コラム

車の査定基準を完全解説 年式・走行距離・修復歴のボーダーラインと評価配分、査定前の準備ポイント

年式は何年落ちから査定額が大きく変わるのか?

結論から言うと、年式による査定額の「段差」が生じやすいのは、おおむね以下の節目です。

新車〜1年、3年、5年、7年、10年、13年、(一部で)18年。

もちろん車種・グレード・走行距離・修復歴・装備・地域需給によって上下はありますが、日本の中古車市場ではこのあたりで相場の節目が生まれやすく、査定額が相対的に大きく変わる傾向があります。

以下、それぞれの理由と根拠、例外や活用法まで詳しく解説します。

1) 新車〜1年落ち(いわゆる新車落ち)
– 何が起きるか
– 登録した瞬間に「中古」になるため、名義が付いたこと自体で価値が下がります。

1年落ち・低走行でも、新車価格や未使用車(登録済未使用車)の存在が上限を抑えるため、初期の落ち幅が比較的大きくなりやすいです。

– 根拠・背景
– ディーラーの新車値引きや在庫車、未使用車の相場が価格上限として意識される。

– 減価償却の初期費用が大きい(保有者側の原価観が市場に反映されやすい)。

– 傾向
– 相場環境に左右されますが、通常時は新車価格比で15~30%程度の下落が目安になる車種が多い。

半導体不足などで新車供給が細る局面ではこの落ち幅が緩むこともあります。

2) 3年落ち(初回車検・一般保証満了の節目)
– 何が起きるか
– 新車登録から3年で初回車検。

多くのユーザーが「車検前に手放す」行動を取り、リース・法人車の3年満了返却も重なって中古市場の供給が増えます。

メーカーの一般保証(目安 3年または6万km)満了も買い手心理に影響。

– 根拠・背景
– 車検サイクル(新車は3年、その後2年ごと)は道路運送車両法に基づく制度。

保証約款も多くのメーカーで一般保証3年、特別保証5年が通例。

– 3年を境にオートオークションへの出品が増え、相場が一段下がりやすい。

– 価格への影響
– 同条件で「車検残あり」と「車検切れ直前」では小売り想定整備費の差が査定に織り込まれ、数万円~十数万円の差がつくことが珍しくありません。

3) 5年落ち(特別保証・主要消耗品・モデルライフの節目)
– 何が起きるか
– 特別保証(目安 5年または10万km)が切れる時期。

足回り、タイヤ、バッテリー、ブレーキなどの交換タイミングが重なりやすく、整備費見込みが査定に反映されます。

– 多くの車種でフルモデルチェンジ周期(約5~7年)の前後にあたり、旧型化が明確になります。

– 根拠・背景
– メーカー保証体系、実務の点検・交換サイクル、モデルチェンジの慣行。

– 価格への影響
– 3年→5年で再度の段差が生まれやすい。

新型発表・発売タイミングでは在庫の評価見直しが入りやすく、旧型相場は数%~10%程度下振れすることもあります。

4) 7年落ち(モデル末期・二極化の始まり)
– 何が起きるか
– 同一型の流通量が減り始め、「年式は古いが程度が良い玉」が希少になってプレミアを保つケースと、一般的な個体が相場なりに下がるケースに二極化します。

– 一部SUVやバン系では海外需要が入って底堅くなることも。

– 根拠・背景
– モデルチェンジ2サイクル目に差し掛かる車種が増え、旧型感が強まる一方で、供給の減少や指名買いが価格を支える。

5) 10年落ち(心理的・物理的な大台 10年/10万km)
– 何が起きるか
– 「10年」「10万km」といった分かりやすい大台は検索フィルターや買い手の心理に強く作用し、同条件でも跨ぐと一段安くなりやすい。

– 保証外・経年劣化リスクの意識が強まり、小売価格帯のレンジが下がり、買取では整備原価の見込みが大きく差し引かれます。

– 例外
– ランドクルーザー、ハイエース、ジムニーなど輸出・趣味性の高い車は10年超でも高値維持があり得ます。

6) 13年超(税負担の重課が直撃)
– 何が起きるか
– 維持費増がダイレクトに再販価値を下げます。

普通車は自動車税(種別割)が初度登録から13年超でおおむね約15%重課(電動車等除く)。

軽自動車税も13年超で約20%重課。

さらに自動車重量税は13年超で税率アップ、18年超で一段とアップ(車検時に2年分)。

– 根拠・背景
– 税制上の経年重課制度が存在し、買い手の維持費負担増=支払意思額の低下につながる。

– 価格への影響
– 13年の境目はコンパクト・軽で特に効きやすく、査定で数万円~十数万円の差がつくことがあります。

国内需要が弱まる一方、輸出需要が拾えば相場の下支えが生じる車種もあります。

7) 18年超(重量税重課第2段・旧車領域)
– 何が起きるか
– 国内の実用需要から、趣味・旧車市場に軸足が移ります。

希少性・コンディション・履歴(記録簿・ワンオーナー等)の重要度が極端に高くなり、評価の上下幅が大きくなります。

– 根拠・背景
– 重量税のさらなる重課、部品供給や整備体制の問題、逆にコレクタブル性の高まり。

年式以外との相互作用
– 走行距離との換算
– 実務では「1年=1万km相当」という目安で年式と距離の重みをバランスさせることがあります(車種により係数は変動)。

