コラム

廃車・抹消登録の徹底ガイド 重量税還付とリサイクル料金の扱い、必要書類・手続き、ディーラー/解体/自分での費用比較

廃車と抹消登録(一次抹消・永久抹消)の違いは何で、どちらを選ぶべきか?

ご質問の「廃車」「抹消登録(一時抹消・永久抹消)」の違いと選び方、さらに重量税の還付やリサイクル料金との関係を、根拠も交えて整理してお答えします。

なお、一般に「一次抹消」と表記されることがありますが、正しい用語は「一時抹消登録」です。

用語の整理(何がどう違うか)

– 廃車
日常語で「もう乗らない車を手放す」全般を指します。

法令上の手続名ではなく、具体的には次のいずれか(または組合せ)を行います。

1) 解体(実物として車をバラす)と
2) 登録の抹消(自動車登録情報を消す)
– 抹消登録
道路運送車両法に基づく登録手続です。

主に以下の種類があります。

1) 一時抹消登録(正式名称 一時抹消登録)
車は物理的に残すが「公道に出ない」状態にするため登録を止める手続。

ナンバー返納、車検切れ扱い、再度乗る時は「中古新規登録」で復活可能。

輸出予定車は「輸出抹消仮登録」という一時抹消の一種を使います。

2) 永久抹消登録
解体済み(解体報告記録がシステムに登録済み)であることを前提に、登録を完全に消す手続。

再登録は不可。

軽自動車は「解体返納」という名称で同等の手続きを行います。

– 輸出抹消仮登録
一時抹消の特例で、車を海外に出す前提で登録を止める手続。

日本国内での重量税還付の対象には原則なりません(解体ではないため)。

一時抹消と永久抹消の実務上の違い(簡潔対比)

– 再登録の可否
一時抹消 可能(中古新規)
永久抹消 不可(軽は解体返納も不可)
– 車の現物
一時抹消 残る(保管・輸出・後日販売も可)
永久抹消 解体済みで現物が復活しない
– 自動車重量税の還付
一時抹消のみ 還付なし
永久抹消(=解体+抹消)、軽の解体返納 車検有効期間が残っていれば月割で還付対象
– 自動車税(種別割)の課税・還付(普通車)
一時抹消・永久抹消いずれも、抹消の翌月分以降が月割で還付(都道府県税。

申告・口座情報が必要)。

軽自動車の種別割は原則として月割還付なし(翌年度以降の課税が止まるのみ)
– 自賠責保険
一時抹消・永久抹消とも未経過分の解約返戻可(加入会社へ)
– リサイクル料金
国内解体(永久抹消・解体返納) 預託済料金を解体事業者等が使用。

オーナーへの返金はなし
輸出抹消仮登録 日本のリサイクル制度を使わないので「再資源化等料金」の還付申請が可能(申請期限あり)

どちらを選ぶべきか(用途別の考え方)

– もう乗らない・国内で解体処分する
永久抹消(軽は解体返納)を選ぶのが基本。

要件を満たせば自動車重量税の還付が受けられます。

車検が十分残っている場合ほど還付額が出ます。

– 一時的に乗らない・長期保管したい・後日売却や再使用の可能性がある
一時抹消を選ぶ。

毎年の自動車税課税を止められ、必要になったら中古新規で復活できます。

自賠責も未経過返戻可。

– 海外に輸出する(国内で解体しない)
輸出抹消仮登録(一時抹消の一種)を選ぶ。

重量税の還付は原則受けられませんが、預託済みのリサイクル料金のうち「再資源化等料金」の還付申請ができます。

輸出額や車検残による重量税還付見込みの有無を比較して意思決定すると良いでしょう。

– 盗難等、車が手元にない
永久抹消は解体が前提のため原則できません。

一時抹消で課税停止とし、後日発見・処分の状況に応じて対応します。

– できるだけ早く自動車税の月割還付を増やしたい(普通車)
一時抹消を先に行うと、その月のうちに課税停止が可能です。

後日解体が完了したら永久抹消へ進む流れにすると、自動車税の還付月数を確保しやすい実務メリットがあります。

重量税の還付は解体+永久抹消で申請します。

重量税の還付制度(ポイント)

– 対象
登録自動車と軽自動車のいずれも、国内で解体し、永久抹消(軽は解体返納)を行った場合に対象。

単なる一時抹消や輸出抹消だけでは対象外。

– 要件の目安
車検の有効期間が一定以上残っていること(一般に1カ月以上残が目安)。

還付は月割計算で、端数は切捨て。

– 概算イメージ
還付額=(車検期間に対して前納した重量税額 ÷ 当該期間の月数)× 残月数。

例えば24カ月分を前納していて、10カ月残なら約10/24分が目安。

– 申請先・方法
永久抹消(解体返納)と同時に運輸支局(登録自動車)または軽自動車検査協会(軽)で「自動車重量税還付申請」を行います。

後日、振替払出証書の郵送等で受領するのが一般的です。

– 併せて手続きするもの
自動車税(種別割)の還付は都道府県税の手続(管轄の運輸支局に設置の税窓口や別途申告)です。

自賠責の返戻は加入保険会社へ。

リサイクル料金の扱い

– 国内解体の場合
新車・中古購入時に預託したリサイクル料金は、解体・エアバッグ類処理・情報管理に充当され、原則として所有者に返金はありません。

解体業者への追加支払いも通常不要です(特別作業が必要な場合を除く)。

– 輸出する場合(輸出抹消仮登録)
日本のリサイクル制度を利用しないため、「再資源化等料金」部分の還付申請が可能です。

自動車リサイクルシステム(JARC)の還付窓口で、輸出抹消の情報等を基に申請します。

申請には期限があり(おおむね2年程度が目安)、資金管理・情報管理料金等は還付対象外です。

手続きの流れと必要書類(概要)

– 一時抹消
場所 運輸支局(登録自動車)、軽自動車検査協会(軽)
主な書類 車検証、ナンバープレート、本人確認書類、所有者の委任状(代理申請時)、印鑑関連、手数料納付書等。

