正提案(未対策リコール、キャンセル疑い、ECU未交換など)。

– 報告書化 記録簿写し・診断レポート・写真の添付。

法制度・技術的根拠(要点)

– 整備記録簿の作成・保存
– 道路運送車両法および関連省令(自動車点検基準、定期点検整備記録簿様式の告示)により、使用者には点検整備の実施と記録・保存が求められます。

事業者は実施内容を記録簿に記載し交付することが求められ、後日の確認資料となります。

– SRSの保安基準適合
– 保安基準および検査規則により、装着された保安部品は常に良好な作動状態であることが求められます。

車検ではSRS警告灯の正常作動(自己診断点灯→消灯)が確認され、異常表示のままでは不適合です。

警告灯を不正に消す・無効化する行為は不正改造に該当し得ます。

– 故障診断(OBD/スキャン)に関する制度
– 国土交通省の「自動車特定整備制度」(2020年施行)により、電子制御装置(SRSを含む安全関連)に関する整備は認証(特定整備)の対象となり、適切な診断機・手順による整備が求められます。

– 車載式故障診断(OBD)に関する検査導入(段階的運用)が進められており、故障記録(DTC)を活用した適合性の確認が拡大しています。

SRSは従来の排気系OBD-IIとは区分が異なるものの、電子制御装置として診断・記録の適切運用が求められます。

– リコールの根拠
– リコールは道路運送車両法に基づく届出制度で、国交省のリコール情報サイトで届出番号・対象車・対策内容が公開されています。

整備記録簿のリコール実施欄は、当該届出に基づく無償修理の実施記録として扱われます。

– 技術整備書の一般原則
– 多くのメーカーの整備書で「エアバッグ展開後はSRS-ECU、該当エアバッグモジュール、プリテンショナー、関連センサ/配線を交換」と規定され、展開イベント記録は消去不可(ECU交換)とする設計が一般的です。

これが交換記録を読む際の技術的根拠になります。

よくある落とし穴と注意

– 記録簿が「点検のみ」で、事故修理は板金工場側の書類にのみ残ることがある。

可能な限り全資料を突き合わせる。

– 外国製スキャンツールでSRSの一部データが読めない車種がある。

純正機または対応機で再検証。

– キャンセル抵抗や警告灯配線の加工により、警告灯が正常風に見えるケースがある。

データリスト(回路抵抗、占有センサ状態)と現物確認で見抜く。

– 展開履歴があるのにECU未交換の車両は、安全性・適法性の観点で是正が必須。

具体的な記載・記録の例(読み方イメージ)

– 記録簿 2022/06/15 走行4.8万km「事故修理に伴いSRS-ECU、運転席/助手席AB、フロント衝撃センサ左右、プリテンショナー左右交換。

DTC展開記録。

交換後DTCなし、自己診断正常。


→ 展開確実。

ECUまで交換済で是正完了の良記録。

– 記録簿 2021/10/03 走行3.2万km「SRS警告灯点灯。

診断にて助手席側回路抵抗高。

シート下配線修理、DTC消去、完了。


→ 展開ではなく接触不良の整備履歴。

– リコール欄 「リコール届出番号XXXX エアバッグインフレータ無償交換、実施。

対策シール貼付」
→ VINで公的データと照合し、対策完了確認。

エアバッグ履歴確認の結論

– 「整備記録簿の精読(部位・部品番号・対策番号)」×「SRS対応スキャンツールでのDTC/イベント/データリスト確認」×「現車目視・作動点検」の三点セットで、作動・交換・リコール履歴の信頼性が大幅に上がります。

– 展開履歴の有無は、SRS-ECUのイベントフラグ/交換歴、プリテンショナー交換、該当内装交換の有無が決め手です。

リコールについては届出番号と対策実施印で確認し、公的検索で裏を取るのが確実です。

参考(根拠・情報源の方向性)
– 国土交通省 道路運送車両法、保安基準、検査規則、自動車点検基準、定期点検整備記録簿の様式・記載要領、リコール制度(リコール情報検索システム)
– 国土交通省 自動車特定整備制度(電子制御装置整備の範囲・要件)
– 自動車メーカー整備書 SRS展開後の交換要領(ECU/エアバッグ/プリテンショナー/センサ/配線の交換指示、クラッシュデータの扱い)
– 車検実務 SRS警告灯の自己診断動作(点灯→消灯)が合否判断の一要素であること
– 標準的診断プロトコル OBD-IIコネクタ(SAE J1962)、CAN/UDS(ISO 15765/14229)を用いたSRS ECUアクセス(車種別に実装差あり)

最後に、安全装置に関する記録の改ざん・キャンセルは違法・危険です。

疑義が生じた場合は、特定整備の認証事業者・メーカー系ディーラーで精査を受け、適切な是正を行ってください。

OBD診断でSRSのDTCやイベントデータはどのように確認すればよいのか?

