コラム

ローン残債対応の完全ガイド 正確な残高把握から返済戦略・資産売却・信用情報対策・相談準備まで

ローン残債とは何で、正確な残高や利息・手数料はどう把握すべきか?

以下は、個人向けローン(住宅、マイカー、教育、カードローン等)を念頭に、ローン残債とは何か、正確な残高や利息・手数料をどう把握すべきか、そして根拠(法令・実務慣行)をまとめた詳細解説です。

ローン残債とは

– 定義(実務上の意味)
ローン残債(残高)とは、契約に基づく返済が進んだ時点で、借り手がなお返済すべき金額の総額を指します。

一般には「残元金(まだ返していない元本)」を指すことが多いですが、実際に支払うべき「完済額」には、残元金に加え、経過利息(最後の返済日から完済日までの日割り利息)、未収利息、遅延損害金(延滞がある場合)、事務・繰上返済手数料、保証料の精算、振込手数料等が含まれることがあります。

– 残高証明書と完済額は違う
毎年の「残高証明書」(住宅ローン控除等で使う)は特定日時点の残元金を示すもので、完済に必要な総額ではありません。

正確な完済額は、完済予定日を指定して金融機関から見積(完済見込額)を取得する必要があります。

ローン残債の内訳(典型例)

– 残元金 スケジュールに基づき返済後に残る元本。

– 経過利息 前回返済日(または最後に利息計算が締まった日)から完済日までの利息。

日割りで加算。

– 未収利息 前回返済時に支払われずに繰越されている利息(リボや延滞時に生じがち)。

– 遅延損害金 期日に支払われなかった場合の法令・契約に基づく追加利息。

– 手数料 繰上返済手数料、事務取扱手数料、振込・送金手数料など。

– 保証料等の清算 保証会社方式の住宅ローン等で前払・金利上乗せ方式の精算が発生する場合あり。

– 担保関連費 住宅ローン完済時の抵当権抹消登記費用(司法書士報酬・登録免許税)は別途必要。

ただしこれは銀行の完済額の内訳には通常含まれません。

正確な残高・利息・手数料の把握方法(実務フロー)

– 1) 公式情報源を特定
金融機関のマイページ、アプリ、ATM照会、コールセンター、郵送の返済予定表・取引明細。

サードパーティ家計簿アプリは参考程度に留め、公式照会を優先。

– 2) 返済予定表で基礎を確認
返済方式(元利均等/元金均等)、金利タイプ(固定/変動/段階固定)、見直し周期、返済日、ボーナス返済の有無、未払金の有無をチェック。

– 3) 最新の処理日を確認
口座引落が銀行営業日にずれた場合、実際の計上日(起算日)が明細に記載されます。

これが経過利息の起点になります。

– 4) 正確な完済額は「完済予定日」を指定して見積取得
金融機関に「◯年◯月◯日完済の見込額(内訳付き)」を依頼。

多くの銀行はオンラインで「繰上返済シミュレーション」や「一括完済見積」を提供。

見積には有効期限や入金締切時刻があり、当日1430までの入金等の条件が付くことがあります。

– 5) 内訳の確認項目
元金、経過利息(日数・日数計算方法)、未収利息、遅延損害金、繰上返済手数料、振込先・名義・締切時刻、有効期限。

住宅ローンなら、完済後に受け取る抵当権抹消書類(弁済証書等)と取得時期も確認。

– 6) 証跡の保存
完済後は「完済証明書」や「残高証明書(最終)」を取得・保管。

住宅ローン控除を受けている場合は、繰上返済の影響(控除額減少等)を税務面で確認。

利息の計算の仕組み(核心)

– 毎回返済における利息計算
アモチゼーション(元利均等・元金均等)では、各回の利息=期首残元金×年利×(対象期間の日数/基準日数)。

多くの個人ローンは1か月を1期間として年利/12で近似しますが、完済・繰上返済など期中処理は日割り(例 Actual/365)で計算されます。

日数規則(Actual/365、Actual/360)は約款で定義。

– 変動金利の見直し
住宅ローンの変動金利は通常半年ごとに金利を見直し、返済額は5年ごとに見直す等のルールがあり、返済額の増減が段階的に行われます(俗に「5年ルール」「125%ルール」等がある商品類型)。

ただし銀行・商品により異なり、約款が最優先。

– 経過利息(完済時)
完済日の前営業日締め等の取扱いがあり、たとえば残元金2,000万円、年0.6%、前回返済日から10日後に完済なら、経過利息≒2,000万円×0.006×10/365≒約3,288円(端数処理は約款どおり)。

– 遅延損害金
契約に利率が定められ、延滞日数に応じて日割りで発生します。

法令に基づく上限があり(後述の根拠参照)、計算は「滞納元金×遅延損害金年率×延滞日数/基準日数」。

手数料の種類と注意点

– 繰上返済手数料 ネット手続きなら無料~数千円、窓口は数万円という銀行も。

部分/一括、固定/変動で手数料体系が異なることあり。

– 事務取扱手数料 借入時の定額または定率手数料。

借換え時に再度発生。

– 保証料 一括前払型(借入時に一括)、金利上乗せ型(年0.1~0.4%程度上乗せ)等。

完済時の返戻の有無は商品条件次第。

– 抵当権関連費用 設定時・抹消時の登記費用と司法書士報酬。

完済額とは別に現金手出しが必要になることが多い。

– その他 送金手数料、繰上返済システム利用料、印紙税(契約時)など。

必ず内訳書で確認。

自分で概算する方法(誤差前提)

– 既存の返済予定表がある場合
直近の返済が反映された残元金を基準に、完済予定日までの経過利息を日割りで上乗せ。

さらに、繰上返済手数料の定額・定率を加算。

延滞があれば遅延損害金も加える。

– 返済方式が元利均等の場合の目安
表計算のPMT関数・PPMT/IPMTで、金利(期間利率)、残期間、毎回返済額から残元金を再構築可能。

ただし、金利見直しや端数処理、ボーナス返済、手数料や保証料の金利上乗せがあるとズレが生じやすい。

– 概算の限界
実際の完済額は「約款どおりの端数処理」「締め時間」「休日繰越」「暦日ベースの日割り」等でブレるため、最終的には必ず金融機関の「完済見込額」を取得してください。

よくある落とし穴

– 残高証明書=完済額と誤解する
– 振込期限(時間)を過ぎて当日扱いにならず、利息1日分が増える
– 変動金利の見直しが反映された直後に繰上返済して、シミュレーションと誤差
– 住宅ローン控除の影響を見落とし、繰上返済で控除額が減る
– カードローン/リボの未収利息・遅延損害金の加算を見落とす
– 住宅ローンの抵当権抹消手続を完済後に放置(売却・相続時に支障)