手数料は数百円規模。

– 永久抹消(登録自動車)
先に解体業者で解体→解体報告記録がシステムに登録→運輸支局で永久抹消申請と重量税還付申請。

必要書類は車検証、ナンバー、リサイクル券(預託確認)、解体報告の到達確認がとれるもの、本人確認書類、委任状等。

– 解体返納(軽自動車)
解体→軽自動車検査協会で解体返納と重量税還付申請。

必要書類は上記同様の趣旨。

– 税金・保険
自動車税(種別割)還付の申告・口座情報の提出、自賠責の解約返戻手続も忘れずに。

よくある注意点

– ローン残債や所有権留保がある車
所有者が販売会社等になっている場合、抹消には所有者の承諾・書類(委任状等)が必要です。

事前に所有権解除の段取りを。

– 抹消のタイミング
自動車税(普通車)の月割還付は抹消の翌月分からなので、月末ギリギリより月初に抹消すると1カ月分多くなることがあります。

重量税は車検残の月数が基準です。

– 輸出と還付のトレードオフ
輸出は重量税の還付対象外ですがリサイクル料金の還付対象。

国内解体は逆。

この差と買取価格を含め総額で判断を。

– 事故・水没等で走行不能
走れなくても、一時抹消は可能。

重量税の還付を得たい場合は解体+永久抹消(解体返納)まで進める必要があります。

根拠・参照できる公的情報

– 道路運送車両法および同施行規則
登録・抹消(永久・一時・輸出抹消仮登録)に関する根拠規定。

運輸支局・軽自動車検査協会の各手続要領もこれに基づく。

– 自動車重量税法
解体に伴う自動車重量税の還付制度の根拠。

国土交通省の案内「廃車にした場合の自動車重量税の還付制度」にも実務要件・計算方法の解説があります。

– 地方税法
自動車税(種別割)の月割還付(普通車)の根拠。

各都道府県税事務所の案内に具体的な手続が掲載。

– 使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)
リサイクル料金の預託・解体・輸出時の還付の枠組みの根拠。

自動車リサイクルシステム(JARC)の公式サイトで手続詳細が公開。

– 参照先の例
国土交通省「自動車登録手続のご案内」「廃車時の自動車重量税の還付制度」
軽自動車検査協会「各種手続(解体返納・一時抹消等)」
自動車リサイクルシステム(JARC)「リサイクル料金の還付(輸出時)」
各都道府県税事務所「自動車税(種別割)の抹消時還付」

まとめ
– 廃車は俗称で、法的には解体と抹消登録の組合せです。

– 一時抹消は「車は残す・登録だけ止める」。

再登録可、重量税還付なし、普通車は自動車税の月割還付あり。

– 永久抹消(軽は解体返納)は「解体済み」。

再登録不可、重量税還付の対象、普通車は自動車税の月割還付あり。

– 輸出するなら輸出抹消仮登録。

重量税還付は原則不可だがリサイクル料金の還付申請が可能。

– どちらを選ぶかは「今後また乗る可能性」「国内解体か輸出か」「税・保険・リサイクル料金の還付の有無」の3点で判断します。

個々の要件や必要書類は名義(所有権留保の有無)や地域で細部が異なる場合があります。

最新の手続は最寄りの運輸支局・軽自動車検査協会、都道府県税事務所、国土交通省・JARCの公式案内でご確認ください。

自動車重量税の還付はいつ・誰が・どのくらい受け取れるのか?

以下は、自動車の廃車・抹消登録に伴う「自動車重量税の還付」について、いつ・誰が・どのくらい受け取れるのか、そして根拠や実務上の注意点までを体系的にまとめた解説です。

あわせて混同しやすい「自動車税種別割(都道府県税)」「自賠責保険」「リサイクル料金」との違いも補足します。

そもそも自動車重量税とは

– 国税(所管は国土交通省・財務省)で、原則として新規登録時や継続検査(車検)のときに、車両重量・用途・経過年数などに応じて一定期間分(多くは24か月)の税額を前払いする仕組みです。

– したがって、車検有効期間の途中で使用をやめて「解体」または「輸出」する場合、前払いした期間のうち未経過分については一定の条件で還付されます。

還付の対象になるケース(要点)

– 以下のいずれかを、車検有効期間の途中で行った場合に対象となります。

– 永久抹消登録(解体を伴う廃車)
– 輸出抹消仮登録(実際に輸出されることが前提)
– 一時抹消登録(解体を伴わない保管・ナンバー返納のみ)だけでは重量税の還付は受けられません。

– 車検の有効期間がすでに切れている車両は、未経過期間がないため還付対象外です。

– 二輪車のうち、250cc超(いわゆる小型二輪で車検があるもの)は対象になり得ますが、250cc以下(軽二輪)は車検制度がなく、重量税は新規登録時にのみ納付するため、原則として未経過期間の概念がなく還付対象になりません。

– 軽自動車(四輪)も、車検があるため、上記と同様に還付対象となり得ます。

いつ受け取れるのか(時期)

– 実務上は、運輸支局等で永久抹消登録や輸出抹消仮登録の申請をする際に、「自動車重量税還付申請書」を同時に提出します。

– 申請後、審査・処理を経て、指定口座に振込で還付されます。

目安はおおむね1〜3か月程度ですが、時期や事務状況により前後します。

– 輸出抹消仮登録の場合は、実際に輸出事実が確認(一定期間内)されることが前提です。

輸出が成立しなかった場合は還付にならないか、還付手続が無効・返納となることがあります。

誰が受け取れるのか(受給者)

– 原則として、抹消登録の申請者(最終の所有者)名義の口座に還付されます。

実務では、抹消登録と同時に提出する還付申請書に受取口座を記載します。

– 所有権留保(ローンや割賦で所有者が販売会社・信販会社になっている)車両は、抹消登録自体に所有者の承諾・書類が必要です。

還付金の受取人も原則は所有者側の指定となりますが、実務では所有者・使用者間の取り決めや委任に基づいて使用者側の口座を指定することもあります。

事前にローン会社・販売会社と取り扱いを確認してください。

– リース車の場合は、リース会社が所有者であるため、通常はリース会社が受給者です。

利用者に還付が渡るかは契約次第です。

– 代行業者(解体業者・買取業者・ディーラー等)を介する場合、還付の申請自体は無料ですが、代行手数料を差し引く慣行がある会社もあります。

受取額・振込主体・名義・手数料の有無は事前に書面で確認しましょう。

どのくらい受け取れるのか(計算方法)

