コラム

走行距離と年式でいくら下がる?中古車査定の減額基準と影響度、抑え方まで徹底解説

走行距離と年式はなぜ中古車査定で大きな減額要因になるのか?

中古車の査定において、走行距離(何km走っているか)と年式(登録から何年経っているか)が最も大きな減額要因になるのは、機械としての劣化の進み方、故障確率や維持費の期待値、保証・税制・金融といった制度面、そして実際の市場の需給や心理的な選好が、いずれもこの二つの指標に強く連動しているからです。

以下、理由と根拠を体系的に説明します。

1) 機械的・材料的な劣化が距離と時間で進むから
– 走行距離は「荷重のかかった回転・摺動サイクルの累積量」を表し、エンジン、トランスミッション、ハブベアリング、サスペンションブッシュ、ショックアブソーバー、ブレーキ、ステアリング系など、摩耗・疲労・クリアランス増大が進みます。

これは物理的に避けられない現象です。

– 年式(時間の経過)は、走行距離が少なくても進む「経年劣化」を表します。

ゴム・樹脂部品の硬化やひび割れ(シール、ホース、ウェザーストリップ、エンジンマウント)、塗装・防錆皮膜の劣化、配線やコネクタの酸化、はんだクラック、潤滑油やグリスの酸化・蒸発など、時間依存の劣化が進行します。

湿度や温度変化、紫外線、塩害地域などの環境も加速要因になります。

– ハイブリッドやEVでは、駆動用バッテリーの劣化が「サイクル劣化(走行や急速充電の回数)」と「カレンダー劣化(経年)」の両方で進みます。

多くのメーカーがバッテリー容量保証に年数と走行距離の両方の上限を設けているのは、その実証的な裏付けです(例 8年または16万kmなどの設定が一般的)。

根拠の要点
– 機械要素の摩耗・疲労は荷重×サイクル数に比例しやすく、時間起因の材料劣化(酸化、加水分解、可塑剤抜けなど)は経年で進行するという材料工学・潤滑工学の基礎に合致します。

– バッテリーやゴム部品の劣化が「年数」と「使用量」の双方で説明されることは、各社保証条件に反映されています(年数・距離のデュアル制限)。

2) 予想維持費と故障リスクの増加が価格に転嫁されるから
– 中古車価格は、ざっくりいえば「買い手が得る便益の期待値」から「これからかかる維持・修理費の期待値」と「リスクに対する割引(リスクプレミアム)」を引いたものです。

走行距離と年式が増えるほど、消耗品の交換サイクル到来や故障の確率・分散が大きくなり、将来費用の期待値もリスクプレミアムも上昇します。

– 典型的に走行5~10万kmで、タイヤ・ブレーキ回り・ダンパー・ブッシュ類・補機(オルタネーター、ウォーターポンプ)、車種によってはタイミングベルト、CVT/ATフルードなど大きめの整備イベントが到来しやすく、10万km超では「主要アッセンブリーの寿命に接近」という認識が広く共有されています。

– 経年10年前後ではゴム・樹脂の劣化、内装のヤレ、塗装の劣化、配線接触不良などの年式起因トラブルが増え、修理費用のバラつきも拡大します。

根拠の要点
– 整備現場の経験則とメーカーメンテナンススケジュール(定期交換・点検項目の距離/年次指定)に年式・距離の閾値が多く設定されています。

これ自体が「費用発生確率の上昇」を前提にした設計・運用です。

– 需要側はこれらの将来費用を価格に織り込み、結果として減額が大きくなります。

3) 保証の切れ目と制度面のハードルが年式・距離で発生するから
– 新車一般保証は多くのメーカーで3年/6万km、パワートレイン等の特別保証は5年/10万kmといった二本立てが一般的です。

これらの閾値を越えると「メーカーが負う故障リスク」が消え、消費者が全額リスクを負うため、価格が一段切り下がる傾向があります。

– 車検の残存期間は査定で加点要素になりますが、年式が古くなると重量税や自賠責の負担も相対的に重く感じられやすく、車検時の整備同時実施項目も増えがちです。

– 税制面では、一定年数を経過したクルマに重課がかかります。

たとえば自動車税種別割や自動車重量税は、初度登録から13年超のクルマに割増(いわゆる経年重課)が適用され、所有コストが上がります。

これが需要を抑制し、価格の下押し要因になります(国土交通省・総務省の公表制度)。

– 一部自治体・地域では古いディーゼル車の乗り入れ規制などもあり、年式の古い車両の需要が限定されやすい環境があります。

根拠の要点
– メーカー保証規定(例 トヨタの一般保証3年/6万km、特別保証5年/10万kmなど)という明示的な閾値。

– 国交省等が定める税制(13年超の重課)は公開情報で、コスト増→需要減→価格低下の因果が明確。

4) 金融・リースの残価モデルが年式・距離を最重要変数としているから
– 残価設定ローンやオートリースの残価は、年式と走行距離を主変数に算出されます。

これらのモデルは膨大な過去取引データ(オートオークション・小売相場)を基に推定され、年式・距離が少し変わるだけでも残価が段階的に変化します。

– 中古車向けのオートローンでも「車齢+支払回数の上限」や「10万km超は対象外・金利上乗せ」といった内規が存在するケースがあり、融資条件が厳しくなるほど買い手の裾野が狭まり、相場が下がります。

根拠の要点
– 各リース会社・ファイナンス会社の商品設計や約款、審査基準の一般的運用。

公開される残価目安や商品パンフレットでも年式・走行距離が中核変数として扱われています。

5) 実マーケットの需給・検索行動・心理的な閾値の影響
– 中古車検索サイトや販売現場では「高年式・低走行」が最も人気の条件です。

検索フィルターの上位項目が年式・距離であること自体が、消費者の意思決定における重要度の高さを示しています。

– 実務上、相場はしばしば段階的に変化します。

走行距離では3万km、5万km、7万km、10万km、15万km、年式では初度登録から3年、5年、7年、10年といった分岐点を意識した価格帯が形成されやすく、特に10万kmや10年超は心理的・金融的な節目になりやすい。

