コラム

不動車の無料引き取り・出張査定の完全ガイド—無料の理由、査定ポイント、追加費用の条件、必要書類、優良業者の見分け方

不動車の無料引き取りはなぜ可能なのか?

不動車の「無料引き取り」や「無料の出張査定」は、単なる集客用のキャッチコピーではなく、実はきちんとした収益構造と制度的な裏付けのうえに成り立っています。

ここでは、なぜ無料が可能なのか、その具体的な仕組みと根拠、注意点までを体系的に解説します。

収益の柱が複数あるため「引取そのもの」を無料化できる

– 鉄スクラップの価値
車両重量の約60〜70%は鉄です。

たとえば1.0〜1.2トン級の乗用車であれば、解体・選別後に0.8〜1.0トン程度の鉄スクラップが出ます。

国内の鉄スクラップ相場(H2等)は市況で変動しますが、概ね1トンあたり数万円規模で売却できます。

相場が強い時期であれば、この鉄だけでレッカー費用や最低限の解体コストを十分にカバーできる場合があります。

– 非鉄金属・レアメタル
アルミ(ホイール、エンジンブロックの一部)、銅(ワイヤーハーネス、モーターコイル)、鉛(バッテリー)、ステンレスなどは鉄より高単価です。

特に触媒コンバーターには白金・パラジウム・ロジウム等が含まれ、市況次第で1台あたり1万〜数万円の価値になることもあります。

これら非鉄・貴金属の回収・売却益は、無料引き取りを支える重要な収益源です。

– 中古部品のリユース
バンパー、ヘッドライト、ドア、オルタネーター、ラジエーター、電装ユニット等、再利用可能部品は中古パーツ市場や輸出で需要があります。

事故や経年劣化で全損に見えても、複数部位を分解・検品・清掃・保証付きで販売すれば、1台あたりで数万円規模の粗利を積み上げられることがあります。

IT化により在庫・適合管理やEC販売が効率化され、1点あたりの販売コストが低下しているのも追い風です。

– 海外需要(再生・部品取り・車両輸出)
走行不能でも、海外では現地修理や部品取り前提で需要があります。

右ハンドル圏や新興国での日本車人気は根強く、事故歴や不動でもモデル・エンジン型式次第で値が付くことがあります。

国内で「不動=無価値」ではありません。

自動車リサイクル法による制度的な支え(費用の一部が前払いされている)

– 2005年施行の自動車リサイクル法により、最終所有者は車両購入時や廃車時にリサイクル料金を預託します。

これは主に以下の適正処理費用に充てられます。

エアバッグ類の回収・処理
フロン類(カーエアコン冷媒)の回収・破壊
ASR(自動車シュレッダーダスト)の再資源化
– 解体・引取事業者は、登録・許可のうえ自動車リサイクルシステム(電子マニフェスト)で適正に処理・記録すると、預託金から相応の費用が支払われます。

これにより、引取り側の実費負担が軽減され、結果としてユーザーへの「無料引き取り」を提供しやすくなっています。

– 重要なのは、「無料の原資」が単に業者のサービス精神ではなく、制度上すでに前払いされている処理費と、資源売却益の組み合わせで賄われていることです。

税金・保険の還付が、トータルでのお得感を底上げする

– 普通車は永久抹消登録を行うと自動車税(種別割)の月割還付があります(軽自動車は原則還付なし)。

– 車検が残っている車は、自賠責保険の未経過分が返戻されます。

– 自動車重量税は、車検有効期間が残った状態で永久抹消すると未経過相当額が還付されます。

– これらの還付は本来ユーザーのものですが、業者が手続きを代行して円滑に返金までサポートするため、ユーザー負担感がさらに薄れます。

業者によっては「還付相当分を買取価格に上乗せ」などの形で提示することもあります。

物流・オペレーションの効率化

– 出張査定と引き取りを同一ルートで組み、日々の回収コースを最適化して1台あたりのレッカーコストを下げています。

新古車の陸送帰りの「戻り便」を活用するなど、空車回送を減らす工夫も一般的です。

– 解体ヤードは、フルード抜き、エアバッグ展開処理、切断・圧縮・選別までを一貫で行い、1台あたり処理コストを下げます。

量がまとまれば、鉄や非鉄の売却単価も有利になります。

– 出張査定の無料化は、成約率の高さや在宅での迅速回収による在庫回転の向上で回収できると見込まれています。

数字で見る概算イメージ(例)
注 市況や車種・地域で大きく変動します。

あくまで考え方の例です。

– 収益側
鉄スクラップ0.9t × 4〜5万円/t = 3.6〜4.5万円
触媒コンバーター = 1〜5万円(型式次第)
アルミホイール・ラジエーター・ハーネス等の非鉄 = 0.5〜2万円
再販可能部品(ライト・ドア・電装等) = 数千〜数万円
合計のレンジ(例)= 5〜10万円超
– コスト側
レッカー・回送 = 1〜2万円(距離・条件次第)
受入・解体・処理 = 1〜2万円
事務・抹消手続き = 数千円
合計のレンジ(例)= 2〜4万円
結果として、車種や触媒の仕様、市況次第では「無料で引き取っても十分に利益が出る」局面が普通にありえます。

法制度・根拠のポイント

– 自動車リサイクル法(正式名称 使用済自動車の再資源化等に関する法律)
2005年施行。

最終所有者のリサイクル料金預託、引取業者・解体業者・破砕業者の登録制度、エアバッグ・フロン・ASRの適正処理義務、電子管理(マニフェスト)などを規定。

適正処理費用の支払い仕組みが、現場の費用負担を下げています。

– 道路運送車両法・関連通達
抹消登録(一時抹消・永久抹消)の手続き、車台番号確認、ナンバープレート返納などを定めます。

業者はこれを代行可能(行政書士委託を含む)で、ユーザー手間を軽減。

– 自動車税(種別割)・自動車重量税・自賠責保険の還付制度
普通車は永久抹消で月割還付(地方税法の規定)。

重量税は有効期間残存分の還付(国税・所管省庁の運用)。

自賠責は未経過分の返戻(保険約款)。

これらの制度がユーザーの実質負担をさらに引き下げ、無料回収の心理的ハードルを下げます。

– 産業廃棄物関連法制・フロン回収
フロン類の回収・破壊や廃油・廃液の適正処理は法令で義務付け。

これらの費用の一部はリサイクル料金で賄われます。

無料にならない(費用が発生しうる)ケース

– 立地・条件
極端に遠方・山間部・狭隘地で積載車が入れない、長距離レッカーが必要な場合。

– 車両状態
主要部品が抜かれている(触媒欠品、エンジン・ハーネスなし等)、大破・焼損・海水冠水で資源価値が著しく低い、危険物の混入がある場合。

– 車種・重量
大型車・特殊車で解体・輸送コストが高い、またはEV/PHVで高電圧バッテリーの安全対策・運搬コストが大きい場合(バッテリー状態・規格により逆に価値が出ることもあります)。

