事故車・不動車でも本当に高く売れるのか?
結論から言うと、「事故車・不動車でも高く売れるのか?」への答えは「条件が揃えば本当に高く売れる。
ただし誰でもいつでも、というわけではない」です。
高く売れる根拠は、車として走る価値(修理再販)、部品としての価値(リユース・リビルト)、原材料としての価値(鉄・アルミ・触媒の貴金属)という三つの価値の合計が一定以上になるからです。
以下、なぜ値段がつくのか、どんな車が高くなるのか、逆に安くなるのはどんなケースか、そして実際に高く売るコツまで、根拠も交えて詳しく説明します。
1) 事故車・不動車に値段がつく三つの根拠
– 修理再販価値
人気車や希少グレードは、修理して「修復歴あり」としても十分な再販価格が見込めます。
たとえばハイエース、ランドクルーザー、プロボックス、プリウス、キャラバン、CX-5、スバルAWD車、軽商用などは国内外で需要が厚く、事故箇所が限定的でフレーム(骨格)が無事なら、修理原価を差し引いても利益が出るため、仕入れ価格=あなたの買取価格が上がります。
高年式・低走行・人気グレード・限定装備は特に有利です。
部品取り価値
事故で走れない車でも、エンジン、ミッション、ECU、触媒、ターボ、インジェクター、LEDヘッドライト、エアバッグ、ホイール、シート、ナビ、ドア、バンパーなどは単体で取引されます。
片側のLEDヘッドライトだけで数万円以上、人気ホイールで数万円、触媒は車種により数万円〜十数万円、ディーゼルのDPFやハイブリッド用インバータ・モーターも需要があります。
海外でも日本車部品は高評価で、部品取り前提で丸ごと輸出されることも珍しくありません。
つまり「走らない=価値なし」ではなく、「分解して売れば価値が立つ」ため、業者は仕入れにお金を出せます。
原材料価値
最終的な下支えが鉄・アルミなどのスクラップ価格と触媒内の貴金属(プラチナ・パラジウム・ロジウム)です。
相場は変動しますが、車重1〜1.5トンの普通車なら、鉄だけでも数万円規模の下取り価値が理論上あります。
さらに純正触媒は車種によっては数万円〜大きいものではもっと付加価値がつく場合もあり、この「原料の床」があるおかげで、どんなに状態が悪くてもゼロになりにくいのが事故車・不動車市場の特徴です。
2) 「高く売れる」と言える具体的なパターン
– 人気車種・輸出需要が強い車
商用バン・SUV・ピックアップ、トヨタ系(ハイエース、ランクル、プリウス、プロボックス等)、日産キャラバン、軽トラ・軽バンなど。
海外に強い販路を持つ業者は、国内相場よりも輸出相場を見て高く買えることがあります。
ダメージが限定的
外装の軽損、足回り片側、ボルトオンパネル中心、フレーム・フロア・サイドメンバーが無事。
エアバッグ未展開だと尚良。
こうした車は修理再販しやすく、事故歴ありでも値段が作りやすいです。
パーツ価値が高い
希少グレードの内装、純正オプション多数、LEDライト、先進安全装備のセンサー群、アルミホイール、ハイブリッド関連部品等が生きている。
カスタムパーツは、車両と一緒に売るより外して別売のほうがトータル高くなる場合もあります。
EV・HVの部品需要
ハイブリッドのバッテリー、インバータ、モーター、コンバータ、パワーコントロールユニット、EVのドライブユニットや充電系モジュールは単体流通が活発です。
高年式で主要電装が生きていれば事故車でも強気の査定になり得ます。
3) 逆に値が伸びにくいパターン
– 重度の浸水・冠水車
電装腐食リスクが高く、HV/EVは特に厳しい。
部品の選別コストも上がるため、基本は部品取り・原料価値中心になりがちです。
フレーム破損・火災
骨格損傷や火災は修理再販が難しく、主要部品の再利用可否も落ちるため、価格は原料寄りになります。
超低需要・超過走行・旧年式
市場の出口(国内再販・輸出・部品流通)が弱く、スクラップ価値に近づきやすい。
4) 目安となる考え方(例示)
– 原料の床 車重1,200kg程度、鉄スクラップ相場が仮に40円/kgなら鉄だけで約4.8万円。
アルミホイールやラジエータ等の有価回収、触媒が生きていればプラス。
ここが最低ラインの目安になりやすい。
– 部品の積み上げ LEDヘッドライト片側数万円、触媒数万円〜、ホイール数万円、エアバッグ・ECU・ドア・内装などの寄与を見込むと、原料の床+数万円〜十数万円上乗せも不思議ではありません。
– 修理再販 人気SUVや商用で修理後の市場価格が高い場合、事故歴ありの再販相場から逆算して、原価(修理費・輸送・手数料)と利益を差し引いた残りが仕入れ余力=買取額になります。
これが一番「高くなる」要因です。
相場は地域や時期、為替、鉄スクラップや貴金属価格、輸出規制・物流事情で動くため、同じ車でも数万円〜数十万円の差が出ることがあります。
つまり「高く売れる」は、部品価値と原料価値という普遍的根拠に加え、時々の相場環境と販路の強さが合致した時に実現します。
5) 高く売るための実践ポイント
– 事故車・不動車専門の複数業者に同時査定
一般の中古車店は再販が難しい車に弱く、解体屋は原料視点になりがち。
修理再販・部品流通・輸出の複数出口を持つ専門業者に当たると上がりやすい。
エンジン始動可否を整える
可能ならバッテリーを繋いで始動可否確認。
始動するだけで査定が数万円単位で動くことがあります。
鍵・リモコンも必須。
移動可能性を確保
タイヤのエア、車輪の回転可否、ブレーキ固着の有無。
レッカー・ユニック費用が嵩むと買取額から相殺されやすいので、引取条件を「費用込み・減額なし」で見積もらせましょう。
書類と付属品を完備
車検証、リサイクル券、自賠責、整備記録、スペアキー、取扱説明書、ナビディスクなど。
名義や所有権留保がある場合は事前に解除段取り。
書類不備は減額要因です。
付加価値の見える化
新しいタイヤ、ドラレコ、社外ナビ、レカロ等の付加装備は写真や型番で提示。
社外品は別外しで個別売却した方が高くなることも多いので、業者に相談して判断を。
事故・不具合は正直に開示
隠してもプロは分かります。
再査定・減額トラブルを防ぐためにも、現状を先に共有した方が結果的に高く安全に売れます。
保険全損時の交渉
全損査定の際、残存物(サルベージ)の扱いで総額が変わります。
保険金とは別に残存車を自分で売却できるか、保険会社の提示残価が妥当かを確認。
残存を自分で処分できれば、保険金+サルベージ売却益で手取りが増えるケースがあります。
時期と場所
