事故車の買取相場はいくらで、年式・走行距離・損傷部位・修復歴など何が価格を左右するのか?
結論の要点
– 事故車(修復歴あり・現状損傷あり)の買取相場は、同条件の無事故車相場(同年式・同走行距離・同グレード)の何割で売れるか、で見るのがもっとも実務的です。
目安は以下。
– 軽微損傷(外板・ボルトオン交換中心/骨格無傷) 無事故相場の70〜90%
– 中程度(ラジエータ支持部、足回り、コアサポート損傷など/骨格に限界摩耗なし) 無事故相場の40〜70%
– 重度(骨格修正=修復歴、ピラー・サイドメンバー・フロア、エアバッグ展開、複数箇所) 無事故相場の20〜50%
– 致命的(エンジン・ミッション破損、不動、水没・火災・浸水) 無事故相場の0〜30%(部品取り・スクラップが下支え)
– 価格を左右する主要因は、年式、走行距離、損傷部位と修復歴(骨格)、始動可否、エアバッグ展開の有無、人気・輸出需要、そして修理費見積と部品取り価値のバランスです。
事故車の定義と「修復歴」の扱い
– 日本の査定実務では、骨格(フレーム・サイドメンバー・ピラー・ダッシュ・フロア・ルーフなど)に損傷・修正があると「修復歴あり」となり、市場で明確に割安取引(オートオークション評価R等)になります。
フェンダーやドアなどボルトオン外板の交換・塗装だけでは通常「修復歴あり」になりません。
– 「事故現状車」は修理未実施の損傷車を指し、輸出・解体・修理再販の各ルートで評価されます。
相場の全体感(車型別の現金感覚)
– 軽自動車 数万円〜50万円台(人気・年式新しめ・走行浅いと上限伸びる)
– コンパクト 5万〜80万円台
– ミニバン・SUV 10万〜150万円台(ハイエース・ランドクルーザー系は損傷でも強い)
– 輸入・高級車 20万〜300万円(修理費が高く差は大きいが、部品価値・海外需要が下支え)
– 水没・火災・不動 数千円〜20数万円(スクラップ+一部部品価値が中心)
上記は無事故車の相場水準に強く連動するため、同一車種でも年式・走行・人気の上下で大きく変動します。
価格を左右する具体要因
1) 年式
– 新しいほど無事故相場が高く、修復歴による減額が絶対額でも大きくなります。
3年落ちでの修復歴は買い手(小売・輸出)の警戒が強く、割合減が大きくなりやすい。
10年落ち以降は無事故相場自体が低い分、割合減は大きくても絶対額差は小さくなる傾向。
2) 走行距離
– 低走行は事故でもプラス材料。
逆に10万km超は機関の部品取り価値はあるものの、再販修理ルートの魅力が落ちます。
輸出需要が強い車種(ハイエース、プロボックス、ランクル系など)は走行多でも評価が残りやすい。
3) 損傷部位と程度
– フロント中破(ラジエーター、コンデンサー、コアサポート、ライト、ボンネット) 基幹部品が多く修理費が嵩みやすく、無事故比40〜70%に落ちやすい。
– リア損傷 フロントより基幹機器が少ない分、同程度の外観でも影響はやや小さめ。
ただしフロアやバックパネルの歪みで骨格修正になると大幅減。
– サイド・ピラー・ルーフ 骨格修正になりやすく、減額が大きい(20〜50%ゾーン)。
– 足回り・サスペンション・アーム曲がり アライメントズレやハブ・サブフレームまで及ぶと修理費が跳ね上がる。
– エンジン・ミッション破損やHVシステム故障 始動不可・走行不可は大減額。
HV/EVのバッテリー損傷は極端に相場を下げます。
– エアバッグ展開 部品・作業費が高く、同条件で未展開車より10〜30万円程度(または5〜15%)の追加減額感。
– 水没(特に床上)・塩害 電装腐食リスクが高く、再販が難しいため部品取り・スクラップ寄り。
4) 修復歴の有無・箇所数
– 骨格修正1箇所と複数箇所では印象が大きく違う。
修正・交換・切継ぎの内容、修理品質の証跡(測定値、写真、見積書)で差も出ます。
5) 始動可否・自走可否
– 始動可・自走可は評価上重要。
積載車手配コストや検品難易度が下がり、買い手のリスクが減ります。
6) 市場要因
– 輸出需要(右ハンドル需要国、部品需要)、為替、鉄・非鉄スクラップ価格、触媒内貴金属相場(パラジウム等)、季節要因(4月新生活、冬の4WD需要)で変動します。
業者が使う算定ロジック(簡易的イメージ)
– 基本は「無事故車の想定小売・オークション相場」からスタートし、修理費とリスク、部品取りでの回収見込みを差し引きます。
概算式のイメージ
事故車買取価格 ≒ 無事故相場 × 減額係数 − 予想修理費・再商品化費 + 部品・素材回収価値 − 諸経費
– 減額係数は損傷部位と修復歴で大きく動きます。
再商品化費には輸送、保管、手数料、保証リスクなどが含まれます。
損傷別の相場感(無事故相場比)
– 外板小傷・軽板金塗装 80〜95%
– バンパー・ライト・フェンダーなどボルトオン交換 70〜90%
– ラジエータ支持部・コアサポート歪み(骨格非該当)・足回り曲がり小 50〜75%
– 骨格修正1箇所(ピラー・サイドメンバー・クロスメンバー等) 35〜60%
– エアバッグ展開あり 上記からさらに10〜30万円相当のマイナス
– エンジン・ミッション破損、不動 0〜40%
– 水没・火災 0〜30%(実質はスクラップ+一部再利用部品)
ケーススタディ(目安)
– 5年落ちハイブリッド(コンパクト〜ミドル)。
無事故相場150万円。
フロント中破・エアバッグ展開・ラジエータ・ライト損傷・骨格は軽微修正レベル。
修理費見積80万円。
→ 事故車買取は無事故相場の35〜55%、概ね50〜80万円での提示帯が現実的。
– 10年落ちコンパクト。
無事故相場40万円。
リア軽損(外板とバックドア交換、骨格無傷)、修理費20万円。
→ 無事故相場の50〜70%で20〜28万円程度。
– 12年落ち軽バン。
無事故相場55万円。
エンジン要OH(白煙)だが外観良好、輸出・部品需要強め。
→ 再販修理より部品取り前提で15〜30万円。
– 水没(床上)ミニバン、無事故相場120万円。
