年式が1年違うと中古車の価格相場はどれほど変わるのか?
要点だけ先にまとめると、
– 中古車の「1年差」の価格影響は年式の若いほど大きく、一般的には新車〜3年落ちで1年差あたり約8〜15%、4〜6年落ちで約5〜10%、7〜10年で約3〜7%、10年超で約0〜5%(税制や車検、故障リスクの段差がある場合は例外的に大きめ)というのが相場感です。
– ただし、実際の市場では「年式1年差=走行距離約1万km差」でセットになりやすく、走行距離要因だけでさらに2〜6%程度の差が上乗せされます(車種・価格帯による)。
– モデルチェンジ(特にフルモデルチェンジ)直後や、13年超の税制重課前後、バッテリー保証の節目(EV/PHV)など「節目」をまたぐ1年差は、通常より大きく価格が動くことがあります。
以下、メカニズムと根拠、車種別の目安、具体例、実務的な見分け方を詳しく解説します。
なぜ「年式が1年違う」と価格が変わるのか(基本メカニズム)
– 減価償却曲線 新車からの価値減少は初期が急で、その後なだらかになるのが一般的です。
これは耐用年数の考え方、保証・最新装備の鮮度、故障リスクの累積などで説明できます。
– 需給の節目 3年・5年はリース満了や車検の節目で流通量が増えやすく、相場が動きます。
フルモデルチェンジ(FMC)直後は旧型が相対的に割安になりがちです。
– 維持費・制度の節目 日本では13年超で自動車税(種別割)の重課が発生し維持費が上がります。
この節目をまたぐタイミングで相場が一段下がることがあり、「1年差」の価格差が平均より大きく出ることがあります。
– 信頼性・保証 メーカー保証(新車保証3〜5年、延長保証の有無)や主要部品保証の残存有無は価格に直結。
「保証が切れる年」をまたぐと1年差の影響が大きく出ます。
EV/PHVの駆動用バッテリー保証(例 8年・16万kmなど)も同様です。
目安となる「年式1年差」の価格下落率(年式帯別)
以下は「同等条件(修復歴なし、走行距離差小、同グレード)」で年式だけが1年違う場合の目安レンジです。
実勢は車種・需給で上下します。
新車〜1年落ち 10〜20%
1→2年落ち 8〜15%
2→3年落ち 7〜12%
3→4年落ち 6〜10%
4→5年落ち 5〜9%
5→6年落ち 5〜8%
6→7年落ち 4〜8%
7→8年落ち 4〜7%
8→9年落ち 3〜6%
9→10年落ち 3〜6%
10年超 0〜5%(状態・整備履歴や税制節目、モデル人気でブレ大)
注 13年超の重課やFMC直後、特定の安全装備やコネクテッド機能が世代で大きく変わる時はこのレンジを外れて大きく動くことがあります。
走行距離が与える追加的な影響(1年差と合わせて考える)
年式差と同時に走行距離も1年で1万km前後増えるのが一般的。
その分の影響を別建てで見ると、
– 軽・コンパクト(国産) 1万kmごとに概ね2〜4%(相場200万円なら4〜8万円)
– ミドル〜大型(国産) 1万kmごとに2〜3.5%
– 輸入・プレミアム 1万kmごとに3〜6%
– EV/PHV 走行距離自体の影響はICEよりやや小さいこともあるが、SOH(バッテリー劣化指標)や急速充電履歴で価格が大きく揺れる。
保証残が薄くなる年次には距離の効きも大きくなる傾向
距離は「閾値」をまたぐと効きが強くなります。
代表例
– 3万km・5万km・7万km・10万kmは国内市場で認知された節目。
5万km超で値引き要求が増え、10万km超で一段と敬遠されやすい。
– タイミングベルト交換推奨時期(多くは10万km前後。
チェーン式は該当せず)や高額メンテの予定が近いと相場に反映。
車種・セグメント別の「1年差」感度
同じ1年でも車種で感度が違います。
感度が小さめ(1年差の下落が緩い)
– 軽ハイトワゴン(N-BOX、タント、スペーシア等) 需要が厚く、他セグメントより値落ちが緩やか。
1年差で4〜8%程度に収まる年式帯も多い。
– 人気SUV(ヤリスクロス、ハリアー、ランクル系、フォレスター等) リセールが強く、年式差の効きが控えめ。
– トヨタ系ハイブリッド(プリウス、アクア、シエンタHV等) 燃費・信頼性・台数規模に裏打ちされた残価の強さ。
感度が大きめ(1年差の下落が大きい)
– 輸入プレミアム(独系セダン・SUV等) 新車価格が高く初期減価が大きい。
3〜5年帯で1年差10〜18%も珍しくない。
– EVの一部 補助金や新車値下げ(例 2023年前後の一部モデルの大幅値下げ)の影響で中古相場が短期に変動、1年差の見え方が通常より大きくなる局面がある。
– 大排気量・希少装備モデル 燃費・税金・タイヤ等維持費の高さが中古需要を選別し、年式が進むと買い手層が急に狭まる。
具体的な金額イメージ(例)
同一条件・同程度距離として「1年差だけ」の目安です。
現実には距離差が+1万km/年で上乗せされることが多い点に注意。
軽ハイトワゴン(新車200万円級、3〜4年落ち)
年式1年差 5〜9% → 約10〜18万円
距離+1万kmが併走する場合の追加 4〜8万円
合計体感 14〜26万円差
国産CセグHV(新車300万円級、2〜3年落ち)
年式1年差 8〜12% → 約24〜36万円
距離+1万km 6〜10万円
合計体感 30〜46万円差
輸入Dセグセダン(新車800〜900万円級、3〜4年落ち)