– 書類問題
所有権留保付き(ローン会社名義)や書類紛失、改造内容が不適合で名義・抹消手続きに追加費用がかかる場合。

ユーザーが確認すべき実務ポイント

– 無料条件の明示
「どの範囲・どの状態まで無料か」「遠距離費用・鍵無し・タイヤなし等の例外」などを事前に書面で確認。

– 還付金の扱い
自動車税・重量税・自賠責の還付受取人が誰か、業者が相殺しないか、時期はいつかを明確に。

– 抹消のタイミング
いつ永久抹消されるか、証明書(登録事項等証明書、解体届出記録等)の受領時期。

自動車税の次年度課税を避けるためスケジュール確認は重要です。

– 許認可の確認
自動車リサイクル法の「引取業者登録番号」「解体業許可番号」等の提示を求めると安心。

無許可業者は処理の法的リスクがあります。

– 査定の内訳
触媒の有無やアルミホイールの有無など、評価項目と減額要因を写真ベースでもいいので確認しておくと納得感が高まります。

出張査定が無料で成り立つ理由

– スマホ・クラウドでの事前ヒアリング・画像査定により現地の滞在時間を短縮。

– 当日回収前提での「即決率」が高く、移動・人件費を吸収しやすい。

– ルート集荷・共同配車で1件あたりのコストを大幅に低減できる。

これらから、見積もり自体を無料にしても全体収益で十分回収できる設計になっています。

まとめ
– 不動車の無料引き取りが可能なのは、鉄・非鉄・触媒・中古部品・海外需要といった複数の収益源が存在し、自動車リサイクル法によって主要な処理コストの一部がすでに前払いされているためです。

さらに、税・保険の還付制度がユーザーの実質負担を下げ、物流とITによる効率化が「出張査定無料」まで後押ししています。

– ただし、車両状態や立地、書類状況によっては費用が発生することがあります。

無料条件・還付金の扱い・抹消時期・許認可を事前に確認し、明朗な査定を行う業者を選ぶのが安全です。

このように、無料引き取りは「タダでもらって損をする」どころか、きちんと設計されたビジネスと制度に裏付けられています。

市況や車種によっては無料どころか買取価格が付くことも珍しくありません。

気になる場合は、触媒の有無や書類の状況、立地条件を伝えたうえで複数社に相見積もりを取り、条件と手続きの透明性で比較されるとよいでしょう。

出張査定では何を見て価格はどう決まるのか?

ご質問ありがとうございます。

不動車の「無料引き取り」や「出張査定」で、査定員が現場で何を確認し、どのような根拠で価格を決めているのかを、実務の流れに沿って詳しく説明します。

あわせて、価格の裏付けとなる考え方・相場情報・法令面の根拠もまとめます。

1) 出張査定で具体的に見るポイント
査定員は、車両を「再販・輸出に回せるか」それとも「解体・資源回収が前提か」をまず見極めます。

そのうえで次のような項目を現場で確認します。

車両情報・書類

車検証の名義・型式・初度登録・原動機型式・車両重量・車台番号
走行距離(メーター表示と整合性の確認)
リサイクル券(預託状況)。

未預託だと廃車時に費用が発生し、査定額に影響
事故歴・修復歴・水没歴・改造歴の申告
鍵の有無、スペアキー、取説・整備記録簿

外装・骨格(再販可否の肝)

ライトパネル、コアサポート、フロントサイドメンバー、ピラー、フロア、トランクフロアの歪み・溶接痕
サビ・腐食(特に下回り、サブフレーム、ブレーキ配管)
事故での骨格損傷や切継ぎの有無(修復歴判定)

水害・火災の痕跡

室内の泥・砂・臭い、シートレールやシートベルト金具の赤錆、配線の緑青
ヒューズボックス・ECU周りの腐食、塩害の有無(海水冠水は致命的)

足回りと可動性(引き上げ可否とコスト)

タイヤの空気、ハンドルロック解除可否、パーキング解除可否
回送の難易度(地下・傾斜・狭小・段差・車輪固着)

駆動系・電装(不動でも価値に直結)

エンジン外観の破損・漏れ、オイル量、冷却水漏れ痕
ミッションの種類(AT/CVT/MT)と外観
OBDの故障コード、メーター通電の可否(ブースターで通電を試すことも)
ハイブリッド/EVの高圧バッテリー状態(警告灯、事故安全作動の有無)

触媒・排気系(解体価値の重要部分)

触媒コンバーターの有無・種類・刻印。

盗難や欠品がないか
ディーゼルはDPFの状態

内装・安全装備・電装品(部品取り価値)

エアバッグ展開の有無、シート・内装の損傷/汚損
メーター、ナビ/ディスプレイオーディオ、ECU、カメラ類

付属品・改造

アルミホイール、社外ヘッドライト/テール、足回り、マフラー、エアロ、ドラレコ等
ただし違法改造や車検非対応品は価値を下げることも

現場環境・回送コスト

積載車の進入可否、クレーン・ウインチの必要性、距離・高速代・人員

2) 価格(買取額)が決まる仕組み
大きくは「A. 再販・輸出」か「B. 解体・資源回収」のどちらかの採算式で算出します。

多くの不動車はB寄りですが、人気車種・軽微故障はAの可能性もあります。

A. 再販・輸出ルートの算定
– 参考相場
– 国内中古車オークション(USS、TAA、CAA等)の成約データ
– 小売サイト(カーセンサー、グーネット)の実勢価格
– 海外輸出の需要(SUV、ピックアップ、トヨタ系は堅調など)
– 算式イメージ
予想販売価格
− 再生費用(修理・整備・車検・板金・仕上げ)
− 回送・保管・オークション手数料等
− マージン(業者の最低利益ライン)
= 上限買取額
– ポイント
– 修復歴・水没歴は再販価値を大きく下げる
– 電装・ADAS・LEDライトなど高額部品の破損は再生費用を押し上げる
– 稀少グレードや低走行はプラス