→ 電装・シート・ユニット一式の腐食リスクが大きく、部品取り・素材回収主体で5〜25万円。
根拠について(なぜその相場になるのか)
– 国内オートオークションの評価慣行では、骨格修正車は「R」評価等で明確に価格が下がります。
実務上、無事故同等車に対し2〜4割安(車種・年式で幅)での成約が多く、現状事故車はさらに下がります。
– 買取店・解体業者・輸出業者は、落札相場(USS、CAA、TAA、JUなどの統計・過去成約)、予想修理費(部品代・工賃・塗装・アライメント・安全装備再セットアップ)、物流・手数料、保証リスクを織り込みます。
修理再販が難しい車両は「部品取り」と「スクラップ原料」価値が下支えになります。
– 部品取り価値の中核は、エンジン・ミッション・足回り・内装電装・外装パネル・ライト類、触媒の貴金属、アルミホイール、ラジエータ、HV/EVバッテリー等。
鉄・非鉄相場は変動しますが、車体重量1〜1.5tの乗用車で原料価値が数万円前後を形成し、そこに人気部品の換金可能性が加算されます。
輸出向けは車種限定でさらに上乗せ(ハイエース、ランクル、プロボックス、アクア、プリウス等)。
– エアバッグ展開・骨格修正は安全性・保険・下取り再販での敬遠要素になり、小売価格にも反映されるため、買取段階で大きなディスカウント要因になります。
– HV/EVは高電圧系の診断・修理費が高く、ダメージ時の買い手リスクが高いため、損傷程度の割に減額が大きくなりがちです。
高く売るための実務的ポイント
– 複数社に同条件(写真、損傷説明、始動可否、鍵有無、書類、純正部品・スペアタイヤ・取扱説明書・記録簿)で同時見積りする。
出張査定や画像査定を併用。
– 事故状況・損傷箇所の正直な開示。
エアバッグ展開の有無、修理見積書・作業明細・修理写真があれば提示。
修理品質の裏付けは加点要素。
– 始動可能なら動作確認動画(メーター、アイドリング音、警告灯)を用意。
自走可否の明示で物流コスト評価が改善。
– 付属品・スペアキー・スタッドレス等は個別査定。
社外品は純正戻しのほうが有利な場合も。
– 書類(自賠責・リサイクル券・整備記録・取扱説明書)を揃える。
名義変更完了書面の確約を取る。
– 保険事故なら、修理せず現状売却と修理後売却の差額を比較。
評価損(格落ち)請求の可否は保険・事案によるため、保険会社や専門家に相談。
注意点
– 「廃車費用がかかる」と言って過剰請求する悪質業者に注意。
多くの事故車は部品・原料価値があるため、実質0円以上が普通です。
– 走行メーター改ざんや修復歴の隠蔽は法的リスク。
正確な申告が結果的に高値・トラブル回避につながります。
– 相場は為替・原料・季節・車種人気に連動し日々変動します。
提示は有効期限が短いのが一般的。
簡易チェックリスト(見積り前に)
– 鍵・書類・スペア・社外品の有無を整理
– 損傷箇所の写真(全景4面、損傷アップ、メーター、エンジンルーム、下回り)
– 始動・走行・警告灯状況を記録
– 修理見積書や診断結果があれば添付
– 陸送条件(自走可/不可、駐車環境)
まとめ
– 事故車の買取相場は「無事故相場 × 損傷・修復歴の減額係数」で大枠が決まります。
軽微なら70〜90%、骨格やエアバッグ展開を含むと20〜50%、不動や水没は0〜30%が目安です。
– 年式・走行・損傷部位・始動可否・輸出需要・部品取り価値が主要ドライバーで、根拠は国内オートオークションの落札慣行、修理費見積と再販リスク、部品・素材回収価値の足し引きにあります。
– 現実的な高値売却には、情報開示の精度を上げ、複数社競合と需要の強い販路(輸出・部品・修理再販)に届く業者を当てることが重要です。
もし具体的な車種・年式・走行・損傷内容(写真可)を教えていただければ、無事故相場の推定から買取目安レンジをより絞ってお伝えできます。
事故車・修復歴車・故障車の違いは何で、査定額にはどう影響するのか?
ご質問ありがとうございます。
中古車の「事故車」「修復歴車」「故障車」は、日常会話と業界での用語の使い方にズレがあり、この違いが査定額(買取相場)に直結します。
ここでは日本の査定・オークション実務で用いられる定義をベースに、査定への影響とその根拠をできるだけ具体的に解説します。
1) 用語の違い(業界標準に基づく整理)
– 事故車(一般用語)
多くの人が「交通事故に遭った車」を広く指す言葉として用います。
外板(バンパーやドア)だけを交換した軽微な事故も含めて「事故車」と呼ぶことがあります。
ただし中古車業界では、事故歴という言い方は基本的に「修復歴の有無」で線引きします。
そのため業者が「事故車」と表示する場合、実質的に「修復歴車(骨格部位に損傷・修復を伴う車)」を意味することが多いです。
修復歴車(業界の基準語)
交通事故や災害、過荷重などにより「骨格(フレーム)部位」に損傷が発生し、その修理(交換・修正・切継ぎ等)が行われた車。
骨格部位に該当するのは、概ね以下が代表例です。
フレーム/サイドメンバー、クロスメンバー、インサイドパネル(フロント・リア)、ピラー(A・B・C)、ダッシュパネル、ルーフパネル、ルームフロア/トランクフロア、バックパネル、ラジエータコアサポート など。
これらに溶接跡・歪み・切継ぎ・引き出し修正などが認められると「修復歴あり」となります。
一方で、ボルトオンで外せる外板(ボンネット、フェンダー、ドア、トランク、バンパー等)の交換や板金塗装のみで、骨格部位に損傷・修理がなければ「修復歴なし(無事故車)」と扱われます。
つまり「無事故車=一度も事故に遭っていない」ではなく、「骨格にダメージがない」という業界上の意味です。
故障車(メカ・電装の不具合)
衝突の有無に関わらず、エンジン・トランスミッション・ハイブリッド/EVバッテリー・ターボ・ステアリング・ブレーキ・電装系などの不具合により正常に動かない、または要修理の車。
骨格損傷がなくても、重大な不具合があると「故障車」扱いになります。