– 基本式(概念)
– 還付額 = 納付した自動車重量税額 ×(未経過月数 ÷ 車検有効期間の合計月数)
– 未経過月数は、抹消した翌月から車検有効期間満了月までの月数を月単位で数え、端数は切り捨て(1か月未満は0)になります。

– 実際に還付の基礎となる税率は「直近の検査(または新規登録)時に実際に納付した税額」です。

エコカー減税・グリーン化特例の適用や、初度登録からの経過年数(13年超・18年超等)により税額が異なるため、同一車種でも還付額は個別に異なります。

– 具体例
– 例1 自家用乗用1.5t、24か月車検で、直近の重量税納付額が24,600円。

12か月残して永久抹消した場合
– 還付額 ≒ 24,600円 ×(12/24)= 12,300円
– 例2 同車両で、10か月と20日残して抹消
– 未経過月数は10か月(20日は切り捨て)なので、24,600円 ×(10/24)= 約10,250円
– 注意
– 未経過が0〜1か月未満の場合は切り捨てにより還付がゼロになることがあります。

– 法改正・特例の適用により実額は異なります。

正確な金額は運輸支局の窓口やディーラーでシミュレーション可能です。

手続きの流れ・必要書類(典型例 解体の場合)

– 流れ(概略)
1) 解体業者へ引渡し・解体
2) 自動車リサイクルシステムへ解体報告記録が入力される
3) 運輸支局で永久抹消登録の申請
4) 同時に自動車重量税の還付申請
5) 審査後、指定口座に入金
– 必要書類(一般例)
– 車検証
– ナンバープレート(前後2枚)
– 所有者の本人確認書類・印鑑(法人なら代表者印等)
– 委任状(代行する場合)
– 解体報告記録の確認ができること(リサイクルシステム上で紐づく)
– 自動車重量税還付申請書(口座情報・受取人情報を記載)
– 所有権留保がある場合は所有者の承諾書・譲渡書類等
– 費用
– 抹消登録の手数料(手数料印紙)は必要ですが、重量税の還付申請そのものに国への手数料は通常ありません。

代行業者に依頼すると別途代行料がかかる場合があります。

– 期限
– 実務上は抹消手続と同時に還付申請を行います。

後日申請は原則できない(または制約が大きい)ため、抹消時に必ず申請してください。

還付されない主なケース・注意点

– 車検の有効期間が切れている(未経過期間がない)
– 一時抹消のみ(解体または輸出を伴わない)
– 未経過期間が1か月未満(端数切り捨てで実質0)
– 申請手続きを忘れた・不備がある
– 輸出抹消仮登録後、所定期間内に輸出が成立しなかった
– 振込名義や口座の相違、書類不備により支払いが遅延・不成立となることがある

「自動車税種別割」「自賠責」「リサイクル料金」との違い

– 自動車税種別割(都道府県税)
– 毎年4月1日の所有者に年税として課税。

抹消や移転で月割の還付(「月割還付」)を受けられます。

手続は都道府県の税事務所。

重量税とは別ルート。

– 自賠責保険(強制保険)
– 解約により未経過期間分の「解約返戻金」が保険会社から返金されます。

これは税ではなく保険料の返戻です。

– リサイクル料金(自動車リサイクル法)
– 購入時や車検時に預託(JARCで管理)し、解体時に再資源化・フロン回収・エアバッグ類処理等の実費に充当されます。

原則として「返金されるお金ではない」と考えてください(資金管理料金・情報管理料金等も返還されません)。

一部、制度上の過不足調整が入ることはありますが、ユーザーが自由に受け取る類の返金ではありません。

法的根拠(概要)

– 自動車重量税の課税・納付・還付の根拠は「自動車重量税法」および「自動車重量税法施行令・施行規則」にあります。

還付の要件(解体または輸出により有効期間の中途で使用をやめた場合に、未経過期間相当額を月割で返還する趣旨)や申請・手続の詳細は、同法令と国土交通省の告示・通達等により定められています。

– 実務の具体は、国土交通省(運輸支局)、独立行政法人自動車技術総合機構、一般社団法人自動車登録情報協会(AIRIA)等の公的解説に沿って運用されています。

– 条文番号や様式は改正されることがあるため、最新の「国土交通省 自動車重量税の還付制度の案内」「運輸支局の申請書様式の手引き」等を確認してください。

よくある質問と補足

– Q 還付金に利息(還付加算金)はつきますか?

– A 一般的な重量税還付は、過誤納の還付とは異なり利息はつきません。

– Q 2〜3週間で入金されると聞きましたが?

– A 地域・時期・申請内容・不備の有無で大きく変わります。

1〜3か月程度を見込むのが無難です。

– Q 還付金は代行業者に渡るのですか?

– A 原則は申請書で指定した受取口座に国から直接振り込まれます。

業者経由の場合でも、誰の口座に入るのか、手数料差引があるかを事前合意・書面化しておくと安心です。

– Q 輸出抹消仮登録をしたが、事情で輸出できなくなった場合は?

– A 還付の前提が崩れるため、輸出抹消仮登録の取消・登録のやり直し等が必要になる場合があります。

速やかに運輸支局へ相談してください。

– Q 13年超・18年超などで重量税が高くなっていた場合の還付は?

– A あくまで「実際に納付した額」をベースに未経過分を按分します。

税率区分は還付額の基礎額にすでに織り込まれています。

実務のまとめ(ポイントだけ再掲)
– 還付の条件 解体の永久抹消または輸出抹消仮登録を、車検の有効期間内に行うこと
– 受取人 原則、抹消申請者(最終所有者)。

所有権留保・リースは契約・委任に注意
– 還付額 納付額を月割で未経過月数分。

1か月未満は切り捨て
– 申請時期 抹消と同時に「重量税還付申請書」を提出(後出しは不可・困難)
– 入金時期 目安1〜3か月。

口座名義・番号の相違に注意
– 混同注意 自動車税種別割・自賠責・リサイクル料金は別物、別手続

最後に
– 制度・様式・必要書類・期限等は改正されることがあります。

実際に手続きを行う前に、最寄りの運輸支局(または自動車整備・登録の専門業者)、国土交通省の最新の案内ページで最新情報を確認してください。

特に所有権留保やリース車は、還付の受取人・口座指定についてトラブルになりやすいので、事前の合意形成と書類準備が重要です。

還付を受けるための必要書類と手続きの流れは何か?