例えば3年3万kmは中庸だが、3年6万kmは年式の若さを距離が打ち消す、という評価になりやすい。

– 大台は5万km、7万km、10万kmに意識が向きやすい。

– 修復歴(事故歴)
– 年式が若いほど修復歴の減額インパクトは相対的に大きく、古い年式では相対比率が小さくなる傾向。

ただし骨格・エアバッグ作動歴など内容次第で影響は大きく変わります。

– グレード・装備・色
– 人気グレード/寒冷地仕様/先進安全装備有無/カメラ類やナビの世代などは年式の弱点を補うことがあります。

セグメント別の違い(年式による段差の出方)
– 軽・コンパクト
– 初期減価が大きく、3年・5年での落ちが目立つ。

13年超の税重課の影響も強い。

維持費志向の買い手が多く、車検残や消耗品状態を重視。

– ミニバン・ハイブリッド
– ファミリー需要の中心で、フルモデルチェンジの影響が大きい。

3~5年で段差が出やすい。

– SUV・クロカン
– 海外需要が入り、7~15年でも底堅い車種がある。

逆に流行依存の都会派SUVはモデル末期で落ちやすい。

– 輸入車
– 初期落ちと3年落ちの段差が大きく、5年以降は保証・整備費の不確実性でさらに下げやすい。

限定車・高性能グレードは例外。

– EV・PHEV
– 走行用バッテリーの劣化と保証(多くが8年・16万km目安)が価格曲線に反映。

8年付近での段差、急速充電規格や航続距離の陳腐化も影響。

– 商用バン・トラック
– 年式より距離・整備履歴・架装の有無が重視され、10年超でも高値が付くことがある。

相場の外生要因
– 新車供給・為替・補助金・税制改正・季節要因(決算期や車検期)・モデルチェンジ発表などで短期的に段差の大きさが変化します。

近年は新車供給の乱れにより、1~3年落ちの下落が平時より小さかった時期もあります。

根拠の整理(制度・市場メカニズム)
– 車検制度
– 乗用車の新車は初回3年、以後2年ごと。

車検前に売却・入れ替えの動機が高まり、3年・5年・7年など偶数回の車検前後で供給と需要の偏りが生じやすい。

– メーカー保証
– 一般保証3年・特別保証5年(走行距離上限あり)が通例。

保証切れは買い手のリスク認識を高め、査定に織り込まれやすい。

– 税制の重課
– 自動車税(普通車の種別割)は初度登録から13年超で重課(概ね約15%)。

軽自動車税は13年超で約20%重課。

自動車重量税は13年超・18年超で段階的に重課。

維持費の上昇は中古車の支払意思額を直接引き下げる。

– 供給の偏り
– 法人・リース車の契約期間(3年・5年)が市場への放出時期を集中させ、該当年式の相場を押し下げる。

– モデルチェンジサイクル
– 5~7年周期のフルモデルチェンジで旧型の魅力が相対的に低下。

発表段階から期待値で下がることも。

参考となる相場イメージ(あくまで一般例)
– 新車価格300万円の量販ミニバン(無事故・平均走行)の場合
– 1年落ち 240~260万円
– 3年落ち 170~210万円
– 5年落ち 120~160万円
– 7年落ち 90~130万円
– 10年落ち 50~90万円
– 13年超 30~70万円(輸出需要の有無でぶれ)
同じ「年式」でも、走行距離や修復歴、装備・グレードで±数十万円動くことは普通にあります。

売却タイミングの実務的な指針
– 価格を重視するなら、以下のどれかの「節目の前」に動くのが有利になりやすいです。

– 3年(初回車検前、保証残ありのうち)
– 5年(特別保証・消耗品コストが重くなる前)
– フルモデルチェンジ「発表前~直後」より前
– 10万km到達前、10年到達前
– 13年の税重課前
– 車検は「残っているほど」有利。

ただし車検を通してから売るべきかは、車検・整備費の見積と相場上昇見込みの比較で判断します(数万円の整備で十数万円上がるケースもあれば、その逆も)。

注意点・最後に
– ここで述べた「段差」は、平常時の一般的傾向です。

コロナ禍以降の新車供給制約や為替変動、海外需要の変化により、1~3年落ちの相場が高止まりしたり、特定SUVや商用バンが年式に反して高騰した時期もあります。

– 個別の車は、年式よりも「状態(整備記録、内外装、タイヤ残、事故歴)」「装備・グレード」「色」「地域の需給」で結果が大きく変わります。

実査定では複数社の同時見積と、最新のオークション相場を参照するのが確実です。

まとめ
– 年式で査定額が大きく変わる節目は「新車~1年」「3年」「5年」「7年」「10年」「13年」「18年」。

– その根拠は、車検・保証・税制・モデルチェンジ・供給集中・買い手心理という制度・市場メカニズムにあります。

– ただし年式は評価軸の一つに過ぎません。

走行距離・修復歴・装備・需要動向との掛け算で実勢価格は決まります。

売却時期は「節目の少し前」を基本に、個体の状態と市場の気配を見て判断すると良いでしょう。

走行距離は何kmを境に評価が下がりやすくなるのか?

ご質問の趣旨(査定基準のうち特に「走行距離は何kmを境に評価が下がりやすいか」)に絞って、業界の実務感覚と背景理由(根拠)を交えて詳しくまとめます。

結論から言うと、一般的な乗用車では「3万km・5万km・7万km・10万km」が分かりやすい境目で、特に10万kmは大きな段差が生じやすい“心理的・制度的な壁”です。

ただし、年式や車種、保証・整備履歴、修復歴の有無などとの組み合わせで評価は動くため、以下の全体像で捉えるのが実用的です。

1) 基本の考え方(平均走行と相対評価)
– 日本の乗用車の平均的な年間走行距離はおおむね7,000〜10,000kmが目安とされます。

査定では「年式×平均走行」を基準線とし、それより多ければマイナス、少なければプラスに働きやすいという相対評価が行われます。

– 例えば5年落ちで5万km前後は“年式相応”、3万kmなら“低走行で好条件”、10万kmなら“多走行”という見られ方になりやすい、という具合です。

2) 評価が下がりやすい主な閾値(一般的な乗用車)
– 〜1万km
新古車に近く、極端に高評価。

実質的に「ほぼ未使用」に近い印象を与えます。

– 〜3万km
低走行帯。

中古車検索で「3万km以下」の条件が多用されるため需要が厚く、相場が安定しやすいゾーンです。

3万kmを超えると「低走行」のプレミアムが薄れやすくなります。

– 3万〜5万km
年式相応帯の上限。

5万kmを跨ぐと軽い“段差”が出やすく、買い手の検索条件や心理(キリの良い数字)でも線引きされがちです。

– 5万〜7万km
「そろそろ消耗品の交換が増えそう」という意識が働きやすい層。

ダンパーやブレーキ、ベルト類、冷却系、タイヤ等のコストが連想され、7万kmを超えたあたりから敬遠する層が増えます。

– 7万〜10万km
次の大台を意識される層。

車種や整備履歴によっては十分に好条件もありますが、「次のオーナーの手元で10万kmを跨ぐかどうか」を気にする人が増えるため、9万km台は売却タイミングとして微妙になりがちです。