事故車・修復歴車と故障車は重なる場合もあります(事故で骨格も壊れ、かつメカも壊れている等)。
参考的な特殊カテゴリ
冠水車(浸水・水没)、火災歴車、エアバッグ展開車、盗難戻り車など。
これらは中古車表示基準やオークションの検査票で明記され、相場への影響が大きい項目です。
2) 査定額への影響(基本ロジック)
中古車の買取は、最終的に業者がどの市場(店頭販売・国内オークション・輸出・解体)で捌けるかに応じて「逆算」で決まります。
– 目安式 想定再販価格 −(修理費+輸送・手数料+在庫コスト+リスクプレミアム+利益)
修復歴は「需要縮小」と「リスク増」、故障は「修理費増」と「リスク増」をもたらすため、どちらも査定を押し下げます。
ただし影響の出方は異なります。
3) 修復歴車が価格に与える具体的影響
– 一般傾向(国産の大衆車クラスを想定)
無修復(骨格無傷)の同条件相場に対し、修復歴ありは概ね−10%〜−50%程度の下落幅が典型的です。
部位・修理の質・年式・走行・人気で大きく変動します。
– 部位別の影響イメージ(大きい順)
ルーフ・ピラー・フロア・サイドメンバー・ダッシュパネルなどキャビン剛性や直進性に関与が大きい箇所 減額大(−30%〜−60%に達することも)
フロント/リアのインサイドパネル・バックパネル・ラジエータコアサポート・クロスメンバー 中〜大(−20%〜−40%)
コアサポートやアッパータイサポートのみの軽微な修正(他骨格健全・走行安定性良好) 中(−10%〜−25%)
外板(フェンダー・ドア・ボンネット等)の交換や板金塗装のみ(骨格無傷) 修復歴扱いにならず、減額は小(0〜−5%程度)。
ただしエアバッグ展開や骨格に近い溶接痕などがあると評価は下がります。
– 車種・市場感応度
スポーツ/高性能車や高年式・高額帯ほど、修復歴による需要減と価格下落が大きくなりがちです。
一方で低年式・多走行・輸出需要のある大衆車などはダメージが相対的に小さくなる場合もあります。
– 修理品質と記録の影響
きちんとフレーム修正機で基準値まで戻し、四輪アライメントの数値・直進性・騒音振動が良好で、溶接の質や防錆処理も適切、さらに修理記録・写真・見積書が揃っていると、同じ修復歴でも買い手の安心感が増し、減額幅が狭まる傾向があります。
逆に粗い修理は目視・試乗でわかるため、下落幅が拡大します。
– エアバッグ展開
骨格無傷でもエアバッグ展開のみの履歴は嫌気され、−5%〜−20%程度の下落要因になりやすいです(部品代・作動履歴・安全面の不安が理由)。
4) 故障車が価格に与える具体的影響
– 算定の基本
無故障の相場から、修理に必要な実額(純正/優良社外/リビルト選択、工賃、診断費)と、見えない不具合に備えるリスク上乗せ、再販先の制約(店頭不可→業販・オークション・解体・輸出)を差し引きます。
– 症状別の目安イメージ
エンジン本体(焼き付き・圧縮抜け)やAT/ミッション本体不良 高額修理で大幅減(場合により−30%〜−70%)
ハイブリッドバッテリー・EV駆動バッテリー劣化 年式・SoH(健全性)次第で大幅減(−20%〜−60%)。
新品交換見積の提示は交渉上有利。
ターボ/燃料系/インジェクタ/高圧ポンプ/DPF詰まり 中〜大(−10%〜−40%)
冷却系・センサー・補機類など比較的軽微なもの 小〜中(−5%〜−20%)
走行不能・要レッカー 物流コストと保管リスクが加算され、さらに−数万円〜十数万円のマイナスが上乗せされやすい。
– 修理してから売るか、現状で売るか
「無故障相場 −(修理費+手間コスト+売却遅延の値下がり)−業者マージン」と、「現状売却価格」を比較して、差額が手間と時間に見合うかで判断します。
高額修理ほど現状売却が合理的になる場面が増えます。
5) 冠水車・火災車など特殊ダメージの影響
– 冠水/浸水(床上浸水・海水含む)
電装・ハーネス腐食や将来故障リスクが大きく、国内小売は極端に難しいため、−50%〜−90%の評価になりやすく、解体や特定の輸出先向けが主な出口になります。
– 火災歴
匂い・断熱材・配線ダメージが深刻で、冠水同様に大幅減です。
– 盗難戻り・改造過多
走行距離不明、車体番号改ざん痕、車検適合性の不安などがあると、相場は大きく毀損します。
6) 数値イメージ(簡易ケーススタディ)
– 無修復・無故障の想定相場が200万円の車種
修復歴(インサイドパネル修正+アライメント良好+記録あり) 約160〜180万円(−10%〜−20%)
修復歴(ピラー損傷・交換、走行安定性に不安) 約100〜140万円(−30%〜−50%)
故障(ATジャダー、修理見積40万円、再故障リスク10万円見込み、物流/手数料等10万円) 買取上限は約140万円前後
冠水(床上浸水の疑い、電装ダメージ) 輸出・解体前提で50〜80万円程度
上記はあくまで目安で、車種人気・グレード・色・季節・在庫状況・為替や輸出相場で容易に±10〜20%は変動します。
7) 価格下落を抑えるコツ(実務)
– 情報の透明化
修理見積書・納品書、修理前後の写真、四輪アライメントの測定結果、板金・溶接の工程説明、使用部品(新品・中古・リビルト)などの根拠資料を揃えると、買い手の不確実性が減り、減額幅が縮小します。
– 第三者鑑定の活用
AISやJAAAなど外部鑑定を経た車両は評価が安定しやすく、相見積もりで有利に働きます。
– 出口の最適化
輸出ニーズの強い車種・グレード・排気量帯では、修復歴や故障の影響が国内より軽くなることがあります。
輸出販路に強い買取店を選ぶのも有効です。
– 修理の要否を見極める
小修理で店頭品質に戻るなら修理後販売が有利ですが、大修理は現状売却のほうが手取りが多いことが多いです。
8) 根拠(基準・慣行の出どころ)
– 修復歴の定義と骨格部位
日本自動車査定協会(JAAI)の中古自動車査定基準、AIS(株式会社オートモビル・インスペクション・システム)の修復歴基準、日本自動車鑑定協会(JAAA)の鑑定基準、自動車公正取引協議会(中古車の表示に関する公正競争規約・同施行規則)などで、骨格部位の範囲と「修復歴」の成立条件(交換・修正・切継ぎ等)が明文化されています。