B. 解体・資源回収ルートの算定
– 収益(プラス側)
– 鉄スクラップ価値 車両重量×歩留まり(概ね0.7〜0.8)×鉄スクラップ単価
– 非鉄金属 アルミホイール、アルミエンジン、ラジエーター(銅/アルミ)、ワイヤーハーネス(銅)
– 触媒コンバーター 内蔵のプラチナ・パラジウム・ロジウムの市況次第
– 中古部品 ライト・バンパー・ドア・ミラー・コンプレッサー・オルタ・セル・ECU・メーター・ナビ・シート等の需要
– HV/EVバッテリー セル再生・部材回収の価値(車種・劣化度で大きく変動)
– コスト(マイナス側)
– 引き取り回送費(距離・進入難度・人員)
– 解体工賃・在庫管理・出品手数料・物流費
– フロン回収・エアバッグ類処理など適正処理費(法令順守コスト)
– リサイクル料金未預託時の費用負担
– 市況変動リスク(貴金属・鉄相場下落、部品滞留)
– 算式イメージ
部品売却見込み+金属回収見込み
− 回収・解体・処分・販促の総コスト
− リスクマージン
= 上限買取額(相場によっては0円〜引取費用請求となることも)

3) 数値イメージ(例)
– 例1 2010年プリウス S、エンジン不動、外装良好、触媒あり、距離15万km、都市部で搬出容易
– 鉄スクラップ 車両重量1.3t×歩留まり0.75×鉄単価4.5万円/t ≒ 4.4万円
– 触媒 型式相場により2〜6万円程度(仮に3.5万円)
– アルミホイール 1〜2万円
– 中古部品(ライト、ECU、コンプレッサー等) 3〜6万円(需要・在庫次第、仮に4万円)
– HVバッテリー 状態次第で0〜3万円(仮に1万円)
– 粗利前合計 概算約12万円
– コスト 回送1.5万円、解体・処理2.5万円、在庫/販促・手数料1.5万円、リスク1万円=合計約6.5万円
– 期待買取額 12万−6.5万=5.5万円前後(市況で±数万円振れる)
– 例2 冠水車(床上浸水、塩水疑い)、外装損傷、触媒欠品、郊外・狭小地
– 金属価値のみが軸。

鉄4万円前後、非鉄0.5万円
– コストが高く(回送2万円、処理2万円等)、結果0円〜有料引取の可能性

上記はあくまで相場イメージです。

鉄・貴金属・部品需要は月単位で変動し、地域や業者の得意分野(輸出・国内小売・解体)で数万円単位の差が生じます。

4) 「無料引き取り」の条件と注意点
– 無料の前提
– サービス圏内、平地で車両が押せる、鍵あり、ハンドル・P解除可、触媒・主要部品が揃っている
– 追加費用が発生しやすいケース
– 地下・狭小・長距離・車輪固着・レッカー二次搬送・クレーン必須
– 触媒欠品、タイヤ4本パンク、事故で車軸変形、山林・私道内
– 注意
– 現地で「当初無料と聞いたが有料」となるトラブルを避けるため、事前に搬出条件と追加料金基準を文面で確認
– リサイクル預託の有無は「自動車リサイクルシステム」で事前確認可能(預託済みならその旨を提示)

5) 査定額を上げやすくするコツ
– 鍵・書類(車検証、リサイクル券、委任状等)を揃える
– 触媒・ナビ・ライトなど高額部品の欠品がないよう確認
– タイヤに空気を入れ、押し引き可能にする(搬出コスト低減)
– 改造品は純正戻しの方が評価が安定(社外品は一部を除きマイナス/ゼロ評価)
– 整備記録や交換歴(バッテリー・タイヤ等)があれば提示
– 複数社相見積もりを取り、内訳(回送費・リサイクル・事務手数料)を比較

6) 根拠・参照される基準と市況
– 市場データの根拠
– 国内オートオークション(USS等)の成約価格が再販相場の基礎
– 中古部品はヤード各社の販売実績・在庫回転率、輸出先の需要で決定
– 金属・触媒の相場根拠
– 鉄スクラップ相場(国内電炉メーカーや市中相場の公表値)に連動
– 触媒は貴金属市況(プラチナ・パラジウム・ロジウムの国際価格)と型式別含有量データで決定
– アルミ・銅はLMEなどの国際相場や国内非鉄問屋の市況に依存
– 法令・手続に関する根拠
– 自動車リサイクル法(平成14年法律第87号) 引取業者・フロン回収・解体業の登録制度、リサイクル料金の預託と適正処理が義務
– 古物営業法 中古自動車・部品の買取には古物商許可が必要
– 抹消登録(運輸支局) 普通車は抹消で自動車税種別割の月割還付があり得る(軽は原則還付なし)。

自賠責保険も未経過分の返戻が可能
– 実務上の基準
– 修復歴判定はAIS/JAAI等の基準が広く参照される(骨格損傷の有無)
– 再生にかかる工賃・部品代はディーラー/認証工場の見積水準が目安

7) まとめ
– 出張査定は「再販・輸出」か「解体・資源回収」かの見極めがスタート。

外装骨格、可動性、電装・触媒、書類・鍵、現地の搬出難易度が主要評価ポイントです。

– 価格は「売上見込み(車両として売る/部品・金属として売る)」から「回送・解体・処理・販促費用」と「相場変動リスク」を差し引いて決まります。

触媒の有無や水没・修復歴の有無、搬出の難易度が大きく影響します。

– 無料引き取りは条件付きが一般的。

事前に搬出条件や追加費用の基準を確認し、相見積もりと内訳開示で納得度を高めるのが安心です。

– 根拠としては、中古車オークション相場、鉄・非鉄・貴金属市況、自動車リサイクル法や古物営業法の遵守コスト、修復歴判定基準が背景にあります。

この流れと考え方を押さえておけば、査定員が現場で何を見ているか、なぜその金額になるのかを論理的に理解できます。

具体的な車種・状態・所在地が分かれば、より踏み込んだ相場感の目安もお伝えできますので、必要であれば詳細をお知らせください。

無料にならない例外や追加費用はどんなときに発生するのか?

ご質問の趣旨は「不動車の引き取りや出張査定が“無料”とうたわれていても、どんな場合に例外的に無料にならず追加費用がかかるのか。

その根拠は何か」だと理解しました。

結論から言うと、無料の適用範囲は各社の約款・見積条件に強く依存しますが、追加費用が発生しやすいのは主として次の5領域です。

– 車両の状態(搬出や安全対策に特別な手間・機材を要する)
– 立地・搬出経路(アクセス困難、離島・長距離、駐車設備の制約)
– 手続・書類(抹消登録や所有権解除、相続などの代行・実費)
– 税金・保険・違反金(公租公課や保管料など所有者負担のもの)
– 契約条件(時間外、キャンセル、再訪問、市況変動など)