– 10万km(大きな節目)
目に見えて需要が減り、相場が一段下がりやすい分岐点。

多くの買い手・販売店が検索や在庫基準で「10万km以下」を一つの線としていること、保証や整備の節目(後述)が重なることが主因です。

– 10万〜15万km
選ぶ人は選ぶ層。

整備履歴や使用状況(高速メイン等)次第で評価が割れます。

車種・グレードによっては輸出需要など別の需要にシフトすることも。

– 15万〜20万km
さらに需要が狭まり、状態・価格次第。

耐久性に定評のあるモデル、ディーゼル、商用ベース車などは比較的評価が残りやすい一方、一般的なコンパクトや軽自動車では厳しくなります。

– 20万km〜
希少な例外(趣味性の高いモデル、タフなディーゼル、整備記録が完璧など)を除き、相場は限定的。

次のオーナーも「部品更新を織り込む」前提で価格が付きます。

3) なぜそのkmで評価が落ちやすいのか(根拠・背景)
– メーカー保証・延長保証の線引き
多くの国産メーカーで「一般保証は3年/6万km、特別保証(パワートレーン等)は5年/10万km」といった区分が一般的です。

10万kmを超えると“主要部位の長期保証の外”という心理的ハードルになり、延長保証商品も対象外になることが増えます。

– 整備スケジュール・大物交換の節目
旧来のタイミングベルトは概ね10万kmが交換目安(近年はタイミングチェーンが増加)。

そのほか、ダンパー・マウント・ブッシュ類、補機ベルト、ウォーターポンプ、CVTフルード等、10万km前後で“まとめてコストが出やすい”という整備現場の実感があります。

買い手はこの将来コストを価格に織り込むため、10万kmを節目に下がりやすくなります。

– 金融・小売の運用上の閾値
販売店の在庫基準や金融会社のローン・保証付帯条件で「10万km超は対象外」「保証短縮」などの線が引かれることがあり、店側の仕入れ上限価格が下がります。

これが業者間相場(オークション)にも波及します。

– 検索条件・心理的要因
中古車検索サイトでは「3万km以下」「5万km以下」「10万km以下」が主要な絞り込み。

買い手の母数が一気に減る境目で価格が下がりやすくなります。

キリの良い数字の心理効果も無視できません。

– 業者間オークションの相場構造
実務的には、同等条件の車が10万kmを跨ぐと落札レンジが一段下がる傾向が広く認識されています。

公開相場(成約レンジ)の層の厚みが変わるため、小売販売価格にも段差が生じます。

4) 車種・用途別の違い
– 軽自動車
多走行に比較的シビア。

軽は街乗り・短距離・ストップ&ゴーが多く、消耗が早いと見られがち。

5万km、7万km、10万kmの各段で下げ幅が出やすい。

– コンパクト/セダン/ミニバン/SUV(ガソリン)
上記の一般則がそのまま当てはまりやすい。

ファミリー用途のミニバンは内装の使用感とも相関するため、距離と内装状態の一体評価になりやすい。

– 輸入車(特に欧州プレミアム)
保証満了後・5万〜7万km付近から維持費の上振れを警戒されやすく、下げが早まることも。

10万kmの壁は国産以上に強く働きがち。

– ディーゼル/商用ベース
高耐久イメージにより距離許容量が広い。

15万kmでも整備履歴が良ければ需要が残りやすい。

– タクシー/レンタアップ/法人多走行
距離だけでなく使用形態の情報が価格に強く反映。

距離の下げ幅は大きくなりがち。

5) ハイブリッド・EVの距離の見られ方
– ハイブリッド(HEV)
駆動用バッテリーの保証が目安(例 8年/16万kmなどメーカー・条件により異なる)。

この保証線や10万kmの一般的な節目が意識されます。

実態としては距離よりもバッテリー診断結果やHVメンテ履歴が重要視されます。

– 電気自動車(BEV)
走行距離そのものより「バッテリー劣化(SOH)」の方が価格に直結。

とはいえ、8年/16万km程度のバッテリー保証ラインや10万kmの心理的な節目は市場で意識されがち。

急速充電回数・温度管理・使用地域も評価材料になります。

6) 年式・修復歴との相互作用
– 年式が新しいのに距離が多い(例 2年で6万km)は「使われ方がハード」と見られやすく下げが大きくなりやすい。

一方、年式が古く距離が年式相応(10年/8万kmなど)なら距離ペナルティは緩和されます。

– 極端な低走行の古い車(例 15年/2万km)はゴム・シール類の経年劣化や油脂類の劣化リスクが懸念され、必ずしも高評価になるとは限りません。

定期的な油脂交換の記録が重要です。

– 修復歴(骨格修正を伴う修理)があると、距離より先に大幅な減価が入るのが通例。

修復歴あり×高走行は二重のマイナスになりやすいです。

7) 具体的な売却タイミングの目安
– 30,000kmを跨ぐ前、50,000kmを跨ぐ前、そして100,000kmを跨ぐ前は、需要母数の多いゾーンを保ちやすく相場が安定。

例えば「49,800kmでの売却」と「50,200kmでの売却」では、検索条件のヒット件数が変わり、提示額に差が出やすいことがあります。

– 9万km台は次オーナーで10万kmを跨ぐ懸念があるため、売るなら「8万km台のうち」か「10万kmを超えて価格訴求で割り切るか」という戦略が立てやすいです。

– 高額な定期交換(例 タイミングベルト一式等)を事前実施しても、費用全額が下取り価格に乗るとは限りません。

見積時に「実施済みでいくら上がるか」を確認し、売却と整備の順序を検討するのが現実的です。

8) 走行距離以外で距離ペナルティを緩和・上乗せする要素
– プラスに働く要素
定期点検記録簿・領収書が揃っている、ワンオーナー、屋内保管、禁煙車、高速主体で使用、純正パーツ中心、タイヤ/ブレーキ等の消耗品が新しい、内外装の美観が良好。

– マイナスに働く要素
粗い使用痕(内装の傷み・臭い)、不適切な改造、事故歴・修復歴、塩害地域・融雪剤の影響(下回り腐食)、整備記録の欠落、タイヤ・油脂類の放置。

9) まとめ(要点)
– 一般的な評価の“境目”は「3万・5万・7万・10万km」。

特に10万kmは保証・整備・金融・検索条件が重なるため大きな段差になりやすい。

– 年間7,000〜10,000km程度を基準に、年式との整合性で距離ペナルティの重さが変わる。

– 車種・パワートレーンによって距離許容度は違う。

輸入車や軽は距離にシビア、ディーゼルや商用ベースは距離に寛容。

– HEV/BEVはバッテリーの状態・保証線が重要。

距離は補助的指標になりやすい。

– 整備・使用履歴や内外装コンディションが距離ペナルティを大きく緩和し得る。

– 売却は「大台を跨ぐ前」を意識すると有利に進めやすい。

以上が、走行距離に関する査定の下がりやすい境目と、その背景(根拠)の整理です。

実車の評価は年式・修復歴・装備・地域相場・時期(モデルチェンジや季節要因)で動くため、売却前には複数社で査定を取り、距離の大台や整備履歴のアピール方法を含め比較検討するのが得策です。

どこまでの損傷・修理が「修復歴あり」と見なされるのか?