ご質問の趣旨に沿い、「廃車・抹消登録に伴う自動車重量税の還付」と「自動車リサイクル料金の還付」について、必要書類と手続きの流れ、そして根拠(法令・公的ガイダンス)をまとめて詳述します。

実務でよく混同される点(抹消の種類、還付の対象外ケース、期限など)も併せて整理します。

全体像の要点

– 自動車重量税の還付(いわゆる廃車還付)
– 対象になるのは「解体(スクラップ)を完了し、解体届出(永久抹消登録)をした場合」で、かつ車検の有効期間が残っているときに限られます。

– 輸出抹消仮登録(中古車として輸出)のみでは重量税の還付は受けられません(解体していないため)。

– 自動車リサイクル料金の還付
– 原則として解体した場合は還付なし(預託金は国内でのリサイクル処理に充当されるため)。

– ただし、中古車として輸出した場合は「輸出還付」を申請できる可能性があります。

– 抹消登録の種類
– 永久抹消(解体届出) 解体を完了して車として存在しない状態にする。

重量税還付の対象。

– 一時抹消 一時的にナンバーを外して運行を止めるだけ。

重量税還付の対象ではない(後日解体届出をすれば対象になりうるが、その時点の残存期間で計算)。

– 輸出抹消仮登録 輸出予定のために国内登録を抹消。

重量税の還付は対象外だが、リサイクル料金の輸出還付の対象になりうる。

自動車重量税の還付(廃車還付)
2-1. 還付されるケースとされないケース

– 還付される主なケース
– 車検有効期間が残っているうちに、解体を完了し、運輸支局等で「解体届出(永久抹消)」を行った場合。

– 一時抹消中の車を解体して解体届出した場合も、届出時点で車検残存期間があればその残月数に応じて還付。

– 還付されない主なケース
– 輸出抹消仮登録のみ(中古輸出)。

解体していないため対象外。

– 盗難や滅失で車が所在不明のまま抹消した場合(解体実績がない)。

– 車検がすでに満了している場合(残存期間がゼロ)。

– 申請期限を徒過した場合(実務上、原則として国税通則法に基づく5年の時効に注意。

実務では抹消と同時申請が標準)。

2-2. 必要書類(普通車と軽自動車)
– 普通自動車(小型・普通)の解体届出+重量税還付
– 自動車検査証(車検証)原本
– ナンバープレート(前後2枚)
– 解体を証する情報・書面(解体業者が交付する解体証明等。

実務上は「移動報告番号・解体報告記録日」が必要)
– 抹消登録申請書および解体届出書(運輸支局窓口のOCR用紙。

オンラインOSSでも可)
– 自動車重量税還付申請書(窓口で入手)
– 所有者の実印および印鑑証明書(発行後3カ月以内が目安)
– 代理人が申請する場合は委任状(所有者実印押印)と代理人本人確認書類
– 申請者の本人確認書類(運転免許証等)
– 還付金の振込先口座情報(通帳等)
– 所有権留保の場合 所有者(信販会社・販売会社など)の委任状・印鑑証明書が必要
– 手数料印紙(抹消登録の種別により必要額。

解体届出自体は無料、関連抹消で印紙が必要になる場合あり)
– 軽自動車(軽自動車検査協会で手続)
– 車検証
– ナンバープレート
– 解体証明(移動報告番号・解体報告記録日)
– 申請依頼書(軽自動車検査協会の様式)
– 使用者の認印(実印不要)、本人確認書類
– 自動車重量税還付申請書
– 振込先口座情報
– 所有権留保の場合の承諾書・委任状等

補足
– 自賠責保険は別手続で解約返戻金の対象になり得ます(保険会社に連絡)。

– マイナンバーの記載が求められる場合があります(地域運用に差があるため窓口案内に従ってください)。

2-3. 手続きの流れ(標準的な時系列)
– ステップ1 解体業者へ車両を引き渡し
– フロン類回収、エアバッグ類の処理、解体。

業者から「解体に関する報告(移動報告番号・解体報告記録日)」を受領。

– ステップ2 運輸支局(軽は軽自動車検査協会)で解体届出(永久抹消)
– 上記の必要書類をそろえて窓口に提出。

ナンバープレート返納。

– ステップ3 自動車重量税の還付申請
– 解体届出と同時に還付申請書を提出。

振込先口座を指定。

– ステップ4 審査・振込
– 還付金は後日、指定口座に振り込まれます(目安1〜2カ月程度。

繁忙期や不備があると長期化)。

2-4. 還付額の考え方
– 基本式 納付済み重量税額 × 残存月数 ÷ 車検有効期間(24カ月や36カ月など)
– 端数処理 1カ月未満は切り捨てが原則。

– 例 24カ月分を納付し、解体届出時点で8カ月残→納付額の24分の8が還付目安。

– 車種・重量・エコカー減税や重課の有無により納付額は異なりますが、還付はあくまで納付額ベースの月割りです。

2-5. 期限と注意点
– 還付申請は解体届出と同時が原則。

後日でも可能な場合がありますが、国税の還付請求権には時効(原則5年)があるため、速やかな申請が安全です。

– 一時抹消のまま長期間放置すると、車検残存期間が減って還付額が目減りします。

解体の意思が固いなら速やかに解体届出まで行うのが得策。

– 名義人以外が申請する際は委任状等の権限証明が必須。

– 盗難や輸出の場合は重量税還付の対象外です。

自動車リサイクル料金の還付
3-1. 原則

– リサイクル料金は国内での適正処理のための「前払金」。

解体(国内でリサイクル実施)した場合は、その費用に充当されるため原則還付はありません。

3-2. 輸出還付(中古車として輸出する場合)
– 還付されるケース
– 輸出抹消仮登録を行い、実際に車両を海外へ輸出し、国内でリサイクルが行われない場合。

– 必要書類(資金管理法人[自動車リサイクル促進センター(JARC)]への申請)
– 還付申請書(JARCの様式。

オンライン申請可のことが多い)
– 輸出を証する書類(税関の輸出許可通知書、船荷証券B/L、インボイス等)
– 輸出抹消仮登録に関する書類(登録識別情報等通知書の写し等)
– リサイクル料金の預託記録が分かるもの(預託証明書=いわゆるリサイクル券、または車台番号による預託記録)
– 還付先口座情報、申請者の本人確認書類
– 名義が異なる場合の委任状等
– 手続きの流れ
– ステップ1 運輸支局で輸出抹消仮登録(ナンバー返納)
– ステップ2 税関を通して実際に輸出(船積み)
– ステップ3 JARCに輸出還付を申請(必要書類を添付)
– ステップ4 審査・還付(目安1〜3カ月)
– 期限
– 申請期限はJARCの定める期間内(実務では期限が設けられています)。