骨格に該当しない外板の交換・板金は「修復歴」に含めない取り扱いが明確です。
– オークション評価と価格形成
大手オートオークション(USS、TAA、JUなど)では検査票に「修復歴あり/なし」が明記され、評価点(例 R/RA/3/4など)と併せて売買されます。
R/RAは修復歴を含む場合に付与され、落札相場データは業者の買取逆算の最重要指標です。
このため、修復歴の有無が買取価格に強く反映されます。
– 減額のメカニズム
JAAIの減点法(査定減点)では骨格損傷・交換は大きな減点対象で、外板や軽微な傷は小さな減点に留まる仕組みです。
業者実務でも、部位別リスクと再販難度に応じたディスカウントを行う慣行があります。
– 故障車の評価式
修理見積の積上げと再発リスク、再販経費を控除して逆算するのが業者の一般的なスキームで、これは査定教本や業販現場での標準的な考え方です。
とくにパワートレーン・高電圧系(HV/EV)はコストとリスクが大きいため、控除が厚くなりがちです。
– 冠水・火災・エアバッグ
オークション検査基準や公正競争規約の表示事項で、冠水・火災・エアバッグ展開等は重要な告知対象です。
国内小売のしにくさから、実勢相場でも大きく値引かれます。
9) 注意点
– 「事故車」の言い方は店舗や広告でブレますが、売買価格を左右するのは最終的に「修復歴(骨格の有無)」です。
査定時は「骨格部位に手が入っているか」を確認してください。
– 相場は時期・為替・輸出需要・半導体供給・モデルチェンジ等で短期的に動きます。
最新のオークション相場や複数社査定での比較を推奨します。
– 記録や証跡がない場合、業者はリスクを見込んで安全側に値付けします。
写真や見積の有無で数万〜数十万円の差が出ることも珍しくありません。
まとめ
– 修復歴車=骨格に損傷・修理が入った車。
査定は大きく下がりやすく、部位・品質・車種で−10%〜−50%が目安。
– 事故車(一般語)は広義だが、業界では修復歴車とほぼ同義で使われることが多い。
外板交換のみは「修復歴なし」扱いが原則。
– 故障車はメカ・電装の不具合で、修理費とリスクを相場から控除して価格決定。
重大部位ほど減額が大きい。
– 冠水・火災・エアバッグ展開は相場への悪影響が大きい。
– 根拠はJAAI/AIS/JAAA/自動車公正取引協議会の基準と、USS等オークションの評価・実勢相場の慣行に基づくもの。
もしお持ちの車両について「部位」「修理内容」「見積書の有無」「症状」「年式/走行/グレード」を教えていただければ、より具体的な相場レンジと売り方の最適解を一緒に詰められます。
走行可否やエアバッグ展開・水没・フレーム損傷など状態別で相場はどれだけ変わるのか?
以下は、日本国内の事故車(損傷車・修復歴あり車・冠水車など)の買取相場が、走行可否・エアバッグ展開・水没・フレーム損傷といった状態によってどれくらい変わるのかを、実務的なロジックと業者オークションの慣行に基づいて整理したものです。
相場は車種・年式・距離・為替・鉄スクラップや触媒相場・輸出需要・季節・地域などで変動しますが、業界の一般的な目安と理由(根拠)を併記します。
基本の考え方(相場の作られ方)
– 事故車の再販ルートは大きく4つに分かれます。
1) 修理して国内再販(修復歴ありとして販売)
2) 現状(未修理)で業者オークションに出品
3) 部品取り(解体・リサイクルパーツ化)
4) 海外輸出(現状または簡易修理後)
– 買取店は「売却見込み価格(オークション相場や輸出FOB見込み、部品売上見込み)− 修理費 − 諸経費(陸送・保管・名義等)− マージン(5〜15%程度)− リスクバッファ(5〜10%程度)」で上限買取額を逆算します。
– このため、修理費が大きい・未知リスクが多い・搬出や手当が難しい状態ほど、買い取りは大きく下がります。
状態別の相場差(目安幅と理由)
以下の「無事故・同条件の一般中古車相場」を100とした時の、おおまかな到達水準(%)です。
実際の金額は「100」に相当するその車の素性(年式・グレード・距離・人気度)で大きく変わります。
A) 走行可能・軽損(外板やボルトオン部品中心、エアバッグ未展開、骨格無損傷)
– 到達水準の目安 85〜95%
– 理由 ボンネット/フェンダー/バンパー等の外装板金塗装は1パネル3〜6万円前後、バンパー交換2〜6万円程度が相場。
ラジエーターやヘッドライト類も中古・社外を使えば修理費は比較的コントロール可能。
未知リスクが少なく走行テストもできるため、減額は限定的。
B) 走行可能・修復歴あり(骨格部位の交換・修正済、直進走行その他に問題なし)
– 到達水準の目安 65〜85%
– 理由 業者オークションでは「修復歴あり」は同条件無事故比で15〜35%程度下がるのが一般的。
スポーツ/旧車/人気SUVでは落差が縮む(10〜25%程度)ケースもある一方、軽やコンパクトなどでは差が広がることも。
C) 走行不能・軽中度(冷却系漏れ、足回り曲がり等で自走不可だがエンジン/ミッション良好)
– 到達水準の目安 40〜60%
– 理由 レッカー費(地域で1.5〜5万円程度)、保管費、試走不可による未知リスク(駆動系・電装系の隠れ不具合)を織り込む。
足回り交換・ラジエーターサポート等で10〜40万円の修理費が入りやすい。
D) 走行不能・重度(骨格の大破、エンジン破損、前後大破など)
– 到達水準の目安 10〜30%(車種によっては部品・スクラップ価値ベース)
– 理由 国内再販を諦めて部品取り・輸出現状売りが中心。
価値の底は鉄スクラップ(1〜1.5トン × 3〜6万円/トン=3〜9万円程度、時期で大きく変動)、触媒(ガソリンで1〜10万円、車種で大差)、アルミホイールなどの素材価値。
人気商用(ハイエース)やランクル系は輸出需要で底が高め。
E) エアバッグ展開あり(SRS作動、ベルトプリテンショナー作動含む)