結論から言うと、日本の中古車市場で「修復歴あり」と見なされるのは、事故や外的要因などによって車体の骨格(フレーム)部分に損傷が生じ、それを修理・交換・修正した履歴がある車です。

ここでいう「骨格」とは、ボディの剛性や寸法精度を担い、直進性・衝突安全性・ドアや足回りの取り付け精度などに直接関わる構造部位を指します。

ボルトで簡単に脱着できる外板や付属品(ドア、ボンネット、バンパー、フロントフェンダー外板など)の交換・塗装は含みません。

したがって、見た目のキズ・凹み修理は広義の「事故歴」ではあっても、骨格に及んでいない限り「修復歴」には該当しません。

以下、査定の実務で用いられる考え方、どこまでが修復歴になるのか、グレーゾーンの扱い、そしてその根拠について詳しく解説します。

修復歴の基本定義

– 修復歴ありとは「骨格部位に損傷があり、修理(鈑金・溶接・交換・修正機での矯正など)を行った車両」を指します。

– 骨格部位の修理が一切なく、外板パネル・付属品のみの交換や塗装にとどまる場合は「修復歴なし」と判定されます。

– なお、一般的な「事故歴」という言葉は定義が統一されておらず、エアバッグ展開や足回り損傷などを含めて広く使われますが、査定基準上の「修復歴」とは別概念です。

骨格部位(修復歴判定の対象)に含まれる主な部位
団体や車種により名称の差異はありますが、査定現場で広く骨格として扱われる代表例は次の通りです。

– フレーム・メンバー類
– サイドメンバー(フロント/リア)
– クロスメンバー(サブフレーム含む溶接一体のもの)
– パネル・レール類
– ピラー(A/B/C/Dピラー)
– ルーフパネル、ルーフレール
– ダッシュパネル(カウルパネルを含む場合あり)
– フロアパン(センターフロア、サイドシル・ロッカーパネル、リアフロア)
– トランクフロア
– バックパネル
– フロントインサイドパネル(ストラットタワー周辺を含む)
– リアインサイドパネル、リアサイドメンバー
– ラジエータコアサポート(溶接固定のもの。

ボルト留め式は原則対象外)
– サスペンション取付部(ストラットタワー等)
– 取付部周辺の変形・修理がある場合は骨格への影響ありと判定されやすい

修復歴に「該当する」具体例

– ピラー部の鈑金・交換(軽度でも形状修正のために引き出し・叩き出し・溶接等を実施していれば対象)
– ルーフパネルの交換や鈑金( hail damage の大規模修理なども含む)
– サイドメンバーの曲がり・しわに対するフレーム修正機での矯正、または交換
– フロントインサイドパネル(ストラットタワー含む)の修理・交換
– ダッシュパネルの修理・交換
– バックパネルやトランクフロアの修理・交換(追突で押されて矯正した等)
– フロアパンやサイドシル(ロッカーパネル)の修理・交換(ジャッキ掛けの過誤で大きく歪ませ、矯正したケースも含み得る)
– ラジエータコアサポートが溶接固定型で、交換・修正が入っているケース
– サスペンション取付部の歪み修正(アライメントが出ない状態を骨格修正で是正した等)

修復歴に「該当しない」具体例

– 外板パネル・付属品の交換や塗装
– ドア、ボンネット、トランクリッド、フロントフェンダー外板、バンパー等の交換・塗装
– ボルト留め式のラジエータコアサポート交換(溶接を伴わないタイプ)
– ラジエータ、コンデンサー、ライト、補機類の交換
– サスペンションアーム・ショック・ハブ等、足回り部品の交換(ただし取付部の骨格損傷を修理していれば修復歴)
– エアバッグ・シートベルトの交換(これ自体は「事故歴」ではあるが、骨格に手を入れていなければ修復歴ではない)
– 小さなヘコミのデントリペア、表面の擦り傷の塗装のみ

グレーゾーンでの実務的判断

– ピラーの軽微な傷・表面凹み
– 単なる塗装修理で骨格形状に手を入れていない場合は「修復歴なし」と判定されることが多い。

– 一方、面が崩れており叩き出し等で形状修正(鈑金)を施していれば骨格補修として「修復歴あり」になる運用が一般的。

– コアサポート
– ボルト留め式は原則対象外。

溶接タイプは骨格扱いで、修正・交換があれば修復歴。

– サブフレーム
– ボルトオンのサブフレーム自体の交換は単体では修復歴に直結しないが、取付基準位置のズレや溶接一体のクロスメンバーに修正が及ぶと修復歴に該当。

– 水没歴・焼損歴
– 構造修理の有無とは別軸で重要な告知事項。

冠水・焼損が骨格修理を伴えば当然修復歴にも該当し得るが、伴わない場合でも査定上は大幅な減価要因。

どこまでが「軽微」かの目安

– 骨格部位の「塗装のみ」「シーラー打ち直しのみ」「防錆塗布のみ」のような外観処置は、骨格形状や剛性に影響する修理に当たらない限り修復歴としない扱いが多いです。

– 一方で、スポット溶接跡の打ち直し、引張り跡、パネル交換の溶接ビード、純正シーラーの切れ・再施工痕、計測器による寸法不整の是正記録があれば、軽微であっても修復歴とされます。

査定現場での確認方法(参考)

– 目視点検
– スポット溶接痕の乱れ、再塗装の厚盛り、シーラーの非純正形状、パネル重ね合わせ部の不自然な段差
– 計測
– ジグ・三次元計測機・ボディアライメントデータで主要基準点のズレを確認
– 試走
– 直進安定性、ステアリングセンター、異音の有無、アライメントの出方
– 記録
– 保険修理見積書、板金修理明細、事故状況の申告(買取では告知書の記載が重視)