手順のチェックリスト(完済・精緻把握用)

– 契約書・約款・返済予定表を手元に準備(返済方式、金利タイプ、手数料)
– 最新の残高と前回返済の計上日を公式に確認
– 完済予定日を決め、金融機関から完済見込額(内訳・有効期限・締切時刻含む)を取得
– 経過利息の計算根拠(年率、日割りの基準日数、日数)を確認
– 手数料(繰上返済、振込)、保証料の清算有無を確認
– 入金方法(支店、指定口座、振込名義、締切時刻)を確認
– 完済後書類(完済証明、抵当権抹消関連)と発行タイミングを確認
– 税務(住宅ローン控除)や保険(団信、火災)の影響を確認

根拠(法令・実務)

– 約款・契約書の優先
利息計算方法、日数規則、手数料、繰上返済条件は各金融機関の約款・契約書に明記され、これが最優先の根拠です。

返済予定表や重要事項説明書もその一部(または付随書類)として交付されます。

– 説明義務・表示義務(総論)
銀行等の金融機関は、銀行法および金融庁の監督指針・ガイドライン、金融サービスの提供に関する法律(2021年施行)に基づき、手数料・金利等の顧客への適切な説明が求められます。

貸金業者(消費者金融等)は貸金業法により、契約時交付書面や広告における金利・手数料等の表示義務が課されています。

– 利率の上限(個人向け貸付)
利息制限法により、元本10万円未満20%、10万~100万円未満18%、100万円以上15%が上限。

遅延損害金の上限は、各上限利率の1.46倍(例 100万円以上の貸付は21.9%)とされています。

刑事罰の対象となる上限(出資法)は現在20%です。

住宅ローンの実勢金利はこれより大幅に低く、上限論点には通常かかりませんが、遅延損害金の規律は契約・法令の両面で重要です。

– 民法(法定利率・遅延損害金)
民法は利息や遅延損害金の基本原則を定め、契約で特約がない場合の法定利率等を規定しています(法定利率は改正民法で変動制、初期値3%)。

実務では契約で具体的に利率が定まるため、契約条項が適用されます。

– 消費者契約法
消費者の利益を一方的に害する条項は無効となり得ます。

過大な手数料・不明瞭な条件は問題となる場合があり、明確な説明が求められます。

– 住宅ローン特有の実務
繰上返済(期間短縮型/返済額軽減型)、返済上限の調整ルール(いわゆる125%ルール等)は商品別の約款・商品概要説明書に記載。

完済後の抵当権抹消は不動産登記法に基づく手続で、銀行から交付される弁済書類等を用いて申請します。

まとめ(要点)

– ローン残債の核は「残元金」だが、実際に必要な支払額(完済額)には経過利息や手数料等が加わる。

– 正確な金額は、完済予定日を指定して金融機関から「完済見込額(内訳付き)」を取得するのが唯一の確実な方法。

– 自力の概算は可能だが、日割り計算・端数処理・休日繰越・金利見直し・手数料で誤差が出る。

最終決定は必ず公式見積で。

– 法的には、利息・遅延損害金には上限規制があり、説明義務・交付義務が課されている。

最終的な根拠は契約書・約款にある。

もし具体的なローン(金融機関名、商品名、残期間、金利タイプ、繰上返済予定日)が分かれば、想定の経過利息や完済額の概算、必要な手続き書類のチェックリストを個別に作成できます。

返済が厳しいときの選択肢(繰上返済・借換え・返済条件変更)の違いと選び方は?

ご相談の趣旨は、返済が厳しくなったときに取り得る代表的な3つの選択肢(繰上返済・借換え・返済条件変更)の違いと選び方、さらにその根拠ですよね。

以下、実務と制度の両面から、具体例・判断基準・注意点を交え、体系的に整理します。

まずは3つの選択肢の基本と効果の違い

– 繰上返済(期間短縮型/返済額軽減型)
– 定義 手元資金を使って元本の一部または全部を前倒しで返済すること。

大きく「期間短縮型」(毎月返済額は維持し、完済時期を早める)と「返済額軽減型」(完済時期は変えずに毎月返済額を下げる)がある。

– 効果 どちらも総支払利息を減らせる。

一般に期間短縮型の方が利息削減効果は大きい。

一方、返済額軽減型は月々のキャッシュフロー改善に優れる。

– 前提 一定の余剰資金があること。

繰上返済手数料は最近は無料~低額が多いが、金融機関により異なる。

住宅ローン控除期間中は、年末残高が減るため控除額が縮む点に留意。

– 向くケース 返済はできているが利息を圧縮したい、将来の金利上昇に備えたい、早く無借金にしたい等。

借換え(リファイナンス)

定義 既存ローンを新しいローンで完済し、条件を組み替えること。

金利タイプ(固定・変動)や期間、団信、保証方式などを含めて見直せる。

効果 金利差で総支払額を減らしたり、期間を延長して毎月負担を減らしたりできる。

逆に期間延長は総利息が増えがち。

コスト 事務手数料、保証料(または金利上乗せ)、抵当権抹消・設定の登録免許税、司法書士費用、印紙税、旧ローンの繰上返済手数料など。

概ね数十万円規模になりやすい。

審査 新規ローン審査(年収・勤続・信用情報・健康状態(団信)等)が必要。

向くケース 残高が大きく残期間が長い、現行金利が相場より高い、当面の居住継続が確実、コスト回収の目処が立つ等。

返済条件変更(リスケジュール)

定義 現在の借入先と返済条件を見直すこと。

代表例は返済期間の延長、一定期間の元金据置(利息のみ支払い)、ボーナス返済の取り止め・減額、毎月返済額の引下げ、返済日の変更等。

金利引下げに応じるケースもあるが一般にハードルは高め。

効果 短期的な毎月の資金繰りを改善し、延滞や代位弁済(保証会社による肩代わり)を防ぐ。

総支払利息は増えることが多い。

手続 収入減の事実や家計の見直し計画、今後の支払い可能額などの提示を求められる。

原則として延滞前の相談が有利。

向くケース 減収・失業・疾病などで直近の返済が苦しい、審査上借換えが難しい、当面の生活防衛を最優先したい等。

どれを選ぶか(実務的な判断フロー)