以下は、整備記録簿の記載や実務で役立つことを意識して、OBD(DLC)接続の診断機でSRS(エアバッグ)に関するDTC(診断トラブルコード)や「作動履歴・イベントデータ」を確認する手順と考え方、及びそれを裏づける根拠(規格・一般的なメーカー仕様)を体系的にまとめたものです。

結論から言えば、汎用の「排出ガス系OBD-II」機能だけではSRSの履歴は原則見えません。

SRSのDTC・イベント情報は「拡張診断(メーカー固有・UDS/KWP)」でSRS用ECU(RCM/ACM/SDM等)に直接アクセスできる診断機、またはメーカー純正ツールが必要です。

さらに「EDR(Event Data Recorder)」の詳細クラッシュデータは、通常のスキャンツールでは読めず、専用ツール(例 Bosch CDR等)やメーカーソフトが必要です。

1) 用語の整理と全体像
– SRS DTC(故障コード) エアバッグやプリテンショナー回路の断線・短絡、電源/センサ異常、衝突検知後の「クラッシュデータ保存」や「モジュールロック」などを示すコード。

多くはBコード(Body B1xxx等)、通信関連はUコード。

– イベントデータ(クラッシュ/作動履歴) SRS ECUが衝突時に保存する「衝突があった」「どの出力(運転席/助手席/サイド/カーテン/プリテンショナー等)が作動した」「車速・ブレーキ入力等の限られたパラメータ」など。

整備用スキャンツールが表示できるのは一部にとどまり、法規準拠のEDRに記録された詳細は専用リーダで読む。

– OBD-II(SAE J1979) 排出ガスに関するパワートレイン中心の標準化サービス(Mode 01/02/03/04/07/09/0A等)。

SRSは対象外のため、汎用OBD読取機ではSRS情報は基本取得不可。

– 拡張診断(UDS/KWP) ボディ/SRSなど車両各ECUに対するメーカー実装の診断。

SRSはこれでアクセスする。

物理層は主にISO 15765-4(CAN)、プロトコルはISO 14229(UDS)やISO 14230(KWP2000)等。

2) 使用する診断機の選び方
– 推奨 メーカー純正診断機(例 トヨタTechstream、日産CONSULT、ホンダHDS、マツダIDS、スバルSSM、三菱MUT-III等)または、SRSモジュールに対する拡張診断をサポートした高機能スキャンツール(UDS/KWPのDTC・データストリーム・特殊機能に対応するもの)。

– SGW/セキュリティ対策 FCA、日産等のSGW(セキュアゲートウェイ)装着車では認証が必要。

必要に応じてメーカー認証アカウントやJ2534 Pass-Thru経由で純正ソフトを使用。

3) 安全上の注意(最重要)
– SRSコネクタ/スキッシュ回路を安易に測定しない(テスタ直測は厳禁)。

誤作動・展開の危険。

– 分解作業時はバッテリーを外し、メーカー指定の放電待ち時間を厳守(一般に数分〜十数分)。

– 診断のみを行う場合は、SRS配線を触らず、DLCにスキャンツールを接続してキーON(エンジンOFF)で実施。

4) 実務の手順(記録簿に残すべきポイントを含む)
– 事前確認
– SRS警告灯の状態(点灯/消灯/点滅パターン)。

灯の動作チェック結果を記録。

– 車両識別 DLC接続後、VIN自動読取(OBD Mode 09)または車台番号を手入力。

記録簿にVIN・走行距離・日時・オペレータ名を記載。

– 自動スキャン/ECU選択
– 全ECUヘルスチェックを実行し、SRS/RCM/ACM/SDM等の名称のECUに入る。

– DTC読出し
– 現在(Current/Active)/過去(History/Stored)/確認済み(Confirmed)/間欠(Intermittent)等の状態表示を含め取得。

– 可能ならDTCのステータスビット(UDSのDTC Status Mask TestFailed, Confirmed, MIL/WarningLampRequested等)を併記で保存。

– クリア操作は記録保存後に。

クラッシュデータやロックDTCは通常クリアできないため、むやみに消去を試みない。

– 付随データの取得
– Freeze Frame/Failure Records/Snapshot(名称はメーカーにより異なる)を保存。

SRSでは標準化されておらず表示不可の車種もあるが、表示される場合は衝突検知時の電圧・車速・ベルト状態などが含まれることがある。

– データストリーム(Live Data)で以下の有無を確認(車種依存)
– Crash Event Stored / Deployment Recorded / Module Locked / Crash Counter
– 各イグナイタ(Driver/Passenger/Side/Curtain/Seatbelt Pretensionerなど)の「作動有/未」「回路抵抗値」「オープン/ショート判定」
– RCM内部電源/バックアップ電源状態、Gセンサ/加速度センサ異常の有無
– 報告書出力
– ツールのヘルスレポートをPDF等で保存し、整備記録簿に添付。