年式1年差 12〜18% → 約96〜160万円
距離+1万km 24〜50万円
合計体感 120〜210万円差
10年落ち前後のコンパクト(新車200万円級、9→10年)
年式1年差 3〜6% → 約6〜12万円
距離+1万km 4〜8万円
合計体感 10〜20万円差
ただし13年超の重課が視野に入る帯では、その節目前後でさらに大きめの差がつく場合あり。
「根拠」について
– 減価償却カーブ(初期急・後期緩)は、自動車残価の一般則として国際的に観測されています。
日本国内でもオートオークション(USS、JU、TAA等)や流通プラットフォーム(カーセンサー、グーネット)が公表する価格指数や動向レポートで、年式帯別の下落率がこの傾向に沿うことが確認できます。
– リース・残価設定ローンの残価率(ALG/J.D. Power系の残価データ、国産各社の残価設定)でも、3年・5年の基準が用いられ、初期の価値低下が大きい設計になっています。
残価率が高い車種(人気SUV、トヨタHV、軽ハイト)は中古でも値落ちが緩い実績があります。
– 走行距離の価格影響は、実査的にはヘドニック回帰(年式・距離・修復歴・装備・色・地域などを説明変数にした価格モデル)で推計され、対数価格モデルで年式・距離に負の係数が付くことが一般的です。
国内大手査定会社の社内モデルや、米iSeeCars/Edmunds等の公開分析でも、1万km(1万マイル換算)あたりの下落率が一定幅で推計されています。
– 2021〜2023年は半導体不足・新車供給制約で中古相場が高騰し、2023後半〜2024にかけて調整が進むなど、マクロ要因で水準が揺れましたが、「年式1年差の相対的な効き方(初期ほど大きく、年を重ねると緩む)」という形自体は維持されています。
– 税制要因については、13年超の重課が中古需要に影響し、節目前後の相場に段差が生じることが現場感覚として広く認識されています(重課率・条件は車種・燃料種別等で異なるため、最新の自治体・国税情報を要確認)。
1年差の例外・注意点
– フルモデルチェンジ直後 デザイン・安全装備・コネクテッド機能が大きく更新された場合、旧型の評価が一段落ちることがあり、1年差の影響が拡大。
– 特別仕様・限定車 標準グレードと比べ残価が高く、年式差よりグレード差が支配的になるケース。
– 事故修復歴・パネル交換 年式差より影響がはるかに大きい(数十万円〜)ため、比較では必ず修復歴や状態を揃える。
– 色・内外装コンディション 黒/白の残価優位、喫煙・ペット臭の減点、スタッドレスやドラレコなど付属品の加点減点など、細目で1年差を超える影響が出ることも。
– 保証と整備記録 ディーラー保証継承や整備履歴完備車は強く、年式1年の差を相殺・逆転する局面もある。
自分の狙い車種で「1年差」を具体把握する手順
– 同一地域・同一グレード・同等装備・無修復歴で、走行距離帯を近づけた上で、例えば「3年落ち」と「4年落ち」をカーセンサーやグーネットで複数台ずつ拾い、中央値で比較。
– オークション相場レポート(月次)や価格指数(カーセンサー価格動向、USS中古車価格指数など)で直近の市況(上昇/下落トレンド)を確認。
同じ1年差でも市況が下げ相場なら差が大きめに、上げ相場なら小さめに見えることがある。
– FMC/MCのタイミング、リコール・新型の評判、補助金の変更(特にEV/PHV)などイベントをカレンダーでチェック。
節目を跨ぐかどうかで見え方が変わります。
– 距離の影響を補正 距離が1万km多い車は同条件比で数万円〜十数万円割り引いて考える。
セグメント別の前掲レンジを使い、±5万円刻みで感度分析すると実務的。
ざっくり計算の簡易式(相場感を掴む用)
– 価格 ≈ 基準価格 × (1−d1)^(min(年数,3)) × (1−d2)^(max(年数−3,0))
目安 d1=0.12〜0.18(0〜3年帯)、d2=0.05〜0.08(3年超)
– 距離補正 1万kmごとに −2〜6%(セグメントに応じて設定)
この式に「節目(FMC、保証、税制)」のダミー調整を入れると、現場の肌感に近い概算ができます。
まとめ(実務的アドバイス)
– 年式の若い帯では1年差のインパクトが大きい。
3年以内は「1年で2桁%落ち」も普通。
価格重視なら4〜6年落ち帯がコスト/品質のバランスが良いことが多い。
– 走行距離は「閾値」を跨ぐと効きが強い。
同じ年式差でも5万kmと6.5万kmでは体感差が大きい。
可能なら5万km未満・10万km未満の帯に収める。
– 狙い車種のFMC予定や保証残、税制節目(13年)を確認。
節目を跨ぐ買い・売りはタイミングで差がつく。
– 修復歴・整備履歴・状態は年式1年差以上に価格へ効く。
比較時は条件を揃え、相場中央値で判断する。
以上を踏まえると、「年式が1年違うと中古車の価格相場はどれほど変わるのか?」の一般解は「年式が若いほど大きく、概ね5〜15%(初期は10%以上も)下がる」が答えです。
ただし実車の購入判断では、年式だけでなく走行距離・状態・装備・モデルサイクル・保証・税制といった要因を合わせて評価することが、より正確で納得感のある価格判断につながります。
走行距離が1万km増えるごとに相場はどのくらい下がるのか?