年式・走行距離との関係(査定の肌感)

– 年式が新しい・走行距離が少ないほど、同程度の修復歴でも価格への影響が相対的に大きくなる傾向があります。

新車に近い個体では骨格修理歴の有無が流通段階での扱いを大きく左右するためです。

– 年式が古い・走行距離が多い個体では、もともとベース価格が低下しているため、修復歴による絶対額の下落は相対的に小さく感じられる場合もあります。

ただし安全性や直進性に関わる重度の骨格修理は、年式に関わらず敬遠されやすいです。

– 修復歴の内容(どの部位にどの程度の修理か)と仕上がり(測定上の真っ直ぐさ、走行テスト結果)のほうが、単純な年式・走行距離よりも価格差を生むことが少なくありません。

根拠(基準・規約の位置づけ)

– 日本自動車査定協会(JAAI)の「中古自動車査定基準・細則」
– 査定士資格の教育・認定で用いられる基準で、修復歴の定義や骨格部位の扱い、部位ごとの評価方法が整備されています。

– 自動車公正取引協議会(AFTC)の「中古自動車の表示に関する公正競争規約・同施行規則」「表示ガイドライン(修復歴の表示に関する運用基準)」
– 消費者向け表示で「修復歴の有無」を適正に告知するためのルール。

骨格修理に該当する場合は「修復歴あり」と明示すべきとされています。

– 第三者機関の検査基準(例 業界大手の検査・評価システム)
– 各機関の細部表現は異なるものの、骨格部位に手が入ったかどうかで修復歴の判定を行う点は共通しています。

これらの基準は業界全体でほぼ共通理解となっており、「骨格に手が入っているか否か」が修復歴の線引きです。

なお、車種・構造(例 ボルトオンのラジエータサポートを採用する車、アルミや高張力鋼を多用する車、EVでフロアに高剛性バッテリーケースを持つ車)によって、どの部位を骨格とみなすか、修理の度合いをどう評価するかに実務上の細やかな差が生じることがあります。

査定時には、該当車種の整備書やメーカー基準、検査機関の運用に照らして判断されます。

実務上の注意点

– 売却時の申告
– 過去の修理については、骨格部位に関わる可能性が少しでもあるなら、修理明細の開示や正直な申告がトラブル防止になります。

後日発覚すると減額や契約不適合の問題に発展することがあります。

– 購入時の確認
– 第三者機関の検査票や修復歴の有無の表示、試走、下回りの確認などで、骨格補修の有無・内容・仕上がりを確認すると安心です。

– 仕上がりの良し悪し
– 同じ「修復歴あり」でも、基準点を正確に出して適正に修理された車と、寸法・アライメントに歪みが残る車では、実走フィーリングも市場評価も大きく異なります。

まとめ
– 「修復歴あり」とは、骨格部位に損傷が生じ、それを修理・交換・矯正した履歴があること。

– ドアやボンネット等の外板・ボルトオン部品の交換や塗装は原則「修復歴」に含まれない。

– 境界は「骨格に手が入ったかどうか」。

ピラー・サイドメンバー・フロア・ルーフ・インサイドパネル・バックパネル等への鈑金・溶接・交換・矯正は修復歴。

– 根拠は、日本自動車査定協会の査定基準・細則、自動車公正取引協議会の公正競争規約・表示ガイドライン等に基づく業界統一運用。

– 年式・走行距離は価格影響の強弱に関係するが、修復歴の有無自体の判定はこれらとは独立して決まる。

もし気になる具体的な修理内容(例えば「Aピラー下部に鈑金あり・交換なし」「ボルトオンのコアサポート交換のみ」「後部フロア軽微修正」など)があれば、個別に「修復歴に該当するか」「市場での評価はどうか」をより踏み込んでお伝えできます。

年式・走行距離・修復歴は総合的にどう配分して評価されるのか?

結論から言うと、年式・走行距離・修復歴の3要素は「固定配分の点数制」で一律に評価されるわけではありません。

実務ではオークション相場(USS、TAA、CAA、JUなど)の落札価格データと検査評価(AIS、各AAの評価点)を基準に、車種・グレード・時期ごとの需給を加味して価格が決まります。

そのうえで3要素は次のような力関係になりやすい、というのが現場感です。

重みの大枠(目安の順序) 修復歴の有無(最も重い)> 走行距離(中~重い)≒ 年式(中)
ただし年式は「基準価格(ベース価値)」を規定し、走行距離はその微調整、修復歴は割引係数でガツンと下げる、という役割分担になりやすい

以下、どのように総合配分されるか、その根拠とともに詳しく説明します。

1) 実務の全体像(相場から逆算するアプローチ)
– スタート地点 年式×グレード×装備×色などで「同等条件の無修復・標準距離の相場」をAAデータから引く
– 調整1(走行距離) 同年式の標準走行距離(年7,000~10,000kmが慣行目安)からの超過/不足で加減点
– 調整2(修復歴) 骨格部位に修正・交換がある「修復歴車」なら、相場に対して大きめの割引係数を乗じる
– 調整3(個体差) 外装内装の傷、タイヤ残、記録簿・ワンオーナー、需要期(SUVは冬前、オープンは春先など)で微修正

この「相場→距離補正→修復歴係数→個体差」の順が一般的で、点数を機械的に足すより現実の価格形成に近いです。

2) 各要素の相対的な重みと典型的な影響幅

A. 修復歴(骨格損傷の修復・交換の有無)
– 定義の根拠 自動車公正取引協議会や日本自動車査定協会(JAAI)の基準では、骨格部位(例 フレーム、インサイド/サイドメンバー、ピラー、ラジエータコアサポート、クロスメンバー、ダッシュ/ルーフ/フロアパネル等)に修正・交換があれば「修復歴車」。

フェンダー・ドア・ボンネット等の外板の交換は修復歴に含まれません。

– 相場影響 同条件の無修復車対比で概ね10~30%の下落が相場的に多い。

高級車・輸入車・スポーツカーでは20~40%(場合によっては50%近い)まで拡大することも。

– 位置と程度で差 溶接を伴う骨格交換や、フロントインサイド/サイドメンバー、ピラー損傷はマイナスが深く、コアサポート軽微修正やボルトオン骨格交換(ボルト留め部位)のみなら比較的軽い。