港近・輸出業者が多い地域はサルベージ相場が強い傾向。
季節需要(4月・9月の移動、冬前の4WD需要)も意識。
6) 売却チャネル別の特徴
– 事故車専門買取 引取・手続きが早く、輸出・部品・修理の三面で価格を作れるところは強い。
– 解体業者直 手離れは良いが原料視点中心になりやすい。
触媒などの別査定に応じる業者だと上がる。
– オークション代行 相場次第で高くなる可能性。
手数料・輸送費・期間リスクがある。
– 個人売買 最高値狙いも可能だが、現状有姿のトラブル、引取段取り、名義や瑕疵対応のリスクが高い。
7) 法定手続きと還付
事故車でも一時抹消・永久抹消の手続きで自動車税(種別割)の月割還付(普通車)が見込めます。
未経過の自賠責返戻、重量税の還付相当(車検残存がある場合)もあります。
リサイクル預託金は流通時に清算されます。
業者任せでも良いですが、還付の帰属や名義人の委任・印鑑証明、所有権留保の解除条件は事前に確認してください。
8) よくある落とし穴と回避策
– 「どんな車でも高価買取」だけを信じると期待外れになりがち。
査定は写真・車台番号・損傷部位・始動可否まで出して事前確定に近づける。
– 引取後の減額請求やキャンセル料トラブル。
契約書に「再査定条件・減額項目・引取費用込み・キャンセル規定」を明記させる。
– 触媒や社外パーツを無断で外されないよう、現地で立ち会うか写真記録を残す。
まとめ
事故車・不動車でも「高く売れる」のは、走行価値がなくなっても部品価値と原料価値が確実に残り、さらに人気車・輸出需要・限定的損傷なら修理再販の利益まで見込めるからです。
これら三つの価値が合算される仕組みが価格の根拠です。
特に、人気・高年式・希少グレード・主要部品が生きている・輸出需要がある、といった条件が揃えば、一般的な下取りや廃車処分よりも大幅に高く売れることは珍しくありません。
一方で、浸水や火災、骨格損傷が重い、需要の薄い旧年式などは、原料価値中心の査定になりやすく、期待ほど伸びない可能性があります。
最適な販路を選び、始動可否や書類・鍵の準備、付加価値の可視化、複数社見積もり、明確な契約条件——この5点を押さえれば、事故車・不動車でも「本当に高く売る」確度をしっかり高められます。
買取価格は年式・走行距離・損傷度合い・パーツ価値のどれがどれだけ影響するのか?
ご質問の4要素(年式・走行距離・損傷度合い・パーツ価値)が事故車・不動車の買取価格にどう効くのかは、「その車をどう収益化するか(修理再販・部品取り・スクラップ)」という戦略で重みが変わります。
まずは業者側の基本ロジックを押さえ、そのうえでシナリオ別の重み付け、各要素の具体的な効き方、根拠、最後に簡単な試算例を示します。
基本ロジック(業者の式)
事故車・不動車の上限買取価格は、概ね次のどちらかの式で決まります。
– 修理再販型の上限 = 修復後の予想小売価格 − 修理費用 − 物流/諸費用 − リスクプレミアム − 利益
– 部品・スクラップ回収型の上限 = 回収見込売上(部品+金属) − 解体/在庫/保証コスト − 物流/諸費用 − リスク − 利益
つまり、年式・走行距離は「修理再販」の側で効きやすく、損傷度合いは両方に効き、パーツ価値は「部品・スクラップ回収」で最も効くという構図です。
シナリオ別の重み(目安)
同じ車でも戦略で重みは変わります。
以下は現場感覚の目安です(合計100%)。
修理して再販する前提の車
年式 30〜40%
走行距離 20〜30%
損傷度合い 30〜40%
パーツ価値 0〜10%(修理に使える良品残存の意味で)
根拠 再販価格のベースは年式・距離で決まり、損傷は修理費と安全性に直結するため比重が高い。
部品取り(解体・海外含む)前提
パーツ価値 40〜60%
損傷度合い 20〜30%(欲しい部位が無事か)
年式 10〜20%(流通適合の新しさ・需要)
走行距離 10〜15%(エンジン/ミッション等の寿命見込み)
根拠 売上の大半が個別部品の販売単価と回転率で決まる。
スクラップ(鉄・非鉄)前提
車両重量/相場 70〜90%(ご質問の4要素には入っていませんが本質)
損傷度合い 5〜10%(解体のしやすさ)
年式/走行距離 ほぼ無関係
パーツ価値 0〜10%(アルミホイール等)
根拠 金属としての重量×相場でほぼ決まるため、年式や距離の寄与は小さい。
実務では、再販と部品取りのハイブリッドで判断されることも多く、この場合は「パーツ価値」と「損傷度合い」の重みが増し、年式・距離の重みはやや下がります。
年式の影響
– 修理再販では直接的に効く。
年式が新しいほど再販相場が高く、同じ損傷・距離でも買取上限が上がる。
特に初度登録から5年以内は相場の傾きが大きい。
– 部品取りでは「設計変更世代」「LED/センサー類の高額化」で新しい年式ほど部品単価が高め。
先進安全装備(ミリ波レーダー、カメラ、エアバッグ多数)の付加価値が増えやすい。
– 10年以上経過で国内再販価値は下がるが、部品需要はむしろ安定(消耗交換の需要が出る)し、輸出向け需要が強い車種(トヨタ、日産の一部、商用車)は年式影響が限定的。
– EV/ハイブリッドは世代差が顕著。
新しめのHVバッテリー、インバーター、充電器は高額。
旧世代は需要限定的。
走行距離の影響
– 再販 距離が増えるほど相場は下がる(5万kmごとに数%〜10%のディスカウントが目安、車種・年式による)。
– 部品取り エンジンASSY、AT/CVT、HVバッテリー等の「寿命が距離に比例する部品」に効く。
10万km超で同部品の単価は2〜4割落ちやすい。
一方、外装パネル・ランプ・内装は距離の影響が小さい。
– 高走行でも定期整備記録が残っていると、エンジン補機や足回りの単価劣化が緩和されることがある。
損傷度合いの影響(部位・種類別)
– 前廻り(フロント)損傷 ラジエーターコアサポート、ライト、ADASセンサー、エアバッグ作動など高額部品を巻き込みやすく修理費が跳ねやすい。
修理再販の上限を強く圧縮。
逆にフロントが壊れていても、エンジン後方やドア・テール周りが無事なら部品取り価値は残る。
– 後廻り(リア)損傷 車の走行機能に直結しにくく、修理再販への影響はフロントよりは小さめだが、バックドア・テールランプ等が高額な車種はダメージが大きい。
– 側面(サイド)損傷 ピラーやフロアに及ぶと修復歴の重さが増し、再販価格の低下幅が大きい。
– 水没(冠水) 電子部品・内装の広範な交換が必要になり、再販は大幅減。