少なくとも「DTC一覧」「ECU名」「日時」「VIN」「ツール名/バージョン」を残す。

5) 作動履歴(展開)の判定の考え方
– 典型パターン(多くのメーカーに共通)
– 「Crash event stored(クラッシュイベント記録あり)」や「ECU locked/Deployment recorded(展開記録・ロック)」等のフラグやDTCが記録される。

– 展開した回路のDTC(例えば運転席エアバッグ点火回路オープン等)が「現在」ではなく「履歴」として残る。

またプリテンショナーが作動した場合は該当回路のオープンDTCが残ることが多い。

– これらは通常のDTC消去で消えず、ECU交換またはメーカーの特殊機能(セキュリティアクセス付き初期化)でのみクリア可能。

– 未展開だが衝突検知の痕跡があるケース
– エアバッグ閾値未満の事故で「Near deployment」相当の事象がFailure Records/Snapshotに残る車種がある。

– ただし、これらは全車共通ではなく、表示されない場合も多い。

– 外観確認と合わせた総合判断
– 実際にエアバッグが展開していれば物理的に膨張・破断がある。

ベルトプリテンショナーやバッテリーセーフティターミナル(BMW等)も作動痕跡を確認。

– SRSランプが点灯していない=未展開、とは限らない(履歴があってもランプ消灯の車種あり)。

必ずECU読出しで判断。

6) クリア・リセットに関する注意
– 排出ガス用OBDの「Permanent DTC(Mode 0A)」の概念はSRSには直接適用されない。

SRSはメーカー実装で「クラッシュロック」等を設け、通常クリア不可。

– ロックが掛かったSRS ECUは、交換前提とするメーカーが多い。

リセットサービスを謳う外部業者もあるが、保安・法令・保険上の観点でメーカー方針に従うこと。

– SRS関連作業後の初期化/ゼロ点学習(乗員分類センサ/着座センサ等)が必要な場合あり。

メーカー手順に従う。

7) EDR(イベントデータレコーダ)の取り扱い
– EDRはSRS ECU内または別筐体に保存されることが多く、汎用スキャンツールでは読み出せない。

– 一般に、Bosch CDR等の専用ツール、またはメーカー純正ソフトでDLC経由またはECU直結で取得。

– 法規・プライバシー 国・地域によりEDRの記録要件・取得・開示の枠組みがある。

取得には車両所有者の同意や法的根拠が必要。

整備で扱う場合は社内規程と法令順守を徹底。

8) 根拠(規格・一般仕様)
– SAE J1979(OBD-II) モード03/07/0A等はパワートレイン故障コード用。

SRSは対象外。

よって「汎用OBDのみではSRSが読めない」ことの技術的根拠。

– SAE J2012(DTCの構造) P/C/B/Uコード体系。

SRSの多くはBコード(Body)。

診断機がBコードを扱うには拡張診断が必要。

– ISO 15765-4(CAN)、ISO 14229(UDS) 現行車両の拡張診断プロトコル。

SRS DTC読出しはUDSのReadDTCInformation(0x19)、データ読出しはReadDataByIdentifier(0x22)、クリアはClearDiagnosticInformation(0x14)等を用いる。

多くの車種でSRSはセキュリティアクセス(0x27)が必要。

– ISO 14230(KWP2000)/ISO 9141-2 旧世代車の拡張診断プロトコルとして実装例あり。

– 49 CFR Part 563(米国EDR規則) EDRの記録項目・取得の枠組み(米国向け)。

各OEMのEDRデータは整備用OBDとは別経路で取得されることの根拠。

– メーカー整備書/技術情報 SRS回路の直測禁止、バッテリー遮断・放電待ち時間、展開後の部品交換、クラッシュロックの取扱いなどの安全手順が記載。

9) よくある落とし穴
– 汎用OBDリーダで「コードなし」と表示→SRSに入れていないだけ。

必ずSRS ECUに入れる診断機を使用する。

– DTCのみで作動履歴を断言する誤り 作動フラグやデータストリーム、該当回路の抵抗状態、他ECU(ABS/PCM)の衝突関連ログも合わせて判断。

– 先にDTCを消去してしまう 調査・保険・記録に必要な情報が消える可能性。

まず保存・印字。

– SGWにより書込み・特殊機能ができない 正規手段で認証を取得する。

10) 記録簿の記載例(要点)
– 車台番号/VIN、走行距離、日時、診断機(機種・ソフトバージョン)
– SRS ECU名称と通信可否、DTC一覧(コード/名称/状態)、Freeze Frame・Snapshot有無
– データストリーム要約(Crash Event Stored=Yes/No、Deployment Recorded=Yes/No、各回路状態)
– クリア有無、再発状況、注意事項(EDRの取扱い、SGW認証の有無)