– 到達水準の目安 50〜80%(展開数・車種・年式次第)
– 理由 運転席・助手席エアバッグの新品部品は10〜30万円/個、助手席はダッシュ交換が絡み工賃も嵩む。
SRS ECU・配線・クロックスプリング・シートベルト(プリテンショナー)交換や診断作業まで含めると、2点展開で20〜60万円、4点展開だと50〜100万円規模になる例も。
修理費相当分+修復歴減価が二重で効くため、相場押し下げ要因が大きい。
F) 水没(冠水)車
– 床下冠水(フロア下まで) 到達水準の目安 60〜80%
– 床上冠水(フロア上、シート座面以上) 到達水準の目安 10〜40%
– 塩水冠水(海水) 到達水準の目安 5〜20%(部品取りが中心)
– 理由 国内オークションは冠水表記を厳格化しており、床上冠水は国内再販が極めて難しい。
ハーネス・コネクタ腐食、ECU・センサー類の長期不良、カビ・臭気対策など、潜在リスクが大きい。
EV/HVは高電圧系(バッテリー・インバータ)まで波及した可能性がある場合、さらに厳しく下がる。
淡水床下冠水はブレーキ・ベアリング・足回りの洗浄/交換等で済む場合もあり下げ幅が相対的に小さい。
G) フレーム(骨格)損傷の程度
– 交換・修正が「骨格部位(例 フロントサイドメンバー、インサイドパネル、ピラー、クロスメンバー、ダッシュ、ラジエータコアサポート、ルーフパネル等)」に及ぶと修復歴確定。
一般的な減価は無事故比15〜40%。
– 骨格修正の工賃・治具費用・計測費用は20〜80万円規模になりやすく、ここに外装・冷却・足回り・安全装備の費用が積み上がると、国内再販より部品・輸出が有利となる局面が増える。
車種・年式・需要要因での補正
– 輸出・商用で強い車種(ハイエース、ランクル、プロボックスなど)は事故でも底堅い。
SUV・ピックアップ・ミニバンの一部も同様。
– 高年式・低走行の人気グレードは「修るなら売れる」ため相対的に高め。
反対に低年式・多走行はもともと無事故相場が低く、事故の相対影響が縮みやすい。
– EV/HVは水没・高電圧系トラブルの不確実性が嫌われ、同程度の損傷でもガソリン車より下げ幅が大きくなる傾向。
簡易逆算の考え方(例)
– 無事故同等車の業者オークション落札見込み=150万円
– 状態 助手席エアバッグ展開、ラジエター・コアサポート損傷(骨格扱い)、走行可
– 予想修理費(中古パーツ併用) エアバッグ・ベルト・ECU関連35万円、冷却系+コアサポート交換・塗装25万円、合計60万円
– 修復歴減価(売り切り時) −20%(150→120万円)
– 陸送・出品・整備・諸経費 10万円
– マージン・リスク 10%
→ 仕入れ上限イメージ 120 − 60 − 10 − 12 ≒ 38万円前後(現状渡しでの業者視点)。
実際には車種人気やパーツ手当の当てがあればもう少し出せるなど、各社戦略で上下。
根拠・背景(相場感の出どころ)
– 業者オークションの評価基準 USS/TAA/HAA/JU等では「修復歴あり」の定義があり、骨格部位の交換・修正が該当。
修復歴ありは同条件の無事故に対し1〜4割程度安く推移するのが一般的な市場慣行。
– 鈑金塗装の工賃相場(一般的レンジ)
– 外板パネル板金塗装 1パネル3〜6万円、アルミや3コートパール等で上振れ
– バンパー交換・塗装 2〜6万円
– ラジエータコアサポート交換 10〜20万円(部品代含まず、車種で大幅差)
– サイドメンバー修正・骨格計測 20〜40万円以上
– エアバッグ関連費用(例)
– 運転席/助手席エアバッグ 1点あたり10〜30万円(新品)。
中古・リビルトで半額程度も、仕入可否や安全面の判断が必要
– SRS ECU 5〜10万円、シートベルト(プリテンショナー付)1本2〜6万円
– 交換・診断・内装脱着の工賃 5〜15万円
– 牽引・陸送・保管 レッカーは距離や難度で1.5〜5万円、屋内保管日額千円〜。
地方発・離島は高くなる。
– スクラップ・素材価値 鉄スクラップは時期で大きく変動(概ね3〜6万円/トン)。
触媒はガソリンで1〜10万円、車種により大差。
アルミホイールは1本0.5〜1万円程度のレンジも。
– 輸出需要 トヨタ系商用・SUVは事故でも買い手が付きやすい傾向。
為替(円安)時は海外需要が強くなり底上げ。
状態別まとめ(短縮版の感覚値)
– 走行可・軽損(骨格無/SRS未展開) 無事故比 5〜15%安
– 走行可・修復歴あり(骨格修理済) 無事故比 15〜35%安
– 走行不可・軽中度 無事故比 40〜60%安
– 走行不可・重度 無事故比 70〜90%安(10〜30%残る)
– エアバッグ展開 展開点数に応じて無事故比 20〜50%安+修復歴の減価
– 冠水(床下) 無事故比 20〜40%安、(床上) 無事故比 50〜90%安、塩水は部品取り水準
実務上のアドバイス
– 見積もり提示時に「走行可否」「エアバッグ展開の有無と点数」「骨格への波及の有無」「冠水ライン(床下/床上/塩水)」を正確に伝えるとブレが減り、高い即決が出やすい。
– 同一日・同条件で複数社に相見積もり。
輸出に強い業者、部品販路がある業者、鈑金工場併設の業者では評価が変わる。
– 修理して売るか現状で売るかは、修理費の見積精度と再販ルート(国内/輸出)の当て次第。
高年式・人気車で損傷軽微かつSRS未展開なら、軽修理後の方が有利な場面もある。
以上のように、事故車の買取相場は「修理費の絶対額」と「修復歴減価(または冠水減価)」、そして「走行可否による未知リスクと物流コスト」が三位一体で決まります。
特にエアバッグ展開、床上冠水、骨格損傷は相場を大きく押し下げる三大要因です。
一方で、輸出や部品販路の強い車種・業者に当たると、同じ状態でも査定差が出ます。
具体の車両情報(年式・距離・グレード・装備・損傷写真)があれば、より近いレンジでの目安金額も試算できます。
買取店・ディーラー下取り・廃車専門・輸出業者のどこに売ると有利で、相見積もりはどう取るべきか?