エンジン内部に水が入るとASSY価値も落ちる。
外装パネル・ガラス・シート骨格など非電装系は価値が残る。
塩水冠水は腐食リスクが高く、部品取りでも低評価。
– 火災 配線・内装・アルミ部材の変形で部品価値は限定的。
ほぼスクラップ評価。
– エアバッグ作動 修理費用が大きく跳ねるため、再販向け評価を強く下げる。
一方、未展開のエアバッグが残っていると部品取り評価は上がる。
– 始動可否 不動でも押し引き可能か、ギア固定か、ハンドルロックの有無でローディングコストが変わり、数千〜数万円の差になる。
パーツ価値の影響(需要が強いもの)
– 高単価・回転の良い部品の例
エンジンASSY(5万〜20万円超、車種次第)
ミッション/トランスアクスル(3万〜15万円)
ハイブリッド用バッテリー(3万〜10万円以上、残存容量と年式で大差)
インバーター/コンバーター(2万〜5万円)
LEDヘッドライト/レーザーライト(片側で1万〜6万円以上)
エアバッグ/シートベルトプリテンショナー(1万〜3万円)
ドアASSY/バンパー/フェンダー(1万〜4万円)
ナビ/ディスプレイオーディオ/ECU類(数千〜数万円)
アルミホイール(1台分で1万〜5万円)
– 車種別の強弱
国内人気・台数の多い車(プリウス、アクア、アルファード/ヴェルファイア、ノア/ヴォクシー、N-BOX、タント、スペーシア、ハイエース等)は部品需要が厚い。
輸出人気車(トヨタ系、ハイエース、ランドクルーザー系など)は海外需要で価格が底堅い。
輸入車は部品単価は高いが回転率の読みが難しく、在庫・返品リスクを見込んで評価は保守的になる傾向。
どれがどれだけ影響するのか(実務的な目安)
– 同一車種・同一距離で比較した場合
損傷が軽度(ボルトオン交換中心)なら、健全車相場の50〜70%で落ち着くケースが多い(修理再販前提)。
損傷が重度(骨格・エアバッグ・ADAS複数)だと、健全車相場の10〜40%が目安。
修理より部品取りに振れると20〜50%に着地することも。
– 年式差の寄与
5年新しいと、同条件で買取上限が数十万円スケールで動くことがある(新しめのミニバン・HVは顕著)。
– 走行距離の寄与
5万km増えるごとに再販基準が5〜10%下がり、部品取りでは動力系の評価が2〜4割落ちることがある。
– パーツ価値の寄与
需要の厚い部品が複数無事なら、損傷が重くても部品取りで高くなる。
逆に価値部位が壊れていると、スクラップ寄り(数万円〜十数万円)に近づく。
根拠(なぜそうなるのか)
– 業者AA(オートオークション)の慣行 修復歴・事故現状の評価は相場に対して大きくディスカウントされ、修理費の見立てとセットで価格が決まる。
グレード票のR/RA/事故現状は再販性を下げるため、年式・距離の影響がより強く出る。
– リサイクル業の収益構造 売上(部品+金属)がコスト(解体・在庫・保証・物流・手数料)を上回る範囲でしか買えない。
部品点数×単価×回転率が肝で、需要の厚い車種・部位に高い比重が置かれる。
– 金属相場の存在 鉄スクラップは国内相場が概ね2〜5万円/トンで変動(時期により上下)。
軽自動車で総重量0.7〜0.9t、普通車1.2〜1.7t程度。
実入りや輸送費を控除すると、スクラップだけでの支払いは概ね1万〜4万円が多い。
よって部品価値が薄い車はこの近辺に収束。
– 修理費の構造 最近の車はLEDライト、レーダー、カメラ、アルミ/樹脂パネルが高額化。
軽度でも部品代だけで10〜30万円、重度なら数十〜100万円超になることがあり、損傷度合いが強く価格を左右する。
– ハイブリッド/電動化 電動部品の中古単価が高く、同世代のHV/EVは部品取り価値が相対的に高い。
簡易試算例
– 例1(修理再販前提)
5年落ちミニバン、走行6万km。
健全車小売相場220万円。
フロント中破、ライト片側・バンパー・ボンネット・ラジエーター交換、コアサポート修正、エアバッグ未作動。
修理費見立て60万円、輸送・手数料・整備雑費10万円、リスク5万円、必要利益15万円。
上限 = 220 − 60 − 10 − 5 − 15 = 130万円前後
年式・距離が新しめで再販相場が高く、損傷がボルトオン中心なので高めに出せる典型。
例2(部品取り前提)
12年落ちハイブリッド、走行12万km。
左前強打、サス周り・ライト・フェンダー損傷、エアバッグ作動済み。
未始動だがエンジン外観良、HVバッテリーOKと仮定。
予想売上 エンジンASSY6万円、インバーター3万円、HVバッテリー4万円、右ライト2万円、後ドア各1万円×2、アルミ1万円、内装・小物合計2万円、金属スクラップ2万円=計21万円
予想コスト 引取輸送2万円、解体・環境処理4万円、在庫・掲載・保証等2万円、手数料1万円、必要利益3万円=計12万円
上限 ≈ 21 − 12 = 9万円
距離・年式が進んでいるため動力系単価は控えめ、エアバッグ作動で修理再販は難しく、部品取り中心の評価になる例。
価格を押し上げやすい補足要素
– 書類の完備(自動車検査証、リサイクル券、委任状類)
– 鍵の有無・始動可否・簡易診断結果(OBDコードなど)
– 需要の高い部位の無傷確認(写真で左右ヘッドライト、各ドア、ナビ/モニター、ホイール等)
– グレード・装備の特定(LED、ADAS、両側パワスラ、本革等は部品単価上昇)
– 走行履歴・整備記録(動力系部品の評価に有利)
まとめ(要点)
– 年式・走行距離は「修理再販」狙いのときに強く効き、損傷度合いは修理費を通じてダイレクトに上限を左右する。
– パーツ価値は「部品取り」狙いで最大の決定要素。
人気車種・高額部品が無事なら高値が付きやすい。
– スクラップ評価のみの場合、年式・距離の影響は小さく、重量と相場でほぼ決まる。
– 実務の重み(目安) 修理再販なら年式30〜40%、距離20〜30%、損傷30〜40%、パーツ0〜10%。
部品取りならパーツ40〜60%、損傷20〜30%、年式10〜20%、距離10〜15%。
– 根拠は、業者の収益式、AAの取引慣行、修理費の構造、金属相場、電装化に伴う部品単価高騰にある。
最終的な価格は、市場(国内再販・海外輸出)と時期(鉄相場・在庫状況)で上下します。
複数の方針(修理・部品・スクラップ)を比較できる業者に相見積もりを取り、需要の強い部位が無事であることを写真や情報で示せば、提示額は上がりやすくなります。
出張査定やレッカー費用、各種手数料は本当に無料なのか?