結論(要点)
– 中古車の相場は「年式(年数)」と「走行距離」の2軸で決まり、走行距離1万kmの増加が与える下落幅は、年式・車種・価格帯によって大きく異なります。
– 一般的な目安(国産の量販車、相場100万~300万円程度)では、1万km増でおおむね1万~3万円、または車両価格の1~2%程度下がるケースが多いです。
– 高年式・高価格帯・高級輸入車ほど距離1万kmの影響は金額ベースで大きくなり(2~6万円、場合によってはそれ以上)、反対に高経年・低価格帯になるほど影響は小さくなりがちです(5千~1.5万円程度)。
– 5万km・10万kmなどの節目は心理的/整備コスト面のハードルがあり、通常の「1万kmあたり」の下落に加えて段差的に大きく落ちることが多いです(特に10万km越えは5~20万円規模の追加下落が起きやすい)。
なぜそうなるのか(メカニズム)
– 需要サイドの心理 多くの買い手は「年1万km前後」を標準的な使われ方と認識しており、平均からの乖離(特に超過距離)があると将来の整備費用リスクや売却時の残価を織り込んで価格を下げます。
5万km、10万kmといったキリの良い閾値は検索条件やフィルタでも区切られやすく、需要が途切れやすい。
– メカニカル要因 走行距離が増えると、タイヤ・ブレーキ類・ダンパー・ベルト類・各種オイル・プラグ・補機類などの交換タイミングが順次到来。
特に10万km前後は大物の予防交換やハイブリッド車のバッテリー、CVT/ATのメンテ懸念が重なりやすく、価格に反映されます。
– 査定実務のルール 業者間オークションや買取店の査定は、年式・走行距離・修復歴・外装/内装/機関の状態などを減点法で数値化し、走行距離は「標準走行(年1万km前後)」からの超過に対して距離調整額を設定するのが一般的です。
簡易査定では「1,000kmあたり数百~数千円」といった距離係数が使われることがあり、結果として1万kmで1万~3万円程度の減額感が実務上よく見られます。
– 統計的背景(ヘドニック回帰の考え方) 中古車の価格は年式、走行距離、グレード、装備、色、状態など多変量の関数です。
学術や業界の分析では、価格の対数を従属変数、走行距離(またはその対数)を説明変数にとると、距離は有意な負の係数を持つことが一般的で、1万kmあたり1~3%の範囲で価格を押し下げる「オーダー感」が多く報告されています。
ただし係数は年式帯や車種で有意に異なります。
1万kmあたりの下落幅(具体的なレンジの目安)
– 軽自動車(相場50万~150万円)
– 1万kmあたり 約5千~1.5万円(0.5~1.5%程度)
– 閾値影響 7万~10万kmを跨ぐと追加で2~8万円程度の段差が生じやすい
– 国産コンパクト/セダン/ミドルSUV(相場100万~300万円)
– 1万kmあたり 約1~3万円(1~2%程度)
– 閾値影響 5万kmの手前と越えで1~5万円、10万km越えで5~15万円の追加下落が出やすい
– 国産ミニバン/人気SUV(相場200万~400万円)
– 1万kmあたり 約2~4万円(1~2%強)
– 閾値影響 5万km跨ぎで2~6万円、10万km越えで8~20万円程度
– 輸入プレミアム(相場300万~800万円超)
– 1万kmあたり 約3~10万円(1~2%強、初期ほど重く出やすい)
– 閾値影響 5万km越えで5~15万円、10万km越えで10~30万円規模になることも
年式帯による違い(距離感度は年式で変わる)
– 0~3年落ち(高年式・低走行ゾーン)
– 走行距離の1万kmは相対的価値損失が大きく、価格の1.5~3%(金額で2~6万円/200万円車想定)になりやすい
– 法人/レンタアップ個体は距離多めでも整備履歴が明瞭ならやや緩和
– 3~7年落ち(相場の中心)
– 1万kmあたり1~2%(200万円車で2~4万円)が目安
– 5万km跨ぎの段差に留意
– 7~12年落ち(高経年)
– 1万kmあたり0.5~1.5%(100~200万円車で5千~3万円)。
ただし10万kmを超える瞬間の段差のほうが寄与が大きい
– 12年超
– 距離よりも整備記録、消耗品更新履歴、錆・下回り状態、修復歴の有無が支配的に。
距離の「連続的」な影響は薄れ、閾値(10万km/15万km)や個体差の影響が大きくなる
パワートレイン/車種特性による違い
– ハイブリッド 低走行域では距離影響は普通だが、8~12万km以降に高額なバッテリー等の懸念が意識されやすく、10万km跨ぎの段差が相対的に大きく出る傾向
– ディーゼル 高走行耐性のイメージがあり、同年式なら距離ペナルティはやや緩め。
ただしDPF/インジェクター等の整備費リスクが顕在化する走行域では警戒される
– EV 走行距離そのものより年式(バッテリー世代)やSoHが支配的。
距離の連続的な影響は相対的に小さく、急速充電履歴など別軸が価値を左右
– スポーツ/希少車 走行距離の影響が小さくなるケースあり。
市場のコレクタブル性が勝つため、距離1万kmあたりの下落は一般車より鈍化
閾値(キリ番)による段差
– 5万km 検索条件の分岐や消耗品更新の意識から、1~5万円の追加下落が出やすい
– 7万~8万km 大物消耗の前触れとして意識され、数万円の下押し
– 10万km 心理的・金融的な大きなライン。
5~20万円(車種/価格帯による)の追加下落が起きやすい
– 15万km以上 需要がかなり絞られ、個体差(整備履歴/状態)の重要度が最大化
実務で使える概算式(目安)
– 距離による減額[万円] ≈ 基準価格[万円] × 距離係数 × 走行距離増加(万km)
– 距離係数(年式別の目安)
– 0~3年 0.015~0.03
– 3~7年 0.01~0.02
– 7年超 0.005~0.015
– 閾値補正を別途加算(5万kmで+1~5万円、10万kmで+5~20万円など)
– 例(5年落ち、相場200万円の国産SUVで3万km→5万km)
– 走行距離増加2万km、距離係数0.015と仮定
– 減額 ≈ 200×0.015×2 = 6万円。
もし5万kmを跨ぐ段差補正が+2万円なら合計約8万円の下落
根拠について(データ/業界実務の裏付け)
– 業者オークションと小売相場の経験則 USSやCAAなど業者オークションの落札傾向、カーセンサーやグーなどの掲載価格の縦比較では、年式が同等の車同士で走行距離が1万km違うと、数万円規模の価格差が繰り返し観測されます。
特に5万km/10万kmの節目で差が拡大。
– 査定手法の距離調整 買取店やディーラー下取りの査定票では、標準走行距離(年1万km前後)からの超過/不足に対し、1,000kmあたり数百~数千円の距離調整を行う簡易係数が使われることがあります。
これを平準化すると「1万kmで1~3万円」の感覚に近づきます。
高価格帯は率で見るため金額はさらに大きくなります。
– 統計的分析(一般論) 中古車価格のヘドニック分析では、走行距離は価格に負の弾力性を持ち、年式が若いほど距離係数が大きく、高経年になるほど小さくなる傾向が示されます。
数値の絶対値は車種・市場局面で変動しますが、「1万kmあたり1~3%」というレンジは多くの車種帯で整合的です。
注意点(例外やブレの要因)
– 修復歴・事故歴・再塗装・下回り腐食などの状態要因が、距離影響を簡単に上回る
– モデルチェンジ直後/直前、特定グレードや限定色の希少性、装備(安全装備/ナビ/サンルーフ/4WD等)で距離効果が希釈される
– 季節要因(SUV/4WDは冬前、オープン/スポーツは春夏に強含み)や地域差
– 保証の有無、ディーラー認定の付加価値
– 高速メインの長距離は実機の疲労が少ない場合もあり、整備記録が充実していれば距離ペナルティが緩和されることがある
実践的な見方(ご自身での検証方法)
– 同一モデル・年式・グレードで、走行距離だけが異なる複数台の相場を絞り込み、1万km差の価格差を観察
– オークション成約(公開情報が少なければ相場グラフ機能や価格推移ツール)を期間で追い、5万km/10万km跨ぎの段差を確認
– 簡易回帰(スプレッドシートでも可)で、価格を目的変数、年式・距離・装備を説明変数にした線形/対数モデルを組むと、距離の係数が把握できます
まとめ
– 走行距離1万kmの増加による相場下落は「年式」「価格帯」「車種特性」「閾値跨ぎ」によって大きく変わるが、量販国産車では概ね1万~3万円(1~2%)が起点の目安。
– 高年式・高価格帯では率は近くても金額が大きくなり、逆に高経年・低価格帯では金額ベースで小さくなる。
– 5万km・10万kmなどの閾値は通常の連続的下落に加えて段差的に落ちるため、売買タイミングや検索条件設定で強く意識される。
– 最終的には個体の状態と整備履歴が距離の影響を上書きし得るため、距離のみで判断せず、記録簿・下回り・消耗品更新の実態とセットで評価するのが合理的です。
もし具体の車種・年式・現在の走行距離・想定価格帯が分かれば、その条件に合わせた「1万kmあたりの下落見込み(率と金額)」をもう少し精緻に試算してお出しできます。
年式×走行距離の組み合わせ別に相場の目安はいくらなのか?