まとめ
– SRSのDTCや作動履歴は、OBD-II汎用機能ではなく、拡張診断でSRS ECUにアクセスして確認する。

展開履歴は「Crash event stored/ECU locked」等のDTC/フラグや、各点火回路の状態に反映される。

EDRの詳細は専用ツール領域であり、整備の範囲ではメーカー手順を遵守して記録採取・保存・報告を行う。

これらの手順と制約は、SAE/ISOの診断規格および各メーカー整備書に裏づけがある。

汎用OBDスキャナーとメーカー純正診断機で確認できる範囲の違いは何か?

ご質問の要点は「汎用OBDスキャナー」と「メーカー純正診断機(ディーラー診断機)」で、エアバッグ(SRS)作動履歴=展開(デプロイ)やプリテンショナー作動記録、クラッシュレコード等をどこまで確認できるか、その違いと根拠は何か、という点だと思います。

結論から言うと、エアバッグの作動履歴をきちんと確認したい場合は、基本的にメーカー純正診断機(あるいはそれと同等の“メーカー拡張”に対応した上位診断機)が必須です。

汎用OBDスキャナーは法制度上サポートが義務づけられた排ガス関連の範囲に最適化されており、SRSの詳細な履歴やイベントデータ、初期化・双方向制御には原理的にアクセスできないか、アクセスできてもごく限定的です。

1) 両者のカバレッジ(接続できるECUと機能)の違い
– 汎用OBDスキャナー
– 主にエンジン・トランスミッションなど排出ガスに関連するECUを、OBD-IIの標準通信(SAE J1979/ISO 15031のモード01〜0A)で読み取る設計です。

– エアバッグ(SRS)ECUは排ガス対象外のため、OBD-IIの必須範囲に含まれません。

結果として、汎用機はSRS ECUに接続できない、あるいは接続できてもDTCの一部しか取れないことが多いです。

– メーカー純正診断機
– 車両内の各ECU(SRS、ABS、ボディ、ADAS、ステアリング角センサー等)に対して、メーカー独自拡張(UDS/ISO 14229やKWP2000/ISO 14230に基づくメーカー定義のDID・ルーチン、セキュリティアクセス)で深くアクセスします。

– SRS ECUの状態、作動履歴(展開履歴、クラッシュレコード、プリテンショナー作動の有無)、各点火回路の抵抗値推定、センサ値、初期化・学習、部品交換後の登録など、整備に必要な機能がそろっています。

2) エアバッグ作動履歴に関する「見える情報」の違い
– 汎用OBDスキャナーで見える可能性があるもの
– 稀に、SRSに関するDTC(Bコードなど)が“エンハンスド機能”として実装されている機種もありますが、車種・年式・メーカーごとの差が大きく、作動履歴(デプロイ履歴)の確実な取得は期待できません。

– OBD-II標準のフリーズフレームやPermanent DTC(モード0A)は排ガス関連が対象で、SRSのクラッシュ履歴やイベント履歴は範囲外です。

– メーカー純正診断機で見えるものの例
– SRS ECUのDTCの全件(メーカー独自のB/C/Uコードを含む)。

– クラッシュイベント記録の有無(いわゆる“クラッシュレコードが保存されています”“ECUロック”などのステータス)。

– どの回路が作動したか(運転席/助手席エアバッグ、カーテン、ニー、サイド、シートベルトプリテンショナー等)に関するイベント情報。

– 一部メーカーではイベントカウンタ、エアバッグ作動以外の事故信号履歴、座席占有センサー状態などのデータリスト。

– クラッシュ記録の消去可否(多くのメーカーで消去不可。

ECU交換が必要、と明記)。

3) 「なぜ汎用では難しいのか」の制度・技術的根拠
– 制度(標準規格)の観点
– SAE J1979/ISO 15031(OBD-II/EOBDの通信モード)とSAE J2012(DTC体系)は、排出ガス制御に関わるECU・パラメータの開示を義務付けるものです。