結論から言うと、「事故車・不動車の出張査定」「引取(レッカー・積載車)」「名義変更・廃車代行など各種手数料」が“無料”と案内されるのは、業界では珍しくありません。
ただし、その「無料」は次の3つの前提に立っています。
無料の範囲や条件があらかじめ決まっている(エリア・距離・時間帯・作業難易度などの制限)
無料に見える費用は、買取価格に内包(相殺)されているか、業者の企業努力として吸収されている
広告や約款上の「無料」表記は景品表示法の観点から実態に即している必要がある(例外条件は脚注で明記)
以下、「本当に無料なのか?」への実務的な答えと、その背景・根拠、例外や注意点をできるだけ具体的に解説します。
1) 出張査定は本当に無料か
– 業界の一般的な扱い
– 多くの買取業者は「出張査定無料」を標準で掲げます。
理由は、現車確認なしでは事故損傷や不具合の程度を正確に見抜きにくく、現地確認が実務上不可欠だからです。
費用は営業コストとして会社側が吸収するか、最終的な買取価格に織り込みます。
– よくある条件・例外
– 対応エリアの限定 本社・営業所から一定距離(例 半径30〜100km)まで無料、遠方は応相談または実費。
– 成約前提の無料 成約すれば無料、見送り時は「出張費の請求なし」または「遠方は実費請求」の会社も。
成約に至らない場合でも完全無料とする会社も増えていますが、規約で差があります。
– 時間帯・再訪 深夜帯対応や再査定(書類不備で日を改める等)は有料化・実費化することがあります。
– キャンセル 訪問直前や到着後のキャンセルは「当日キャンセル費」を定めている会社もあります。
– 根拠・背景
– 景品表示法(不当表示の禁止) 「無料」と表示する以上、実際には請求が発生するのに十分明確に示さないのは優良誤認の恐れ。
大手ほど注記を整備。
– コスト内包の原理 査定員の人件費・移動費は“原価”。
「無料」は“請求しない”という意味で、事業としては買取粗利で吸収します。
無料表示自体の根拠は「会社が負担する」宣言であり、法的に無料が義務づけられているわけではありません。
2) レッカー・積載車による引取費用は本当に無料か
– 業界の一般的な扱い
– 不動車・事故車の引取は「無料」を掲げる会社が増えました。
自社積載車を持つ、全国の陸送ネットワークとボリューム契約を結ぶなどの体制でコストを抑え、買取価格で回収するモデルです。
– 無料の適用条件で多いもの
– 対応エリアと距離制限 営業所からの往復距離、または無料距離上限(例 50kmまで無料、超過は1kmあたり○○円)など。
– 作業難易度の限定 平地での積載が可能、タイヤが回る、ハンドルが切れる、Pレンジ解除可能、地下や高架・狭所でない等。
これらが満たせない場合は「特殊作業費」が発生し得ます(ウインチ引き出し、車軸ドーリー・スケート利用、クレーン・ユニック作業、人員増員など)。
– 立地・設備の制約 地下駐車場(高さ制限)、車両が完全に埋没・冠水・側溝転落、雪に埋もれている等は追加費用の典型。
管理組合や施設の許可が要る場合の手配は依頼者側となることが多いです。
– 離島・フェリー・有料道路 フェリー代や高速料金など“外部発生の純実費”は無料対象外として別請求の記載が一般的。
– 時間帯 夜間・早朝や事故現場からの緊急引取は追加費あり。
– EV/ハイブリッド 高電圧の安全手順、牽引の制約(トランスポーター必須等)で追加費用・対応不可のケースがあります。
– 任意保険・ロードサービスの活用
– 事故直後の現場移動は、任意保険付帯のロードサービスやJAFを使えば一定距離まで無料のことが多いです。
修理工場に無料搬入後、その工場から買取業者が「無料引取」する組み合わせも現実的です。
– 根拠・背景
– 無料のロジック 解体・パーツ販売・輸出などの出口で収益化できる業者は引取費用を内部化しやすく、「無料」を実現しやすい。
– 広告規制(景品表示法) 無料と謳う場合、「一部地域・条件を除く」「特殊作業は別途」等の注記が必要。
現場での突発費用をその場で請求するなら、事前説明と同意が求められます。
3) 各種手数料(名義変更・抹消・リサイクル・還付代行など)は本当に無料か
– 無料になりやすいもの
– 名義変更手数料・廃車(抹消)代行手数料 多くの業者が「0円」を掲げます。
運輸支局での法定印紙代などの実費は本来数百〜数千円規模ですが、業者負担とするケースが一般的です。
– リサイクル関連 自動車リサイクル法に基づく手続や引取証明の発行等は、廃車ルートを持つ業者なら自社で完結し、手数料無料とすることが多いです。
– 自賠責・自動車税の還付サポート 未経過分の解約・還付手続を無償代行または無料サポートする会社があります。
還付金自体はあなたの権利ですが、書類準備・申請は業者が支援可能。
– 無料になりにくい、または“無料に見えて相殺”されやすいもの
– 実費性の強い費用 ナンバープレート代、印鑑証明の取得費、車庫証明(名義変更で必要な場合)などは本来発生します。