これらの「閾値」を跨ぐと問い合わせ件数が減り、在庫日数が伸びるため、販売側は価格を下げて回転を取る傾向が強まります。

– さらに、モデルチェンジやマイナーチェンジで安全装備(自動ブレーキ、ACC、エアバッグ数、夜間検知など)や燃費・排ガス性能、コネクテッド機能が大きく進化すると、古い年式は見劣りし需要が相対的に低下します。

技術陳腐化は年式に強く紐づく下落圧力です。

根拠の要点
– 販売プラットフォームのUI/検索条件、店舗現場での問い合わせ動向、在庫回転管理の実務(ターン率改善のため閾値前後で価格調整)。

– モデルライフと安全・環境性能の進歩は各メーカーの新型発表資料やJNCAP等の評価で可視化されています。

6) 査定実務と基準の構造そのものが年式・距離中心に設計されているから
– 日本自動車査定協会(JAAI)の査定制度や大手オートオークションの評価体系では、年式・走行距離をベースに減価を算出し、そこに事故歴・修復歴、外装内装の状態、装備、色、地域性などを加点減点して最終査定額を決めるという枠組みが一般的です。

つまり「出発点」から大きく動かす軸が年式・距離です。

– 「過走行(年式に対し極端に距離が多い)」「低走行(同逆)」といった概念も明確にあり、平均年走行(日本では概ね年間8,000~10,000km程度が目安)からの乖離がそのまま価格差に反映されます。

根拠の要点
– JAAIの査定制度の公開情報や、オークション評価表に年式・走行距離が太字で記載される実務、業界教本・講習内容。

7) 例外や補正要因(ただし基本法則は変わらない)
– メーカー・車種によって耐久性設計や故障分布は異なり、10万kmを超えても相場が堅調な銘柄(商用ディーゼル、MTの名車、希少グレード、オフロード四駆など)も存在します。

反対に、特定の年式・ミッションに既知の弱点がある場合は早期に相場が崩れます。

– 丁寧なメンテ履歴、ワンオーナー、禁煙・屋内保管、下回り防錆、消耗品一式交換済みといった情報はリスクプレミアムを下げ、年式・距離のマイナスを一部相殺します。

ただし「ベースとして年式・距離が価格の大半を決める」傾向は依然として強いです。

総括
– 走行距離は「使用量」による摩耗・疲労・消耗の進行を、年式は「時間」による材料劣化・技術陳腐化・制度上の不利(保証切れ、税制重課)を、それぞれ端的に表す指標です。

– 買い手は将来の維持費と故障リスクを織り込んで価格を提案し、売り手(買取店・オークション)は大量の取引データを基に年式・距離中心の残価曲線を用いてリスクを管理します。

さらに、保証・車検・税制・金融の閾値、消費者の検索行動や心理的な節目が、節目ごとの「段差的な減額」を生みます。

– これらの技術的・制度的・市場的要因が同方向に効くため、年式と走行距離は中古車査定で最大級の減額要因となります。

裏を返せば、適正なメンテナンス記録の整備、主要消耗品の予防交換、人気装備の有無、事故歴なしの証明などで「年式・距離以外の加点」を積み上げることが、減額の影響を相対的に緩和する現実的な手段です。

参考になる公開根拠の例
– メーカー保証の一般的枠組み(例 トヨタ「一般保証3年/6万km、特別保証5年/10万km」等)。

多くの国内メーカーが同様の二本立てを採用。

– 国土交通省・総務省が公表する税制(初度登録13年超の自動車税種別割・重量税の重課)。

年式が進むほど所有コストが上がる制度設計。

– 日本自動車査定協会(JAAI)の査定制度の存在と、年式・走行距離を基礎減価の軸とする業界慣行。

– 主要オートオークションや中古車検索サイトにおける「年式・走行距離」優先の表示・検索設計、流通現場での10万km・10年といった節目の価格感。

実務上の閾値設定と需要の減衰は、在庫回転や成約率のデータに表れます。

以上のように、走行距離と年式は、機械の劣化、コストとリスク、制度上の閾値、そして市場心理の「共通言語」になっており、査定で大きな減額要因になる合理的な根拠があります。

走行距離の減額は何kmごとにどの程度進むのか?

以下は、日本の中古車市場で一般的に用いられている「走行距離・年式による減額の考え方」と、走行距離が何km増えるごとにどの程度価格が下がりやすいかの現実的な目安、その根拠の説明です。

実際の査定額は車種・グレード・個体差・需給・季節などで大きく変わるため、あくまで「方向性」と「レンジの目安」としてお読みください。

基本的な考え方(年式×走行距離の二軸)

– 年式(経過年数)と走行距離は、ほぼすべての査定フレームで中核の評価軸です。

年式は時間による価値減を、走行距離は機械的な消耗・残余寿命の短縮を表す代理指標として使われます。

– 一般に、年式が新しいほど距離の影響は大きく、年式が古くなるほど距離の影響は相対的に鈍くなります(古い車は「もう十分に減価済み」とみなされやすい)。

– 日本の実務では「標準走行距離=年間1万km(おおむね)」を基準に、そこからの超過・不足で加減点(価格調整)を行う方式が広く用いられています。

業界標準・根拠にあたるもの

– 日本自動車査定協会(JAAI)の「中古自動車査定制度」では、年式ごとに標準走行距離(概ね1年1万km)を設定し、その乖離に応じて加減点する考え方を採用しています。

実際の点数や価格換算は査定士向けの基準書・システム(自動車価格月報=通称レッドブック等)で運用されており、公開詳細は限定的ですが、「年式×標準距離×乖離で加減する」という枠組みは公知です。

– オートオークション(USS/JU/CAAなど)の成約データでも、「十万km(100,000km)」は心理的・実務的な節目として意識され、同一条件でも10万kmをまたぐと落札レンジが一段下がりやすい傾向が広く確認されています。