最新のJARC案内に従ってください。

一般に長期放置は不可です。

– 還付額
– 預託額から所定の手数料が差し引かれるのが通常です。

車種や預託方式(エアバッグ類の後払い方式等)の違いで額が変わることがあります。

3-3. 二重預託や誤払の還付
– 稀に重複してリサイクル料金を預託した場合等は、JARCの定める手続により返金を受けられることがあります。

– 必要書類は、二重支払いを証する領収書・預託記録、本人確認書類、口座情報など。

詳細はJARC窓口の指示に従ってください。

抹消登録の種類と還付の関係

– 永久抹消(解体届出)
– 重量税の還付対象(車検残存月数に応じて月割還付)。

– リサイクル料金は国内解体済みのため還付なし。

– 一時抹消
– 重量税還付は原則なし。

後日解体して解体届出を行えば、その時点の残存期間に応じて還付。

– 輸出抹消仮登録
– 重量税還付なし。

– リサイクル料金は輸出還付の対象になりうる。

手続き時のよくある注意点

– 所有権留保(ローン残あり)車は、所有者(信販会社等)の書類がないと抹消できないことが多い。

– 法人名義の場合は法人実印、商業登記簿謄本等が求められることがあります。

– 還付先口座は名義一致が原則。

相違する場合は委任状や理由書が必要になり得ます。

– 住所・氏名が車検証と現状で異なる場合は、抹消前に変更登録が必要になることがあります。

– 申請書類の書式(OCRシート)は運輸支局・軽自動車検査協会の窓口にあります。

職員の記載案内に従うと不備防止に有効です。

– 電子申請(OSS)対応地域ではオンラインでの解体届出・還付申請が可能な場合があります。

根拠(法令・公的ガイダンス)

– 自動車重量税の還付
– 根拠法 自動車重量税法(昭和41年法律第89号)および同施行令・施行規則
– 解体に伴う還付制度(いわゆる廃車還付)は同法と国土交通省の運用通達に基づく制度で、車検有効期間の残存に応じた月割還付が行われます。

– 申請・執行 国土交通省(運輸支局・自動車検査登録事務所)、軽は軽自動車検査協会の実務手続により行われます。

– 時効 国税通則法に基づく国税還付金の消滅時効(原則5年)に準拠。

– 登録・抹消の手続根拠 道路運送車両法および同施行規則。

解体届出(永久抹消)制度は道路運送車両法に規定。

– 自動車リサイクル料金の還付(輸出還付等)
– 根拠法 使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成14年法律第87号、いわゆる自動車リサイクル法)および同施行令・施行規則
– 資金管理法人(自動車リサイクル促進センター JARC)が定める「輸出還付」に関する実施要領・ガイドライン
– 輸出抹消仮登録の手続根拠 道路運送車両法(登録に関する規定)

具体的チェックリスト(例)

– 重量税還付(解体・永久抹消)
– 解体業者から解体証明(移動報告番号・解体報告記録日)取得
– 車検証・ナンバー2枚・所有者の印鑑証明・実印・本人確認書類・口座情報
– 抹消(解体届出)書類、重量税還付申請書を窓口提出
– 後日、口座で入金確認
– リサイクル料金の輸出還付
– 輸出抹消仮登録→輸出実行(税関許可)
– 預託記録(リサイクル券)・輸出証憑(輸出許可、B/L等)・口座情報・本人確認書類
– JARCへ還付申請→審査→入金

まとめ

– 重量税の還付を受けるための最重要ポイントは「解体済みであること」と「解体届出(永久抹消)を行うこと」、そして「車検残があること」です。

書類は車検証、ナンバー、解体証明、所有者の印鑑関係、本人確認、口座情報が中核です。

– リサイクル料金は国内解体では還付されません。

中古輸出した場合に限り、JARCへの輸出還付申請が可能です。

– 手続は運輸支局(軽は軽自動車検査協会)とJARCの二系統に分かれます。

期限や名義、委任関係の書類不備がつまずきやすいので、事前に窓口案内で最新要件を確認してください。

ご不明点があれば、車種(普通/軽)、現在の登録状態(車検残、所有権留保の有無)、解体/輸出の予定などを教えていただければ、必要書類の絞り込みと具体的な記入・手順を個別にご案内します。

リサイクル料金は返金されるのか、それとも次の所有者へ引き継がれるのか?

結論(先に要点)
– 自動車リサイクル料金は「車両に紐づく前払いの預託金」です。

国内で売買・名義変更する場合は、原則としてそのまま次の所有者へ引き継がれ、国やセンターからオーナー個人に返金される仕組みではありません。

– 例外的に「完成車として海外へ輸出した場合」は、未使用分の預託金(資金管理料金を除く。

既に一部作業が行われている場合はその費用分を差し引き)が、最終国内所有者に還付されます。

– 国内で解体して永久抹消する場合は、預託金は解体・エアバッグ類・フロン類回収・ASR再資源化等の実費に充当され、返金はありません。

– これらは「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」および資金管理法人(自動車リサイクル促進センター JARC)の運用規程・国交省等の制度解説に基づく仕組みです。

リサイクル料金の位置づけと基本ルール
– 目的と仕組み
– 自動車が使用済みになった際に、エアバッグ類の適正処理、フロン類の回収、ASR(シュレッダーダスト)の再資源化等に確実に資金手当てができるよう「新車購入時」または「初回車検や中古車流通時」に前払いで預託します。

– 預託された資金は、法律に基づいて指定された「資金管理法人」(自動車リサイクル促進センター JARC)が預かり、実際に処理を行う事業者に対して、作業の実施報告(解体・回収・再資源化の電子報告)に応じて支払いが行われます。

– 「車両に紐づく」性質
– 預託金は所有者ではなく車両(車台番号)に紐づくのが原則です。

このため、国内での移転登録(名義変更)・売買では、預託金の権利義務も車両とともに一体で承継されます。

– 実務上は、売主が買主にリサイクル券(預託証明)を引き渡し、売買代金の精算の中で「預託金相当額」を別建てで清算する慣行がありますが、これは当事者間の価格調整であり、JARCや国からの「返金」ではありません。