SRSは義務対象外で、メーカーはSRS診断情報をOBD標準モードで公開する法的義務がありません。

– Permanent DTC(モード0A)も排ガス関連専用で、SRSには適用されません。

– 通信プロトコルの観点
– 車載の詳細診断はUDS(ISO 14229)やKWP2000(ISO 14230)で実装され、メーカー独自のDID(データ識別子)、Routine、セキュリティアクセスレベルで保護されています。

SRSの作動履歴やECUロック状態は多くがこの“拡張診断セッション”内の専用アドレスにあり、汎用OBDモードでは到達できません。

– EDR(Event Data Recorder)の観点
– エアバッグECUにはEDR(事故時のイベントデータ記録)機能が統合されている場合が多いですが、その読み出しはOBD標準機能ではなく、メーカー/Bosch CDR等の専用ツール・プロトコルで行います。

米国では49 CFR Part 563がEDR項目の要件を定めていますが、読み出し手段は標準OBDではありません。

つまり、汎用OBDスキャナーでEDR/作動履歴を読むことは想定されていません。

4) 具体的な整備現場での差
– 汎用OBDスキャナー
– SRS警告灯が点灯していても「接続できない」「DTCが読めない/消せない」ケースが起こり得ます。

– たとえDTCが読めても、どの展開回路が作動したのか、クラッシュ履歴が残っているのか、ECUがロックしているのか等の要点に到達できないことが多いです。

– アクティブテスト(点火回路の疑似テスト)や座席センサーのゼロ点学習、部品交換後の登録といった双方向機能は基本的に不可です。

– メーカー純正診断機
– SRS ECUに確実に接続し、DTCの全件と詳細定義、DTC発生条件、凍結データ、データリスト、ステータスを取得可。

– クラッシュレコード(Airbag deployment recorded / Crash event stored / ECU locked 等)の有無が確認でき、整備書に沿って「クリア不可・ECU交換」等の判断ができます。

– 交換部品(SRS ECU、エアバッグ、プリテンショナー、座席センサ等)の登録・初期化・キャリブレーションを実施できます。

– 車両トポロジ(CAN上の各ECUの一覧)でSRSの有無や通信状態も確認可能で、配線断やゲートウェイの問題切り分けにも有利です。

5) 整備記録簿への記載と証跡化の面
– 汎用OBDスキャナーでは、そもそもSRSに接続できず「異常なし」になってしまうリスクがあり、作動履歴確認の証拠能力が弱いです。

– メーカー純正診断機(あるいはメーカー拡張対応の上位アフターマーケット診断機)であれば、
– 使用機器名・バージョン、車台番号とECU ID、接続日時、
– 取得したSRS DTC一覧、ECUステータス(クラッシュ記録の有無、ECUロック有無)、
– 関連データリスト(必要に応じて)、
をレポートとして保存・添付でき、作動履歴確認の実務的な根拠になります。

6) 代表的なメーカー整備書の方針(一般論)
– 多くのメーカー整備書には「エアバッグが展開した場合はSRS ECU(センターエアバッグセンサ)を交換する」「クラッシュ記録はクリアできない(または通常のDTCクリアでは消えない)」旨が明記されています。

これは安全上、再使用を避けるためです。

– つまり「展開履歴(クラッシュレコード)」はDTCと異なる領域に保持され、通常のOBDクリアでは消えません。

純正診断機で“記録あり”を確認できる一方、汎用機ではそもそもそのフラグにアクセスできないことが多いのが実情です。

7) 車検・制度面の補足(日本含む)
– OBD制度は各国とも本質的に排出ガス監視が中心で、SRSまでをOBDで検査・履歴確認する枠組みにはなっていません。

日本の「OBD検査」でも対象は主に排ガス・安全関連の一部システムの故障情報確認ですが、SRSの作動履歴(展開記録)をOBDで読み出して判定する仕組みは想定されていません。

– したがって、事故歴・展開歴の確認はあくまで整備・査定・事故調査の任意作業として、メーカーの診断手順に従って実施することになります。

8) 実務上の確認手順(推奨)
– 可能ならメーカー純正診断機(トヨタTechstream、日産Consult、ホンダHDS、マツダIDS/MDARS、スバルSSM、スズキSDT、ダイハツDST等)を使用。

– SRS ECUに接続し、
– DTC一覧と定義、
– ECUステータス(クラッシュレコード/ECUロック)、
– データリスト(作動回路の状態、座席センサ、バッテリ電圧履歴など必要に応じて)、
を取得・保存。

– 交換歴チェック
– 整備記録簿でSRS ECU、エアバッグモジュール、プリテンショナー、スパイラルケーブル、ハーネスの交換記録の有無を確認。

– 部品の製造ロットや年式の整合性を目視確認し、事故後の交換痕跡(黄色コネクタの痕、新品固定ボルト、内装クリップ痕等)を併せて確認。

– 必要に応じEDRの取得
– 事故調査等で法的・保険的な根拠が必要なら、メーカーやBosch CDR等の公認機材でEDRをダウンロード(対応車種・年式に限る)。