以下は、事故車(修復歴あり・現状事故・水没などを含む)の売却先ごとの有利不利、そして相見積もり(複数社査定)の取り方を、根拠とともに体系的にまとめたものです。
2000文字超で詳述します。
前提 事故車の「相場」はどう決まるか
– 評価の軸
– 走行可否(自走可/不動)
– 事故の程度(軽微な外板交換〜フレーム損傷・エアバッグ展開・冠水)
– 年式・走行距離・グレード・装備(ADAS、ナビ、タイヤなど)
– 車種ごとの希少性・人気(特にトヨタ系SUV/商用は強い)
– 販路(国内再販/国内オークション/輸出/解体部品/スクラップ)
– 為替・鉄スクラップ相場・季節要因(円安時は輸出強く、鉄相場高時は廃車価値が上がる)
– 相場の源泉
– 国内オートオークション(USS、JU、TAA等)の落札相場がベース。
修復歴や事故現状の評価点・減点が明確で、買取店はこれを逆算して提示。
– 輸出は仕向け国の需要と為替で決まり、輸出業者はその売値からコンテナ/船賃を引いて仕入れ上限を出す。
– 廃車は鉄・非鉄金属(ボディ鉄、アルミホイール、ラジエーター、触媒の貴金属、HV/EVバッテリー)と部品取りの売値が根拠。
どこに売ると有利か(4チャネル比較)
– 買取店(事故車対応可の一般中古車店や事故車専門買取)
– 長所 国内オークションに直接流せるため、走行可能で軽中度の修復歴車は高めが出やすい。
手続き・引取が迅速。
– 短所 重度損傷・不動は査定が厳しく、手数料やレッカー費用を差し引くケースも。
– 向く車 修復歴ありでも走行可・人気車・年式新しめ。
車検残ありはプラス。
– ディーラー下取り
– 長所 手続きが最も楽。
新車値引きと合わせた「総支払額」で最適化できる可能性がある。
事故歴開示や名義・残債処理が堅実。
– 短所 事故車へのリスク許容度が低く、単体の下取り額は低くなりがち。
重度損傷は「0円同然」提示も。
– 向く車 新車購入同時で、下取り額が値引きと抱合せで引き上がる場合。
メーカー系再販が効く人気モデルの軽微事故。
– 廃車専門(解体・資源リサイクル系)
– 長所 不動・冠水・フレーム大破などでも買い取り可。
鉄スクラップ相場や部品取りで下支え。
引取費込み提示が明確な業者も多い。
– 短所 走行可能な軽度事故車では買取店や輸出に比べ安くなりやすい。
– 向く車 不動・冠水・年式古め・過走行・再販困難。
触媒やアルミがあると加点余地。
– 輸出業者
– 長所 海外需要が強い車種(ハイエース、ランクル、プロボックス、アクア、プリウス、商用ディーゼル、ピックアップ等)は事故現状でも高値が出やすい。
円安局面は特に強気。
– 短所 仕向け国の規制や地政学で需給が変動(例 ロシア向け規制の影響等)。
欧州車や軽などは輸出先が限られる。
水没・電装ダメージは敬遠されやすい。
– 向く車 トヨタ系SUV/商用、ディーゼル、右ハンドルで海外人気の高い国産車。
走行可だとなお良い。
ケース別の大枠推奨
– 走行可能・軽中度の修復歴 まず買取店と輸出業者を競合させる。
人気車種や商用系なら輸出が優位になることが多い。
– 走行不可・大破・冠水 廃車専門と輸出業者(部品用途が強い業者)を当てる。
触媒の価値が高い場合があり、見積内訳を要確認。
– 新車乗換え前提 ディーラーで支払総額(値引き+下取り)を提示させ、外部買取の現金提示額と厳密に比較。
総支払額で高い方を選ぶ。
相見積もりの取り方(実践手順)
– 事前準備
– 必要書類の確認 車検証、リサイクル券、自賠責、整備記録、修理見積や事故見積(あれば)、スペアキー。
ローン残債・所有権留保の有無も確認。
– 車両情報パッケージを作成 年式、型式、グレード、走行距離、車検残、事故状況(部位、フレーム有無、エアバッグ展開有無、冠水の有無)、始動可否、警告灯、改造有無、装備、タイヤ溝、内外装の写真(全方向・車台番号刻印・メーター・損傷部位の近接・下回り)。
– 業者選定(計4〜6社)
– 事故車買取専門1〜2社、輸出強い業者1〜2社、廃車専門1社、地元の買取店1社、加えて購入予定ディーラーで下取り。
– 同条件・同情報で依頼
– 情報の出し分けはNG。
後出し減額(いわゆる二重査定)を防ぐため、最初から事故内容・修理見積・写真を完全開示。
– 日程と提示方式
– 可能なら同日内で「最終提示一発勝負」に近い形にし、他社提示を根拠に上げられるかを確認。
出張査定は同時間帯の「入札方式」も有効。
– オンライン査定は概算になりがちなので、現車確認後の確定価格と入金タイミングを書面化。
– 交渉・確認ポイント
– 表示価格の内訳 引取レッカー費、廃車手数料、名義変更・抹消費用が込みか。
還付金(自動車税月割、重量税・自賠責の車検残)を誰が受け取るか。
– 契約条項 二重査定の不可、キャンセル料、減額条件、入金タイミング(引取前/当日/後日)、不動車の積載条件、事故現状引渡の範囲。
– 手続き完了の証憑 抹消登録の控え(登録識別情報等通知書)、名義変更完了の確認書面、リサイクル法の引取証明など。
– 悪質業者の回避
– 古物商許可や自動車リサイクル法の許可を確認。
相場より突出して高い提示→後から難癖減額の典型に注意。
口コミ・会社所在地・固定電話・法人情報を確認。
相場感の目安(概算)
– 無事故相場がわかる場合(グーネット・カーセンサー相場は無事故前提が多い)
– 軽度修復歴(交換が外板中心、フレーム無、エアバッグ未展開) 無事故相場の50〜80%目安。
– 中度〜重度修復(骨格損傷修理歴・エアバッグ展開) 無事故相場の20〜50%。
– 現状不動・大破 無事故相場の10〜30%、もしくはスクラップ+部品価値ベース。
– スクラップベースの計算感覚
– 鉄スクラップ単価は市況連動(例 3〜5万円/トン台で変動)。
車重1.1〜1.5tで鉄だけで3〜7万円程度の原価。
– ここにアルミ(ホイールセットで1〜2万円前後)、触媒(車種により1〜10万円超)、ラジエーター、HV/EVバッテリー(数万円)などの部品価値が上乗せ。
– 一方でレッカー・解体・運搬コストが差し引かれる。
– 具体的なイメージ例
– 例1 2016年式アクア、走行9万km、フロント中破・自走可・エアバッグ未展開
– 無事故相場80〜100万円→事故車は40〜65万円レンジ。
輸出業者が強気なら上限寄り。
– 例2 2009年式セダン、走行12万km、不動・フレーム曲がり
– 無事故相場20〜30万円→スクラップ+部品で3〜10万円台が現実的。
触媒次第。
– 例3 ハイエースディーゼル、走行20万km、リア事故・自走可
– 輸出人気が強く、無事故相場の60〜80%で拾われやすい。