大手はこれも全部コミコミにすることが多いですが、地方の小規模店や薄利案件では買取額からの相殺という形で吸収することがあります。
– 還付金の取扱い 自動車税(普通車)は一時抹消等で月割還付が出るのが一般的です。
軽自動車税は地域・制度上、原則還付がない扱いが多いです。
自賠責の未経過保険料は解約で返戻されます。
重量税の取り扱いは条件により異なり、一般に日常的な還付は想定されませんが、特定の手続要件を満たすと還付制度が利用できる場合もあります。
これらは地域・制度・手続の要件に左右されるため、事前に業者へ確認してください。
– ローン残債・リース・差押/滞納・反則金 これは「手数料無料」の対象外。
残債精算や解除費用等は別枠の金銭移動です。
ローン残が車両価値を上回る場合は追い金が必要になることもあります。
– 根拠・背景
– 自動車リサイクル法 廃車時の適正処理やリサイクル料金の扱いが制度化。
既に預託済なら新たな負担は基本不要ですが、未預託・不足があれば清算が必要。
– 道路運送車両法・運輸支局手続 名義変更・抹消登録には法定の印紙・ナンバー代などの「実費」が存在。
手数料無料は“業者がこれを負担します”というビジネス上の宣言。
– 景品表示法 手数料無料の広告は、条件や除外の明記がないまま例外的費用を請求すると不当表示の疑いが出るため、各社は約款・注記で範囲を明確化するのが通例。
4) 「完全無料」を見極めるためのチェックリスト
– 出張査定
– 無料エリアの範囲(郵便番号ベースで可否が出るか)
– 成約に至らない場合の費用(完全無料か、遠方実費か)
– 当日キャンセル・不在時の扱い
– 引取(レッカー・積載)
– 無料の距離上限と、超過時の料金単価
– 時間帯(夜間・早朝)や土日祝の割増の有無
– 特殊作業の定義と費用例(地下駐車場、パーキングブレーキ固着、車輪欠損、事故で動かない等)
– 離島・フェリー・有料道路・駐車場出庫料金などの実費扱い
– EV/ハイブリッド・水没車の対応可否と条件
– 各種手数料
– 名義変更・抹消の代行費用は本当に0円か(印紙・ナンバー代含むか)
– リサイクル料金の預託状況(不足があれば誰が負担か)
– 自動車税・自賠責(場合により重量税)の還付を誰が申請し、還付金は誰に入るのか
– ローン残債・リース・差押の有無と精算方法
– 契約・約款
– 査定後の減額条件(修復歴や不具合判明時のルール)
– 「無料」と「実費」の境界線が契約書に明記されているか
– 総受取額(あなたの手取り)での明細提示があるか
5) よくあるトラブルと回避策
– トラブル例
– 現場で「特殊作業だから有料」と突然告げられる
– 「出張無料」と言いながら、成約しないと出張費を請求すると言われる
– 「手数料無料」だが、買取価格をその場で下げて相殺される
– 還付金が業者に入ってしまい、後で取り戻しが手間
– 回避策
– 事前に「無料の範囲」「追加費用が出る具体条件」を書面またはテキストで確認
– 車の状態(動かない、パーキング解除不可、タイヤパンク等)と保管環境(地下・狭所・段差)の正直な申告
– 「総受取額」での比較見積もり(追加費込みで最終手取りがいくらか)
– 還付金の帰属(あなたに振込か、当日精算か)の明文化
– 任意保険・JAFのレッカー無料距離の活用で、業者の引取距離を短縮
6) なぜ会社によって「無料」の範囲が違うのか(ビジネス構造の違い)
– 自社で解体・輸出ルートを持つ会社 車両価値を多面的に回収できるため、出張・引取・手数料を広範に無料化しやすい。
– オークション転売主体の会社 利幅が薄く、距離や特殊作業の無料条件が厳格になりやすい。
– 地方小規模店 人員・車両の制約からエリア限定・時間指定・実費精算が残りやすい。
7) まとめ(実務的な答え)
– 出張査定は、多くの業者で“本当に無料”ですが、成約なしの場合の遠方実費や当日キャンセル料など例外条項の有無を確認してください。
– レッカー・積載の引取は、エリア・距離・作業難易度・時間帯・離島等の条件内なら“本当に無料”が一般的です。
地下駐車場、固着、落輪、クレーン作業、EV特有の制約などは追加費の代表例です。
– 名義変更・抹消などの手数料は“0円”を掲げる会社が増えています。
これは法定実費を業者負担にしている、もしくは買取価格で吸収しているためです。
ローン残や差押・税滞納、外部実費(フェリー、高速、駐車場出庫)は別扱いになりやすいので要確認。
– 根拠としては、無料表示が景品表示法に適合するための注記整備、法定手続の実費を業者負担で吸収できる採算構造(解体・部品・輸出等)があります。
法律が「無料」を義務づけているわけではなく、あくまで事業判断と広告規制の枠内での運用です。
最後に、実際に依頼する際は、口頭説明だけに頼らず、見積書・約款・SMS/チャットで「無料範囲」「追加費条件」「総受取額」「還付金の帰属」を残すことが肝心です。
これさえ押さえれば、事故車・不動車でも“本当に無料”の恩恵を受け、手取りを最大化しやすくなります。
必要書類は何で、名義変更・ローン残債・所有者不在の場合はどうすればいいのか?