汎用OBDスキャナーでは不可です。

9) よくある誤解・注意点
– 「警告灯が消えている=展開履歴がない」ではありません。

SRS ECU交換や不正な“クラッシュデータリセット”ツールで警告灯を消す行為もあり、純正診断機でのステータス確認が重要です。

– 一部の高機能アフターマーケット診断機は“メーカー拡張”をサポートしSRSの深い領域にアクセスできますが、車種カバレッジと機能は限定的で、常に純正同等とは限りません。

導入時は対象車種・機能(SRSクラッシュデータ読出し可否)を要確認です。

– EDRは「最後の重大イベント」のみ、あるいは記録容量が限られているなど、履歴の網羅性に限界があります。

タイムスタンプが実時計と連動しない車種もあります。

あくまで“事故時の技術的記録”であって、使用履歴の全記録ではありません。

10) まとめ(要旨)
– 汎用OBDスキャナーは法規上の必須範囲(排ガス関連)に最適化されており、SRSの展開履歴・クラッシュレコード・ECUロック状態といった“作動履歴の核心情報”には原理的にアクセスできないか、できても車種依存で不完全です。

– メーカー純正診断機(または同等のメーカー拡張対応機)なら、SRS ECUの詳細情報、作動履歴、クラッシュ記録の有無、関連するデータリスト、初期化・登録まで含めて確認可能で、整備記録簿に残すべき証跡も取得できます。

– 根拠は、OBD-IIの標準(SAE J1979/ISO 15031、SAE J2012)の義務範囲が排ガス系に限定されていること、SRSの詳細診断がUDS/KWPによるメーカー独自拡張とセキュリティアクセスで保護されていること、EDRの取得がOBD標準機能ではなく専用手段であることにあります。

各メーカーの整備書にも「エアバッグ展開時はSRS ECU交換」「クラッシュ記録は通常クリア不可」といった方針が明記され、純正診断機での確認を前提に手順が構成されています。

参考となる公知の基準・資料名(概略)
– SAE J1979(ISO 15031-5相当) OBD-IIサービス17種(Mode 01〜0A等)規定。

対象は排ガス関連。

– SAE J2012 DTCの命名・分類(P/C/B/U)規定。

B/C/Uは多くがメーカー定義。

– ISO 14229(UDS) 拡張診断、セキュリティアクセス、メーカー定義DID/ルーチン。

– ISO 15765-4(CAN)/ ISO 14230-4(KWP2000)/ ISO 9141-2 物理層・下位プロトコル。

– 49 CFR Part 563(米国EDR規則) EDRの記録項目などの要件。

読み出しは専用手段が前提。

– 各メーカー整備書(SRS章) 展開時の部品交換指示、クラッシュ記録の取り扱い、診断機使用手順の記載。

上記を踏まえると、エアバッグ作動履歴の確認を整備記録簿に確実に残したい場合、汎用OBDスキャナーのみで済ませるのは不十分で、メーカー純正診断機(または機能同等の上位診断機)でのSRS ECU直接診断とレポート保存が実務上の必須要件だと言えます。

作動履歴やDTCが見つかった場合、どのような対応・追加点検を行うべきか?

以下は、整備記録簿の記載や故障診断機(OBD/メーカー診断)でSRS(エアバッグ)作動履歴やDTC(診断故障コード)が見つかった場合に、実務的に推奨される対応・追加点検と、その根拠・考え方の整理です。

SRSは安全装置であり、整備書に反する独自判断は極めて危険です。

必ず各メーカーの整備解説書・サービス情報に従ってください。

まず前提(OBDとSRSの関係)
– 一般的な汎用OBD-II(SAE J1979/ISO 15031)は排出ガス関連が中心で、SRSは対象外です。

SRSのDTC読出し・作動履歴取得は、メーカー固有診断またはUDS(ISO 14229)等の拡張診断に対応したスキャンツールが必要です。

– DTCの体系はSAE J2012/ISO 14229に準拠し、SRSはBコード(Body、例 B1xxx、B2xxx)が多く用いられます。

通信関連はUコードが発生することもあります。

– 診断の開始時には、バッテリ電圧、警告灯の点灯履歴、顧客申告(事故歴・部品交換歴・座席脱着・水没歴・社外品装着)を併せて確認します。

基本フロー(作動履歴またはDTCが見つかった場合)
1) 診断情報の保全
– DTC、フリーズフレーム、作動履歴(展開回数・どの火工品が作動したか・衝撃方向・電源電圧等)を保存・印刷し、整備記録簿に添付します。