– 生活防衛資金の確保が最優先
– 目安として、生活費3~12か月分の現金クッションをまず確保。

それを割り込む繰上返済は、突発的支出や収入ショックに弱くなる。

– 繰上返済を選ぶべき典型
– 延滞リスクはない、かつ余剰資金がある。

– 住宅ローン控除の恩恵が小さい(控除期間が終わった/控除枠を使い切れていない、などを総合判断)。

– 将来の金利上昇を懸念し、元本圧縮で金利リスクを減らしたい。

– 基本は期間短縮型が有利(利息削減が大きい)。

ただし毎月の負担を下げたいなら返済額軽減型。

借換えを選ぶべき典型

金利差が概ね0.5~1.0%以上、残高1,000万円以上、残期間10年以上がひとつの目安(個別差あり)。

借換え諸費用の回収期間(諸費用 ÷ 毎月の節約額)が、住み続ける予定期間より短い。

収入・信用・健康面で新規審査に通る見込みがある。

変動→固定へリスク低減、または期間延長でキャッシュフロー改善など、目的が明確。

返済条件変更(リスケ)を選ぶべき典型

すでに返済が厳しい、または延滞が視野に入る。

借換えの審査が通らない、あるいは時間的余裕がない。

一時的な所得減少が見込まれ、一定期間の負担軽減で再建可能。

延滞・代位弁済になる前に、早めに取引行へ相談するのが肝要。

どうしても回らない場合の次善策

売却(住み替え)、任意売却、リースバック、債務整理等も選択肢。

信用・税・生活面の影響が大きいため、専門家(弁護士・司法書士・FP)へ早期相談。

簡易シミュレーション(概算)
前提 残高2,500万円、残期間20年(240か月)、金利年1.2%(月0.1%)

現状の毎月返済額

約117,370円(総支払利息は約316.9万円)

繰上返済200万円

期間短縮型 返済期間が約20か月短縮(約1年8か月)。

総利息は約34.7万円減(概算)。

キャッシュは今すぐ200万円必要。

返済額軽減型 期間は変えず、毎月が約9,400円減(約117,370→約107,980円)。

総利息は約25.3万円減(概算)。

比較 期間短縮型のほうが利息削減効果は大きいが、返済額軽減型は家計の月次負担を抑えやすい。

借換え 金利1.2%→0.7%、残20年、諸費用40万円と仮定

新毎月返済額 約111,845円(約5,525円の減額)。

総利息は約92.6万円圧縮(諸費用差引後の純効果)。

費用回収期間は約72か月(6年)。

居住予定が6年未満なら効果が薄い。

返済条件変更 期間20年→30年(同金利)

新毎月返済額 約82,780円(約34,600円の減額)。

ただし総利息は約160万円程度増える見込み。

あくまで資金繰りの安全確保が目的。

返済条件変更 元金据置2年

2年間は利息のみ(概算月2万5千円)。

短期の負担は大きく減るが、その分、総利息は増加。

終了後の返済額再増に備えた計画が必須。

選択にあたっての実務チェックリスト

– 収支の見える化 家計簿、年間イベント(固定資産税、教育費、車検等)を反映した12か月キャッシュフロー表を作る。

– 金利リスクの点検 変動型なら上昇ストレス(+1~2%)で返済額を試算。

固定型なら借換えで固定期間をどう設計するか。

– 諸費用と回収期間 借換えは費用総額と月次削減の比でブレークイーブンを把握。

– 税制の影響 住宅ローン控除(年末残高ベース)。

繰上返済で残高が減ると控除額が縮む可能性。

控除期間中の繰上は総合判断。

– 信用情報への影響 
– 期日前に返済条件変更を相談すること自体は、いわゆる「事故情報」ではないのが一般的。

ただし条件変更の事実が信用情報に登録される場合はある。

– 61日以上または3か月程度の延滞、保証会社の代位弁済が発生すると、異動情報として登録され与信に大きく影響(5年程度)するのが通例。

だからこそ延滞前の早期相談が重要。

– 団体信用生命保険の確認 疾病・就業不能等の保障付帯がある場合、給付対象に該当しないかを確認。

– 生活防衛資金 繰上返済や費用支出で手元資金が尽きないか。

予備費は厚めに。

相談・手続の進め方(実務)

– 取引金融機関へ早期連絡(延滞前) 窓口・コールセンター・WEB相談。

減収理由や今後の収支見通し、希望する見直し案を準備。

– 必要書類 収入減を示す資料(源泉徴収票、給与明細、退職証明、傷病手当証明など)、家計表、資産一覧(預貯金・保険解約返戻金等)、他債務一覧。

– 代替案の比較提示 期間延長案、元金据置案、ボーナス返済停止案など複数パターンの月額・総利息を並べると合意に至りやすい。

– 借換え検討時 複数行の事前審査(ソフトインクワイアリ)で当たりをつける。

固定/変動の配分、保証方式(保証料一括 or 金利上乗せ)も総額で比較。

– 繰上返済 ネット手続で手数料が安い・無料な銀行が増加。

少額多回の繰上でも効果は積み上がる。

根拠・参考となる公的情報や一般的ルール

– 住宅金融支援機構(フラット35等)
– 「返済に関するご相談」ページで、返済期間延長、一定期間の返済額軽減、ボーナス返済見直し、元金据置などの制度的選択肢が明記。

民間金融機関でも同様メニューが一般的。

– 金融庁
– 返済に困った際は取引金融機関へ早期相談を促す周知。

新型コロナ等の局面でも、条件変更や返済猶予等の柔軟対応を金融機関に求めた経緯があり、現在もその趣旨が活かされている。

– 信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)
– 長期延滞や代位弁済は事故情報として登録され、与信に大きく影響。

条件変更の登録の有無・扱いは機関・契約により異なるため、事前に取引行へ確認するのが実務上のベスト。

– 国税庁
– 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は年末残高を基礎に計算。

繰上返済で年末残高が減ると控除額が縮小しうる。

繰上返済の可否は控除メリットと利息削減の比較で判断。

– 金融実務の原理(根拠)
– 元利均等返済では、早期に元本を減らすほど将来の利息(元本×金利×期間)が圧縮される(繰上返済の効果)。

– 借換えの経済合理性は「金利差×残高×残期間」の効果と「諸費用」の比較で評価するのが一般的。

回収期間を可視化するのが実務的。

– 返済期間延長や元金据置は、フロー(毎月負担)を改善する一方でストック(総利息)を増やすトレードオフになる。

よくある疑問への短答

– どれが一番お得?
→ 金利面では「繰上返済(期間短縮型)」が最も利息を減らしやすい。

ただし家計の安全性・税制・流動性を総合判断。

– 借換えは今するべき?
→ 金利差・残期間・残高・諸費用・居住予定年数・審査通過見込みの6点で定量評価。

回収期間が居住予定より短ければ前向き。

– リスケは信用に傷が付く?
→ 条件変更自体は直ちに事故情報とは限らないが、延滞や代位弁済は事故情報になる。

延滞前に相談し、合意条件を堅実に履行することが最善の信用維持策。

まとめ(選び方の指針)