ご質問のポイント(必要書類、名義変更、ローン残債、所有者不在の取り扱い)を、事故車・不動車の実務に即して詳しくまとめます。
結論から言うと、事故車・不動車でも「売却(移転登録)」や「廃車(抹消登録)」の手続そのものは通常車と同じ枠組みで行います。
違うのは移動方法(仮ナンバーやレッカー)や、査定・再販経路(解体・輸出など)で、法的な基本は変わりません。
売却に必要な基本書類
– 普通車(登録自動車)
– 自動車検査証(車検証)
– 所有者(現名義人)の印鑑証明書(発行後3か月以内が目安)
– 所有者の実印で押印した譲渡証明書
– 委任状(業者に手続きを任せる場合、実印押印)
– リサイクル券(預託証明書)または預託状況のわかるもの
– 住所や氏名が車検証と印鑑証明で異なる場合は、住民票や戸籍の附票等で住所履歴をつなぐ書類
– 車庫証明(保管場所証明書)…買取業者側が新所有者になるため、通常は業者側で用意しますが、個人間売買では新所有者が取得して添付
– ナンバープレート(抹消・番号変更時は回収・返納が必要)
– 自賠責保険証明書(名義変更自体には不要でも、仮ナンバー取得や移動時に必要になることがあります)
– 軽自動車
– 軽自動車検査証
– 譲渡証明書(認印で可)
– 申請依頼書(業者代行時)
– リサイクル券
– 住民票(住所相違時)など
– 車庫に関する届出は、届出義務のある地域のみ必要
– 紛失・不備時の対応
– 車検証を紛失した場合は再交付(運輸支局・軽自動車検査協会)
– リサイクル券が手元になくても、預託状況はシステムで確認可能(多くの買取業者が対応)
– 印鑑証明の住所と車検証の住所が違う場合は、住民票・戸籍の附票等で履歴を証明
名義変更(移転登録)の進め方と注意
– どこで手続きするか
– 普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会
– 申請内容
– 所有者が変わるときは「移転登録」
– 氏名・住所の変更は「変更登録」
– ナンバープレート
– 管轄が変わる場合は番号変更・封印が必要。
同一管轄であれば番号は原則継続可能
– 車の移動(事故車・不動車が動かない場合)
– レッカー・積載車で運ぶのが一般的
– 自走が必要な場合は、臨時運行許可(仮ナンバー)を市区町村で取得。
申請には車検証、自賠責保険(期間内)の証明等が必要。
事故車で保安基準を満たさない場合はレッカーを選択
– 税手続
– 移転登録と同時に都道府県(普通車)・市区町村(軽)への税申告を行います。
最近は運輸支局等でワンストップ処理が一般的
– 車庫証明
– 使用の本拠の位置が変わる移転登録では、普通車は原則必要。
軽は届出地域のみ必要。
事故車・不動車でも提出要否は同じ
ローン残債・所有権留保がある場合の対応
– 車検証の所有者欄が信販会社やディーラーになっている場合(所有権留保)
– 原則として所有者(信販会社等)の書類がないと譲渡不可。
必要書類は所有権者の印鑑証明書、譲渡証明書、委任状など。
通常は残債完済後に「所有権解除」の手続きが可能になります
– 買取額で残債を精算する方法が一般的。
査定額が残債を下回る場合は不足分の持ち出し、または別ローンへの借換え等が必要
– 残価設定(残クレ)やリース
– 残クレは所有者が信販会社であることが多く、途中売却は原則NG(同意と清算が必要)
– オートリースはリース会社が所有者。
中途解約は高額な違約金が発生し、勝手な売却は不可。
リース会社の指示に従う
– 実務ポイント
– まず車検証の所有者欄を確認
– 買取業者に「残債のある所有権留保車の買取」経験があるか確認し、信販会社との三者間で精算・書類の流れを詰める
所有者不在のケース別の対処
– 所有者が亡くなっている(相続)
– 相続による移転登録を行います。
必要書類は、相続人全員の関与が分かる遺産分割協議書(実印・印鑑証明付)、被相続人の戸籍(出生から死亡まで)、相続人の戸籍、代表相続人の印鑑証明、車検証など。
遺言書がある場合は検認済みのもの。
相続によりまず相続人名義に移し、その後に買取業者へ譲渡が基本
– 所有者と連絡が取れない(音信不通・海外など)
– 原則として所有者の同意(印鑑証明・譲渡証明)がなければ売却不可
– 海外在住者等で印鑑登録がない場合は、在外公館での署名(サイン)証明や公証を用いた委任状で代替できることがあります。
事前に運輸支局へ相談し、受理可能な証明方法を確認
– 使用者が別人名義で長期放置(いわゆる「名義貸し」「知人名義」)
– 使用者が勝手に処分する権限はありません。
所有者の同意が必須。
無断処分はトラブルや損害賠償の対象になり得ます
– 自分の敷地に放置された車で所有者不明
– 個人で勝手に売却や解体はできません。
自治体の放置車両対策(公告・撤去)や警察との連携スキームを利用。
使用済自動車の引取りは、原則「所有者等からの引渡し」が必要です
廃車(抹消)に切り替える場合の要点
– 一時抹消と永久抹消(解体届出)
– 一時抹消は再登録可能な休眠状態。
普通車の自動車税は月割で還付・停止(翌月分以降)。
軽は月割還付なし
– 永久抹消(解体届出)は解体を前提に登録を消滅。
車検残がある普通車は自動車重量税の還付申請が可能
– 還付・返戻
– 自賠責保険は解約で未経過分の返戻
– 任意保険も中途解約返戻あり
– 重量税は解体による還付制度あり(普通車・二輪等)。
申請は運輸支局で解体届出と併せて
– 必要書類(普通車)
– 車検証、ナンバープレート、所有者の印鑑証明、委任状、リサイクル券、解体報告番号(解体業者から)
– 不動車・事故車の引取り
– 解体業者や買取業者がレッカー・積載で回収。
費用は車両価値からの相殺または別途請求。
事前見積りを確認
よくある実務質問
– 自動車税・種別割の滞納がある
– 名義変更・抹消で障害となることがあります。
早めに納付・相談。
差押えがあると手続不可
– 走行不能でも名義変更できるか
– 可能。
車両の移動方法(レッカー等)と書類が整えば問題ありません
– 個人間売買と業者買取の違い
– 個人間は新旧双方の書類準備が必要で負担大。
業者買取は業者が新所有者となり手続きを代行するため、売主側は必要書類の準備に集中できる
根拠(主な法令・公的ルールの出どころ)
– 道路運送車両法および同施行規則・自動車登録規則
– 登録(新規・移転・変更・抹消)の制度・申請書類、封印、臨時運行許可(仮ナンバー 市区町村長が許可。
広く第34条に基づくと案内されています)などの根拠
– 自動車の保管場所の確保等に関する法律(いわゆる車庫法)
– 移転登録時の保管場所証明の要否と提出
– 自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)
– 引取業者・フロン類回収業者・解体業者・破砕業者の許可制度、引取りは「所有者等」からの引渡しが前提、リサイクル料金の預託・管理
– 自動車税・種別割(地方税法)
– 所有者変更・抹消時の申告、賦課・還付の考え方(普通車は月割、軽は年額)
– 自動車重量税法および同施行令
– 解体に伴う未経過期間の重量税還付の制度
– 自動車損害賠償保障法(自賠責)
– 強制加入と証明書、解約返戻の枠組みは約款・実務で運用
– 割賦販売法・民法
– 所有権留保(信販会社等が所有者となる取引形態)と、譲渡に所有者の同意が必要なことの法的背景
– 民法(相続)
– 被相続人名義の車の相続手続(相続人全員の関与、遺産分割協議、遺言の取扱い)
実務アドバイス
– 最初に車検証の「所有者欄」「使用者欄」「住所」を確認。
所有権留保や住所相違があると準備書類が大きく変わります
– 事故車・不動車は移動段取りが重要。
仮ナンバーが使えない状態ならレッカー前提でスケジュール
– ローン残債は査定と同時に残債証明書(残高証明)を用意。
三者での精算スキームを事前に合意
– 相続や所有者不在は、運輸支局の登録相談窓口に「このケースで受理される具体的書類」を確認してから動くと二度手間を防げます
– いずれの手続も、買取業者・解体業者が行政手続に習熟しているとスムーズ。
業者選定時に「所有権留保解除」「相続案件」「不動車の引取と抹消」「重量税還付」などの実績を確認すると安心です
以上を押さえておけば、事故車・不動車でも法令に沿って確実に売却・名義変更・抹消が進められます。
個別事情(ローンの種類、相続関係、住所履歴、車の状態)で必要書類が微妙に変わるため、不明点は必ず所管の運輸支局・税事務所・警察(車庫)・市区町村(仮ナンバー)に事前確認するのが確実です。
優良な買取業者を見極めるには何を比較し、どのように相見積もりを取ればいいのか?