前提と結論の概要
– ここでは日本の中古車市場を前提に、「年式×走行距離」の組み合わせ別に“店頭の小売相場(掲載価格ベース)”を中心とした目安を示します。
買取・下取相場は小売の約80〜90%(車種・状態で差あり)と見てください。
– 基本の考え方は「年式(時間)」で決まるベース残価に「走行距離の超過・不足」による加減点を重ねる方式が最も実務的で再現性があります。
以下に“国産の一般的な乗用車”“軽自動車”“輸入車”の3カテゴリで、年式×走行距離の相場目安と、根拠・使い方をまとめます。
基本ルール(全カテゴリ共通)
– 年式の基準走行距離 年1万kmが中立(平均)とされがち。
3年なら3万km、5年なら5万kmが「普通」の目安。
– 価格は新車価格に対する残価率で捉えると汎用性が高い。
これに車種人気・状態・装備などの補正を足し引きする。
– 走行距離の効き方 平均から1万km多いごとに残価率が約2〜5ポイント下がる(車種や相場水準により幅あり)。
逆に少ないと同程度上がる。
10万km・15万kmで心理的な段差が入り、さらに5〜15ポイント下振れすることが多い。
– 相場は小売(店頭)>オークション(卸)>買取(ユーザー)という階層。
小売は整備・保証・利益を含み、卸は相場のコア、買取はそこから販社のリスク・コスト分だけ控えめ。
A. 国産の一般的な乗用車(コンパクト/ミニバン/セダン/ハイブリッド等)の目安
残価率(小売相場、平均走行距離=年1万kmを想定)
– 1年/1万km 新車価格の約78〜88%
– 2年/2万km 68〜80%
– 3年/3万km 58〜72%
– 4年/4万km 50〜65%
– 5年/5万km 42〜58%
– 6年/6万km 36〜52%
– 7年/7万km 30〜45%
– 8年/8万km 26〜40%
– 9年/9万km 22〜36%
– 10年/10万km 15〜30%(10万kmの節目で弱含みやすい)
– 12年/12万km 10〜22%
– 15年/15万km 5〜15%
走行距離補正(上記の年式ごとの中心値に対して)
– 平均より1万km少ない +2〜4ポイント(2万km少ない+4〜7pt)
– 平均より1万km多い −2〜5ポイント(2万km多い−4〜8pt)
– 10万km超え 追加で−5〜10pt、15万km超え さらに−10〜15pt
– 低走行のプラスは逓減(極端な過少走行はゴム・シール劣化懸念で加点が伸びにくい)
具体的な組み合わせ例(新車価格250万円の車を想定した小売価格レンジ)
– 1年×0.5万km 210〜235万円(84〜94%)
– 1年×1.5万km 195〜220万円(78〜88%)
– 3年×2万km 165〜190万円(66〜76%)
– 3年×3万km 150〜180万円(60〜72%)
– 3年×5万km 135〜165万円(54〜66%)
– 5年×4万km 120〜150万円(48〜60%)
– 5年×5万km 105〜145万円(42〜58%)
– 5年×8万km 90〜125万円(36〜50%)
– 5年×10万km 80〜110万円(32〜44%)
– 7年×7万km 75〜115万円(30〜46%)
– 7年×10万km 60〜95万円(24〜38%)
– 7年×12万km 50〜85万円(20〜34%)
– 10年×5万km 55〜85万円(22〜34%)
– 10年×10万km 40〜75万円(16〜30%)
– 10年×15万km 30〜60万円(12〜24%)
B. 軽自動車(相場が強く、下落が緩やか)
– 残価傾向は上記国産車より概ね+5〜10ポイント高め(特に人気のスーパーハイト軽など)。
地方含め需要が厚く、維持費要因も強い。
– 新車価格150万円の例(小売)
– 1年×1万km 120〜138万円(80〜92%)
– 3年×3万km 105〜128万円(70〜85%)
– 5年×5万km 83〜105万円(55〜70%)
– 7年×7万km 68〜93万円(45〜62%)
– 10年×10万km 42〜75万円(28〜50%)
– 走行距離の段差(10万km)は軽でも効くが、人気グレード・4WD・寒冷地仕様は強含みやすい。
C. 輸入車(初期下落が大きく、その後は人気車で底堅い二極化)
– 初期3年までの下落が国産より大きい。
以降はモデル・ブランド力・整備履歴で差が拡大。
– 新車価格500万円の例(小売)
– 1年×1万km 350〜425万円(70〜85%)
– 3年×3万km 225〜325万円(45〜65%)
– 5年×5万km 150〜250万円(30〜50%)
– 7年×7万km 100〜200万円(20〜40%)
– 10年×10万km 50〜125万円(10〜25%)
– 走行距離補正は国産より効きやすい(1万km超過で−3〜6pt)。
希少グレード、スポーツ/プレミアム系は相場耐性が高く、整備記録が価格に直結。
D. 電動車(HV/PHV/EV)の補足
– HV 国産HVはガソリン車と同等かやや強め。
バッテリー保証や信頼性が担保されているモデルは残価安定。
– PHV/EV 年式・走行に加え、バッテリーの劣化・保証条件で大きく変動。
保証外年式や急速充電履歴過多は−5〜15ptの下振れも。
航続の実用値が相場に直結。
– 8年/10万〜16万km付近の保証節目で段差が出やすい。
買取相場(下取/買い取り)の目安
– 小売相場の約80〜90%が買取目線の大枠。
流通の厚い車は高め、回転が鈍い車・修復歴ありは低め。
– 例(上の国産250万円新車の「3年×3万km」で小売150〜180万円なら)
– 買取レンジ 概ね120〜160万円(車両状態・販路で差)
– オークション想定落札 買取±数万円〜十数万円程度(手数料・輸送費を考慮)
相場を動かす追加要因(重要度が高い順の目安)
– 車両状態 無事故・修復歴なし、整備記録、禁煙、内外装の傷凹み、タイヤ残、ブレーキ・バッテリー等の消耗
– グレード/装備 安全装備(ACC/BSM等)、ナビ/カメラ、両側電動、サンルーフ、レザー、エアサス等は加点。
廉価グレードは減点
– 色/駆動 白/黒/パールは強め、奇抜色は弱め傾向。
雪国では4WDが強い
– 車検残 残り1年で+2〜6万円程度の実勢(車格で差)
– 地域差/季節性 4〜6月、9〜11月は動きやすい。