後工程でクリア前の証跡が必要です。

2) 作動履歴の性質を仕分け
– 展開(デプロイ)あり フロント/サイド/カーテン/ニー、プリテンショナ等が作動した記録。

– クラッシュデータ記録のみ(展開なし) 衝突判定や「Crash data stored」「Event stored」等。

メーカーによってはSRS-ECUがロックされます。

– 通常の故障DTC(回路断線/短絡・センサ異常・電源低下・通信異常・OCS関連など)。

3) 危険防止の準備
– バッテリマイナス端子を外し、メーカー指定時間(例 トヨタ約90秒、ホンダ約3分など)以上放置しSRS-ECUのバックアップ電源を放電。

静電気対策、エアバッグモジュールの正置(展開面上向き)保管、火工品配線への直接通電・誤計測禁止。

一般的なテスタ直当ては不可、メーカー指定の高インピーダンス計測や模擬抵抗(ダミーロード)を用います。

A. 展開履歴がある場合の対応・追加点検
– 原則 作動した火工品(エアバッグ各モジュール、シートベルトプリテンショナ)は再使用不可、必ず新品交換。

多くのメーカーでSRS-ECU(センタエアバッグセンサ)も交換指定、前後/側方加速度センサも交換または検査・交換が指定されます。

根拠は各社整備書の「SRS展開後の処置」項、火工品の一回使用設計・安全性確保のため。

– 追加点検・交換の代表例
– 配線・コネクタ(黄色系統)の損傷・熱影響・腐食。

メーカー基準外のはんだ修理は禁止が一般的。

サービスハーネス/端子修理キットで対応。

– スパイラルケーブル(クロックスプリング) 展開時に損傷の可能性。

抵抗値/導通確認または交換。

– 乗員分類システム(OCS/シート荷重センサ、座面マット) 座席脱着・衝突後はゼロ点再学習/キャリブレーションを実施。

DTCがなくても実施指定のメーカーあり。

– シートベルト系 ウェビング伸び・焼け・金具変形・バックルスイッチ作動確認。

プリテンショナが作動していなくても、基準により交換指定される場合あり。

– ステアリングコラムの衝撃吸収機構、インパネ取付部、サイドエアバッグ取付部のボディ補強・ブラケットの変形有無。

– バッテリ・充電系とSRSバックアップ電源の自己診断。

低電圧DTCが残っていれば合わせて対策。

– 組付・トルク管理 エアバッグモジュール、センサの取付トルク・位置決めは感度に直結。

塗膜・錆で接地が阻害されないよう整備書通りの前処置。

– 作業後 DTCクリア、健康診断、警告灯の自己診断シーケンス(IG ONで数秒点灯後消灯)確認、OCSゼロ点/重量テスト。

必要に応じてメーカーの「エアバッグリサイクル回収」手順に従い回収・廃棄。

B. クラッシュデータ記録のみ(展開なし)の場合
– 多くのメーカーでSRS-ECUがクラッシュ履歴をロックし、クリア不可・交換指定(例 「Crash record stored」「ECU locked」)。

この場合はSRS-ECU交換が原則。

根拠は各社整備書の診断チャート。

– 追加点検
– センサ取付・ボディ損傷の有無、CAN通信の健全性、座席・シートレール変位、シートベルトの伸び/損傷。

– 事故規模によっては展開に至らない衝撃でも、OCSや座面マットに過荷重履歴が残ることがあり、再較正を推奨。

– 法的・記録面 事故履歴の消去や改変は法令・保険・鑑定上の問題になり得るため、メーカー手順以外のデータ消去行為は避ける。

整備記録簿に履歴の事実を記録し、顧客へ説明。

C. 通常の故障DTCが出ている場合の対応(代表例)
– スクイブ回路の開回路/短絡(B1xxx/B1Cxx等)
– 座席下コネクタの接触不良が典型。

座席スライドや湿気で端子圧が低下。

端子保持・ロック、端子圧、腐食、配線圧着部を点検。

必要に応じてメーカー指定の端子・ハーネス修理キットで交換。

– スパイラルケーブル断線の可能性。

ステアリング角度に応じた導通/抵抗変動を確認。

整備書に従い評価。

– 模擬抵抗(SST)でECU側評価を行い、ハーネス側/モジュール側の切り分け。

– 衝撃センサ回路異常
– 取付面の平面度、トルク、接地、サビ・塗膜介在。

衝突歴・水没歴があれば交換。

– 乗員検知(OCS/座面マット)・助手席エアバッグON/OFF表示異常
– 座席脱着後のゼロ点未実施、配線圧迫、社外シートカバーや後付ヒーターの影響。

整備書の重量ブロックを用いた較正を実施。