事故車・不動車の買取は、通常の中古車買取よりも「評価ロジック」「許認可」「費用の落とし穴」が多く、業者選びが結果を大きく左右します。
ここでは、優良業者の見極めポイントと、失敗しにくい相見積もりの取り方を、実務に沿って詳しく解説します。
あわせて、判断の根拠となる法令・制度や業界慣行も示します。
まず押さえるべき「比較軸」
以下は、優良業者を見極める際に必ず揃えて比較すべき項目です。
価格だけでなく、費用や手続きの透明性までセットで見ることが重要です。
– 買取価格の根拠と内訳
・評価基準(修復歴/骨格損傷の有無、エンジン始動可否、走行距離、年式、グレード、鍵・書類の有無、エアバッグ展開、主要部品の欠品、タイヤ状態など)
・再販ルート(国内修理再販、部品取り、輸出、スクラップ)と、その相場背景の説明があるか
・「どこを修理すればいくら上がる」「このパーツが価値になる」など定量的な説明の有無
– 付帯費用と無料範囲
・出張引取料、レッカー/ウインチ/クレーン費、陸送距離の無料範囲、書類代行、抹消手数料、ナンバー返納、保管料、キャンセル料
・「引取後の減額や追徴がない」明文化(現地確定・条件付きの明示)
– 手続きとコンプライアンス
・必要許認可の有無(古物商許可、引取業者登録、解体業許可、フロン類回収、産廃収集運搬など。
会社概要や見積書に番号明記)
・名義変更/抹消の期限SLA(例 引取後◯営業日以内)と完了報告の証憑(登録事項等証明書・抹消登録証明書)の提供
– 支払い条件
・支払方法(現金・振込)、タイミング(引取時即日、翌営業日など)、振込手数料の負担
・事故後の「引取後減額」や「振込保留」のリスク回避条項
– スケジュールとオペレーション
・引取可能日、当日対応可否、天候・車両状況(車検切れ・タイヤロック・浸水)への対応力
・自社ヤード保有か、外部委託か(委託が多いと費用・日程が不安定化)
– 口コミ・開示・実在性
・Googleマップ等のレビュー、過去事例の開示、固定電話と実在のヤード住所、担当者名と直通連絡先
・見積の書面化、契約書の明確さ(減額条項・キャンセルポリシー・手数料の網羅)
事故車・不動車の価格が決まる仕組み(理解して交渉力を上げる)
– 価値の三本柱
1) 国内修理再販価値 年式が新しい・走行少・人気車種は高め
2) 部品価値 エンジン・ミッション・足回り・ライト・内装・エアバッグ・アルミなど。
片側無事故パネル等も評価
3) 輸出価値 特定地域で需要の高い車種/4WD/ディーゼル/ミッション系。
為替・輸出先規制で相場が変動
– 減点が大きい要素
・骨格損傷(フレーム歪み)、エアバッグ展開多数、水没・浸水、エンジンロック、HV/EVの高電圧ダメージ、書類欠品、鍵なし
– 加点されやすい要素
・始動可/自走可、両側エアバッグ無展開、人気グレード・限定色、整備記録、夏冬タイヤ、リサイクル券預託済
相見積もりの進め方(ステップバイステップ)
ステップ1 事前準備(情報と証拠を揃える)
– 車検証(型式、車台番号、所有者/使用者名義、初度登録年月)
– 走行距離、鍵の本数、修復歴・事故歴の経緯、始動可否、警告灯情報
– 付属品の有無(スタッドレス、スマートキー、記録簿)
– 写真一式(明るい場所で)
・外装四隅、前後、左右側面、ルーフ、損傷部のアップと引き、メーター、エンジンルーム、下回り、車台番号打刻、タイヤ溝、内装全景
– リサイクル券(預託金状況)と自賠責証券
– ローン残債・所有権留保の有無(ディーラー/信販会社名)
ステップ2 候補業者を3〜5社に絞る
– 種類別に選ぶと幅が出る 事故車専門店、地場の解体業者、輸出向け業者、一般買取大手の事故部門
– 会社概要に許認可番号とヤード住所の記載があるかを最低条件に
– 一括査定サイトは電話ラッシュや情報拡散が負担。
事故車に強い業者へ直接依頼の方が精度が出やすい
ステップ3 同条件で見積依頼(テンプレート化)
– 伝えるべき共通条件
・引取場所住所と引取可能日、車両の動作状況(始動/自走/転がり可否)、鍵・書類の有無
・写真URL(共有フォルダ)と「現地減額なしの前提条件」を明記
・必要費用の全項目の事前提示依頼(陸送距離、クレーン、書類代行、抹消、ナンバー返納、振込手数料、キャンセル)
・支払いタイミングと抹消完了報告期限
– 質問例
・見積の有効期限、引取後の追加減額の条件、雨天や夜間引取の可否
・還付金(自動車税・重量税・自賠責)の扱いと精算方法
・リサイクル券相当額の加算有無
・所有権留保/残債がある場合の代行可否と費用
ステップ4 比較・交渉・意思決定
– 比較軸シートを作成
・総額(手取り)/費用内訳/支払日/抹消期限/減額条件の有無/許認可表示/口コミ
– 交渉のコツ
・最終提示は「今日中に決める代わりに手取りいくら?」と期限付きで確認
・他社の提示額は、証跡(メール/書面)ベースで正直に。
虚偽は破談とトラブルのもと
・「現地で減額なし」「レッカー費込み」「引取当日振込」など、重要条件を文章で確定
ステップ5 契約・引取・完了確認
– 契約書の必須チェック
・減額/キャンセル条項、費用の網羅、名義変更/抹消の期限、完了報告書の提供、個人情報の扱い