以下、代表的なケースごとに「なぜ費用が発生するのか(実務上の理由)」と「法制度等の根拠(参考)」を添えて詳説します。

車両の状態が原因の追加費用

– ブレーキ固着・車輪ロック・ステアリング不動・足回り破損
無料引取の想定は「ウインチで引き上げられ、タイヤが転がる状態」であることが多いです。

車輪が回らない、ハンドルが切れない、足回りが折れている等はドーリー台車やクレーン作業が必要になり、特殊作業費が発生しがちです。

根拠(実務) 安全な積載・固縛は道路交通法/道路運送車両法上も要求水準があり、危険があれば付帯機材の使用が不可欠。

– パンク・車高極端に低い・エアロ干渉
ラダーに干渉する、フロア下を擦るなどで木板・ジャッキなど補助や低床車の手配が必要→追加費用の対象。

– 鍵紛失・シフトロック解除・バッテリー完全上がり
室内開錠、シフトロック解除、電源供給機材持込など、軽微な場合は無料に含む会社もありますが、鍵開けや作業時間が長い場合は別途。

– オイル・クーラント・燃料漏れ、バッテリーからの液漏れ
吸着材や受け皿・漏えい対策、積載車汚損の清掃費、処理費が加算されることがあります。

法制度の背景 廃棄物処理法(適正処理義務)、自動車リサイクル法(使用済自動車の適正処理の枠組み)。

– 水没・冠水・火災・長期放置で腐食著しい車
牽引フックがもげる、フロア抜け等のリスク対応でクレーン必須、また処理時に追加の安全対策が必要。

– 部品欠品(触媒・タイヤ・バッテリー・アルミホイール等)
触媒は資源価値の大きい部位で、欠品だと車両価値が大きく下がり、逆に処分費(解体費・搬送費)を請求されることがあります。

四輪が丸裸に近い、タイヤ無しの車体は積載・搬出が難しく、追加費用の原因。

– ハイブリッド/EVの高電圧電池搭載車
HV/EVは高電圧バッテリーの安全管理・輸送要件(危険物相当の取り扱い基準、UN38.3等の国際規格、消防法等の安全配慮)により、対応可能業者や設備が限られ、バッテリーの取り外し・保管・輸送・処理費が別計上されることがあります。

立地・搬出経路が原因の追加費用

– 地下・機械式駐車場、車幅・高さ制限、急坂・狭小路
積載車が入れない場合、近隣での積替え・人力押し出し・ウインチ延長・クレーン手配等の特別作業が必要。

機械式からの引上げは管理会社立会いや長時間化で費用化されがち。

– 私道や集合住宅での作業許可、長時間の待機
管理組合・オーナー調整に伴う再訪問や待機料が請求されることがあります。

– 離島・山間部・長距離
フェリー代・有料道路・燃料代の実費、遠方出張費が発生。

離島は往復で大きくなるのが通常。

– コインパーキング出庫費や駐車料金
保管料金・出庫費用は原則所有者負担。

手続・書類関連で発生する費用(法定実費+代行手数料)

– 抹消登録(永久/一時)の代行
運輸支局/軽自動車検査協会での手続にかかる印紙・証紙等の実費は小額ですが、業者の代行手数料(人件費・移動費)が別途。

普通車と軽で手続が異なり、普通車はナンバー返納・印鑑証明書が必要になるのが一般的。

根拠 道路運送車両法に基づく登録制度。

印紙代は国の手数料、代行費は各社任意。

– 自動車リサイクル料金の未預託
リサイクル券が未預託の車は、引取り前に預託が必要で、その費用(車種別。

概ね数千~2万円台の範囲が多い)が発生します。

既に預託済でも、券の紛失確認や事務手数料を設ける会社もあります。

根拠 使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)の枠組み。

引取業者・解体業者・破砕業者の登録制度とマニフェスト管理があり、適正処理のための預託が前提。

– 所有権留保の解除(ローン残債や名義が販売店/信販会社)
残債があると廃車や名義変更ができないため、完済や所有権解除書類取り寄せの事務費・証明書取得費(印鑑証明、郵送代等)が発生。

残債が高額なら無料引取自体が不可、またはお客様持ち出しになることがあります。

根拠 民法の所有権、登録名義の取扱い(運輸支局の実務)。

– 相続(所有者死亡)の手続
戸籍謄本・除票・法定相続情報一覧図の取得、遺産分割協議書作成、代表相続人への一任など、書類整備や行政書士報酬が別途。

状況によっては数万円規模になることがあります。

– 書類不備・紛失の再交付
車検証再交付、印鑑証明・住民票の取得、ナンバー盗難・紛失時の届出・再交付、封印再施封に伴う移動手配などに費用が発生。

税金・保険・違反金等に関する費用(所有者負担の原則)

– 自動車税の未納・差押え
滞納があると抹消登録自体は可能な場合もありますが、還付を受けられない、または手続が滞ることがあります。

滞納分の納付は所有者負担。

根拠 地方税法(自動車税種別割・環境性能割)。

普通車は永久抹消で未経過分還付が原則、軽自動車は多くの自治体で還付なしの運用。

– 自賠責保険の解約返戻
解約手続の代行費を設定する会社があります(返戻金自体は契約者に戻るのが原則)。

根拠 自動車損害賠償保障法に基づく強制保険制度。

– 違反金・レッカー保管料等
違法駐車での行政レッカー移動、民間保管場の保管料などは所有者負担が原則。

業者が立替した場合は実費請求。

根拠 道路交通法、各自治体の手数料条例。

契約条件・運用上の費用

– 時間外(夜間・早朝)・休日対応、即日緊急出動
割増料金を定める会社があります。

– 査定後のキャンセル・不在・再訪問
出張費・キャンセル料が約款に規定されている場合あり。

申告と車両状態が大きく異なる(エンジン欠品、重大事故でフレーム切断、ナンバー・書類・鍵が当日ない等)と再見積りや出張費請求の対象に。

– 市況変動による条件変更
鉄・非鉄スクラップ、アルミ、触媒(貴金属)相場、輸出規制等の影響で、直前に「無料」が維持できず最低限の処分費が必要になることがあります。

契約上「引取当日相場で最終決定」とある場合は特に留意。

車種・適用外の範囲

– 大型車・特殊車両・改造が大きい車
積載車や対応設備が限定され、別途配車費・機材費。

外車の大型SUV等も同様。

– 二輪・原付
自動車リサイクル法の対象外で、二輪リサイクルシステム(任意)の枠組みになるため、無料対象外や処分費がかかることがあります。

– 産廃同然の車内残置物が大量
家財・ゴミ・産廃の分別・処理費(廃棄物処理法に基づく適正処理費用)が別途。

タイヤ・ホイール・バッテリー単体の処理料を明確に定める会社もあります。

具体的な「無料にならない」事例と目安
金額は地域・会社により大きく異なりますが、参考のレンジとしては次のようなイメージです(あくまで一例)。

– ドーリー・ウインチ延長などの特殊積載作業 数千~2万円前後
– クレーン作業(地下/機械式からの引上げ等) 1万~3万円以上
– 離島フェリー・有料道路・長距離回送料 実費+出張費(数千~数万円)
– 抹消登録代行手数料 軽 5千~1.5万円、普通車 1万~2万円程度+実費
– 所有権留保解除・相続等の書類代行 数千~数万円(行政書士関与でさらに上振れ)
– リサイクル料金未預託 車種別で概ね数千~2万円台
– 時間外・即日緊急対応 数千~1万円前後の割増が付く事例あり
– 大量の残置物撤去・清掃 物量に応じて数千~数万円