– 電源電圧低下/バックアップ電源DTC(B11xx等)
– バッテリ劣化、オルタネータ不良、ヒューズ・リレー・グランド不良。

SRS-ECUの電源系統図で電圧降下測定。

水没・浸水歴があればECU交換判断。

– 通信系(Uコード)
– CAN配線の波形・抵抗(約60Ω)、スター結線不具合、後付器機(ドラレコ、ナビ、テレマティクス)によるバス負荷。

衝突時にコネクタ緩みが生じやすい箇所を重点点検。

追加で推奨される横断的な点検・注意
– サービスキャンペーン/リコールの確認 タカタ製インフレータ等、対象車はまず無償修理の適用を確認(国交省リコール情報検索、メーカーDMS)。

– 水没・多湿環境の既往 SRS-ECU、座席下コネクタ、シートベルトプリテンショナに腐食が出やすく、予防交換指示のメーカーもあります。

– 社外品の影響排除 CAN配線の割り込み、座面マット上の後付センサ、電装品のアース不良はSRS誤検出の原因。

原状復帰して再評価。

– トルク・部品番号・ロット管理 エアバッグモジュールは品番・ロットトレースが求められる場合があり、記録簿に転記。

取付ボルトは再使用不可指定も多い。

– 警告灯の機能確認 IG ONで数秒点灯後消灯、自己診断OKのシーケンスを必ず確認。

消灯しない、点滅パターンが続く場合は再診断。

整備記録簿への記載の要点
– 読出し日時、使用診断機、接続ECU名、取得DTC/履歴とフリーズフレーム。

– 実施した安全措置(バッテリ遮断、待機時間、ESD対策)、分解部位。

– 実施した点検・交換作業(部品番号、数量、トルク、キャリブレーションの有無)。

– クリア後の最終DTC、警告灯状態、機能確認結果。

– リコール・キャンペーン確認結果、顧客への説明事項。

根拠・規格・準拠情報(実務で参照する考え方)
– メーカー整備解説書/新技術解説書/診断書 SRSは車種固有の要件が最優先。

展開後の交換指定、クラッシュロック時のECU交換、OCS較正手順等は明記されています。

– 診断規格 ISO 14229(UDS)、ISO 15765-4(CAN)、SAE J2012/ISO 15031-6(DTCフォーマット)。

SRSのDTCはBコード体系で報告されるのが一般的。

– 安全作業基準 メーカー「SRS作業上の注意」(バッテリ遮断・待機時間、静電気対策、保管姿勢、模擬抵抗の使用、配線修理禁止事項等)。

– 車検・保安基準との関係 多くの検査場運用でエアバッグ警告灯の常時点灯は原則不適合と扱われます(警告灯機能不良・安全装置機能の不具合)。

したがってDTC放置は実務上許容されません。

最終判断は検査事務規程・運用通達に従います。

– リコール制度 国土交通省のリコール・改善対策制度。

対象車両はメーカー手順による無償是正が前提。

よくある事例別の実務的アドバイス
– 座席下Bコード(断続的点灯) 端子保持力の低下が多い。

端子の拡げ/締め直しでは再発しがちで、端子交換が確実。

座席スライド時のハーネス余長取り回しを見直し。

– バッテリ上がり後に警告灯点灯 低電圧DTCが残留。

充電系とバッテリ試験を実施し、健全化後にクリア。

再発すれば電源ハーネス/グランド見直し。

– クラッシュデータのみ格納でオーナーが消去希望 消去は原則不可または禁止。

安全・法務・保険上の観点からECU交換を提案し、データの扱いを説明。

– 部品供給待ち 走行可否判断はメーカー基準に従う。

SRS警告灯点灯のままの出庫は原則避け、顧客署名の上で入庫保管または代車提案。

最後に
SRSは一発勝負の安全装置で、目に見えない誤りが重大事故に直結します。

「警告灯が消えたからOK」ではなく、作動履歴/DTCの意味を解釈し、必要交換・追加点検・較正までを一連の作業として確実に実施してください。

整備記録簿には、単にコード番号を記すだけでなく、原因推定と採った対処、再発防止の処置、最終確認結果までを記録することで、次回整備や万一のトレーサビリティに大きく貢献します。

【要約】
OBDだけでは、誰が何をどの規格でいつ交換・調整したか等の記録や手順遵守の証跡が残らず、トレーサビリティや法令上の記録義務、リコール対策の証明が担保できない。ACU交換やDTC消去で履歴が見えない場合もあり、修理の正当性・再発時の責任追及が困難。中古車販売時の適正表示の裏付けにも欠ける。

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