– 大手買取・販売店の実務でも、年間1万kmを超える部分は減額、下回る場合は加点(ただし極端な低走行は逆評価)という運用が一般的です。

何kmごとにどの程度減額が進むか(相場目安)
以下は、一般的なガソリンの乗用車(国産、コンパクト〜ミドルクラス)をベースにした「距離帯ごとの感応度の目安」です。

輸入車・高級車・ミニバン/大型SUV・商用車・HV/EVは後述の補正を加えてください。

〜30,000km程度

年式要因が支配的で、走行距離差の影響は比較的小さい。

1,000km当たりの価格影響は数百円〜1,000円程度が目安。

例 同年式で15,000km vs 25,000kmの差1万kmなら、1万〜1.5万円程度の差にとどまることが多い。

30,001〜50,000km

距離の差が見え始める帯。

状態が同等なら、1,000kmあたり約1,000円前後が一つの目安。

例 差が2万kmなら2万円前後の差が付きやすい。

50,001〜100,000km

感応度が上がる帯。

1,000kmあたり1,500〜2,000円程度(ミニバン/SUVは2,000〜3,000円に上がることも)。

例 6万kmと9万km(差3万km)で、コンパクト〜ミドルだと4.5万〜6万円、ミニバンだと6万〜9万円程度の差が付くケースが目立ちます。

100,001〜150,000km

10万kmを越えると一段減(心理的節目+主要消耗品の交換時期接近)。

1,000kmあたり2,000〜4,000円程度の下げ幅が発生しやすい。

例 11万kmと13万km(差2万km)で4万〜8万円程度の差。

HVや大型ミニバン・輸入車はさらに強く出ることも。

150,000km以上

個体差・整備履歴・用途(高速中心か、過荷重か)で価格のばらつきが大きく、単純な「1,000kmあたり」の連続性は崩れがち。

距離の追加による減額は鈍化する場合もあれば、逆に次のメンテ大物手前で大きく落ちる場合もあります。

車種・用途別の補正イメージ

– 軽自動車(乗用)
– 距離感応度はやや強め。

10万kmを越えると需要レンジが狭まり、下げ幅が大きくなる傾向。

– ミニバン・大型SUV
– ファミリーユースで距離が伸びやすいが、10万km前後の節目の影響が比較的大きい。

1,000kmあたりの影響はコンパクトより大きめ(上記目安の上振れ)。

– 輸入車・高級車
– 距離感応度が強い。

保証や整備履歴の有無で同一距離でも差が大きく、10万kmをまたぐと需給がガラッと変わることも。

1,000kmあたりの影響は上振れしやすい。

– 商用車(バン・トラック)
– 用途が「道具」。

年式よりも整備履歴・エンジン/ミッションの状態が重視され、距離感応度は相対的に弱い(高走行でも需要がある)。

ただし荷室の痛みやサビ等で減額が別途大きく出る。

– ハイブリッド車(HV)
– 走行距離と年数の双方がHVバッテリーの寿命に効くため、10万〜15万km付近での不安が価格に織り込まれやすい。

該当帯では1,000kmあたりの影響が上振れするケースあり。

– 電気自動車(EV)
– 走行距離よりもカレンダー経年、急速充電回数、バッテリーSOH(健全度)といった指標が価格に効く。

単純な距離による減額カーブは他の動力より当てはまりにくい。

年式と距離の「掛け算」について

– 年式が新しい車(〜3年落ち)
– 需要が厚く、距離差が価格に反映されやすい。

上記レンジの中でも上振れしやすい。

– 中間年式(4〜7年落ち)
– 距離と年式の影響がバランス。

標準1万km/年からの超過・不足が素直に効く帯。

– 古い年式(8年落ち以上)
– ベース価格が低く、距離の追加による減額幅は相対的に小さくなる。

整備記録、修復歴の有無、サビや下回りの状態の方が価格差を生みやすい。

よくある閾値と例外

– 10万kmの壁
– 心理的節目として実需が減るため、10万km直前と直後では「わずかな距離差でも価格差が大きくなる」非連続点が起きやすい。

– 極端な低走行の逆評価
– 年式の割に極端に低走行(例 10年で1万km)だと、長期放置由来の劣化(オイルシール硬化、ブレーキ固着、タイヤ・ゴム類の経年劣化)を疑われ、必ずしも大幅加点にならない。

整備履歴や保管環境の裏付けが重要。

– メンテ・修復歴の重み
– タイミングベルト交換済み、HVバッテリー・ATフルード・足回り交換歴などがあれば、同距離でも価格を下支えする。

逆に修復歴ありは走行距離が少なくても大きく減額。

簡易シミュレーション(目安)

– ケースA 5年落ち、標準距離は約5万km。

実走8万km(+3万km)
– 50,001〜100,000km帯の感応度を2,000円/1,000kmと仮置きすると、約6万円の距離減要因。

– ケースB 3年落ち、2万km vs 4万km(差2万km)
– 若年のため距離感応度を1,000〜1,500円/1,000kmと仮置きで、約2万〜3万円差。

– ケースC 7年落ち、9万km vs 11万km(差2万km、10万kmをまたぐ)
– 9万→10万kmのまたぎで非連続的下げ+10万超帯の傾斜強化を考慮し、4万〜7万円程度の差が出やすい。

実務の根拠と参照先

– 日本自動車査定協会(JAAI)の中古自動車査定制度
– 年式ごとの標準走行距離(概ね年間1万km)を前提に、乖離による加減点を行う方式。

加減点→価格換算は、査定士向け資料(査定基準書、価格月報=レッドブック)で運用。

– オートオークション市場の慣行
– 出品票の走行距離は最重要項目の一つで、10万kmや15万kmなどの節目で成約レンジが変わる現象は業界の共通認識。

– 大手流通各社の見積り実務
– 年間1万kmを基準に、距離超過で減額、下回りで加点。

低〜中距離帯では1万kmごとに1〜3万円、10万km超帯では1万kmごとに2〜4万円相当の影響、というレンジ感が広く共有されています(車種・時期で変動)。

使い方のヒント

– 自分の車の標準距離(=年数×1万km)と実走を比べ、差分に上記の帯別レートを掛けると、おおまかな距離要因の増減イメージが掴めます。

– ただし、最終価格は「距離要因」+「年式要因」+「状態(外装・内装・機関)・修復歴・整備履歴」+「需要(人気色・グレード・地域・季節)」の合算で決まるため、距離だけで見積りを出すのは危険。