これらに関する公的・制度的な根拠(要点)

– 自動車リサイクル法(正式名称 使用済自動車の再資源化等に関する法律)
引取業者・フロン回収・解体・破砕業者の登録制度、引取証明書の交付、マニフェスト管理、リサイクル料金の預託などの枠組み。

未預託の場合は預託が前提となるため、実費が必要。

– 道路運送車両法/道路交通法
車両の積載・けん引に関する安全要件、登録・抹消手続のルール。

現実の積載作業で危険がある場合は機材・人員を増やす必要があり、その費用根拠に。

– 廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
漏えい液や残置物等の適正処理義務。

産廃に該当する物品を回収・処分する際は処理費が発生。

– 地方税法
自動車税(種別割)の還付要件、滞納時の扱い。

普通車の永久抹消で未経過分還付が原則、軽自動車は還付なしが一般的。

– 自動車損害賠償保障法
自賠責保険の解約返戻の可否・手続の根拠。

– 消防法、危険物・電池輸送関連基準(UN38.3 等)
HV/EVの高電圧電池取り扱い・輸送の安全基準があり、対応コストが上がりやすい。

– 古物営業法・景品表示法
自動車の出張買取・引取での表示や契約書面の適正化、根拠のない「完全無料」表示の是正対象。

正規の許可・登録(引取業者登録番号、古物商許可番号)の確認が推奨されます。

トラブル防止のための実務チェックリスト

– 無料の適用範囲を事前に文書化
出張距離、時間帯、車両状態(自走可否、タイヤ空気圧、鍵有無、車高)、駐車環境(機械式/地下/高さ制限)の記載。

無料に含まれる作業と有料の境界を明記。

– 追加費用の発生条件と上限額の明示
特殊作業費、書類代行費、実費(高速・フェリー・駐車料金)、キャンセル・再訪問料の規定をもらう。

– 事前情報の精度を上げる
車両と周辺の写真・動画、駐車場の高さ/幅/スロープの角度、搬出経路の障害物の情報を共有。

触媒・バッテリー・タイヤ等の欠品有無を申告。

– 書類の準備
車検証、リサイクル券(預託済み確認でも可)、印鑑証明書(普通車抹消時)、委任状、ナンバー。

相続・所有権留保が絡む場合は早めに相談。

– 業者の適法性確認
自動車リサイクル法の引取業者登録、古物商許可の有無、会社所在地と連絡先の実在、見積書・契約書の発行。

– 市況変動条項の確認
当日相場で価格変更の可能性があるか、無料を維持できない場合の対応(キャンセル可否、費用負担)を取り決める。

– 支払い・精算方法
当日現金か後日請求か、領収書発行、追加費用の発生日・根拠書類(レシート・領収証・明細)をもらう。

まとめ

– 「無料引取り・無料出張査定」は標準的条件下でのサービス価格であり、車両状態の重度不良、搬出環境の制約、書類・権利関係の複雑さ、公租公課や危険物対応、時間外対応等が重なると、追加費用が発生し得ます。

– その背景には、法令(自動車リサイクル法、道路運送車両法、廃棄物処理法、地方税法、自賠責法など)で定められた適正処理・登録・安全の要件と、それを満たすための実費・人件費があるためです。

– 追加費用を避けるには、事前情報の正確な共有、見積書での無料範囲と有料条件の明示、書類の事前準備、相見積もりと業者の適法性確認が有効です。

注意 上記は一般的な実務・制度の解説であり、具体的な金額・可否・負担区分は各社の約款・地域・車種・時点の相場によって異なります。

最終的には依頼予定の業者から、無料の適用範囲・追加費用の発生条件・上限・精算方法を明文化した見積書を取得のうえご判断ください。

引き取り当日までに準備すべき書類・手続きは何か?

ご質問の「不動車(動かない車)の無料出張査定と引き取り」に向け、当日までに準備しておくべき書類・手続きと、その根拠をできるだけ実務的に整理します。

結論から言うと、どの書類が要るかは「普通車(登録車)か、軽自動車か」「売却(名義変更)か、廃車(抹消登録)か」「所有者・住所・氏名の状況」によって変わります。

以下を順にチェックすれば、当日スムーズに引き取り・手続きが進みます。

まず押さえる前提(売却か廃車か/普通車か軽か)

– 売却(名義変更) 買取業者が買い取って再販・部品利用する前提。

所有権を業者へ移すための「譲渡」と「移転登録」に必要な書類が中心。

– 廃車(抹消登録) 一時抹消(再登録可能)または永久抹消(解体後)。

ナンバー返納や解体報告連携、税・保険の処理が絡みます。

– 普通車(登録車) 手続き窓口は運輸支局・自動車検査登録事務所。

印鑑証明や実印が基本的に必要な場面が多い。

– 軽自動車 手続き窓口は軽自動車検査協会。

印鑑証明は通常不要で、認印や署名で足りるのが一般的。

当日までに用意する「基本書類」
A. 普通車(登録車)の場合

– 自動車検査証(車検証) 原本。

所有者・使用者・住所の確認の基礎書類。

– 所有者の印鑑証明書(発行後3カ月以内が目安) 名義変更や抹消時の本人確認に使用。

– 実印(所有者) 譲渡証明書・委任状に押印。

近年押印見直しが進んでいますが、実務上いまも実印押印と印鑑証明の組合せを求める業者・窓口が一般的。

– 譲渡証明書 売却(移転登録)時に必須。

所有者の実印(または署名)を求められます。

– 委任状 業者が登録・抹消を代行する場合に必須。

所有者の実印押印が通例。

– 自賠責保険証明書 現在有効なもの。

廃車時の解約返戻や名義確認で参照。

– 自動車リサイクル券(預託証明書) 紙がなくても車検証情報で預託照会できるため「番号が分かる」か「預託済みであること」が重要。

– ナンバープレート(前後2枚) 抹消登録(特に永久抹消・一時抹消)時の返納に必要。

引き取り時に外さず付けたままでOK(業者が対応)。

– 本人確認書類(運転免許証など) 出張査定・買取時の本人確認で提示を求められます。

B. 軽自動車の場合
– 軽自動車検査証(いわゆる軽の車検証)
– 譲渡証(売却時)または申請依頼書(抹消時) 署名(または認印)で足りるのが一般的。

– 自賠責保険証明書
– 自動車リサイクル券
– ナンバープレート
– 本人確認書類
– 印鑑証明は通常不要(ただし住所や氏名の変更履歴の証明が要るケースはあり)