AAの評価点では無修復の4~4.5点が、修復歴でRA/R相当となり落札価格帯が階段的に下がる傾向。

– 実務上の理由 認定中古車の対象外、保証条件の制約、将来売却時の不利、走行性能・直進性・雨漏りリスク等、買い手の心理的ディスカウントが大きいため。

B. 走行距離
– 基準感 年式ごとに「平均的な走行距離」レンジがあり、これに対する過不足で調整。

日本では年7,000~10,000km/年程度が目安。

– 影響の仕方 
– 新しめの年式ほど距離の多寡による影響が大きい(例 登録2年で4万kmは敬遠されやすい)。

– 古くなると距離の影響は相対的に鈍化するが、10万kmや15万kmといった節目では再度ハードに効く(整備コスト想起・耐久イメージ)。

– 定量の目安 車種や市場局面で大きく変わるが、1万kmあたりの調整が軽・コンパクトで5千~1.5万円、ミニバン・SUVで1~3万円、プレミアム/輸入で2~5万円といったレンジ感が現場にある(同一年式帯での比較時)。

過走行帯(10万km超)では加速度的に下がることがある。

– 根拠 AAの出品票(走行距離明記)に対する落札値のばらつきをヘドニック的に見ると、年式帯ごとの距離差が価格を説明する主要変数のひとつになっている。

ディーラー下取の査定表でも「年式帯×距離帯」の価格マトリクスを持つのが一般的。

C. 年式
– 役割 車の「ベース価値」を大きく規定する。

フルモデルチェンジや人気サイクル、法規(排ガス規制/安全装備)切り替えの節目で段差的に動く。

– 影響の仕方 
– 新車~3年 値落ちが急(初期減価)。

– 3~7年 緩やかに低下、モデル末期・在庫圧力・MC発表で下振れ。

– 7~12年 相場は下方安定だが、整備履歴・機関状態で個体差が拡大。

– それ以上 市場参加者が減る一方、希少グレード・低走行はプレミア化も。

– 根拠 新車価格の残価カーブ、リース残価設定、AA落札価格の年式別分布から一貫して観測される傾向。

3) 3要素の配分イメージ(簡易モデル)
– ベース相場(年式×グレード×装備×色)の無修復・標準距離価格=P0
– 距離補正 M = 1 + α×(実走行-標準走行)/1万km
– 修復歴補正 R = k(無修復=1.00、軽微修復=0.90前後、骨格交換含む=0.70~0.85、車種により0.60台も)
– 最終価格 ≈ P0 × M × R ± 個体差(内外装、タイヤ、記録簿、シーズン、色など)

このモデルでは、年式がP0を決め、走行距離は傾き(α)で加減、修復歴は係数(k)で一気に水準を下げる役。

統計的に見ると、修復歴のダミー変数の係数絶対値が最も大きく出ることが多い一方、年式は切片に近い働きをし、距離は年式帯によって弾力性が変わる、という解釈になります。

4) セグメント別の体感ウェイト差
– 軽・コンパクト 価格帯が低めで距離の相対影響はやや小さめ。

修復歴は依然大きいが、-10~20%あたりが多い。

– ミニバン・SUV 需要期の波が強く、距離・装備(両側電動/サンルーフ/4WD)で差が出やすい。

修復歴は-15~30%。

– 高級・輸入・スポーツ 無修復・低走行のプレミアが顕著。

修復歴は-20~40%(場合により-50%)。

距離のペナルティも大きい。

– 旧車/趣味車 年式の古さはむしろ希少価値に転化。

修復歴でも「適切なレストア」と評価されるケースがあり、一般則が反転することも。

5) 「修復歴」と「事故歴」の誤解
– 業界では「修復歴=骨格に手が入ったもの」がキーワード。

外板交換やバンパー修理は事故があっても修復歴ではない。

– 買い手は「修復歴=構造的ダメージ」「事故歴=広義の事故経験」と認識が分かれ、価格形成に効くのは主に前者。

根拠は公取協・JAAI・AISの定義運用。

6) 数値例(あくまでイメージ)
– 例1 5年落ちコンパクト、標準走行5万km、無修復、P0=100万円
– 実走行6万km(+1万km) 距離補正-1万円(M=0.99想定)→ 99万円
– 例2 上と同条件で修復歴R(骨格修正あり、k=0.80想定)→ 99×0.80=79.2万円
– 例3 同型で2年落ち1.5万km、無修復、P0=170万円、実走行3.5万km(+2万km) 距離ペナルティが強く-4万円/万km=-8万円→162万円
– 例4 輸入SUV、3年落ち3万km、無修復P0=450万円、修復歴RA(軽微、k=0.88)→ 396万円、さらに色や装備で±数十万円振れることも

7) 根拠の整理
– 基準と定義 
– 一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)の査定士教本・基準(骨格部位の定義、修復歴の判定)
– 自動車公正取引協議会の表示基準(修復歴の表示ルール)
– AIS(第三者検査)の評価点・R/RA区分と部位区分
– 相場の実証 
– USS/TAA/CAA/JUなどの業者オークションの出品票(評価点・走行距離・修復歴有無)と落札価格の関係。

実務でのヘドニック回帰や社内係数により、修復歴ダミーは二桁%の下げ、距離は年式帯ごとに1万km当たり数千~数万円の係数、年式はベース価格差で説明されることが一般的。