軽は地方強め、オープン/スポーツは春〜夏が強め
– モデルサイクル フルモデルチェンジ直後は旧型が軟化しがち。
逆に生産終了の名車は強含みも
– マクロ要因 新車供給逼迫期(半導体不足など)は中古相場が全体に押し上げられた実例あり
根拠・背景(なぜその数字になるか)
– 残価カーブの実務 リースやファイナンスの残価設定(3年60〜70%、5年40〜55%が国産普及車での一般的な帯域)と、オートオークションの落札分布が大枠の形を与えます。
これに店舗の仕入コスト・整備保証・利益が上乗せされ小売相場が形成。
– 走行距離の節目 日本市場では「3年3万km」「5年5万km」「7年7万km」が“普通”の認識。
10万kmは機械的寿命というより心理的節目として価格の段差が生じやすい。
– データ観測の実感 公開の掲載相場(カーセンサー/グーネット等)を多数車種で観察すると、年式ごとの中央値と走行帯ごとの差は上記レンジに概ね収斂します。
オークション統計(USS等)でも年式×距離の分布に同様の段差が見られます。
– カテゴリ差 軽は需要の裾野が広く税保険面で支持が強い。
輸入車は初期減価が大きいが、ブランド・グレードで残価弾力性が極端に異なる(AMG/M等の高性能、ポルシェなどは別挙動)。
実務での使い方(簡易計算の手順)
1) ベース残価率を年式から取る(国産普及車/軽/輸入のいずれか)。
2) 走行距離の超過・不足に応じて±ポイント補正(1万km毎に±2〜5pt、10万km閾値で追加−5〜10pt)。
3) 車両要因でさらに±(人気グレード/装備+3〜10pt、修復歴−10〜20pt、色/4WD/寒冷地仕様+1〜5pt など)。
4) 新車価格×最終残価率=小売の相場目安。
買取はそこから10〜20%控えめ。
5) 現物は状態差が大きいので、実車確認で2〜10%は平気で上下する前提で見る。
注意点
– 上記は「モデルや状態が平均的である」ことを前提にした帯域です。
特定車種(例 ランドクルーザー、ジムニー、アルファード、GR/タイプR系、希少限定車など)は相場耐性が突出し、各帯域の上振れ〜別カーブを描きます。
– 逆に不人気色、廉価グレード、修復歴、過走行、装備欠落は下振れが大きい。
– 市場環境(新車納期、金利、燃料価格、為替)で短期的に全体レベルが上下します。
最新事情を反映するには直近1〜3ヶ月の掲載相場・落札相場を必ず参照してください。
まとめ
– 年式×走行距離の相場は「年式で決まるベース残価」×「距離補正」が骨格。
国産普及車は3年60〜70%、5年40〜55%が中庸、軽はそれより強め、輸入は初期減価が大きめというのが大枠です。
– 具体的な価格帯は上のレンジ一覧を起点に、新車価格と個別の加減点(状態・装備・人気)で最終調整してください。
最後は実車の状態と直近の市場事例が決め手になります。
必要なら、想定車種・年式・距離・新車価格や装備を教えていただければ、より絞り込んだレンジに落とし込みます。
同じ年式・走行距離でも車種や状態で相場が変動するのはなぜか?
同じ年式・走行距離でも車種や状態によって中古車の相場が変わるのは、価格が「需要と供給」「将来の維持コストやリスクの見込み」「装備・仕様の価値」「個体の状態」「販売条件・販路」「地域・季節」「情報の信頼性」といった複数の要因の組み合わせで決まるためです。
年式と走行距離は重要な基礎情報ですが、それは多変量の中の2項目に過ぎません。
以下、要因とその根拠をできるだけ具体的に解説します。
車種・ブランドによる需要と供給の違い
– 人気度と用途適合性 同じ年式・距離でも、実需が強い車(軽スーパーハイト、ハイブリッド、ミニバン、軽トラ・商用など)は流動性が高く価格が下支えされます。
例えばN-BOXやプリウス、ヴォクシー系は中古需要が厚く、同年式のセダンやクーペより高値がつきやすい傾向があります。
– 新車価格と残価の影響 残価設定クレジットやリースで新車時の残価が高く設定される車種は、二次流通でも残価が意識され中古相場が高止まりしやすいです。
反対に新車時の値引きが大きいモデルは、中古でも相対的に割安になりやすい。
– 生産・流通量 供給が多い車は相場が均され、希少なグレードや限定車はプレミアムが乗ります。
– モデルサイクルの影響 フルモデルチェンジ直後は旧型の相場が下がりやすい一方、マイナーチェンジで安全装備が大幅更新されたタイミングの前後で同年式でも装備差による価格差が生まれます。
– 海外輸出需要 日本の中古車は海外需要(例 アジア、アフリカ、オセアニア、ロシア向け)が相場を押し上げることがあります。
特定地域で人気のディーゼルSUVや右ハンドル車、耐久性で評価の高いトヨタ系は輸出相場に連動しやすいです。
信頼性・維持費の期待値
– 故障リスクと評判 型式ごとの弱点(ミッション・CVTの持病、ターボや直噴のカーボン堆積、電装トラブルなど)の有無は織り込まれます。
リコール・サービスキャンペーンの対応状況も影響します。
– 維持費の違い 部品代・工賃、消耗品のサイズ(大型タイヤ・高価なブレーキ)、輸入車の部品供給性、保険料率、税金(排気量・重量)などの総費用見込みが価格に反映されます。
燃費の良し悪しや必要燃料(レギュラー/ハイオク/軽油)も重要です。
– 電動化パワートレイン ハイブリッドやEVは駆動用バッテリーの劣化懸念と保証残の有無で価格が大きく動きます。
SOH(State of Health)が可視化される個体やメーカー保証が残る個体は高く評価されやすいです。
装備・グレード・オプションの価値
– 安全装備の世代差 自動ブレーキ、アダプティブクルーズ、レーンキープなどADASの有無・世代で価格が変わります。
同じ年式でも前期/後期で装備差が大きいことがあり、後期相場が高くなります。
– 駆動方式・地域適合 4WDや寒冷地仕様は降雪地域で高値。
逆に都市部では2WDが主流で差が縮むこともあります。
– 上級内外装・人気OP 革シート、サンルーフ、先進ナビ/全周囲カメラ、上級オーディオ、パワーバックドアなどは再販価値に寄与。
特別仕様車や人気色(白・黒等)はプラス評価。
– グレード戦略 ベースグレードと上級グレードでは装備差だけでなく下取り時の需要差があり、上級グレードの方が値落ちが緩やかな例が多いです。
個体の状態差(コンディション)
– 修復歴の有無 骨格部位に損傷修復がある「修復歴あり」は、同条件でも十万〜数十万円規模で安くなります。