状況により追加で必要になる書類・準備

– 住所・氏名が車検証と異なる場合
– 住所変更が1回 住民票の写し
– 住所変更が複数回 戸籍の附票の写し(住所履歴が連続で分かるもの)等
– 改姓・改名 戸籍謄本(抄本)で氏名変更を証明
– ローン・所有権留保(車検証上の所有者が販売会社・信販会社)
– 所有権者の「所有権解除」の書類(譲渡証明、委任状、印鑑証明 等)
– 残債がある場合は完済・精算手続き。

業者が代行精算するケースもあるため事前申告を
– 車検証・ナンバーの紛失・盗難
– 車検証再交付の手続(運輸支局で即日、本人確認書類・申請書)
– ナンバー紛失時は抹消で「理由書」「盗難届の受理番号」等が必要になることがある。

業者に事前相談を
– 所有者が亡くなっている場合(相続手続)
– 除籍謄本(被相続人の死亡が分かるもの)
– 相続人の戸籍謄本、相続関係説明図
– 遺産分割協議書(相続人全員の署名押印)+相続人の印鑑証明
– 相続人代表者への委任状 等
– 法人名義
– 登記事項証明書(履歴事項全部証明書 3カ月以内)
– 代表者印の印鑑証明書、法人実印を使った委任状・譲渡証明
– 社内決裁書類の整備(業者側が求めることあり)
– 自動車税・軽自動車税の取り扱い
– 普通車 抹消登録日を基準に月割での自動車税還付が発生(県税)。

滞納があると還付や手続きに支障。

納付状況を確認
– 軽自動車 原則として年税の還付制度はなし(自治体条例等で例外的取扱いがある場合を除く)
– 車庫証明
– 引き取り・廃車・売却の段階では通常不要。

買い手側(業者)で名義変更・再販時に取得
– 鍵・付属品
– メインキー・スペアキー、ナットアダプター(盗難防止ナット用)、取扱説明書、整備記録簿、純正パーツ・スペア部品等は査定に有利。

所在確認を
– 保険・ETC・データ
– 任意保険 売却・抹消後に解約。

中断証明書の取得(のちの等級引継ぎ)をお勧め
– 自賠責 抹消で中途解約返戻あり(保険会社所定)
– ETC カード抜去、個人情報の入ったナビ・ドラレコは初期化・SD抜去

引き取り当日までの実務チェックリスト

– 書類一式をクリアファイルにまとめる(車検証・印鑑証明・委任状・譲渡証明・自賠責・リサイクル券)
– 住所・氏名の相違があれば住民票や戸籍附票等を取得
– ローン・所有権留保の有無を車検証の所有者欄で確認し、業者に事前申告
– 立会い者は原則「登録上の所有者本人」。

本人が難しければ委任状を準備
– 駐車場の搬出許可、レッカー車の進入可否・高さ制限の確認
– 車内・トランクの貴重品・個人情報の回収、ETCカード・駐車券・通行機器の抜去
– ホイールロックアダプター、スペアキー、セキュリティの解除方法の準備
– バッテリー上がり・タイヤパンクはそのままでOK(業者が対応)。

ただし「電子サイドブレーキ解除が不可」など特殊事情は事前に連絡
– ナンバーは外さずそのまま(抹消返納に使うため)

引き取り後の流れ(把握しておくと安心)

– 売却(移転登録) 業者が名義変更後、「車検証(新所有者名)」や「名義変更完了の報告書」を提示または写しで通知するのが通例
– 廃車(抹消登録) 業者が運輸支局で抹消後、「抹消登録証明書」や「登録識別情報等通知書」の写しが送られてくる。

普通車はこれで自動車税の還付手続きが進む
– 自賠責・任意保険 抹消証で解約返戻・中断証明の手続き
– リサイクル法上の解体報告は業者側が行う(預託情報と連携)

主な根拠(法令・公的運用)

– 道路運送車両法・自動車登録規則(国土交通省令)
– 自動車の登録、移転登録、抹消登録の制度・必要書類の根拠。

普通車の登録業務は運輸支局が所掌
– 譲渡・抹消の申請様式(別記様式)等で、所有者本人の意思確認(署名・押印・本人確認書類)と住所証明(印鑑証明書・住民票等)の提出が求められる実務運用
– 押印見直しに関する国土交通省の運用
– 2021年以降、申請書類の押印省略が進む一方、本人確認の実効性確保のため、実務では印鑑証明書の添付や実印押印を組み合わせる運用が広く残る。

窓口・業者指定の様式に従うこと
– 軽自動車の届出制度(軽自動車検査協会の手続)
– 軽は「届出」方式で印鑑証明が不要。

住所・氏名の変更履歴は住民票や戸籍附票で補強する運用
– 自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)
– リサイクル料金の預託・管理、解体報告の制度。

預託証明書番号の管理、JARCシステムによる預託状況照会が可能
– 自動車損害賠償保障法(自賠法)
– 自賠責保険加入義務の根拠。

抹消・解体で用途廃止となれば保険契約は中途解約・返戻の対象(返戻は保険約款ベース)
– 地方税法・都道府県条例
– 普通車の自動車税種別割の月割還付は抹消登録日を基準に算定。

軽自動車税は原則還付なしという取扱いは各自治体条例・運用に基づく
– 古物営業法
– 中古車買取業者は買取時に本人確認・取引記録保存が義務付けられ、免許証等の提示を求める根拠となる

よくある落とし穴と対策

– 印鑑証明の期限切れ(3カ月目安)で差し戻し。

早めに取得し、当日まで封印保管
– 住所履歴の断絶(転居を繰り返した)で書類不足。

戸籍の附票(本籍地の市区町村)を使うと履歴が一気に証明できる
– 所有者と使用者が異なる(所有権留保含む)。

「所有者」の書類が必須なので車検証の「所有者」欄を必ず確認
– 車検証やナンバーの紛失を当日初めて申告。

事前に連絡すれば、代替手順の書類(理由書・再交付)が用意でき、無駄な再訪問を避けられる
– 相続車両で遺産分割未了。

引き取り自体不可となるため、相続関係書類の整備から着手

まとめ

– 基本は「車検証」「(普通車は)印鑑証明・実印+譲渡証明・委任状」「自賠責」「リサイクル券」「ナンバー」「本人確認」。

軽は印鑑証明不要が一般的
– 住所・氏名の変更、所有権留保、相続・法人などの事情があれば、その証明書類を追加
– 税・保険・ETC・個人情報の後処理も当日前の準備でスムーズに
– 各書類要件は道路運送車両法・自動車登録規則、軽自動車届出制度、自動車リサイクル法、古物営業法、自賠法、地方税法(および自治体条例)の枠組みに基づく実務運用です。