円安時はさらに上振れ。
根拠(なぜその差が出るのか)
– 買取店のロジック 国内オークション落札相場から逆算(落札予想−輸送費−諸経費−粗利)。
修復歴やエアバッグ展開は評価点が大幅に落ちるため、仕入れ上限も下がる。
– ディーラーのロジック 保証・再販リスクを極小化し、ほぼオークション出品。
自社基準(AIS/JAAI相当)で修復歴は厳格に減額。
新車販売の値引き原資との相殺で総額を調整。
– 廃車専門のロジック 鉄・非鉄・部品の市況に連動。
触媒の貴金属、アルミ単価、HV/EVバッテリーの再資源化価値が主要収益源。
運搬・解体コストが高い地域では下振れ。
– 輸出のロジック 為替(円安で仕入上限上昇)、仕向け国の法規・関税・排ガス規制、右ハンドル需要。
SUV/商用・耐久性の高いトヨタ系に超過需要。
事故の程度が軽ければ現地修理前提で高く買える。
– 市況タイミング 月末・四半期末は買取店の在庫回転目標で強気提示が出ることがある。
円安が進む局面は輸出業者が上げやすい。
鉄相場上昇局面は廃車値が上がる。
実務上の注意
– 事故歴の不告知はトラブルの元。
後から発覚で減額や契約解除条項に触れる。
最初に全開示。
– ローン残債・所有権留保がある場合は金融会社の承諾と書類手続きが必要。
任意保険の全損時は保険金と売却金の関係を整理。
– 抹消・名変完了の証憑は必ず受領。
解体抹消では重量税・自賠責の未経過分還付の扱いを確認(業者提示に含めるか自分で受け取るか)。
– 改造・社外パーツはプラスにもマイナスにもなる。
高価パーツは事前に純正戻しして別売の方が得な場合あり(ただし動かせない・工賃が高い場合は総合判断)。
– 水没車は電装腐食・臭気で国内再販は極めて厳しく、廃車専門か一部輸出部品ルートが中心。
引取条件(保管場所、積載方法、バッテリー状態)を明確に。
まとめのフロー
– まず自車の「走行可否」「事故程度」「車種の輸出適性」を自己判定。
– 広く4〜6社に同条件で情報開示し、同日相見積もり。
買取店×輸出×廃車×ディーラーを混ぜる。
– 表示額ではなく「総受取額」(諸費用・引取費・還付金・入金タイミング・減額条項)で比較。
– 新車購入が絡むなら、外部買取の現金額とディーラーの支払総額を並べて、総額で高い方を選ぶ。
– 円安・鉄相場・月末などの市況も味方にし、契約書で二重査定やキャンセル料の条件を必ず確認。
この手順で進めれば、事故車でも販路の強みを引き出しやすく、相場の上限に近い金額での売却が狙えます。
特に「輸出向き車種は輸出業者」「不動・冠水は廃車専門」「走行可で軽中度事故は買取店(+輸出と競合)」の原則を起点に、必ず複数社の同日相見積もりで最終決定するのが実務的に最も有利です。
高く売るための準備と交渉術、必要書類や手続き・減額トラブルを避けるポイントは何か?
事故車の買取相場を理解し、高く売るための実務ポイントと、トラブルを避けるための手当てをまとめました。
事故歴・修復歴の開示、書類の整備、売却先の選定と交渉の仕方で結果が大きく変わります。
以下を順にご覧ください。
まず押さえるべき基本(事故歴と修復歴、相場の考え方)
– 事故歴と修復歴の違い
– 事故歴 事故に遭った事実があること全般。
– 修復歴 ボディ骨格部位(メイン/サイドメンバー、ピラー、ダッシュパネル、フロア、ラジエータコアサポート等)に損傷・交換・修正がある車。
中古車業界ではこの「修復歴の有無」が相場を大きく左右します。
– 相場のざっくり感
– 同条件の無事故車を100とした場合、修復歴ありは約70〜50、骨格交換が重いと50〜30、エアバッグ展開や水没歴はさらに大きく下がり、部品取り・解体価値中心になることもあります。
– ただし、人気車(例 商用バン・SUV・ハイブリッド・軽バン)や輸出需要が強い車は、事故歴でも相対的に値崩れしにくい傾向があります。
高く売るための準備(コストをかけすぎないのがコツ)
– 情報を揃える
– 事故・修理の履歴(修理見積書・部品交換明細・写真)
– 整備記録簿(メンテナンスノート)、リコール対応履歴
– 現在の不具合のメモ(警告灯、異音、オイル滲み等)
– スペアキー、取説、ナビのコード、ドラレコのSD等の付属品
– 清掃と見栄えの底上げ
– 室内清掃・消臭・不要物撤去・洗車・タイヤの空気圧調整は費用対効果が高いです。
軽微なエクボや線キズの板金・塗装は、事故車では費用の割に伸びにくいので基本は不要。
– 直す/直さないの判断
– フレームやサスペンションなど高額修理は、売却前に直すほど損になりがち。
安全に走れる軽微な整備(バッテリー上がり、灯火球切れ等)は直しておくと査定がスムーズ。
– 社外パーツと純正戻し
– 車高調・過度なエアロ・違法改造はマイナス。
純正部品が手元にあれば戻す方が評価されやすい。
ナビ・ETC・ドラレコはそのままでも可、移設予定なら事前申告。
– 写真の撮り方(事前見積やオンライン査定で効く)
– 斜め前・後の全体、左右側面、メーター、車検証、損傷のアップ、下回り(サイドメンバー、フロアの波打ち)、タイヤ溝。
明るい屋外で影が被らないように。
– 売却タイミング
– 需要が高まりやすいのは年初〜春先、決算前(3月・9月)。
輸出相場は為替(円安)や海外需要の影響を受けやすく、円安時は事故車でも強含みになる傾向。
売却先の選び方と交渉術(相見積もりと条件の書面化が王道)
– 売却先の選び方
– 事故車専門の買取店/解体・部品業者 骨格ダメージや不動車でも前向き。
レッカーや解体・抹消まで一気通貫の強み。
– 一般の買取チェーン 状態が軽ければ競争力あり。
販路が広い店は修復歴でも売り切る力がある。
– 輸出業者 年式が古い商用・SUV・耐久で評価されやすい。
右ハンドル圏やアフリカ・アジア需要に合致すると高値。
– オークション代行 手数料が乗るが需要に直売できる。
最低落札価格の設定が肝。
– 相見積もりのコツ
– 3〜5社に同日(もしくは同時間帯)で査定予約。
後の業者ほど強気の提示が出やすい。
事前に同条件の情報(事故箇所・装備・付属品)を平等に伝える。
– 交渉の要点(価格以外も総額で見る)
– レッカー費無料、出張費無料、名義変更期限(通常2週間目安)、入金日(即日・翌営業日)、減額条件の限定、キャンセル規定、車税の月割精算の扱い等を「税込総額」で書面化。
– その場の即決を迫られても、他社の査定が出揃うまで保留が基本。
即決条件での上乗せ提示は、書面に残したうえで比較。
– 「他社は総額XX万円、引取費込み・減額なし条件。
御社はどこまで?」と、価格と条件の両軸で詰める。
– 保険金との関係(事故直後の注意)