複数社査定やオークション相場の横比較が推奨です。

– HV/EVの場合は、バッテリー関連の健全度や保証継承の有無が距離以上に効くため、専用診断結果を用意すると評価が安定します。

まとめ
– 走行距離の減額は「年間1万kmが標準」という業界の共通枠組みに基づき、距離帯が上がるほど1,000km当たりの傾斜が強くなるのが一般的です。

経験則としては、低〜中距離帯で1,000kmあたり約1,000〜2,000円、10万km超の帯では約2,000〜4,000円程度へ強まる、と覚えておくと実務感と大きくズレません。

– 根拠は、JAAIの査定制度(標準距離と加減点の考え方)、および国内オートオークション・買取実務で蓄積された価格形成の慣行です。

最終的には車種・個体・時期次第で上下しますので、あくまで「レンジの目安」としてご活用ください。

年式(経過年数)による減額率は年ごとにどう変化するのか?

ご質問の「年式(経過年数)による減額率が年ごとにどう変化するのか」について、実務での考え方・相場の動き方・典型的な減額カーブと、その根拠資料(査定基準・保険の時価額算定・税務上の減価償却・リース残価など)を整理して詳しく解説します。

併せて、走行距離との相互作用や例示計算、注意点も述べます。

大前提(何に対する「減額」か)

– 中古車市場の取引価格ベース(下取り・買取・業者オークションの相場)での価値減少
– 損害保険の支払実務における「時価額」評価
– 会計・税務上の減価償却(帳簿価額の減少)
一般に消費者が体感するのは「中古車市場価格」の減額です。

保険の時価額も市場相場を参照します。

一方、税務の減価償却は法定の償却率を用いるため、市場相場とは一致しません。

以下の「年ごとの減額率」は市場相場ベースを中心にし、根拠に各制度の位置づけを添えます。

市場相場ベースの年式減額カーブ(概算)
新車価格(車両本体+主要オプション)を基準に、年ごとの平均的な価値下落の目安は次のような形状をとることが多いです。

数値はボディタイプ・ブランド・需要期・モデルチェンジ有無で上下しますが、概ね「初期に大きく、年を経るごとに緩やか」な前傾カーブです。

登録〜1年目(初年) 新車落ちの瞬間で10〜15%程度、1年経過時点で累計20〜30%下落が目安
1→2年目 追加で約8〜15%下落(累計30〜40%)
2→3年目 追加で約7〜12%(累計40〜50%)
3→4年目 追加で約6〜10%(累計45〜58%)
4→5年目 追加で約5〜9%(累計50〜65%)
5→6年目 追加で約4〜8%(累計55〜70%)
6→7年目 追加で約4〜7%(累計60〜75%)
7→8年目 追加で約3〜6%(累計63〜79%)
8→9年目 追加で約3〜5%(累計66〜82%)
9→10年目 追加で約2〜5%(累計68〜85%)

ポイント
– 「追加で」というのは対前年の下落率、かっこ内は新車時からの累計下落率の概算です。

– 7〜10年を超えると、相場は「底値帯」に張り付きやすく、年式劣化よりも車両状態や走行距離の影響が支配的になっていきます。

– 軽自動車やリセールの強いSUV/ミニバンは上記より減額が緩い(=残価が高い)傾向、セダンや一部輸入車は初期下落がやや大きく出やすい傾向があります。

– フルモデルチェンジ(通常4〜6年スパン)の直後は旧型の相場が一段下がるステップが入りやすいです。

車種・セグメント別の傾向差

– 軽自動車・小型SUV・人気ミニバン 初期下落が比較的緩く、3年で残価55〜70%、5年で残価35〜50%程度に収まりやすい。

– コンパクト/ハイブリッド 維持費・燃費優位が効き、残価は中の上。

– セダン・大型輸入車 初期下落がやや大きめ。

1年で25〜35%、3年で45〜60%の下落に達することも。

– EV 補助金やバッテリー健全性、モデルサイクルの短さが影響し、モデルにより差が大きい。

電池容量劣化の見え方が相場を左右。

– スポーツ・希少車 一般カーブに当てはまらず、年式に伴う下落が小さい、あるいは上昇もあり得る。

年式減額がこうなる理由(経済的・実務的根拠)

– 新車プレミアムの消失 登録した瞬間に「新車価値(新車保証の満額、初度登録の一番手、最新型の魅力)」が剥落します。

– 初期3年の保証・メンテパック価値 メーカー保証(3〜5年)や無償点検の残り期間が短くなるほど安心料が剥がれ、下落が大きく出ます。

– モデルチェンジ・装備陳腐化 新型の安全装備・インフォテインメント更新で旧型の相対価値が下がる。

– 故障リスク・消耗 経年で故障期待値が上がり、買い手がディスカウントを要求。

特に3〜7年あたりで消耗品コストが顕在化。

– 金利・需給 金利上昇局面や季節要因(3月・9月決算期)で相場の傾きが強弱します。

実務上の「根拠資料」や基準の位置づけ

– 中古自動車査定基準(日本自動車査定協会 JAAI)
– 年式・走行距離・内外装状態・修復歴などを点数化し、点数を金額換算して査定価格を算出する枠組みがあります。

– 走行距離は「標準走行距離=経過年数×1万km」を基準として、超過・不足に応じて加減点を行う考え方が広く用いられています(車種や区分で係数は異なります)。

– 年式(初度登録からの経過年数)自体にも基準点が設定され、年式が古いほど基準価格が低くなります。

– 相場本・データブック(いわゆるレッドブック等)
– 業者オークションの落札データや市場流通価格を集約して月次で車種別の時価を示す資料があり、買取店やディーラー、損保会社が参照します。