フレームやラジエーターサポートの交換歴、事故の程度はオークションの評価票や第三者鑑定で明確化されます。
– 外装/内装の劣化 大小の傷・凹み、塗装の色褪せ、再塗装の質、ガラス傷、ホイールガリ傷、室内の汚れや臭い(喫煙・ペット)などは可視的な価値差を生みます。
– 下回りや腐食 沿岸部や雪国での使用歴は下回り錆・腐食のリスクが高く、避ける買い手が多いため価格に反映されます。
– 消耗品の残量 タイヤ溝、ブレーキパッド/ローター、バッテリー、ワイパー、オイル漏れの有無など。
近々の出費が見込まれる個体は値引き要因。
– 整備記録と所有履歴 記録簿あり・ディーラー整備・ワンオーナー・屋内保管は安心材料。
レンタアップ、カーシェア、営業車は敬遠されやすい傾向があります。
– 走行の質 同じ距離でも長距離巡航中心は痛みが少なく、短距離・渋滞・アイドリング多用は機関への負担が大きいと見なされます。
– 改造/カスタム 純正重視の市場では過度な改造はマイナス。
ただし人気ブランドの軽度なカスタム(アルミ、ナビ等)はプラスに働くことも。
販売形態・保証・リコンディション
– 認定中古車 vs 一般販売 メーカー系ディーラーの認定は点検・保証・交換部品が含まれ価格は高めでも安心感があり、同年式/距離でも相場が上に出ます。
– 保証とアフター 長期保証や返品可などの販売条件は価格に上乗せされます。
逆に現状販売は安価。
– 車検残と名変コスト 車検残が長い個体は初期費用が抑えられるため高めに評価されやすいです。
– リコンディションの質 内外装リペア、整備の内容が明確な車は高値。
店舗ごとの再商品化コストも小売価格に転嫁されます。
– 販路と利幅 業者オークション落札価格に対する小売価格の上乗せ(整備・保証・経費・利益)は店舗ごとに異なり、同条件でも掲示価格に差が出ます。
地域差・季節性・マクロ環境
– 地域需要 雪国での4WD需要、都心でのコンパクト需要、農村部での軽トラ需要など。
地域在庫と需要のミスマッチで価格が違います。
– 季節要因 オープンカーやSUVは季節で強弱が出やすい。
スタッドレスタイヤの付属も冬前は価値が上がります。
– 燃料価格と政策 ガソリン高騰局面ではハイブリッドの相場が上がり、税制変更(環境性能割、重量税の優遇)や規制も影響します。
– 新車供給事情 半導体不足や物流問題で新車納期が延びると、中古の代替需要が高まり相場が押し上がります。
コロナ禍以降に実際に観測された現象です。
情報の信頼性とリスクプレミアム
– 第三者鑑定や評価点 AISやオークション評価点(例 4点以上、内外装B以上)は市場での安心感が高く、同条件でも高値を付けます。
– 車歴の透明性 記録簿、事故歴開示、メンテ履歴の可視化はリスクを減らし、価格を押し上げます。
情報の非対称性が小さいほど高く売れます。
根拠について
– 実市場データの確認方法 カーセンサー、グーネットなど大手中古車検索サイトで、年式・走行距離・地域を固定しつつ車種やグレード、装備、修復歴の有無を切り替えると、十万〜数百万円の価格差が生じることが容易に観察できます。
特に「修復歴あり/なし」「認定中古/一般」「4WD/2WD」「前期/後期(安全装備更新)」で明確な差が出ます。
– 業者オークションの評価と成約価格 USSやTAA等の業者オークションでは、同年式・同走行でも評価点や内外装評価、修復歴の有無で落札価格に顕著な差がつくことが取引現場の常識です。
評価点4.5/内外装Bと、評価点3.5/内外装Dでは数十万円以上の乖離が一般的で、骨格修復歴があるとさらに差が広がります。
これらの評価基準はAIS等の第三者機関が公開しており、評価票の読み方も標準化されています。
– 残価・需要の外部指標 メーカー各社の残価設定クレジットの残価率や、CPO(認定中古車)販売の価格帯は、中古相場の上限目安として機能します。
自販連(日本自動車販売協会連合会)や輸入車組合の新車販売台数、在庫統計は、一定のタイムラグをもって中古の供給・価格に反映されます。
– マクロ環境の影響の実例 2020年以降の半導体不足と新車納期長期化に伴い、多くの車種で中古相場が上昇・高止まりしたことは業界紙や一般紙(経済紙)でも繰り返し報じられ、実際にオークション相場・小売価格データに反映されました。
燃料価格高騰期にハイブリッドの下取り相場が上がる現象も同様に観測されています。
– 輸出相場との連動 日本の中古車が特定国向けに需要過熱すると国内相場が引っ張られることは、輸出業者の仕入動向やオークション会場の相場速報でも確認できます。
右ハンドル圏や関税変更のニュース後に価格が動く事例が複数あります。
– 学術的裏付け 中古車価格は「ヘドニック価格モデル」で説明可能とされ、年式・走行距離以外にブランド、装備、安全性能、燃費、事故歴、保証、販売チャネルなどの属性が価格に寄与することが多数の研究で示されています。
これは実務の査定現場(日本自動車査定協会や各買取店の査定システム)にも取り入れられています。
実務的な見分けのポイント
– 同年式・距離で比較する際は、以下を必ず揃えて見てください。
– 修復歴の有無、評価点、内外装評価
– グレード、駆動方式、主要オプション(安全装備、ナビ、サンルーフ等)
– 整備記録簿、保証の有無、車検残、タイヤ/ブレーキ残量
– 使用履歴(個人/法人/レンタ)、保管環境、地域
– 販売形態(認定/一般/現状)、リコンディション内容
– 不自然に安い個体は、見えないリスク(修復歴、粗い塗装、下回り腐食、近々の高額整備)が潜む可能性が高いため、第三者鑑定や下回り確認、診断機チェックを推奨します。
まとめ
年式・走行距離は価格形成の重要な軸ですが、相場はそれだけでは決まりません。
車種固有の需要・供給、信頼性と維持費の期待、装備・グレードの価値、個体状態、販売条件、地域・季節、情報の透明性が複合的に作用します。
根拠としては、公開市場(中古車サイト)の横断比較、業者オークションの評価と落札価格の一貫した関係、残価・新車供給の指標、輸出需要、そしてヘドニック価格の理論・査定実務が挙げられます。
したがって同じ年式・走行距離の二台であっても、上記要因の差が積み上がれば、最終価格に大きな開きが生まれるのは合理的な結果と言えます。
高く売る・安く買うために最適な年式と走行距離のラインはどこか?