– 相手方賠償や車両保険では「時価額−残存価値(サルベージバリュー)」で調整される慣行があります。
先に高く売ると残存価値が大きく見積もられ保険金が減ることも。
保険会社と残存価値の扱いを必ず確認してから売却先を決めると損しにくいです。
必要書類と手続き(普通車/軽で異なります)
– 共通で準備しておくと良いもの
– 自動車検査証(車検証、電子車検証でも可)
– 自賠責保険証明書
– リサイクル券(預託証明書)※預託が未了だと名義変更や解体で手間
– 取説・整備記録簿・スペアキー・付属品
– 普通車(小型・普通自動車)
– 実印と印鑑証明書(発行後3か月以内目安)
– 譲渡証明書・委任状(業者が様式を用意)
– 自動車税種別割の納付は滞納がないこと。
紙の納税証明は多くの地域で不要化が進むが、未納だと名義変更不可。
– ローン残債・所有権留保がある場合は、所有者(ディーラー・信販)の所有権解除書類が必要。
– 軽自動車
– 認印(実印不要)、自動車検査証記入申請書(業者が準備)
– 納税状況の確認。
自治体により証明書の扱いが異なることがあるため事前確認。
– 住所や氏名が車検証と違う場合
– 住民票、戸籍の附票(住所の履歴がつながるもの)、結婚等で改姓した場合は戸籍謄本の用意が有効。
– 名義人が亡くなっている場合 相続手続(遺産分割協議書、戸籍一式)が必要。
業者に事前相談。
– 抹消と税・自賠責
– 一時抹消・解体抹消を行うと、自動車税(普通車)は月割で還付(軽は制度なし)。
自賠責は残期間分の返戻金あり。
買取で名義変更のみのときは還付は出ないため、価格に織り込むよう交渉。
– 電子車検証への対応
– 2023年以降の電子車検証でも売買は可能。
ICチップの読み取りは業者側が対応。
所有者情報や記録等事前に確認し、住所相違があれば補完書類を準備。
減額トラブルを避けるポイント(契約前にすべて決める)
– 重要事項の事前開示
– 事故箇所・水没・冠水・塩害・エアバッグ展開・メーター交換・社外改造・告知済みの不具合は包み隠さず伝える。
故意の不告知は後日の「契約不適合」請求のリスク。
– 現車確認の同席と記録
– 査定時に立ち会い、損傷部位を査定票や写真で共有。
引取時の車両状態(外装、付属品、走行距離)を双方で撮影。
– 契約書の特約
– 減額条件を「限定列挙」して明文化(例 告知のない骨格損傷が新たに判明した場合に限る、など)。
「現状有姿」「契約不適合責任の免責(法の許す範囲で)」等の文言の意味を確認。
– 「クレームガード(引取後減額なし)特約」を用意する業者もあり。
その分の価格調整が入るため総合で判断。
– 引取後の再査定・キャンセル料
– 引取後に下回りに傷が…等を理由に減額を持ち出されやすい。
再査定の可否、範囲、キャンセル料の有無を事前に書面化。
– 入金と名義変更の確認
– 振込予定日、名義変更完了の証明(車検証コピーや抹消書類の写しの送付)を契約書に。
入金前の車両・書類一式の引き渡しはリスク大。
– 訪問買取とクーリングオフ
– 自動車は訪問購入のクーリングオフ制度の適用対象外です。
基本的に契約後の一方的な解除は困難。
だからこそ契約前の精査と特約が重要。
相場を左右する具体要因(例示)
– マイナスが大きい要因
– 骨格損傷・交換、足回り・フロアの歪み、ピラー損傷、エアバッグ・シートベルト作動、水没・冠水、電装系故障、EV/ハイブリッドの高電圧系損傷
– マイナスが比較的小さい要因
– 外板パネルの交換(骨格無傷)、ボルト外し跡のみ、軽微なコアサポート曲がりの修正痕(基準次第)、エアロ割れ等の外装のみ
– プラスに効く要因
– 低走行・ワンオーナー・整備記録完備、人気カラー、車検長め(自走可能車に限り)、人気グレード・特別仕様、輸出人気
– 市況
– 為替が円安=輸出強含みで事故車需要も底上げされやすい。
鉄スクラップ・部品相場も解体価格に影響。
半導体・新車供給の逼迫時期は中古相場が高止まりしやすい。
根拠(制度・業界基準・実務慣行)
– 修復歴の定義
– 中古車業界では日本自動車査定協会(JAAI)やAIS等の基準に準拠し、ボディ骨格部位への損傷・修正・交換がある車を修復歴車と定義。
査定・オークション評価はこの基準に沿って行われ、相場差が発生します。
– 法制度
– 自動車リサイクル法 リサイクル料金は車両に紐づき、抹消・解体時の手続に関与。
– 民法(2020年改正) 瑕疵担保責任は契約不適合責任に改組。
売主の告知義務や特約(現状有姿等)の有効性判断の枠組みがこれに基づく。
– 道路運送車両法・運輸支局実務 名義変更・抹消の必要書類(普通車の実印・印鑑証明、軽の認印など)が定められています。
– 地方税法 普通車の自動車税種別割の月割還付は抹消登録時に発生。
軽には月割還付制度なし。
– 特定商取引法(訪問購入) 自動車は適用除外でクーリングオフ対象外(消費者庁の整理)。
– 実務慣行・市場
– 任意保険・賠償実務では残存価値(サルベージ)を控除する慣行があり、事故直後の売却は保険会社との調整が必要。
– オークション(USS等)の走行距離管理・評価基準に基づき、事故歴の告知の有無で落札価格が大きく変動するため、買取店の提示額にも反映されます。
– 円安・輸出強含みの局面では、事故車や古年式でも海外需要で価格が底上げされる事例が増えます。
すぐ使えるチェックリスト
– 3〜5社に同条件で査定依頼(事故箇所を誠実に開示)
– 査定は同日アポ、価格は総額(引取・手数料込み)で比較
– 書類を事前準備(車検証・自賠責・リサイクル券・印鑑証明/実印・譲渡/委任状)
– 付属品・整備記録・スペアキー・リコール対応の有無を整理
– 契約書に「減額条件の限定」「入金日」「名義変更完了の報告」を明記
– 引取時の傷・付属品・走行距離を双方で撮影
– 保険金の残存価値の扱いを保険会社と事前確認
最後に
事故車は「情報の透明性」「複数社競合」「条件の書面化」で高く・安全に売れます。
修理してから売るより、現状を正確に伝えて専門販路を持つ業者に競わせるのが基本戦略です。
地域や時期、為替で相場が動くため、直近の見積を複数取り、総額での比較・交渉を徹底してください。
最新の必要書類や手続は、所管の運輸支局や売却先業者にも事前確認すると確実です。
【要約】
事故車の買取は、同条件の無事故相場に対する割合で把握。軽微70〜90%、中程度40〜70%、重度20〜50%、致命0〜30%。価格は年式・走行・損傷部位と修復歴(骨格)・始動可否・エアバッグ・人気/輸出・修理費と部品価値で決まる。骨格損傷が修復歴。算定は無事故相場から修理費・リスクを控除。車型や輸出需要で同損傷でも差が出る。