– これらの相場表が「実勢価格に基づく年式減額」を具体化する実務根拠になっています。

– 損害保険の時価額算定
– 車両保険や対物賠償での「時価額」は、市場相場(上記の相場本やオークション価格)をベースに、年式・走行距離・状態を織り込んで決めるのが一般的です。

固定の一律パーセンテージではなく、毎月の相場改定が反映されます。

– 税務上の減価償却(参考)
– 普通乗用車(自家用)の法定耐用年数は6年が代表例。

定額法なら年約16.7%ずつ、定率法なら初期に大きく後年は小さく償却します。

– ただし税務償却は「帳簿価額」を減らすための制度であり、中古車の市場価格や保険の時価額とは一致しません。

市場は需要供給・モデル評価・状態など非線形要因が大きい点に注意。

年式と走行距離の相互作用(合わせ技での減額)

– 標準は「1年=約1万km」。

例えば3年で3万km程度だと年式相応。

5万kmなら超過、2万kmなら少走行として年式減額に加減がかかります。

– 実務的な目安
– 少走行のプレミアム 年式相応より1万km少ないごとに数万円〜十数万円の上振れ(車種や価格帯で係数が変動)
– 過走行のディスカウント 年式相応より1万km多いごとに数万円〜十数万円の下振れ
– ただし極端に低走行でも、保管環境や不動期間による劣化(タイヤ・オイルシール・バッテリー等)が懸念され、必ずしも無条件に高評価にならない場合があります。

具体例(概算シミュレーション)
仮に新車価格300万円の国産普通乗用車(人気は中程度、事故歴なし)を想定し、走行は標準的(1万km/年)とすると、年式による市場価格の目安は次のように推移します(税金・諸費用・販売マージン等は簡略化)。

– 1年 残価 約210〜240万円(−20〜30%)
– 2年 約180〜210万円(対前年 −8〜15%)
– 3年 約165〜195万円(累計 −35〜45%)
– 4年 約150〜185万円
– 5年 約135〜165万円(累計 −45〜55%)
– 6年 約120〜155万円
– 7年 約105〜140万円(累計 −53〜65%)
– 8年 約95〜130万円
– 9年 約90〜120万円
– 10年 約75〜105万円(累計 −65〜75%)
モデルチェンジが直撃した年や、リセールの強いグレード・人気色であれば上振れ、逆に不人気仕様・事故歴・内外装の傷みが大きい場合は下振れします。

実務で「年式減額率」が年ごとにどう変化するかのまとめ

– 0→1年目が最も大きく、1→2年目、2→3年目と徐々に緩やかになる前傾カーブ
– 3〜5年で下落は中程度に落ち着き、7年以降は「底値帯」寄りで年式要因より状態・走行や修復歴の影響が大きくなる
– フルモデルチェンジのタイミングは年式減額に段差を作る
– 軽自動車・人気SUV・ミニバンは減額が緩い、セダンや一部輸入車・大型車は初期減額が大きい
– 走行距離は「年式補正」に上乗せされ、標準からの乖離が減額率を強めたり弱めたりする

根拠の出典・参照の方向性

– 日本自動車査定協会(JAAI)の中古自動車査定基準および走行距離の標準(1万km/年)という考え方。

査定は年式・走行・状態を点数化して金額換算する公的色の強い枠組み。

– 相場本(いわゆるレッドブック等)や業者オークションの落札データに基づく月次の時価表。

ディーラーや買取店、損害保険の時価算定が参照。

– 損害保険実務の時価額算定は、上記相場データ+個別状態(修復歴・内外装)で調整する運用。

固定の年次率ではなく「相場に追随する仕組み」になっている。

– 税務上の減価償却(耐用年数6年など)は帳簿価額の計算であり、市場価格の根拠ではないが、初期に大きく後年に小さくという「前傾」形状は市場カーブと方向性が一致しやすい。

実務上の留意点

– 同じ年式でも、修復歴の有無・塩害地域や過酷使用・レンタアップ・喫煙歴・整備記録簿の有無・保証継承の有無などで数十万円単位の差が出ます。

– 季節性(繁忙期の3月・9月や雪国の四駆需要)、為替や金利、半導体不足・物流停滞などマクロ要因で年式減額率が一時的に歪むことがあります。

近年は新車供給制約で中古相場が高止まりし、年式減額が緩くなった時期も観測されました。

– EVは電池SOH(State of Health)の表示・保証条件が相場の実質的な「年式補正」に相当する場合があり、一般の内燃機関車と異なるカーブになることがあります。

結論
– 年式(経過年数)による減額率は、初年に最も大きく、年を追うごとに緩やかになる非線形の前傾カーブが一般的です。

目安として1年で20〜30%、3年で40〜50%、5年で50〜65%、10年で65〜85%程度の累計下落(車種・相場状況で上下)が観察されます。

– この形状の根拠は、中古車査定基準(JAAI)・業者相場データ(レッドブック等)・損保の時価額算定実務といった「市場実勢に基づく仕組み」によって裏づけられます。

税務の減価償却は別体系ですが、初期が大きく後年が小さいという傾向が一致する点で参考になります。

– 実務では年式に加え、標準1万km/年からの走行距離の超過・不足、個別状態、モデルチェンジのタイミングなどが減額率を大きく動かすため、年式だけの一律パーセンテージではなく「年式×走行距離×状態×相場月次」の掛け合わせで評価するのが実態です。

より具体的に自車の年式減額率を知りたい場合は、直近1〜2カ月の業者オークション相場と、JAAI基準に準じた走行距離・状態補正を同時に当てると、実勢に近い値が得られます。

店舗査定でも、これらのデータを背景に価格が説明されるはずです。

走行距離と年式ではどちらが査定額により強く影響するのか?