– メーカー系認定中古車の受け入れ基準(修復歴不可、走行距離や年式の上限設定)も価格弾力性の根拠となる。

– 市場慣行 
– ディーラー下取り査定表や買取店の内部マトリクスで「年式×距離」の基準金額と「修復歴係数」が別建てで存在するのが普通。

8) 3要素の相互作用と例外
– 新しい年式ほど距離の影響が強い(走行密度が故障リスクや内装劣化の指標になるため)。

– 同じ修復歴でも新しめ・高額帯の車ほど割引率が大きくなりやすい(買い手層の許容度が低い)。

– マイナーチェンジ、安全装備(ACC/ブラインドスポット)、排ガス規制対応の有無で年式の段差が生じる。

– リセールの強い車(人気SUV/ハイブリッド等)は距離・修復歴のネガを相対的に吸収しやすい一方、元値が高い分、絶対額の下落は大きく見える。

– 旧車・限定車は一般則が当てはまらないことがある(修復=レストア評価、距離より履歴の透明性が重視)。

9) 売却・購入の実務アドバイス(3要素視点)
– 修復歴 骨格に関わる修理は価格影響が大きい。

やむを得ず修理する場合は、修理記録・見積・写真を保管し、第三者検査で透明性を担保するとディスカウントを一定程度緩和できる。

– 走行距離 売却前に不必要な長距離を避ける、記録簿や定期点検の継続で距離の不安を軽減。

10万kmの節目前での売却は実務的に意味がある。

– 年式 モデルチェンジ発表・決算期・需要期を意識。

人気カラーや装備の訴求で年式劣化を補正。

– 相見積り 複数買取と業者AA直販(委託/代行)を比較すると、3要素の評価の差が見え、最終手取りが変わる。

まとめ
– 年式はベース相場(P0)を規定、走行距離は年式帯に応じて傾きを付け、修復歴は強い割引係数で一段落とすのが実務の骨子。

– 重みづけは固定ではなく、車種・価格帯・市場局面で変動するが、一般に「修復歴の有無」が最も強い影響を持ち、次いで走行距離、年式は基礎的価値を決める要素として働く。

– 根拠はJAAIや公取協の定義・AIS評価運用、および業者オークションにおける落札データの一貫した傾向。

実務の査定はこれらを前提に、直近の相場と個体差を重ね合わせて総合判断されます。

もし具体的な車種・年式・距離・修復箇所が分かれば、相場レンジと係数の当て込み例をもう少し踏み込んで提示できます。

査定前にどんな点検・書類準備をすれば評価を下げずに済むのか?

ご質問のポイントは「年式・走行距離・修復歴」という査定の軸を理解したうえで、査定前にどの点を点検し、どんな書類を揃えると減点を避けられるか、そしてそれがなぜ有効なのか(根拠)だと思います。

以下に、実務で効果が高い順に具体策と理由をまとめます。

査定の三大要素の基本理解(年式・走行距離・修復歴)

– 年式
– これは変えられませんが、「初度登録年月」や「モデルチェンジのタイミング」で実勢相場が動きます。

特に年末〜年初や新型発表直後は下落しやすい傾向があります。

売却タイミングの最適化が唯一の対策です。

– 走行距離
– 一般的に年間1万km前後が相場の基準。

大幅に多いと減点、極端に少ないと状態次第で加点もありますが、機関のコンディションが伴わない「置きっぱなし感」があると逆効果になることも。

走行距離の整合性(車検時記録との矛盾なし)が極めて重要です。

– 修復歴
– 日本では公取協・業界基準で「車体の骨格部位(ラジエーターコアサポート、フロントクロスメンバー、ピラー、サイドメンバー、インサイドパネル、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロア、トランクフロア等)の交換・修正」があると修復歴あり扱い。

ボンネット・ドア・フェンダー等の外板交換は通常は修復歴に含みません。

修復歴の有無は価格に大きく影響し、相場感としては同条件で10〜30%程度(車種で上下)の下落が起こり得ます。

査定前の自分でできる点検・手当て(減点を避けるコツ)

– 警告灯・故障コード
– エンジンチェックランプ、ABS、エアバッグ等の警告灯は必ず消えている状態に。

OBDスキャナで「現在/履歴/保留」のDTCを確認し、原因修理まで行うのが理想です。

単なる消去だけだと再点灯やスキャナで判明し減点が大きくなります。

– エンジンルームと下回り
– オイル漏れ/滲み、冷却水漏れ、ブーツ破れ、マフラー腐食を点検。

軽微なにじみは車検適合レベルに収める。

エンジンルームは軽清掃に留め、過度な水洗いは「漏れ隠し」と疑われ逆効果になることがあります。

– 外装
– 洗車・鉄粉除去・簡易コーティング、ヘッドライト黄ばみ除去、目立つ小キズのタッチアップ(ごく小範囲のみ)。

広範囲のDIY塗装はムラや色違いでかえって減点。

フロントガラスの飛び石は早期にリペア可能なら実施。

ヒビ進行前の補修は数千〜1万円台で、交換になると数万〜十数万円の減点要因になります。

– 内装・臭い
– 室内清掃、シミ取り、消臭(たばこ・ペット)。

シートの破れは目立つ場合のみプロ補修を検討。

社外配線の雑多な取り回しは整える。

強い芳香剤でごまかすのは逆効果になることが多いです。

– タイヤ・足回り
– 溝4mm未満や経年硬化(一般に製造から5〜6年以上)は減点対象。

高額な新品交換は費用対効果を見極め、片減り・異音がある場合はアライメントやハブの点検を。

高級車でブランド/サイズが揃っていると好印象。

– 消耗品
– バッテリーが弱いと始動不良で大減点になり得るため事前に交換も有効(記録を残す)。

ワイパー、球切れ、ウォッシャー液、エアコンフィルターなど安価な項目は整えておく。

– 付属品・純正戻し
– ナビSD/ディスク、ロックナットアダプター、スペアキー、工具、ジャッキ、取扱説明書、整備手帳など欠品は確実に減点。

改造は「ノーマル戻し」が鉄則(純正パーツが残っていれば戻す)。

社外品は車種と品質次第で別取り扱いされることがあり、ノーブランド品はむしろ減点要因。

書類・証憑の準備(信頼の可視化でリスク減)

– 必須書類(名義変更に必要)
– 車検証、自賠責保険証明書、自動車税納税証明書(軽は不要の場合あり)、リサイクル券、印鑑証明書・委任状・譲渡証(業者の案内に従う)。

– 減点回避・加点になり得る任意書類
– 整備記録簿(法定点検・車検整備の記録)と領収書
– 取扱説明書・保証書・新車時の付属品一覧
– スペアキー・スマートキー(欠品は再設定費として3〜6万円程度の減額根拠になりやすい)
– メンテナンスパックの記録、ディーラー点検スタンプ
– リコール・改善対策・サービスキャンペーンの実施記録(未実施があると引取後の手配負担で嫌われます。

無償なので予約して済ませ、完了票を添付)
– ETCセットアップ証明、ドラレコの保証書など(作動状況が伝わる)
– 走行距離の一貫性を示す資料
– 車検時走行距離の記録(車検証裏や点検記録簿)、12か月点検の記録。

メーター交換歴がある場合は交換時の記録簿と証明シールの写真。

– 修復歴がある/疑義がある場合に揃えるべき資料
– 修理見積書・納品書・作業明細、修理前後の写真、使用パーツの種類(新品・リサイクル・社外)、フレーム修正機使用の有無、アライメント測定結果。