結論から先に要点をまとめます。
– 年式ラインの目安
– 3年未満は新車価格に近く値落ちが少ない。
売るには高く、買うには割高。
– 3〜5年が減価の“谷”に入る入口。
買いの狙い目、売りはまだ強い。
– 5〜7年で一段安。
状態が良ければコスパが高い買い場。
– 10年超はモデル・個体差が大きい。
国内は値が落ちやすいが一部は輸出需要で下支え。
– 13年超は自動車税・重量税が重課されるため国内相場は弱くなる(ただし輸出人気車は別)。
– 走行距離ラインの目安
– 3万km、5万km、7万km、10万kmが心理的かつ整備上の節目。
これをまたぐと相場が段階的に下がりやすい。
– 売るなら節目の少し手前(例 49,xxxkm)で、買うなら節目直後(例 51,xxxkm、102,xxxkm)が割安になりやすい。
– 「高く売る・安く買う」の最適レンジ(一般的なガソリン車)
– 売るなら 2.5〜3年・2〜3万km、あるいは4.5〜5年・4〜6万kmで“節目手前+保証や車検が効いている”状態
– 買うなら 3〜4年・3〜5万km、または6〜7年・6〜8万kmで整備履歴が明確な個体。
節目直後の距離は特に狙い目
以下、根拠とタイプ別の深掘りです。
年式・走行距離が相場に与える基本構造
– 減価の曲線
– 初年〜3年 新車からの値下がりが最も急。
1年で20〜30%、3年で40〜50%下がる車種が多い。
一方で下取りも強いので売却額は高め。
– 3〜5年 大きな値下がりが一巡し、価格は安定化し始める。
品質も安定、保証が残る個体も多く、買いのバリューが出やすい。
– 5〜7年 モデル末期やマイナーチェンジの影響が出やすく、相場が一段下がる。
良個体の見極めが効けば非常にコスパが高い。
– 8〜10年 主要消耗品の交換時期と重なり、個体差が拡大。
価格分布が広がる。
– 10年超 国内では敬遠されやすいが、車種によっては輸出需要で価格が底堅い。
13年超は税の重課で国内需要が落ちやすい。
– 走行距離の段差
– 3万km 新古に近い印象の境。
内外装のヤレが少ない。
– 5万km 足回り・ブレーキ・ベルト類など軽〜中規模整備の意識が高まる帯。
心理的に大きい節目。
– 7万km ダンパーやブッシュの劣化が顕著になる個体が増える。
– 10万km 大規模整備の節目(プラグ、補機、場合によりタイミングベルト/ウォーターポンプ)。
価格が明確に一段落ちる。
– 車検と保証の効き方(日本市場特有の要因)
– 車検は登録後3年、その後は2年ごと。
車検残が長い個体は小売では好まれるが、業者下取りでは満額評価されづらい。
– メーカー保証は3年または5年(特定部位)などが一般的。
保証残がある個体は相場で有利。
– 税制の段差
– 登録後13年超(ディーゼルは概ね11年)で自動車税・重量税が重課。
国内実需が弱まり、相場は下押しされる。
高く売るための「年式×距離」最適ライン
– 2.5〜3年・2〜3万km
– 根拠 初期減価は終盤だが商品感は高い。
初回車検前で内外装が新鮮、保証残がある、かつ走行も少ない。
中古小売側が“即売れ在庫”として強気に仕入れやすい。
– 注意 車検を通してから売ると個人売買では有利だが、買取店は車検費用を満額評価しないケースが多い。
業者売却なら車検前、個人売却なら車検直後が目安。
– 4.5〜5年・4〜6万km
– 根拠 5万kmの節目前で“次のオーナーがしばらく安心して乗れる”印象。
2回目の車検前で手放す層が多く、相場形成が厚い。
– モデルチェンジ前の前倒し売却 フルモデルチェンジ告知〜発売直後は相場が緩みやすい。
自車のモデルサイクル(通常5〜6年)を把握し、告知前に動くと有利。
– ハイブリッド・EVの追加ポイント
– HV 駆動用バッテリーに対する心理的閾値は8〜10年/10〜15万km。
売却はこの手前が相場優位。
– EV 実航続と充電スペックの陳腐化が早い。
売りは3〜4年・2〜4万kmが比較的強い。
– 輸出需要を伴う車種(例 ランクル、ハイエース、プリウス、ジムニー等)
– 7〜12年・10万km超でも相場が底堅い。
国内で税重課の前後でも海外需要で吸収されるため、距離や年式の“段差”が小さい場合あり。
買取店でも輸出系に当てると強い価格が出やすい。
安く買うための「年式×距離」最適ライン
– 3〜4年・3〜5万km
– 根拠 初期減価後で状態が良い個体が多く、メーカー保証や延長保証が残る場合も。
総保有コストの見通しが立てやすい。
– コツ 5万kmの節目直後(例 5.2万km)に狙いを広げると、同条件で数十万円落ちることもある。
– 6〜7年・6〜8万km
– 根拠 価格は一段安だが、適切な整備履歴の個体を選べば耐用性に余裕がある。
足回り・ブレーキ・冷却系などの交換歴が鍵。
– コツ 7万kmの節目直後や、2回目車検直後の個体は割安。
車検費用が車体価格に十分転嫁されていない在庫が見つかる。
– 10〜11年・10〜12万km(上級車・輸入車・相場の落ちが大きい車種)
– 根拠 心理的な10万kmを越えて大幅に価格が落ちる。
予防整備が済んだ個体(タイベル・WP・プラグ・AT/CVTフルード等交換済)を選べば総額で得。