最終的には担当運輸支局・軽自動車検査協会、または依頼する業者の指定様式・指示に従ってください

この通りに準備しておけば、無料出張査定から引き取り、名義変更・抹消登録、税・保険の整理まで一連の流れが滞りなく進みます。

業者に連絡する際は「普通車か軽か」「売却か廃車か」「車検証の所有者欄」「住所・氏名変更の有無」「ローン残債や所有権留保の有無」「車検証・ナンバーの紛失の有無」を先に伝えると、必要書類の確定が早く、当日1回の訪問で完了できる可能性が高まります。

優良業者の見分け方とトラブルを避けるには?

ご質問のテーマは「不動車の無料引き取り・出張査定における優良業者の見分け方」と「トラブル回避策」、さらにそれらの根拠です。

現場で実際に起きがちな問題や、日本の制度・法令に照らした注意点を踏まえ、実務的に使えるチェックリストまでまとめてご案内します。

優良業者の見分け方(実務チェックポイント)

– 許認可・登録が揃っている
– 古物商許可(公安委員会許可) 中古自動車や部品の買取・販売を行うには必須。

会社名・許可番号・管轄の公安委員会名を会社サイトや見積書に表示しているか確認。

– 自動車リサイクル法の「引取業者」登録 使用済自動車(廃車)の引取りには登録が必要。

自社登録か、登録業者と提携している旨を明示しているか。

登録番号や担当自治体名を確認。

– 運送の許可(道路運送法) 有償で運搬する場合は緑ナンバー(または軽の黒ナンバー)や「有償運送許可」が必要。

自社で許可がないなら、許可を持つ提携レッカー・陸送会社を使うと明言しているか。

– 産業廃棄物収集運搬業許可(必要に応じて) 車両を「廃棄物」として運ぶなら必要。

中古車として再流通するなら不要だが、解体前提ならこの許可か、リサイクル法の適法フローが必須。

– 会社実体 所在地、固定電話、会社代表者名、適切な会社概要(法人番号や商号履歴)が確認できるか。

屋号のみ・携帯番号のみ・所在不明は避ける。

– 料金・条件の透明性が高い
– 無料範囲の条件が具体的 出張距離、立地(離島・山間部)、車両の状態(自走不可、鍵なし、パンク、足回り破損、事故で動かない、車検切れ)、作業難易度(地下駐車場、車庫出し困難、クレーン要否)を事前開示。

– 追加費用の発生条件を明記 レッカー・クレーン追加、夜間対応、立会いなし、保管料、書類代行、陸送費の値上げ条件など。

見積書に総額と上限を記載できるか。

– 税金・保険・手数料の説明が明確 抹消登録手数料、重量税還付、未経過自賠責の返戻、リサイクル料金の預託/未預託、名義変更費用等の取扱いを説明できる。

– 契約・書面の整備がある
– 売買/引取契約書、預り証(車両・鍵・書類)、見積書(内訳付)、キャンセルポリシー(いつからいくら)を発行。

– 抹消登録完了後の「抹消登録証明書」写し(普通車)や名義変更完了通知の提出期限を契約に明記。

– 個人情報の取扱い方針(古物営業法に基づく本人確認の実施と保管期間)を説明。

– 手続き能力・説明力がある
– 必要書類の案内が正確 普通車の一時/永久抹消には実印・印鑑証明書、譲渡証明書、委任状、車検証、ナンバープレート等。

軽自動車は手続が簡素だが、自治体差の説明があるか。

– 所有権留保(ローン・ディーラー名義)の解除手順を提案できる。

所有権者からの承諾書・印鑑証明書の手配など。

– 還付金の扱いの公正性 自動車税種別割(普通車は月割還付、軽は原則なし)、重量税(車検残があれば申請で還付)、自賠責返戻の手続きと手数料を明示。

– 実績・評判
– 口コミの傾向 直前の「有料化」や「減額」苦情が少ないか。

Googleや業界ポータルでの継続的な評価。

– 第三者認証や所属団体 自動車関連団体、リサイクル関連の認定や審査があると信頼度が上がる。

– コンプライアンス姿勢
– 反社排除条項、取引規約、景品表示法に配慮した広告(「無料」条件の明確化)。

問い合わせへの回答が記録ベースで一貫している。

ありがちなトラブルと予防策

– 当日・直前の追加請求
– 例 「無料」と言っていたのに到着後にクレーン代や出張費を要求。

車両状態の認識差を口実に増額。

– 予防 車検証写真、外装・タイヤ・鍵の有無、停車環境の写真・動画を事前共有し「総額確定見積(上限含む)」を書面でもらう。

追加費用が出る条件を具体的に列挙させる。

– 名義変更・抹消未了
– 例 処分を任せたのに抹消されず、自動車税の納税通知や違反の照会が続く。

– 予防 引渡し時に預り証を受領。

2〜3週間以内に抹消登録証明書(普通車)または名義変更完了通知の写しを受け取る期限を契約で定める。

届かない場合の違約条項(遅延損害金、契約解除)を入れる。

– 事後の減額請求
– 例 引取後に「フレーム損傷があった」「触媒が無い」などの理由で査定額を下げる。

– 予防 現状有姿での買取条件と査定根拠の書面化。

重要部位(触媒、アルミホイール、ナビなど)の有無を相互に写真で記録し、引渡し時に双方サイン。

– 違法投棄・不適正処理
– 例 不法投棄され所有者に連絡が来る。

– 予防 引取業者登録・解体業者許可の確認。

処理フロー(フロン回収→解体→破砕)の説明を求める。

処分証明・抹消書類の確実な受領。

– 物損・近隣トラブル
– 例 引上げ作業で壁や門扉を破損。

– 予防 作業前に周囲状況の写真記録。

事業者の損害賠償保険(請負業者賠償責任保険・施設賠償など)加入の有無を確認し、保険証券の提示可否を聞く。

– 個人情報・車両情報の不正利用
– 予防 本人確認資料の取扱い、保存期間、目的外利用禁止を明記した同意書の有無を確認。

具体的な進め方(チェックリスト)