– 返済に支障が出る前なら、繰上返済や借換えで「利息を減らす/金利リスクを下げる」ことを検討。

ただし生活防衛資金は死守。

– 返済が厳しくなってきたら、まずは延滞前に取引行へ相談し、返済条件変更で資金繰りを安定化。

家計再建の筋道を立てる。

– どの選択でも「総支払額(利息・費用・税制影響)」「月次キャッシュフロー」「信用情報」への影響を三位一体で比較する。

– 不確実性の高い時代では、過度な無理は避け「長く確実に払い続けられる設計」を最優先に据える。

最後に、ここでの数値は概算です。

具体の最適解は、金利タイプ、残高、残期間、税額、世帯の収支・資産構成、勤務先の安定性、将来の住み替え計画などで変わります。

可能であれば、返済予定表・見積書・諸費用明細・税額試算をもとに、金融機関担当者や中立的なFPへセカンドオピニオンを取り、定量比較で意思決定されることをおすすめします。

資産売却や任意売却で残債にどう対処でき、売却後に残る債務はどう整理するのか?

以下は、日本で住宅ローン等の「残債」を抱えた状態で資産売却や任意売却を行う場合に、どう残債へ対処できるか、売却後に残る債務をどう整理するかの実務的な全体像と、主な法的・制度的な根拠です。

実務では個別事情(担保や保証の有無、収入・資産、家族構成、税金や管理費の滞納、差押えの有無など)で最適解が変わるため、弁護士・司法書士・税理士等と早期に連携することを強くお勧めします。

前提整理(なぜ売却しても残債が残るのか)

– 抵当権は、債権(ローン)を担保するために不動産に設定されます。

売却代金は抵当権者の回収に優先的に充当されますが、売却額が残債に満たないと差額(不足額=残債)は消えません。

抵当権はあくまで債権回収の手段であり、債権そのものを消滅させる制度ではないためです(民法の抵当権に関する規定の趣旨)。

– したがって、通常売却であれ任意売却であれ、金融機関が同時に元本免除を承諾しない限り、売却後に無担保の残債が存続します。

保証会社が代位弁済した場合は、保証会社に対して求償債務(残債)が生じます(民法の弁済による代位・求償権の規定)。

資産売却の類型と残債への影響

– 通常売却(アンダーエクイティがない場合)
– 売却代金で全額返済し、抵当権抹消。

残債は生じません。

– 通常売却(アンダーウォーター=残債超過の場合)
– 原則として抵当権抹消には全額返済が必要。

手出し資金を用意できれば抹消・売却可能ですが、難しい場合が多い。

– 任意売却(短期売却・ショートセール)
– 金融機関(または保証会社)と合意の上、売却代金が残債に満たなくても抵当権を抹消して売却を実行。

売却後の不足分は無担保の残債として残り、別途和解・分割返済・債務整理等で処理します。

– メリット 競売に比べ売却価格が高くなる傾向、引越費用の一部捻出を認める運用がある、売却スケジュールを調整しやすい。

– デメリット 滞納が発生し信用情報に事故登録、残債交渉が別途必要、全ての関係権利者(第二抵当、差押権者、管理組合等)の同意が必要で難航する場合がある。

– 競売(裁判所の手続)
– 民事執行法に基づく強制換価。

売却価格は任意売却より低くなりやすく、残債が増えがち。

占有移転・引渡しも強制的に進む。

– 代物弁済・担保物の引渡し
– 債権者の承諾があれば、金銭の代わりに物(不動産等)を引き渡して弁済に充てる方法。

実務上、金融機関が単独での代物弁済受入れに消極的なことが多く、一般的には任意売却の枠組みで処理される。

任意売却の典型的な流れ

– 事前相談・資料収集 残債額、遅延状況、抵当権・差押の有無、管理費・固定資産税の滞納、物件評価、引越し希望時期。

– 債権者(金融機関・保証会社・サービサー)への打診 任意売却の可否、配分案の骨子、売却に伴う費用(仲介手数料、抹消費用、引越費用等)の扱い。

サービサー(債権回収会社)は「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づく登録業者。

– 媒介契約・販売活動 市場価格に近い価格で販売し、できるだけ高く売ることで残債を圧縮。

– 配分協議 売却代金の配分(抵当権者、差押権者、管理組合、税金、仲介手数料、司法書士費用、引越費用など)。

全関係者の同意が必要。

– 決済・引渡し 決済時に抵当権等を抹消。

不足分は債権者と別途「残債の和解契約(分割・利息免除等)」を締結。

– 売却後 残債の支払開始。

支払困難な場合は法的債務整理を検討。

売却後に残る債務を整理する方法

– 任意の分割返済(和解)
– 売却後の残債について、毎月の収支に見合った分割返済を約する。

ポイントは「無利息(遅延損害金・将来利息の免除)+3~5年完済」を目指すこと。

実務上、債権者やサービサーにより柔軟性が異なる。

– 根拠 民法上の私的契約(和解契約)。

法定の手続ではないが、裁判外で広く行われる。

– 任意整理
– 弁護士・認定司法書士が介入し、将来利息・遅延損害金のカット、分割返済条件を交渉する裁判外手続。

完済まで3~5年程度が目安。

信用情報は事故扱い。

住宅ローンの残債のみならず他の無担保債務も一括交渉対象にできる。

– 特定調停
– 裁判所の調停手続を使って分割条件をまとめる方法(民事調停法に基づく)。

任意整理に近いが、調停委員会が関与し、公的な和解効が得られる。

– 個人再生(小規模個人再生・給与所得者等再生)
– 民事再生法に基づく法的整理。

無担保債務総額に応じて一定の基準額まで圧縮し(例 総額500万円超1500万円以下なら原則100万円までなどの基準あり)、原則3年(最長5年)で分割返済。

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)は「住宅を手元に残す」ための制度だが、既に売却済みで残債のみがある場合は通常の個人再生で処理する。