– 引取時
・身分証確認、現金受領ならその場で金額確認、振込は入金明細の写し共有
・引取証/預かり証を受領
– 抹消完了
・普通車は抹消登録証明書、軽は返納済通知書等の写しを受領
・還付金や自賠責解約の手続きスケジュールを確認
よくある落とし穴と対策
– 引取後の一方的減額
・事前に写真と情報を出し切り、契約書に「現地確定・追加請求なし」を入れる
– 手数料の後出し
・無料範囲(距離、機材、書類)を数値で明記させる
– 名義/抹消の遅延
・期限SLA(例 引取後7営業日以内)と、証憑提出を契約条件化
– 還付金の不透明さ
・普通車の自動車税(種別割)は月割還付、自賠責は未経過分返戻、重量税は解体抹消時に残存期間分の還付制度あり。
誰が申請・受領し、どう精算するかを明文化
・軽自動車税(種別割)は通常月割還付なし(自賠責返戻はあり)。
混同に注意
– リサイクル券の扱い
・自動車リサイクル法上、預託金の返還制度は原則なし。
実務上は「預託済額を査定に加算」する業者も多いが、明文化が必要
– 所有権留保(ローン残債)
・所有権者(ディーラー/信販)の同意・書類が必須。
精算代行の可否と費用、名義解除までのスケジュールを確認
– 個人間売買のリスク
・名義残し・税金請求・放置トラブルの危険。
事故車・不動車は業者売却が安全
業者の実力を測る追加ポイント
– 許認可と専門性
・古物商許可番号の掲示(中古品取引の本人確認・帳簿義務)
・自動車リサイクル法の引取業者登録・解体業許可・フロン類回収の登録、産廃収集運搬の許可
・HV/EVの高電圧対応(資格保有や安全手順の説明)
– 実オペレーション
・自社レッカー/積載車の保有、ヤードの稼働、在庫回転の説明
・輸出・オークション・部品販路の具体性
相場を動かす環境要因(知っておくと有利)
– 為替・輸出先の規制や需要
– 季節(雪国の4WD・軽トラ需要、繁忙期の引取難易度)
– 鉄スクラップ相場(不動の低年式はスクラップ寄りの評価)
– 地域差(地方は陸送コストが上がりやすい)
根拠(法令・制度・公的ガイドライン等)
– 古物営業法
・中古品の取引に際し、本人確認・取引記録の保存が義務。
許可番号の表示が通例。
適正な本人確認と記録がない業者はリスクが高い
– 自動車リサイクル法
・引取業者・フロン類回収業者・解体業者の各登録/許可が必要。
エアバッグやフロンの適正処理義務。
預託金は返還制度が原則なく、解体フローに充当される
– 道路運送車両法・自動車登録規則
・名義変更・抹消登録の手続義務。
抹消登録証明書等の交付により手続完了を確認できる
– 自動車重量税還付制度(国交省運用)
・解体による抹消時、残存期間に応じた重量税の還付が可能(申請と解体証明が必要)
– 自賠責保険
・解約で未経過分の返戻が可能(保険会社手続)
– 地方税法(自動車税種別割)
・普通車は月割還付あり。
軽自動車税は原則月割還付なし(年度課税)
– 消費者保護の観点
・自動車の買取契約は、一般にクーリングオフの適用対象外とされるのが通例。
訪問購入等の特商法の扱いは対象範囲が限定的で、自動車は多くの場合除外。
契約前に解約条件を契約書に明記させることが実務的対策
具体的な質問リスト(そのまま使える)
– 許認可番号(古物商、引取業、解体業、フロン回収、産廃収集運搬)を教えてください
– 見積は「現地確定・追加請求なし」ですか?
適用条件を文書でください
– 無料引取の距離上限、クレーンやウインチの費用、夜間や狭所対応の可否は?
– 抹消(または名義変更)は引取後いつまでに完了しますか?
証憑は何をいつ受け取れますか?
– 支払いはいつ、どの方法で、振込手数料はどちら負担ですか?
– 自動車税・重量税・自賠責の還付はどのように精算しますか?
– リサイクル券相当額は査定に加算しますか?
– もしローン残債・所有権留保がある場合の対応と費用は?
– 直近の同等案件の成約実績と価格帯を教えてください
まとめ(実行順序の短縮版)
– 情報と写真を揃える
– 許認可が揃った「事故車に強い」3〜5社を選ぶ
– 同条件・同写真で見積依頼し、費用と条件を完全開示させる
– 手取り額・支払日・抹消期限・減額条項の有無で比較し、期限付きで最終提示を引き出す
– 契約書に重要条件を明文化し、引取証・抹消証の受領まで追跡する
ポイントは「価格」「費用」「支払」「手続」「実在性」の5点セットでの比較と、書面での確約です。
これを守れば、悪質な減額や名義残しといった主要リスクをほぼ封じつつ、相場の上限に近い買取を引き出せます。
必要であれば、車種・状態別に重視すべき販路(国内再販・部品・輸出)の可能性も一緒に整理しますので、具体情報を教えてください。
【要約】
結論は、事故車・不動車も条件が揃えば高値。価値の源泉は1)修理再販、2)部品取り、3)原材料(鉄・アルミ・触媒)。人気車・輸出需要、損傷が限定的、高価部品やHV/EV電装が生きていれば強い。一方、冠水・骨格損傷・火災・超過走行は原料寄りで伸びにくい。最低ラインはスクラップと触媒相場が下支え。カスタムは別売が有利な場合も。