– 事前準備
– 車検証、リサイクル券(預託状況が不明なら確認)、自賠責保険証、鍵、ナンバープレート、所有者情報(所有権留保の有無)。

– 写真一式(外装四面、内装、メーター、車台番号刻印付近、損傷部位、保管場所と搬出経路)。

– 見積依頼時に伝えるべき項目
– 車名・型式・年式・走行距離・車検残・不動の理由(エンジン不調、事故、没バッテリー)・鍵の有無・タイヤの状態・車高・カスタム・純正/社外触媒・保管場所条件(幅・高さ・段差)。

– 希望日程、立会い可否、書類の準備状況。

– 見積書に明記してほしいこと
– 出張料・積載料・クレーン料・書類代行料・保管料・還付金の取扱い・キャンセル料・総額(上限)・無料条件・支払方法と支払日。

– 抹消完了書類の提出期限と未履行時の対応。

– 当日の引渡し
– 身分確認と契約書の取り交わし。

預り証の受領。

支払いはその場で現金の場合は領収書、振込の場合は期日を明確化。

– 引渡し状態の写真・動画の相互記録。

付属品のチェックリスト。

– 引取後のフォロー
– 期限内に抹消登録証明書(または名義変更完了通知)の写しを受領。

自賠責返戻や重量税還付の進捗を確認。

– 自動車税の廃車申告(自治体によっては不要だが、普通車は抹消により自動還付が一般的、軽は還付なしが原則)。

金額・相場感の考え方

– 無料や買取額は市況に連動
– 鉄スクラップ、アルミ、銅、触媒の貴金属相場、海外中古部品需要が高いと「無料どころか買取」になりやすい。

逆に相場が低いと費用請求の提案が出ることも。

– 優良業者は相場連動の根拠(市況・部品需要・輸送費)を説明でき、値付けが一貫している。

– 相見積の推奨
– 少なくとも3社。

条件の揃った書面(またはメール)で比較し、条件面(書類、期限、追加費用)までチェック。

法的・制度的な根拠(要点)

– 古物営業法
– 中古自動車・部品の買取・販売は古物営業に該当し、公安委員会の許可が必要。

本人確認、帳簿記載、標識掲示などの義務。

無許可営業は違法。

– 自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)
– 使用済自動車の引取りは「引取業者」の登録が必要。

フロン回収、解体、破砕の各段階で許可・登録制度がある。

適正処理の記録管理が義務。

これにより違法投棄等を防止。

– リサイクル料金は「自動車リサイクル促進センター」が管理。

預託状況はリサイクル券で確認可能。

未預託の場合、引取時に料金が発生することがある。

– 道路運送法
– 他人の貨物(車両を含む)を有償で運送するには事業許可(緑/黒ナンバー)や特例の有償運送許可が必要。

無許可の有償輸送は違法。

適法なレッカー・陸送手配が求められる。

– 廃棄物処理法
– 産業廃棄物の収集運搬には許可が必要。

車両が「廃棄物」として扱われる場合は適用。

中古車として再利用・譲渡する場合は古物の枠組み。

どのスキームで処理するかの明確化が重要。

– 特定商取引法
– 訪問購入のクーリングオフ制度はあるが、自動車は規制対象外。

したがって「出張買取のクーリングオフができる」との誤解に注意。

契約前に条件を書面確認する重要性の根拠。

– 景品表示法
– 「無料」表示には適正な根拠と条件明記が必要。

条件の隠れた有料化は不当表示に該当しうる。

透明な表示は優良業者の必須要件。

– 個人情報保護法
– 本人確認書類や車検証情報の適正な取得・保管・廃棄が求められる。

利用目的の明確化が必要。

実務上の補足(書類・税金)

– 普通車の抹消に必要になりやすいもの
– 車検証、所有者の印鑑証明書(発行後3カ月以内)、実印、譲渡証明書、委任状、ナンバー2枚、自賠責証明書、リサイクル券。

– 軽自動車
– 印鑑証明は不要(認印で可)など簡素だが、管轄の軽自動車検査協会で手続き。

還付は原則なし。

– 所有権留保あり
– 所有権者(ディーラー・信販)からの所有権解除書類の取得が必要。

優良業者は段取りと必要書類(譲渡証、委任状、印鑑証明等)を案内。

– 還付金
– 自動車税種別割 普通車は抹消月の翌月以降が月割還付(自治体により手続き実務は異なるが、抹消情報連携で自動手続が多い)。

軽は無し。

– 重量税 車検残があれば還付申請。

業者代行の場合は手数料の明示を。

– 自賠責 未経過分の中途解約返戻。

保険会社への申請。

委任代行の可否・手数料を確認。

こんな業者は注意

– 許可番号の開示を渋る、会社住所がレンタルオフィスのみ、固定電話がない。

– 広告は「完全無料」としながら、条件文言が極端に曖昧。

– 見積書・契約書・預り証を出さない、口頭のみで話を進める。

– 抹消完了書類の提出期限を約束しない、または「不要」と言う。

– 支払条件が当日現金一括のみで領収書も出さない。

– 口コミで「当日になって有料化」「後から減額請求」が繰り返し報告されている。

相談・確認の公的窓口(参考)

– 警察(古物商許可の管轄公安委員会) 許可の有無・標識の確認。

– 都道府県の公示・台帳 古物商許可、産業廃棄物許可、リサイクル法の引取業者登録の公表。

– 自動車リサイクル促進センター(JARC) リサイクル料金・制度の案内。

– 国土交通省・運輸支局 抹消手続、運送事業の許可制度。

– 消費生活センター トラブルの相談・助言。

まとめ
– 優良業者の要点は「許認可の整備」「料金・条件の透明化」「書面主義」「手続きの確実性」「説明責任」です。

無料・高額買取の言葉より、法令に基づいた運用と書面の整備があるかを重視してください。

– トラブル回避は「事前の情報共有と総額確定」「書面の授受」「作業・車両状態の記録」「アフターフォロー期限設定」が肝です。

– これらの指針は、古物営業法・自動車リサイクル法・道路運送法・廃棄物処理法・景品表示法・個人情報保護法等の法令、および各省庁・自治体の運用に基づく実務要請から導かれます。

この流れで進めれば、不動車の無料引取・出張査定でも、予見可能性の高い条件で安全に取引できます。

必要であれば、見積依頼メールのひな型や、当日チェックリストの簡易フォーマットもお作りします。

【要約】
不動車の無料引取は、鉄、アルミホイールやラジエーター等の非鉄、触媒など資源売却、部品リユース・海外需要という複数収益に、自動車リサイクル法の預託金が加わる構造。税・保険還付でユーザー利益も確保。物流最適化でコスト低減。数値例では鉄スクラップ0.9t×4〜5万円/tや触媒1〜5万円などでレッカー・解体費を賄い、出張査定無料も高成約率と回収効率で吸収。制度上の費用前払いが引取実費を軽減する。

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