清算価値保障原則により、保有資産相当額は最低弁済が必要。

– 自己破産
– 破産法に基づく免責許可を得られれば、原則として残債は法的に免責(消滅)。

ただし税金・養育費等の非免責債権は残る。

高額資産は原則として換価されるため、資産状況と生活再建のバランスを要検討。

– 連帯保証人・物上保証人の問題
– 主債務者が売却・債務整理をしても、連帯保証人や物上保証人への求償・請求は別に生じます。

和解や法的整理は「誰に対して、どの範囲で効くか」を精査し、必要なら保証人も同時に対応が要ります(民法の保証・代位の規定)。

実務上の重要ポイント

– 期限の利益喪失と遅延損害金
– 返済遅延が続くと、契約上の期限の利益喪失条項により一括請求・遅延損害金が発生。

数字が急増するため、早期の交渉・売却開始が肝要。

– 税金・管理費・公共料金の滞納
– 固定資産税滞納等は差押えに発展し順位争いが生じます。

マンション管理費・修繕積立金の滞納も任意売却では重要な調整項目。

できる限り売却代金配分で解消を目指します。

– 税務(債務免除益・譲渡所得)
– 不動産売却で譲渡損が出ても、債務免除があると「債務免除益」の課税関係が問題になることがあります。

個人か事業か、免除の態様などで取扱いが分かれ、要件次第では課税されない場合や課税が生じる場合があります。

税務は事案依存が強いため、税理士で必ず確認してください。

– 信用情報への影響
– 任意売却は通常、延滞情報が登録済みであり、5~7年程度は新規借入やクレジットに制約。

和解・法的整理も同様に事故情報が登録されます。

– 引越費用の捻出
– 任意売却では、債権者の運用により数十万円程度までの引越費用計上を認めるケースがありますが、必ずしも保証されません。

– リースバック等の活用
– 自宅を投資家に売却して賃貸で住み続ける手法。

残債が大きいと実現困難な場合が多く、任意売却との両立は条件次第。

根拠・関連法令(主なもの)

– 民法
– 抵当権の基本的な枠組み(不動産から債権の弁済を受けられること、売却で不足すれば債務は残ることの前提)
– 代物弁済、弁済による代位・求償、保証・連帯保証、期限の利益等の一般規定
– 民事執行法
– 不動産競売の手続・効果
– 不動産登記法
– 抵当権の設定・抹消登記に関する手続
– 民事再生法
– 個人再生(小規模個人再生・給与所得者等再生)と住宅資金特別条項の制度
– 破産法
– 破産手続・免責許可・非免責債権
– 民事調停法
– 特定調停など裁判所を介した債務調整
– 債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)
– 登録サービサーによる債権回収・和解の枠組み
– 金融ADR制度
– 金融機関との紛争解決のための指定紛争解決機関の利用(任意だが実務上有用)

実務的な進め方(チェックリスト)

– 1〜2週以内にやること
– ローン残高・滞納・遅延損害金の確認、保証会社の有無
– 抵当権・差押・仮差押の有無を登記簿で確認
– 月次の家計収支・保有資産(車、保険、金融資産)の棚卸し
– 信頼できる不動産会社・弁護士・司法書士・税理士への初回相談
– 3〜4週目
– 任意売却の可否打診、配分の叩き台作成、販売開始
– 滞納管理費・税金の扱いを債権者と調整
– 引越時期・新居の確保(賃貸審査に備えた書類準備)
– 売却契約〜決済
– 配分表の最終合意、抵当権抹消・差押解除書類の段取り
– 残債の和解条件(毎月返済額、無利息、期間、途中の収入変動対応)の書面化
– 売却後
– 和解条件に基づく返済開始。

困難が見込まれる場合は早めに任意整理・個人再生・自己破産の比較検討

典型的なQ&A

– Q 任意売却をすれば残債はなくなりますか?

– A いいえ。

債権者が元本免除に同意しない限り、残債は無担保債権として残ります。

多くは別途分割返済の和解が必要です。

– Q 競売と任意売却、どちらが有利?

– A 一般に任意売却は市場価格に近く売れやすく、残債を減らせる可能性が高い。

退去・引越も調整しやすい。

一方で関係者の合意形成が必要で、時間と調整力が要ります。

– Q 保証会社が代位弁済したと言われた
– A 保証会社が金融機関に返済を肩代わりし、あなたに求償権を取得しています。

以後の交渉相手は保証会社や回収受託先(サービサー)になります。

– Q 残債が大きく返済見込みがない
– A 自己破産による免責も含めて検討。

個人再生で圧縮・分割という選択肢もあります。

単独判断せず、弁護士に早期相談を。

相談先

– 弁護士(任意整理・個人再生・自己破産の見立て、保証人対応、交渉代理)
– 司法書士(登記、簡裁代理権の範囲内での任意整理等)
– 税理士(債務免除益・譲渡損益・住民税等の税務判断)
– 不動産会社(任意売却の実務に精通した事業者を推奨)
– 自治体・法テラス(費用面の支援、無料相談)

まとめ
– 資産売却や任意売却は、残債を「ゼロにする」手段ではなく、「残債を最小化して次の債務整理に繋ぐ」ための前段階と捉えるのが実務的です。

競売に比べて任意売却は残債縮小の余地が大きく、生活再建に資する一方、売却後の残債処理(和解・任意整理・個人再生・自己破産)の選択がカギになります。

– 法的な大枠は、民法(抵当権、保証、代位)、民事執行法(競売)、民事再生法(個人再生)、破産法(免責)、民事調停法(特定調停)、サービサー法(回収)等により支えられています。

最終的な最適解は個別事情で大きく変わるため、早期に専門家チームでロードマップを描くことが、経済的損失と精神的負担を最小化する近道です。

返済遅延や延滞が信用情報に与える影響を最小化するにはどうすればよいか?