返金されるケース(例外)
– 完成車の「輸出」の場合
– 国内で最終的にリサイクル処理が発生しないため、預託金のうち未使用分が最終国内所有者に還付されます。

– 還付の対象額
– 預託金額から「資金管理料金」(運用管理のための定額部分)を控除。

– 既に国内で一部処理が済んでいる場合(例 フロン回収のみ実施済み等)は、その実施費用分も差し引かれます。

– 手続きの流れ(概要)
1) 運輸支局で輸出抹消仮登録(ナンバー返納)を行う。

2) 実際に輸出(通関)し、輸出が確認できる資料(通関情報・B/L等)が整う。

3) 自動車リサイクルシステム(ARS)で還付申請。

最終国内所有者の口座へ振込されます。

– 申請期限や必要書類は制度改正や運用変更があり得るため、申請前にJARCの公式サイトや最寄り運輸支局で最新案内を確認してください。

– 注意
– 一時抹消のみ(車両の保管や一時的な使用中止)では還付されません。

– 輸出予定であっても、その前に国内で解体・処理が実施されれば、その部分の費用は消化されます。

返金されないケース(原則)
– 国内で解体し永久抹消する場合
– 解体業者・フロン類回収業者・ASR再資源化事業者の作業に対して、預託金が支払われるため、所有者への返金はありません。

– 国内での名義変更・中古車売買
– 預託金は車両にとどまり、新所有者に引き継がれます。

当事者間で預託金相当額を売買代金として清算するかどうかは商慣習・合意次第です。

– 一時抹消(ナンバー返納のみで保管)
– 預託金は車両に残り、使用済自動車化した際に充当されます。

「引き継ぎ」の実務ポイント
– 売却時に用意・確認したいもの
– リサイクル券(預託証明書)または預託状況の記録。

紛失の場合でも、車台番号等で自動車リサイクルシステムの「預託状況照会」で確認可能。

– 預託金の内訳(フロン・エアバッグ・ASR・資金管理料金)と既実施の有無。

既実施部分があると、引継額(実質的に買主が評価する額)が変わります。

– 清算のしかた
– 法律で「清算方法」を強制しているわけではありません。

売買価格に含める/別項目で「リサイクル預託金相当額」を受け渡しする、などは当事者の合意です。

– 中古車販売店経由の取引では、見積書・注文書に「リサイクル預託金相当額」欄が独立して表示されるのが一般的です。

自動車重量税の還付との違い(混同しやすい点)
– 自動車重量税は「税金」、リサイクル料金は「前払いの預託金」で性質が異なります。

– 重量税の還付
– 条件を満たして「国内で解体→永久抹消」した場合に限り、車検の残期間に応じて重量税の未経過相当額が国から還付されます(申請が必要。

期間要件あり)。

– 一時抹消や名義変更では還付されません。

– 法的根拠は「自動車重量税法」および関係政省令・国土交通省(運輸支局)実務通達等。

– リサイクル料金の還付
– 国内解体では還付なし(処理費に充当)。

輸出時のみ未使用分が還付対象。

– 法的根拠は自動車リサイクル法の資金管理スキームとJARCの還付手続規程。

法的・制度上の根拠(要旨)
– 使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)
– 車両に紐づく前払方式で資金を預託し、資金管理法人が管理・支払いを行う枠組みを定めています。

– 所有者が変わっても預託金が車両に付随して承継される運用、国内での処理実施報告に応じて資金が支払われる仕組み、輸出時の未使用分の還付制度が、同法とそれに基づく政省令・告示・実施要領で規定・運用されています。

– 資金管理法人(自動車リサイクル促進センター JARC)の業務規程
– 預託金の管理方法、解体・回収・再資源化の実施報告に基づく支払い、輸出時の還付手続(還付額の計算方法=資金管理料金控除、既実施分控除等)を具体化しています。

– 国土交通省・経済産業省・環境省の制度解説・Q&A
– 「リサイクル料金は原則車両に紐づき、所有者変更時は引継ぎ」「輸出時のみ未使用分を還付」等の取扱いが明記されています。

– 自動車重量税法
– 永久抹消時の未経過期間相当額の還付制度の根拠。

運用は運輸支局での抹消登録・解体報告記録と連動し、国税の還付手続として実施。

実務上のよくある質問と回答
– Q1 国内で廃車(解体)したらリサイクル料金は戻りますか?

– A 戻りません。

預託金は解体や回収・再資源化の費用に充当されます。

ただし重量税は条件を満たせば還付される別制度です。

– Q2 中古車として売るとき、預託金はどうなりますか?

– A 車両に付いたまま買主へ承継されます。

多くの取引で「リサイクル預託金相当額」を買主が売主へ支払う清算を行いますが、これは当事者間の慣行です。

JARCからの返金ではありません。

– Q3 海外へ輸出する予定ですが、いつ還付されますか?

– A 輸出抹消仮登録→輸出実行→輸出確認→JARCへの還付申請、という流れを経て、未使用分(資金管理料金除く)が最終国内所有者に振り込まれます。

期限・必要書類は最新の公式案内で確認してください。

– Q4 途中でフロン回収だけ済ませてから輸出した場合は?

– A フロン回収費用相当額はすでに消化されているため、その分を差し引いた残額が還付対象です。

– Q5 一時抹消して長期保管する場合は?