これらがあると「不明確な事故歴」から「内容が明確な修復歴」に格上げされ、過大なリスクディスカウントを避けやすくなります。

査定の現場で効く「見せ方」とタイミング戦略

– タイミング
– 年式の繰り下がり(年越し)直前、新型発表直後、決算期明け後は下がりやすい傾向。

繁忙期(3月・9月前)は販路が広くやや強気、逆に大型連休直前は仕入れ抑制されがち。

車検の残りは店舗販売向けなら評価されやすいが、即オークション想定の買取では影響が小さいことも。

高額な車検通しは必ずしも回収できないため、残期間が十分あるなら加点、切れる直前なら無理に通さない判断もあり。

– 査定当日の流れ
– 冷間時の始動性を確認してもらえるようエンジンは完全暖機させすぎない。

整備記録・リコール完了・修理明細は査定開始時にまとめて提示し、走行距離整合性が一目で分かるようマーカーや付箋で示す。

付属品は車内に揃えて見える化。

– 相見積もり
– 同条件・同情報で複数社に提示するのが鉄則。

情報の非対称性(相手だけが不利な情報を抱える状態)をなくすと、あとからの減額交渉(クレーム)リスクが下がり、初回提示が強く出やすくなります。

手をかけるべきか迷いやすい項目の費用対効果

– タイヤ
– 国産コンパクトや軽で4本新品交換はコストが重く回収しづらいことが多い。

プレミアム車でブランド指定が価値に直結する場合のみ投資検討。

– 板金塗装
– 10万円超の板金は売却直前では回収困難。

目立つ凹み1点を3〜5万円で直す等、見栄えと費用のバランスで選択。

– ヘッドライト研磨・コーティング
– 1万円前後で見違える効果、夜間の安全性も示せて費用対効果が高い。

– バッテリー
– 弱りが明らかなら早めに交換し、交換日と銘柄が分かる領収書を同梱。

絶対にやってはいけないこと

– 修復歴や不具合の隠蔽、虚偽説明
– 契約後の減額・買取取消し条項で売主不利になりやすい。

事故歴の未告知は極めてリスクが高いです。

– 無理なDIY修理・再塗装
– 下地処理の甘い補修や色ズレは一目で分かり、プロ再施工を前提とした大幅減点に。

– 過度なエンジンルーム洗浄・香りでの誤魔化し
– 「漏れ隠し」「異臭隠し」と見なされ信用を損ないます。

– データ消去忘れ
– ナビ・ドラレコ・ETCの個人情報、ペアリング機器の解除は忘れずに。

次ユーザーの不安要素を作らないことが信頼に直結します。

なぜこれで評価が下がらないのか(根拠)

– 業界の査定・検査基準に沿うから
– 一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)の査定基準、オークション会場の検査(AISやUSSの評価基準)、公正取引協議会の「修復歴」定義はいずれも、骨格修正の有無、走行距離の整合性、内外装の損傷程度、機関良否、付属品の有無などを定量的に評価・減点します。

あなたが事前に整備記録・付属品・リコール完了を揃え、軽微な不具合を解消すれば、まさにその減点ポイントを一つずつ潰すことになります。

– リスクディスカウント(不確実性減価)を削るから
– 買い手は「見えない将来の不具合」や「不明確な過去」を価格に織り込みます。

修理明細・写真・アライメント結果が揃った修復歴車は、情報がない事故疑義車よりも安全に再販でき、結果として減額幅が小さくなりやすいのが実務です。

走行距離の裏付け(車検ごとの記録)も同様で、メーター改ざん疑義は大幅減額の主要因ですが、整合資料で回避できます。

– 付属品欠品は実コストに直結するから
– スペアキー再作成、ナビ媒体、ロックナットアダプター、車検用の純正戻しには現金コストと工数が発生します。

査定ではほぼ確実にその分が控除対象になるため、揃えることが最もストレートに減額回避になります(スマートキーは車種により3〜6万円相当、フロントガラス交換は数万〜十数万円、ヘッドライトASSYは片側で数万円〜といった規模感)。

– オークション再販前提の相場整合性
– 多くの買取店は仕入れ後にオークションへ出品します。

オークションの検査票で指摘される箇所(警告灯、タイヤ溝、外装A1〜A3・U1〜U3、内装C・D評価、修復歴判定)を事前に是正・証明できれば、落札相場が上がる=買取上限が上がる、という構造が働きます。

仕上げのチェックリスト(当日までに)

– 車外・車内を清潔に。

黄ばみライトは研磨済み
– 警告灯なし、OBDに重大な現行コードなし
– オイル/冷却水適量、漏れ跡なし
– タイヤの溝・ひび割れ確認、空気圧適正
– フロントガラスの飛び石は補修済み
– 付属品一式(スペアキー、ロックナット、取説、整備手帳)
– 整備記録簿と領収書を時系列でファイリング
– リコール実施記録、車検時走行距離の整合資料
– 修復歴がある場合は修理明細・写真・測定結果
– ナビ・ETC・ドラレコの個人データ整理(引渡し方針を明示)
– 改造箇所の純正戻し or 付属パーツの在処説明

最後に
年式と走行距離そのものは変えられませんが、評価は「状態」と「情報の透明性」で大きく変わります。

査定員は短時間で「再販時のリスク」を見積もるため、不具合の未然解消と証憑の提示で不確実性を減らすほど、減点が小さくなります。

上記を実行すれば、余計な減額や後出しの減額交渉をほぼ封じることができ、実勢の上限に近い提示を引き出しやすくなります。

実務の根拠はJAAI等の査定基準、オークション検査基準、公取協の表示ルール、そして買取再販のコスト構造にあります。

準備に半日〜1日をかける価値は十分にあります。

【要約】
中古車査定は年式の節目で段差が出やすい。目安は新車〜1年、3年、5年、7年、10年、13年(18年)。新車落ちや車検・保証切れ、モデルチェンジ、10年/10万kmの心理、13年超の税重課が要因。5年で特別保証切れ・消耗品交換時期も重なる。7年以降は程度良好車が希少化し二極化、海外需要で底堅い車種も。車種・走行・装備・地域で上下。

Contactお問い合せ

ご相談やご見学など、お気軽にお問い合わせください。

メールでのお問い合わせ

お問い合わせフォーム

お電話でのお問い合わせ

048-598-3001

営業時間:8:30-18:30