前提整理
信用情報に記録されるのは「事実」です。

返済の遅れ(遅延・延滞)が一度記録されると、一定期間は履歴として残り、次の与信(クレジットカード発行、カードの増枠、住宅・自動車ローンなど)に影響します。

影響を最小化する鍵は、(1)異動情報(いわゆるブラック情報)を付けない、(2)付いてしまった場合は最短で「解消」させ、以後の良好な履歴を積み重ねる、の2点です。

影響を最小化するための原則
– 事前連絡が最強 支払日に遅れそうと分かった段階で、必ず債権者(カード会社・銀行・信販会社)へ連絡。

返済日の変更や一時的な減額・分割など「条件変更」を事前合意できると、延滞扱いへのエスカレーションや強制解約・代位弁済の回避に役立ちます。

– 61日(または3か月)を越えない 日本の信用情報では、61日以上または3か月以上の延滞、代位弁済、強制解約、債務整理等は「異動情報」として登録され、強い悪影響が5年程度続きます。

ここを越えないことが最重要です。

– 最低額だけでも守る 約定返済額の全額が難しい月は、最低返済額でも間に合わせる。

1〜30日の遅れ自体は「入金状況」のマークに残りますが、異動には直結しません。

– 優先順位を付けて復旧 複数の支払いがある場合、61日に最も近いものや、期限の利益喪失(残債の一括請求)が早いもの(カードローン・クレジットカード・自動車ローンなど)から先に正常化します。

– 多重申込は避ける 審査に不利な「申込情報」が6か月程度残ります。

遅延が出ている時期に新規申込を連打すると、さらなる否決の連鎖を招きます。

状況別の具体策
1) 遅れそうと分かったとき
– 返済日の変更を交渉 給料日直後に移すだけで遅延リスクが減ります。

– 一時的な減額・返済猶予・返済期間の延長 事情(収入減、医療費、転職活動など)を率直に説明し、具体的な支払計画を提示します。

– 自動引落し設定と日付調整 引落日を給料日翌営業日に設定、または手動振込でも「前日リマインド」を仕組み化。

– 分割・リボからの卒業計画 長期的には利息負担を下げる「元金重視」の返済計画に変更しますが、短期は遅延回避を最優先。

2) 既に遅れている(1〜30日程度)
– 即日連絡+即時入金 最低返済額と遅延損害金を支払って入金状態を「当月内に解消」する。

初回・軽微な遅れなら遅延損害金の免除・減免に応じてもらえることもあります(確約ではありません)。

– 他社への波及を防ぐ 口座残高不足による連鎖遅延を防ぐため、当面は引落し口座を一本化し、入金額にバッファ(目安2〜3割)を持たせる。

3) 31〜60日遅れ
– 最優先で正常化 この帯は異動登録の直前ゾーン。

入金可能な原資を集中させてこの口座を当月中に当月約定まで追いつかせる。

– 条件変更を正式合意 文書や会話記録(日時・担当者・合意内容)を残す。

合意どおりの入金を続けることが極めて重要。

4) 61日以上・3か月以上の遅れ
– 速やかに「延滞解消」へ 異動登録はほぼ避けられませんが、解消(完済または約定どおりの支払いに復帰)すると、情報は「延滞解消」として記録され、以降の回復が進みます。

– 代位弁済が起きた場合 保証会社に支払先が移ります。

新たな支払計画を結び、遅延損害金を含めて計画的に返済。

一括和解が可能なら総コストと将来の与信回復の両面から検討。

5) 既に異動が付いた後の回復策
– 継続的な「正常入金」の積み上げ 以後の口座で遅延ゼロを徹底。

24か月の入金状況欄は時間とともに古い遅れが押し出されます。

– 利用残高を低く保つ カードの利用枠に対する利用率(目安20〜30%未満)を維持。

– 新規申込は最小限に 異動解消から時間が経つほど評価は改善。

6〜12か月は新規申込を抑え、内部評価の回復を待つ。

– 既存の良好口座を維持 古い健全な取引履歴はプラス要因。

むやみに解約しない。

誤登録・誤解の修正
– 本人開示で現状把握 CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(JBA)の3機関で本人開示を取り、入金状況・異動・申込情報を確認。

– 訂正の申し出 誤りがあれば、基本は情報提供元(会員会社=債権者)経由で訂正依頼。

CIC/JICC/JBAにも相談窓口があり、会員会社に照会のうえ訂正が行われます。

支払証憑・通帳コピー・合意書を準備するとスムーズ。

やってはいけないこと
– 黙り込む(未連絡) 未連絡は最もマイナス。

督促強化→強制解約→法的措置・代位弁済と進みやすく、記録が重くなります。

– 多重債務化のための安易な借換え 遅延中に高金利の新規借入で穴埋めするのは悪化の典型。

借換えは遅延解消後に、総利息が確実に下がる条件で。

– 携帯端末の分割・公共料金の軽視 携帯端末分割や一部の継続課金は信用情報に報告されます。

少額でも延滞は避ける。

家計面の実務テクニック
– 返済用ミニ緊急資金 生活費とは別に1か月分の返済額を先にプール。

– 週次分割入金 月1回の一括返済が不安定なら、週1で積み立て入金に変更(許容される範囲で)。

– カレンダーと二重リマインド 決済3日前と当日の2回アラート。

家族共有カレンダーで可視化。

– 収支の固定費削減 通信費・保険・サブスクの見直しで恒常的なキャッシュフロー改善。

根拠(制度・実務のポイント)
– 異動情報の基準と保有期間
– 一般に、61日以上または3か月以上の延滞、代位弁済、強制解約、債務整理、破産等は「異動情報」として登録されます。

CIC・JICCの公表資料で「延滞(61日以上・3か月以上)」「代位弁済」「強制解約」等が事故情報として明記されています。

– 保有期間は、CIC/JICCでは異動情報は発生日または契約終了等から最長5年程度。

JBAは破産情報を最長10年保有、延滞等は5年が一般的と案内されています。

– 入金状況の表示
– CICの「入金状況」欄には過去24か月の支払状況が記録され、請求どおりなら記号(一般に「$」等)、未入金や一部入金等は別記号で反映されます。

短期の遅れでも履歴に残る一方、異動とは区別されています。

– 申込情報の保有
– 新規申込情報は概ね6か月保有と案内されており、短期の多重申込は審査に不利に働くことが一般的に周知されています。

– 訂正手続
– 本人開示・訂正申出のフローは各機関の公式案内に基づき、原則として情報提供会員の確認を経て訂正が行われます。

本人は根拠資料(入金記録・解約証明等)を準備して申し出るのが実務です。

– 期限の利益喪失・代位弁済
– 契約約款に基づき、一定期間の延滞で期限の利益を喪失し一括請求・保証会社の代位弁済が発生します。

これらは事故情報に該当し、5年程度保有されます。

債務整理に関する留意点
– 任意整理・個人再生・自己破産は強い事故情報として登録され、CIC/JICCで5年程度、JBAや官報情報の扱いにより10年近い影響が残る場合があります。