– A 預託金は車両に残り続けます。

還付はされません。

手続と確認方法(実用メモ)
– 預託状況の確認
– 自動車リサイクルシステム(ARS)の「預託状況照会」で、車台番号などを入力して預託の有無・金額・既実施区分を確認できます。

– 売買時の書類
– リサイクル券(預託証明)または預託状況の出力を相手に渡すと取引がスムーズです。

– 輸出時の還付申請
– 輸出抹消仮登録証明、通関での輸出確認資料、口座情報等が必要。

申請期限があるため、輸出後は速やかに手続を。

まとめ
– リサイクル料金は原則「返金されず」「車両に付いて次の所有者へ引き継がれる」制度です。

国内廃車では処理費に充当され、還付はありません。

– 例外的に「輸出」した場合のみ、未使用分(資金管理料金を除く)が最終国内所有者に還付されます。

既実施分があれば差し引き。

– これらは自動車リサイクル法と資金管理法人(JARC)の運用に基づくもので、国の公式Q&AやJARCの案内に明確に示されています。

– 一方、自動車重量税の還付は別制度であり、国内解体による永久抹消時に未経過期間分が還付され得ます。

両者を混同しないよう注意してください。

参考として確認先(名称)
– 自動車リサイクル促進センター(JARC)公式サイト「リサイクル料金の預託・還付(輸出時)」関連ページ
– 国土交通省「自動車リサイクル制度の概要」「よくある質問」
– 経済産業省・環境省・国土交通省 共同の自動車リサイクル法Q&A
– 自動車重量税法および国土交通省(運輸支局)での「重量税還付」案内

制度や手続は改正されることがあります。

実際の申請前には、最新の公式情報(JARC、運輸支局、関係省庁のサイト)で必ずご確認ください。

ディーラー・解体業者・自分で手続きする場合で費用や手間はどう変わるのか?

ご質問のポイントは次の3点だと思います。

– 廃車・抹消登録の種類と、それに伴う還付(重量税/自賠責/自動車税・種別割/リサイクル料金)の仕組み
– ディーラー・解体業者(廃車買取業者等)・自分で手続き(DIY)の場合の費用・手間・期間の違い
– それらの根拠(法律・公的機関の運用)

以下、用語の整理→還付の全体像→3つのルートの比較→自分で行う場合の具体手順→お金の流れ(例)→注意点→根拠の順で詳しく解説します。

用語の整理(廃車・抹消登録の種類)

– 一時抹消登録(普通車)/ 使用中止(軽自動車の届出)
ナンバーと車検を止めるが、車体は解体しない。

後で再登録して再び乗れる状態。

普通車は一時抹消で自動車税(種別割)の月割還付あり。

軽自動車は年度途中の還付は原則なし。

– 解体届出(普通車)/ 解体返納(軽自動車)
実際に解体し、永久に走れない状態にする手続き。

車検の残存期間があれば自動車重量税の還付が受けられる(条件あり)。

還付の全体像

– 自動車重量税(国税)
還付があるのは「解体届出(解体返納)」をし、かつ車検の有効期間が1か月以上残っている場合。

未経過月数に応じて按分(端数切り捨て)。

申請は運輸支局(普通車)または軽自動車検査協会(軽)で解体届出と同時に行い、後日国から口座振込。

– 自動車税(種別割 都道府県税、いわゆる「自動車税」)
普通車は「一時抹消」または「解体届出」の翌月から年度末までの未経過分が月割で還付。

手続きは原則不要で、登録情報に基づき税務当局から還付案内・振込。

軽自動車は原則として年度途中の還付制度なし(翌年度以降の課税は止まる)。

– 自賠責保険
解約申請により未経過分が返戻される。

加入保険会社で手続き。

抹消登録が確認できる書類が必要。

– 自動車リサイクル料金
原則、ユーザーに還付されない。

未預託なら引取時に預託が必要。

例外的に「輸出抹消仮登録→輸出確認」がなされた場合、預託金の一部が還付される制度あり(所有者へ)。

3つのルートの比較(費用・手間・期間・メリデメ)
A. ディーラーに任せる

– 手間
もっとも少ない。

書類の案内・作成補助、所有権留保(ローン)解除手続きも含めてワンストップ対応が多い。

– 費用の目安
代行手数料 1~3万円程度が一般的。

レッカーが必要な場合は1~2万円程度が上乗せされる場合あり。

解体費用が掛かる場合は実費。

リサイクル料金が未預託なら預託金の支払いが必要。

– 還付の扱い
重量税還付・自動車税還付・自賠責返戻はいずれも原則ユーザー口座へ。

場合によりディーラーが立替・相殺することも。

– 期間
書類準備~解体~届出まで1~3週間程度が目安。

繁忙期や所有権解除が絡むと1か月超も。

– メリット/デメリット
安心・確実・トラブル対応力が高い反面、コストは高め。

買取価値の低い車は「引取料」名目が発生することも。

B. 解体業者/廃車買取業者に任せる
– 手間
比較的少ない。

連絡・引取日時の調整と、必要書類の準備が中心。

多くの業者が抹消手続きを代行(無料~有料)。

– 費用・収支の目安
– 廃車買取額 0~10万円超まで幅広い(相場は車種・状態・相場次第)。

地金相場や部品価値でプラスになることもある。

– 代行手数料 0~1.5万円程度(無料の業者も多い)。

– レッカー費 無料をうたう業者が多いが、エリア外・不動車・事故現状など条件で5千~2万円程度かかる場合あり。

– 解体費 多くは買取額や手数料に内包。

極端な不動・欠品・水没等で別途請求されることあり。

– 還付の扱い
基本はユーザーに入るが、「還付金の受取権限を業者へ委任・譲渡する代わりに買取額を上げる」スキームを提示されることがある。

契約書で誰に入るかを必ず確認。

– 期間
引取~解体~抹消まで最短数日~2週間程度。

– メリット/デメリット
現金化が早く、費用を抑えやすい。

相見積もりで条件差が出やすい。

悪質業者リスクや、還付金の取り扱いが不透明な契約に注意。

C. 自分で手続き(DIY)
– 手間
最も多い。

平日に運輸支局/軽自動車検査協会へ出向き、書類の記入・提出・ナンバー返納を行う。

解体業者との段取りも自分で。

– 費用
代行手数料は0円。

かかるのは交通費、住民票/印鑑証明等の取得費(数百円~)、郵送費、仮ナンバー・臨時自賠責が必要ならその費用(合わせて千円台~数千円)、場合によりレッカー費(1~2万円程度)。

登録の手数料自体(抹消登録・解体届出)は原則無料。

OCR申請書用紙代が数十円程度かかる程度。

– 還付の扱い
すべて自分の口座に確実に入る。

透明性が高い。

– 期間
書類が揃っていれば、支局での手続きは半日~1日。

解体→解体報告の反映(2~3営業日程度)→解体届出まで通算数日~1週間が目安。

– メリット/デメリット
最安・最も透明。

反面、時間と段取りの負担が大きく、平日対応が必要。

記載ミス・書類不足による差し戻しリスク。

自分でやる場合の基本フロー(普通車/軽の概略)
普通車(登録自動車 運輸支局)