結論から言うと、「年式」と「走行距離」はどちらか一方が常に勝つわけではありません。

査定の仕組み上は、年式(初度登録年)によっておおまかな相場の“土台価格”が決まり、走行距離は同年式・同条件の中でその個体の価格を上下させる“調整要因”として強く働きます。

若い年式帯(登録1〜3年)では年式の影響が大きく、年式が進むほど(概ね8〜10年超)距離やコンディションの影響が相対的に大きくなりがちです。

さらに、車種・用途・パワートレイン(ガソリン/ディーゼル/ハイブリッド/EV)や市場環境によって力関係は変動します。

以下、査定の仕組み、両者が効く理由、年式帯や車種別の傾向、価格感の例、そして根拠について詳しく説明します。

1) 査定の基本構造
– 市場相場のベース 年式(初度登録年)、モデル(型式・グレード)、装備、色などで「標準的な相場レンジ」がまず形作られます。

これは業者オークション相場や小売実績、在庫回転などを基に日々更新されます。

– 加減点・調整 そこから、走行距離、修復歴(事故歴)、内外装の状態、機関・下回りの状態、タイヤ残、記録簿・整備履歴、ワンオーナー、改造の有無等で加減点されます。

日本自動車査定協会(JAAI)の査定基準やAIS評価など、業界で用いられる基準もこの構造を前提にしています。

2) 年式が強く効く理由
– 減価償却と相場形成 一般に年式が新しいほど残存価値が高く、1年進むごとの相場下落が大きい帯が存在します。

新車から数年は値下がりカーブが急で、年式差のインパクトが大きく出ます。

– 保証・安全装備 メーカー保証(一般保証3年/6万km、特別保証5年/10万kmが目安)や先進安全装備の世代差は購買意欲に直結します。

保証が残る若年式は買い手がつきやすく、査定も高めになります。

– モデルチェンジの影響 フル/マイナーチェンジの直後は旧型の相場が一段下がる傾向。

年式はモデルサイクルの節目を反映します。

– 在庫・金融の都合 若い年式は回転が早く、金融機関の与信・残価設定中古ローンでも評価しやすいため、業者が強気で仕入れやすいという面もあります。

3) 走行距離が強く効く理由
– 機械的摩耗と残寿命 距離はエンジン、駆動系、足回り、内装の使用感などの摩耗度合いと相関が高く、今後のメンテナンス費用リスクに直結します。

– 保証・延長保証の条件 距離超過は延長保証や一部のアフター保証加入の障壁になりやすく、買取側はリスク分を価格に反映します。

– 心理的閾値 5万km、7万km、10万kmといった節目を超えると需要が一段減る傾向があり、オークションでも落札価格が段階的に切り替わる現象が見られます。

– 同年式内での差別化 年式が同じでも、3万kmと8万kmでは商品性がまるで違うため、距離は同枠内の“決定打”になりやすいです。

4) 年式と走行距離、どちらが強いかの「帯」別目安
– 登録1〜3年程度(若年帯) 
年式差の影響が大きい時期です。

保証残、最新装備、モデルサイクルの影響が強く、1年違うだけで相場が大きく変わることも珍しくありません。

ただし距離が極端(例 同年式で2万km対9万km)だと距離の方が優位になり、価格差が一気に開きます。

– 登録4〜7年程度(中間帯) 
年式と距離が拮抗しやすい帯。

フルモデルチェンジ直後でなければ、同年式内の距離差が査定を大きく左右します。

– 登録8〜12年程度(高年式帯=低年式車) 
年式差の影響が鈍り、距離とコンディション、修復歴、整備履歴の比重が高まります。

10万km超の節目は価格に与える影響が大きくなりやすいです。

– 旧車・趣味車・希少車 
一般的な年式/距離の相関から離れ、希少性、オリジナル度、記録、個体の仕上がりが最重要。

距離は補助的な評価軸に下がる場合もあります(逆に極低走行はプレミア化)。

5) 車種・用途別の違い
– 軽・コンパクト・ハイブリッド 
走行距離に比較的敏感。

年式が新しいことへの需要も強く、両者とも効きやすい。

ハイブリッドは高走行でバッテリー寿命を警戒されやすい一方、信頼性実績のある車種は一定の距離許容があります。

– ミニバン・SUV 
家族用途では先進安全装備や内装のヤレが重視され、年式と距離の両方が効く。

モデルチェンジのインパクトも大きい。

– スポーツ/プレミアム・趣味車 
低走行・無改造・記録簿が強いプレミア要因。

年式差よりも「状態」と「希少性」が勝つケースが目立ちます。

– 商用車・ディーゼル 
距離に寛容で、20万km超でも市場が成立。

年式よりもメンテ履歴と実用状態が重視されます。

– EV(電気自動車) 
バッテリーの劣化は「カレンダー劣化(年式)」と「サイクル劣化(走行距離)」の両方に影響されます。

年式と距離の双方が価格に強く効き、SOH(健全度)情報があると査定を左右します。

6) 価格感のイメージ(あくまで一般論の例示)
– 登録3年・同一グレード・無事故・内外装並の場合、走行3万kmと8万kmで20〜40万円程度の差がつく例は珍しくありません。

年式が1年進むことによる相場差は10〜30万円程度になることもありますが、モデルチェンジや人気度合いで振れます。

– 登録10年前後の帯では、年式2年差よりも走行距離5万km差の方が効くケースが目立ちます。

例えば同型で2014年式/7万kmと2012年式/12万kmを比べた場合、後者が明確に不利になりやすい構図です。

これらは車種・地域・時期で大きく変動するため、あくまで「肌感」の参考としてご覧ください。

7) 根拠について
– 査定基準の枠組み 日本自動車査定協会(JAAI)などの査定基準では、年式・型式・装備で基準価格(相場)を定め、走行距離や修復歴、内外装の状態などで加減点する構造が採られています。