ただし、返済不能の長期延滞を続けるより、法的整理で生活再建を図る方が中長期的には有利なケースもあります。

弁護士・認定司法書士に早めに相談してください。

問い合わせ時の話し方の例
– 「今月は収入が減少し、約定額の全額は難しいのですが、○日までに△円は入金できます。

返済日の変更や一時的な減額、分割のご提案は可能でしょうか。

今後の計画は○○で、来月からは通常額に戻せます。


– 「延滞となっている手数料も含め、解消に必要な合計額と、異動登録の有無・基準を教えてください。

まとめ
– 最重要は「61日(または3か月)以上の延滞を絶対に避ける」こと。

そのために、事前連絡・最低額入金・返済日の調整・一時減額の交渉を迷わず行う。

– 既に遅れた場合は、最も危険な口座から優先して正常化。

「解消」させれば時間とともに影響は薄れます。

– 誤登録が疑われるときは、3機関で本人開示→提供元経由で訂正申出。

– 新規申込は控え、以後24か月の完全返済履歴と低利用率を積み上げて信用回復を図る。

上記は、日本の主要信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)が公表する登録・保有ルール、および金融実務の一般的運用に基づくものです。

具体の取扱い・保有期間は商品や会員会社により例外があり得るため、最終的には各社の約款・各機関の最新の公式案内で確認してください。

金融機関や専門家へはいつ相談し、必要書類や事前準備は何が必要か?

以下は、住宅ローンや自動車ローン、カードローン等を含む「ローン残債への対応」を広く想定し、「いつ誰に相談すべきか」「必要書類や事前準備」「その根拠」を体系的にまとめたものです。

個別の契約・金融機関により運用は異なるため、最終判断は必ずご自身の契約書と各窓口の最新案内でご確認ください。

相談のタイミング(早いほど選択肢が広がります)

– 返済が遅れそうと分かった時点(できれば3〜6か月前) 延滞に至る前に連絡すれば、条件変更(リスケ)などの打ち手が取りやすく、信用情報への事故登録を避けやすい。

– 収入減・失業・病気・離婚・出産・金利上昇・物価高騰・ボーナス減額等のライフイベント発生時 将来の資金繰りに影響が出る予兆段階で相談。

– 売却や借り換えを検討する時 担保不動産や車両の評価、残債との関係(オーバーローンの有無)を確認する必要があるため、着手前に金融機関や専門家へ。

– 団体信用生命保険(団信)該当事由が発生した時(死亡・高度障害等) 速やかに金融機関・保険会社へ。

適用されれば残債が弁済されることがあります。

– 相続が発生した時 相続放棄・限定承認を検討する「熟慮期間」(原則3か月)内に専門家へ。

担保や保証の有無、団信適用の可否確認が重要。

– 督促状が届いた/保証会社による代位弁済の連絡が来た時 直ちに相談。

期限の利益喪失や競売・差押えのリスクが高まります。

– 目安となる「信用情報への事故登録」直前 延滞61日または3か月経過で「異動」登録されるのが一般的に公表されています。

これ以降は新規借入・借換えが困難になるため、これより前の相談が肝要。

相談先の使い分け

– まずは借入先(金融機関・保証会社)の返済相談窓口
– 期待できること 返済条件の変更(返済額の一時軽減、元金据置、返済期間延長、ボーナス返済見直し、引落日変更など)。

住宅金融支援機構等には制度化されたメニューあり。

– 注意点 延滞が進むと「期限の利益喪失」や「代位弁済」により交渉余地が狭まる。

書面や収支資料の提出を求められるのが通常。

– 弁護士(第一選択の専門家) 任意整理、個人再生、自己破産、任意売却時の債権者交渉など、法的・実務的に最も強い。

住宅を残したい場合は個人再生の「住宅資金特別条項」も視野。

– 司法書士 140万円以下等の範囲での債務整理代理や登記(抵当権抹消・相続登記・売買に伴う移転登記)を担当。

対応範囲は弁護士より限定される。

– 任意売却に強い不動産会社 担保権者と調整し、売却代金で足りない残債の分割払い等の同意を取り付ける交渉を実務で支援。

– ファイナンシャル・プランナー(CFP/AFP) 家計改善、保険見直し、将来キャッシュフローの可視化。

ただし法的交渉は不可。

– 公的窓口・支援
– 法テラス 所得要件により無料相談や弁護士費用の立替。

– 自治体の生活相談、社会福祉協議会の生活福祉資金、住宅確保給付金、ハローワーク等 家計と就労の下支え。

相談前に整える書類・データ(汎用)

– 本人確認 運転免許証、マイナンバーカード等
– 借入関係
– 金銭消費貸借契約書、返済予定表、最新の残高証明、督促状や通知書
– 返済口座の通帳写し(入出金状況)、引落し不能の履歴
– 他社借入の一覧(社名、残高、毎月返済額、保証会社、担保・保証人の有無)
– 収入資料 源泉徴収票、直近3〜6か月の給与明細、賞与明細、課税(所得)証明書、確定申告書控え(個人事業主は青色申告決算書・総勘定元帳・試算表)
– 支出・家計 家計簿(固定費・変動費)、公共料金、家賃・管理費、養育費等の支払い実績
– 資産・負債一覧 預貯金、保険(解約返戻金見込)、有価証券、退職金見込、車、不動産、ローン全体
– 信用情報の本人開示(任意) CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(KSC)で取得。

延滞・代位弁済などの登録状況を把握
– 希望する対応案のたたき台 毎月いくらなら継続可能か、何年延長が必要か、元金据置の希望期間、生活再建の見込み(転職予定・治療計画など)

ローン種類別の追加資料

– 住宅ローン
– 不動産登記事項証明書、固定資産税納税通知書・評価証明書
– 間取り図、長期修繕履歴、マンションなら管理規約・管理費/修繕積立金の滞納有無
– 不動産査定書(複数社)、現況写真、火災保険証券
– 団信の約款・申込書、医師の診断書や死亡診断書(該当時)
– 連帯保証人・連帯債務者の情報と同意見込み
– 自動車ローン
– 車検証、自賠責・任意保険証券、走行距離、査定書
– 所有権留保(ディーラー名義・信販会社名義)の有無
– 事故時は保険金支払見込・修理見積
– 無担保ローン(カードローン・キャッシング)
– 利用明細、契約書、返済予定・金利、増枠・リボの変更履歴
– 返済日程表の再編案(任意整理見込みの場合)
– 事業性ローン(個人事業主・フリーランス)
– 月次資金繰り表、売掛金年齢表、主要取引先、直近の受注動向、税金・社会保険の滞納有無
– 相続が絡む場合
– 被相続人の戸籍一式、遺産目録、負債目録、相続関係説明図
– 相続放棄・限定承認の検討資料(家庭裁判所申述書類)