– リスク 不確実性が高いので第三者鑑定・診断機チェック・記録簿必須。
HV/EVはバッテリー評価が鍵。
– 軽自動車
– 国内需要が厚く値落ちが緩やか。
狙い目は4〜6年・4〜7万km。
10万km超の値落ちは普通車より緩いが、個体差の影響が大きい。
走行距離・年式以外で相場を大きく動かす要素
– 事故・修復歴、再塗装の有無、禁煙/喫煙、内装の使用感、タイヤ残溝、記録簿・整備明細の充実、ワンオーナー
– 人気グレード・カラー・装備(ACC、全周囲カメラ、先進安全、サンルーフ、レザー等)
– モデルサイクル(マイナーチェンジ、フルモデルチェンジの告知タイミング)
– 季節性と需給
– 2〜3月は需要過熱で売り有利・買いは割高。
4〜5月や夏は相対的に買い場。
月末・四半期末は販売店の数字都合で値引きが出やすい。
– 市場セグメント差
– ミニバン/SUVは需給が厚く残価が強め。
セダンは弱含みがち。
輸入車は3〜5年の値落ちが大きい反面、装備が豪華で中古のバリューが高い。
整備・耐用の節目が「ライン」になる理由(根拠)
– 機械的閾値
– 5万km前後 ブレーキ周り、ベルト類、補機バッテリー、タイヤが更新期に入る。
– 7〜8万km ダンパー・ブッシュ・ハブベアリングなど足回りの劣化が体感化。
– 10万km前後 点火プラグ、ウォーターポンプ、タイミングベルト(採用車)、CVT/ATフルードなどの大きめ整備が重なる。
– 心理的閾値
– 中古車ポータルの検索条件や並び順が「5万km未満」「10万km未満」などで切られるため、節目超えで閲覧数が落ち、相場が段差的に下がる。
– 税・車検・保証の閾値
– 車検サイクル(3年→2年)や、メーカー保証の満了(3年・5年)、13年超の税重課が価格形成に反映。
– 流通事情
– 3年・5年落ちにはリース/社用の放出が集中し、供給が厚くなる。
相場の“層”が厚いところは価格がこなれやすい。
タイプ別の補足
– ハイブリッド(HV)
– 売る 7〜8年・7〜10万kmの手前で、バッテリー診断書があると強い。
– 買う 3〜5年・3〜6万kmが無難。
6〜8年でもバッテリー健診と延長保証加入可否で判断。
– 電気自動車(EV)
– 売る 3〜4年・2〜4万km。
ソフト更新や充電規格の変化前が有利。
– 買う 2〜3年落ちの低走行が相対的に割安化しやすい。
バッテリーSOH、急速充電回数、熱履歴を必ず確認。
– 輸入車
– 買う 3〜4年・2〜4万kmの認定中古は高いが安心。
6〜7年・6〜8万kmは価格妙味が大きいが、保証・部品代・整備工場の確保が前提。
– 売る 保証満了直前や車検前がセオリー。
希少グレードは相場耐性が強い。
– 4WD/SUV・ミニバン
– 季節(降雪期前)や災害後で相場が跳ねやすい。
売りは需要期直前、買いは需要期直後が狙い目。
実務的な動き方
– 売る側
– 走行の節目前(49,xxx/69,xxx/99,xxxkm)で動く
– モデルチェンジの告知前に査定を回す(複数社+輸出系)
– 記録簿・消耗品交換歴・傷補修・室内清掃・禁煙化など“売れる要素”を揃える
– 個人売買なら車検を通してから、業者売却なら車検前に
– 買う側
– 節目直後の距離帯を中心に3件以上の同条件比較
– 第三者鑑定、下回り・骨格・塗装膜厚、OBDスキャン、試乗でAT/CVTの変速ショック・ハブ音・直進性を確認
– 車検残の多寡だけで判断せず、総支払額(車体+整備+税+保証)で比較
– 時期は4〜5月、7〜8月、月末・四半期末が交渉しやすい
代表的な「狙い撃ちライン」の早見
– 高く売る
– 2.5〜3年・2〜3万km(初回車検前、保証残)
– 4.5〜5年・4〜6万km(5万km手前、2回目車検前)
– HVは7〜8年・10万km手前、EVは3〜4年・低走行
– 安く買う
– 3〜4年・3〜5万km(王道)
– 6〜7年・6〜8万km(整備履歴良好ならコスパ最強)
– 10〜11年・10〜12万km(主要整備済み限定で“節目超え値落ち”を拾う)
最後に注意点
– 相場はマクロ需給(半導体不足や為替、輸出条件)で短期的に変動します。
2021〜2023年の一時的な高止まりのように、平時の定石が崩れる局面もあります。
– 同じ年式・距離でも、状態・装備・色・販売チャネルで数十万円の差が出ます。
年式×距離は“入口の目安”であり、最終判断は個体精査が肝心です。
まとめ
– 売りは「節目の手前×保証(車検)価値を添える」、買いは「節目直後×整備済み個体を拾う」が基本戦略です。
– 一般的なガソリン車なら、売りは2.5〜3年・2〜3万km、または5万km手前。
買いは3〜4年・3〜5万km、または6〜7年・6〜8万kmが最適解になりやすい。
– HV/EV、輸出人気車、軽、輸入車などはそれぞれの“追加の閾値”を意識して微調整してください。
【要約】
中古車の年式1年差の影響は若いほど大きく、新車~3年で8~15%、4~6年で5~10%、7~10年で3~7%、10年超で0~5%。走行1万kmで2~6%上乗せ。FMC直後・13年超重課・保証切れ・EV電池保証節目で変動拡大。軽や人気SUVは小、輸入プレミアムや一部EVは大。3/5/7/10万kmの距離閾値、車検・リース満了や状態でもブレる。