つまり制度設計上、年式はベース価格の決定要素、走行距離は調整要素という位置づけです。

– オークション実務 USSやCAAなど業者オークションでは、出品票に年式と走行距離、評価点が明示され、落札価格はこれらに強く相関します。

短期的な相場動向は年式(モデルサイクル・保証残・流通年)で形成され、同年式内の価格帯は距離(と評価点)で細かく分布するのが通例です。

– 保証と需要 多くのメーカーで一般保証3年/6万km、特別保証5年/10万km(車種で差あり)が目安。

この境界を跨ぐと需要の層が変わりやすく、価格に段差が生じやすいという実務的根拠があります。

– 心理的閾値と広告慣行 中古車検索サイトや店頭では「〜5万km」「〜10万km」といったフィルターが一般的で、買い手の検索行動が価格形成に影響します。

8) 実務的な考え方と売却タイミング
– 全体最適の観点では、年式の“下がり方が大きい帯”に長く留まらないこと、保証が残っていて距離が伸び切る前に動くことが効果的です。

– 具体策としては、モデルチェンジ前後の動きに注意する、車検・繁忙期(3月・9月など)の需要を活かす、点検整備記録簿・取扱説明書・スペアキーを揃える、内外装を丁寧に仕上げる(軽微な傷直しやルームクリーニング)といった“商品化”で距離のマイナスを相殺しやすくなります。

– 走行距離を無理に抑えようとして使用価値を損なうよりも、整備履歴を積極的に残す方が査定での安心材料になります。

メーター交換や改ざんが疑われると大幅減額の対象となるため、記録の透明性は極めて重要です。

まとめ
– 年式は相場の土台を決め、特に登録後数年は年式差の影響が大きい。

– 走行距離は同年式・同条件の中で個体差を決定づけ、年式が進むほど影響力が増しやすい。

– 車種・用途・モデルサイクル・保証・市場環境で力関係は変動する。

– 業界の査定基準・オークション慣行・保証条件・買い手の検索行動が、この評価構造の根拠になっている。

最終的には、同じ年式でも距離が極端に多い/少ない個体は相場から大きく外れますし、逆に距離が少なくてもモデル末期や旧型直後で弱含む場面もあります。

査定額を最大化するには、年式と距離の両面を意識しつつ、タイミングと商品化で相場の“波”を掴むことが肝心です。

メンテ履歴や使用環境で走行距離・年式による減額をどこまで抑えられるのか?

ご質問の要旨は「中古車の評価で大きい“年式(経過年数)”と“走行距離”の減額を、メンテナンス履歴や使用環境の良さでどこまで抑えられるか。

可能なら根拠も知りたい」という点だと思います。

結論から言うと、年式・走行距離によるベースの減額(一次補正)は査定の骨格であり、整備履歴や使用環境(いわば“状態情報”)でその全てを相殺することはできません。

ただし、適切な整備記録や好条件の使用環境が明確に示せる車両は、同年式・同走行の平均的な個体に比べて減額を数万円〜十数万円程度(車格や相場局面で上下)縮小できることが珍しくなく、場合によっては5〜10%程度の価格差がつくこともあります。

希少車・高級車・コレクター領域では、整備履歴が価値の中核になり、影響度はさらに大きくなります。

1) 減額基準の基本構造(前提)
– 多くの査定実務(例 日本自動車査定協会 JAAI の査定実務、業者オークションの評価)では、年式・走行距離は基礎価格を決める一次的な補正要因です。

これに対し、外装・内装・機関の状態、修復歴、装備、色、鍵の本数、記録簿の有無などは二次的な加減点として扱われます。

– 走行距離には“標準走行距離”の考え方があり、一般的な実務感覚では「年間1万km前後(車種・用途で差)」が目安です。

標準を大きく超えると過走行による減額、下回ると過少走行の補正が入ることがあります(ただし極端な過少走行はゴム類劣化・作動不良の懸念で逆効果になる場合もあります)。

– 年式は市場の減価スケジュールに直結し、フルモデルチェンジや人気の陰り、保証・ローン・延長保証の適用限界(年式・走行制限)とも絡むため、状態が良くても一定の減価は避けられません。

2) メンテナンス履歴で抑えられる範囲と具体策
整備履歴が価格に効くメカニズムは大きく2つです。

(a) 近未来の出費(リスク)低減、(b) 車両状態グレードの向上=市場での再販容易性の向上。

効きやすい項目
– 正規ディーラーまたは信頼できる工場による定期点検・法定点検の記録簿(整備明細付き)。

スタンプだけでなく作業内容・日付・走行距離が連続していることが重要。

– タイミングベルト交換(ベルト式車)、ウォーターポンプ同時交換履歴。

チェーン式でもテンショナー・ガイドの対応履歴があれば安心材料。

– オイル・フィルターの適切な交換間隔の記録(エンジン・ミッション/AT/CVT・デフ)。

CVTフルードなどは記録が価値。

– ブレーキ(パッド・ローター)、サスペンション消耗品(ダンパー、ブッシュ)、ベルト、プラグ、バッテリーなど主要消耗品の直近交換。

– タイヤ(製造年週・残溝・銘柄)、アライメント実施の記録。

– リコール・サービスキャンペーン対応済みの記録。

– 修理歴がある場合は、修復内容と範囲、フレームへの影響なしを証明できる明細・写真。

期待できる効果(目安)
– 記録簿なし→あり、消耗品不明→直近交換済み、のように“不確実性”を解消できるほど、過走行減額の一部が和らぎます。

実務相場感としては、同条件の無記録車に比べて数万円〜十数万円の差がつく事例は珍しくありません。

特に輸入車・上級車・走行多めの個体で顕著です。

– オークション評価(AIS等)では内外装・機関の評価点が0.5〜1.0点上がると、落札価格が大きく変わります。

これは直接“走行距離の減額”を消すわけではないものの、同年式・同走行の中での上位個体として価格帯が一段上がり、結果的に過走行の影響を相対的に軽減します。

– タイミングベルト交換済みの明確な履歴は、特に10万km前後の節目で効きます。

未交換だと“交換前提コスト”が見込まれて差し引かれ、交換済みならその差引が縮小されます。

限界
– 年式・走行距離の一次補正自体を“ゼロ”にすることはできません。

例えば6年9万kmの車が、整備完璧でも6年6万kmの相場レンジに完全に並ぶ、というような逆転は一般的には難しいです(希少車・整備記録重視のコレクター市場は例外)。