代表的な対応メニューと流れ

– 金融機関での条件変更(リスケジュール)
– 例 元金据置(一定期間)、返済額軽減、返済期間延長、ボーナス返済取り止め、返済日の変更など
– 流れ 収支資料提出 → 審査 → 新条件の契約締結。

新たな遅延を発生させないことが信用保全の鍵
– 信用情報への影響 条件変更自体は直ちに事故情報ではありませんが、延滞や代位弁済があると「異動」等が登録されます
– 繰上返済・借換え
– 余裕資金で利息負担を低減。

手数料や団信の扱い、固定金利の違約金相当の費用有無は事前確認
– 借換えは「異動」登録がないことが前提となるのが一般的
– 任意売却(住宅・車両)
– 残債<売却代金であれば通常売却、残債>売却代金の場合は債権者同意の上で任意売却
– ポイント 早期に債権者と情報共有し、売却後の残債の分割払い等の合意形成。

競売に比べ高値売却・引越費用の捻出が期待できる
– 法的債務整理(弁護士・司法書士)
– 任意整理 将来利息の減免や分割再編(主に無担保債務)。

住宅ローンは対象外が一般的
– 個人再生 無担保債務の大幅圧縮と分割返済。

住宅を維持しやすい「住宅資金特別条項」(民事再生法)を利用可能
– 自己破産 免責が得られれば無担保債務は原則免除。

担保付債務は担保権実行(住宅の処分等)が前提
– 代位弁済後
– 既に保証会社が肩代わりした場合、窓口は保証会社へ。

分割和解の提案は可能だが、条件は厳格化しやすい

実務上の根拠・背景

– 信用情報の事故登録基準
– CIC・JICC・KSCの各機関は、延滞61日または3か月で「異動」登録、代位弁済・債務整理の事実登録、登録期間は原則5年程度といった基準を公開。

これが新規借入や借換え審査に重大な影響
– 期限の利益喪失
– 多くの金銭消費貸借契約書に「一定の延滞等で期限の利益を失い、一括請求・担保権実行の対象となる」旨の条項がある。

督促段階での放置は不利
– 住宅資金特別条項(民事再生法)
– 個人再生手続において住宅ローンを従来どおり支払い続けつつ、他の無担保債務の負担を軽減できる制度。

住宅維持を希望する場合の重要な選択肢
– 金融機関の返済条件変更への姿勢
– かつての中小企業金融円滑化法の趣旨や、金融庁の監督指針・事務ガイドラインにおける「債務者の実情に配慮した対応」要請の流れがあり、正当な理由と資料に基づく相談は検討対象になりやすい
– 団体信用生命保険
– 多くの住宅ローンで付保され、死亡・高度障害等の約款所定事由に該当すれば残債が弁済される。

告知義務や免責事由の確認が必要
– 任意売却の実務
– 競売より高値売却が見込めること、転居費用の配慮が得られることがあるなど実務上のメリットが認知されている一方、債権者の同意が必須

相談の具体的進め方(手順)

– 手順1 現状把握
– 全借入の残高・金利・毎月返済額・満期、家計の赤字額、延滞の有無を見える化
– 手順2 3つのシナリオを作る
– 現状維持、条件変更、売却/法的整理の各ケースで毎月資金繰り表を試算
– 手順3 必要書類を揃える
– 上記リストを参考に、金融機関が判断できるだけの客観資料を準備
– 手順4 優先順位と希望条件を明確に
– 住居は維持したいのか、家計の健全化を優先するのか、最長で何年なら支払えるか等
– 手順5 借入先に一次相談
– 電話→面談→書類提出→回答。

回答期限を確認し、口頭合意は必ず書面化
– 手順6 並行して専門家のセカンドオピニオン
– 弁護士・司法書士・FP・任意売却会社の無料相談を活用し、選択肢とリスクを比較
– 手順7 決めた方針の実行
– 新条件を着実に履行。

売却ならスケジュール管理、法的整理なら受任通知後の家計管理徹底

よくある注意点

– 連絡を避ける・無断放置が最悪の展開を招く(異動登録、期限の利益喪失、競売等)
– 口約束は危険。

合意事項・猶予は書面で確認
– 支払い優先順位の誤り(税金・社会保険料・家賃・光熱など生活基盤費は最優先)
– ヤミ金や過剰な成功報酬を謳う事業者に要注意。

弁護士・司法書士の登録確認と費用の明細を取得
– 連帯保証人・連帯債務者の同意を軽視しない(住宅や事業性融資で特に重要)

相談前チェックリスト(抜粋)

– 延滞が61日/3か月に達する前に連絡したか
– 契約書の「期限の利益喪失」条項を確認したか
– 団信・保険の該当可能性を確認したか
– 家計の赤字額と改善余地(固定費/変動費)を把握したか
– 他社借入を含めた債務一覧表を作成したか
– 希望する新返済額・期間・据置期間の試算をしたか
– 不動産や車の査定を複数取得したか(売却検討時)
– 信用情報の本人開示で登録状況を把握したか
– 専門家の無料相談を少なくとも1〜2件は受けたか
– 合意事項をすべて書面で保管しているか

参考・連絡先(キーワード)

– 個人信用情報機関 CIC/JICC/全国銀行個人信用情報センター(KSC)で「本人開示」
– 法テラス 無料法律相談・費用立替
– 金融庁 金融サービス利用者相談室
– 住宅金融支援機構 返済相談窓口(返済方法の変更)
– 地方自治体・社会福祉協議会 生活福祉資金、住宅確保給付金

結論として、最重要ポイントは「延滞や代位弁済に至る前に、資料を揃えて誠実に相談すること」です。

信用情報(延滞61日/3か月での異動登録)と契約上の期限の利益喪失条項が、対応可能な選択肢を大きく左右します。

住宅を残したい場合は民事再生の住宅資金特別条項、売却が避けられない場合は任意売却の早期着手など、それぞれに有効な手段があります。

上記の書類・準備と手順を踏まえ、借入先と専門家の双方に早期にアプローチすることを強くお勧めします。

【要約】
ローン残債は返済すべき総額。完済額は残元金に経過・未収利息、遅延損害金、各種手数料等を加えたもの。残高証明書は残元金で完済額とは別。完済予定日を指定し金融機関の見積を取得。利息は約款の計算法(例Actual/365)で日割り。住宅ローンは金利見直し等のルール確認。抵当権抹消費用は別途。遅延損害金には法定上限あり。

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