– 一時抹消登録の場合
1) 車検証、ナンバープレート2枚、所有者本人確認書類(代理人なら委任状+印鑑証明)、申請書(OCR第3号様式)などを準備。

2) 運輸支局で申請→「一時抹消登録証明書」を受領。

3) 自動車税(種別割)の還付は原則自動処理。

自賠責は保険会社で解約返戻手続き。

– 解体届出(いわゆる永久抹消)
1) 解体業者に車両を引き渡し。

自動車リサイクルシステムで解体報告記録が登録されるのを待つ(通常2~3営業日)。

2) 車検証、ナンバー、リサイクル券(預託証明)、本人確認書類(代理人なら委任状+印鑑証明)、申請書(OCR)を持参し運輸支局で解体届出。

3) 同時に自動車重量税の還付申請を提出。

後日、国から口座振込。

4) 自動車税還付(普通車のみ)は都道府県税から別途案内→振込。

自賠責は保険会社で解約返戻。

軽自動車(軽自動車検査協会)
– 一時使用中止届出(軽)
1) 車検証、ナンバー、申請依頼書、本人確認等。

還付はない(翌年度以降の課税停止)。

– 解体返納(軽)
1) 解体→解体報告の登録後、ナンバー・車検証・リサイクル券・本人確認等を持参。

2) 解体返納の申請。

同時に重量税の還付申請。

自賠責は別途解約手続き。

仮ナンバー
– 車検切れで自走して支局や業者に運ぶ場合、臨時運行許可(市区町村)+臨時自賠責が必要。

許可手数料は数百円台(標準額750円程度)+臨時自賠責料。

お金の流れ(概算例)

– 前提
車検残18か月。

普通車で24か月分の重量税を前回納付済み。

自動車税は年度途中(10月)に解体届出。

自賠責も24か月付保、残16か月。

– 重量税還付
還付額 ≒ 納付済額 × 残月数/24(1か月未満切り捨て)
例 納付額が24か月で30,000円なら、30,000 × 18/24 = 22,500円程度。

– 自動車税(種別割)還付(普通車)
抹消の翌月(11月)から翌3月まで5か月分が月割で還付。

年税額が39,500円なら約16,400円。

– 自賠責返戻
16か月分が目安(保険会社の計算方法により日割り/短期率あり)。

– リサイクル料金
原則還付なし。

未預託なら預託が必要。

輸出抹消→輸出実績が確認された場合に限り所定額が還付される。

注意点・落とし穴

– 軽自動車税(種別割)は年度途中の還付が原則ない。

普通車と混同注意。

– 重量税還付は「解体届出(解体返納)」が条件。

「一時抹消」だけでは還付されない。

車検残が1か月未満でも還付なし。

– 還付金の受取人の確認。

業者に委任・譲渡する契約はメリット(買取額上乗せ)もあるが、同意なく権利が移ることはない。

契約書で必ず明記を。

– 所有権留保(ローン)車は、所有者(信販会社等)の承諾・書類が必要。

完済→所有権解除→抹消の順が基本。

ディーラー任せが安全。

– 盗難・紛失・ナンバー欠損時は別途手続き(理由書、道路使用証明、弁償金等)が必要になる場合あり。

– 公道移動は厳禁(無車検・無保険走行は違法)。

仮ナンバー・臨時自賠責・搬送の手配を。

– 登録名義と振込口座名義の不一致は還付処理が止まる。

氏名・住所変更がある場合は先に名義・住所の整合を。

– リサイクル券が見当たらなくても、車台番号で預託状況をネット確認できる(自動車リサイクルシステム)。

未預託なら引取時に預託。

ざっくり比較のまとめ(費用感と手間)

– ディーラー
費用 代行1~3万円+条件によりレッカー・解体費。

手間 最小。

安心度 高。

– 解体業者
費用/収支 買取金0~数万円、代行0~1.5万円、引取無料~2万円。

手間 小。

スピード 速い。

業者選定が鍵。

– 自分で
費用 最安(実費のみ)。

手間 最大(平日半日~数日)。

透明性 最高。

根拠・公的情報源

– 道路運送車両法・同施行規則(抹消登録・解体届出の制度、申請書式等)
所管 国土交通省(運輸支局・軽自動車検査協会)。

同省サイトや各運輸支局の案内に手続詳細・必要書類・様式が掲載。

– 自動車重量税法・関係省令(解体時の還付制度、按分計算、申請方法)
所管 財務省・国土交通省。

国交省「自動車重量税の還付制度」案内参照。

– 自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)
リサイクル料金の預託・解体報告記録・輸出抹消時の還付。

所管 経済産業省・環境省・国土交通省。

実務は自動車リサイクルシステム(JARC)で運用。

– 地方税法(自動車税種別割・軽自動車税種別割)
普通車の月割還付、軽自動車の還付なしの原則。

所管 都道府県・市区町村税務当局。

各自治体税務サイトに案内あり。

– 自動車損害賠償保障法
自賠責保険の解約返戻の根拠。

実務は各損害保険会社の約款・運用に従う。

最後に practical tips
– 乗り換え予定があるなら、まずディーラー査定と廃車業者2~3社の相見積もりを取り、還付金の帰属(誰に入るか)と総合手取りで比較を。

– 時間が取れるならDIYが最安だが、所有権留保や住所/氏名変更が絡む場合はディーラーや信頼できる業者に任せる方が早くて安全。

– 解体前に「車検残」「重量税還付の有無」「普通車か軽か(自動車税還付の可否)」を確認し、トータルの実入りを把握してから依頼先を決めるのがコツです。

以上を踏まえると、「コスト最小=DIY」「時短と確実性=ディーラー」「バランスとスピード=解体業者」という住み分けになります。

ご自身の時間コストと、車の状態・価値(買取が付くか、レッカーが必要か)で最適解を選ぶのが良いでしょう。

【要約】
廃車は解体や登録抹消の総称。抹消登録は一時と永久があり、一時は車を残し再登録可・自動車税停止・重量税還付なし。永久は解体前提で再登録不可・重量税還付可(軽は解体返納)。輸出は輸出抹消で重量税還付不可もリサイクル料金還付可。用途で選び、税還付確保は一時抹消→解体・永久抹消が有効。

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