3) 使用環境で抑えられる範囲と具体策
効きやすい環境要素
– 屋内保管(ガレージ保管)、禁煙車、ペット臭なし 内装のヤレ・臭い・天張り汚れ・加飾劣化が少なく、減点が抑えられます。

臭いは再販に大きく影響。

– 沿岸・積雪地域対策 防錆処理、下回り洗浄の実施記録。

融雪剤・潮風による腐食が少ない個体は下回りの減点が少なくなります。

– 長距離・一定負荷の走行比率が高い(いわゆる高速メイン) ブレーキ・クラッチ・ATへの負荷が市街地短距離走行よりも相対的に軽く、消耗具合の説明根拠になります。

– 改造の少なさ(純正戻し、純正部品維持) 過度な改造は減額要因。

純正志向の方が再販容易。

期待できる効果(目安)
– 下回り錆・内装臭気・内外装小傷の減点が減ることで、オークション等の評価点が上がり、結果として市場価格帯が上にズレます。

感覚的には整備履歴の効果と同程度で、合算すると同年式・同走行の平均個体に対し5〜10%程度の価格優位が出るケースがあります。

4) ケーススタディ(あくまで相場感の例)
– 例A 6年落ち・9万km・国産ミドル。

記録簿完備、タイベル交換済、タイヤ8分山、内外装きれい、禁煙、下回り良好。

→ 過走行による減額自体は残るものの、評価点が高く、同走行帯の中で上位価格に。

整備なし・記録なし・タイヤ要交換の同条件車に対し10万円前後の差がつくことは十分あり得ます。

– 例B 10年落ち・5万km・屋内保管・記録簿完備・ワンオーナー。

→ 年式によるベースの減価は大きいが、“過少走行の不安(ゴム劣化等)”を整備記録と状態で払拭できれば、同年式平均より数万円〜十数万円高く売れる可能性。

逆に記録が乏しい低走行は、かえって疑義で伸び悩むことも。

5) 根拠(仕組み面と制度面)
– 査定制度の位置づけ JAAI等の査定実務では、年式・走行が基礎価格の主要因で、状態は加減点で反映される構造になっています。

このため、整備履歴や環境は“加点・減点の抑制”を通じて価格に効きます。

– 市場メカニズム 中古車は将来の保有コストと不確実性が価格に織り込まれます。

記録簿・修理明細・消耗品交換履歴は将来コストの予見性を高め、買い手(業者・エンドユーザー)のリスクプレミアムを縮小し、入札競争を生みやすくします。

– 業者オークションの評価 AIS/USS等の評価表では、内外装の傷・下回り錆・臭い・改造・修復歴・記録簿の有無が点数化され、0.5点の差が落札価格に明確に波及します。

整備履歴・良好な使用環境はこの評価を押し上げる実務的な根拠です。

– 保証・ローンの適用 年式・走行に上限がある商品(延長保証、ローン、認定中古制度等)は、しきい値を超えると価格が段差的に下がります。

しきい値未満かつ状態良好だと、減額抑制が効きやすい背景になります。

6) 実務での具体的アクション
– 点検整備記録簿・明細の保管と提示。

できれば時系列でファイリング。

– 直近で効く整備を売却前に実施(費用対効果を見極める) タイヤ・ブレーキ・オイル類・ワイパー・バッテリーなど。

高額整備は見積を提示できる形でも効果があることがあります。

– 室内クリーニング・脱臭、エクステリアの小傷タッチアップ、ホイールガリ傷補修、下回り洗浄。

– 純正パーツの復元(社外ナビ・足回り等は可能なら純正戻し)。

取説・スペアキー・工具・ナビSD等の付属品を揃える。

– 下回りの錆が出やすい地域は、日常的な洗浄と防錆ケアの記録を残す。

– 売却タイミングの最適化 一般に5年・7年・10年や5万・10万kmといった“節目”の手前で売る方が、段差的な減額を避けやすいです。

モデルチェンジ直後は旧型の相場が下がりやすい点も考慮。

7) どこまで抑えられるかの現実的な上限
– 大衆セグメントでは、整備履歴・良好環境の総合効果で、同年式・同走行の平均個体に対し5〜10%程度の価格上振れ、または過走行減額の縮小(数万円〜十数万円)が現実的なレンジ。

過走行を完全相殺するのは困難。

– 輸入車・高級車・スポーツ・希少車では、整備履歴の重みが増し、個体差が価格に強く反映。

正規ディーラー履歴フル・主要消耗品更新済み・事故歴なし・ガレージ保管で、平均個体に対して大きなプレミアムが乗る例もあります。

– 逆に、記録なし・付属品欠品・臭い・下回り錆・粗い改造は、年式・走行に加えてさらに大きな減額を招きます。

まとめ
– 年式・走行距離の減額は査定の土台で、完全に覆すことはできません。

– しかし、連続性のある整備履歴と良好な使用環境の証明は、リスクを可視的に下げ、状態評価を引き上げます。

その結果、過走行や年式相応の減額を“相対的に”縮小し、同条件群の中で上位価格を狙うことができます。

– 実務的には、記録簿完備・消耗品更新・内外装/下回りのコンディション管理・禁煙・純正維持・付属品完備・適切な売却タイミングの組み合わせで、価格の底上げが可能です。

– 具体的な数値の減額・加点幅は査定機関・車種・相場局面で変動します。

売却前には複数の査定(店頭/出張/オークション代行)を取り、整備記録と状態を丁寧に説明して比較するのが最も効果的です。

【要約】
初度登録13年超の車は自動車税種別割や自動車重量税が割増される(経年重課)。所有コスト上昇で買い手が敬遠し需要が縮小。将来費用も価格に織り込まれ、買取・販売相場は下押しされる。

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