コラム

年式×走行距離で読み解く中古車買取相場の推移——閾値・例外と市況・季節・モデルチェンジの影響、いま売るべきかの判断軸

年式はなぜ買取相場に大きく影響し、どんな例外があるのか?

中古車の買取相場で「年式(初度登録年)」が強く効くのは、単なる“見た目の新しさ”以上に、市場の制度・工学的リスク・金融・流通の仕組みが年式に強くひもづいているためです。

以下で、年式が価格に与える主因、走行距離との違いと相互作用、例外が生まれる条件、そして根拠となる制度や実データの出どころを体系的に解説します。

年式が相場に強く効く主な理由

– 残存価値モデルと価格形成
新車販売時点で「何年後にいくらで売れるか」という残存価値(リセールバリュー)が金融・リース会社やメーカーにより想定され、月額リースや残価設定ローンの基礎になります。

ここでは年単位の時間経過(年式)が中核変数です。

市場はこの残存価値曲線をベースに動くため、年式の差がダイレクトに買取相場へ反映されます。

一般に初期3年の下落が最も大きく、その後は緩やかになる“逆S字”の減価曲線が多くの車種で観察されます。

カレンダー劣化と故障リスク(走行距離とは別物)
ゴム・樹脂・シール材・電解コンデンサ・配線被覆・塗装・シーリングなどは距離だけでなく経年で劣化します。

油脂類や冷却系、センサー類も経時変化の影響を受けます。

ハイブリッドやEVでは駆動用バッテリーの健全性に「カレンダー劣化(時間依存)」の成分があり、年式が距離以上に効くケースが珍しくありません。

こうした“時間起点の故障期待値”が上がるほど買取側はマージンを厚く見積もり、年式の古さが価格を押し下げます。

保証・サポート・ファイナンスの閾値
メーカー保証の残存や延長保証加入可否は年式にひもづきます。

保証が残っている車は故障時の費用不確実性が小さく、高く買われます。

また多くの金融機関や販売店は「登録後○年以内」という与信・ローン年数の上限を設けており、一定の年式を超えると販売時のファイナンスが付けづらくなるため、買取価格も下がりやすくなります。

法規・税制の年式依存
日本では自動車重量税と自動車税(種別割)に経年重課があり、概ねガソリン車は13年超(ディーゼル車は11年超)で税負担が増え、さらに18年超で重量税が一段重くなります。

車検のたびの諸費用や維持費が増える年式の節目は需要が落ちやすく、相場の段差を生みます。

加えて衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)などの先進安全装備の義務化時期を境に、旧年式は安全装備の見劣りで相場が下がりやすい傾向があります。

モデルチェンジと世代差
年式は事実上「世代(プラットフォーム)」の指標です。

フルモデルチェンジでボディ構造、安全性、燃費、インフォテインメントが大きく進化すると、旧世代の評価が切り下がります。

特に新旧でパワートレーン(ハイブリッド化、ターボ化、電動化)が変わると価格差が顕著です。

流通と供給の節目
法人リース・レンタカー上がりの大量放出は登録3年・5年に集中し、同一年式の供給が一気に増えます。

供給の山は価格を押し下げるため、年式の切れ目が相場の節目になりやすいのです。

輸出規制と海外需要
日本の中古車は輸出に大きく依存していますが、多くの輸出先に「輸入可能年式の上限」があります(例 ケニアは原則8年以内など)。

輸出先の年式制限を超えると特定市場への販路が消え、相場が段差的に落ちます。

逆に海外で特定年式が好まれると、その年式だけ高値になることもあります。

走行距離との違いと相互作用

– 距離は「使用量」、年式は「時間起点のリスク」を表します。

両者は独立要素を持ち、査定現場ではそれぞれ減点(または係数)を持ちます。

– 同距離なら新しい年式の方が、日/年あたりの使用強度が低いと解釈されやすく、状態期待が高い。

– ただし整備記録・保管環境(屋内/沿岸部/融雪剤地域)で年式劣化の度合いが変わるため、年式と距離の影響度は車歴の透明性で増減します。

年式の影響が小さくなる、または逆転する例外

– 希少性・限定性・趣味性の高い車
限定モデル、MTスポーツ、ネオクラシック(90〜00年代スポーツ、旧ランクル70系など)は需給の偏りとコレクション性で、年式の古さが価値に直結しません。

適切に維持された個体は年式が古いほど高いことすらあります。

供給制約で新車より中古が高騰するケース
新車の長納期・台数制約時期(半導体不足や物流混乱)には、ランクル/プラド、ジムニー、アルファード、人気HVなどで「新車より高い中古」が発生しました。

この局面では年式差より「即納性」が勝ち、1〜2年の年式差が価格に与える影響が一時的に小さくなります。

輸出先ニーズが年式より仕様重視のとき
一部地域では整備性の高い旧来エンジンやシンプルなATが評価され、年式より仕様・耐久性が価格を決めます。

特定グレード(プロボックス、ハイエース等)は年式が古くても高値安定のことがあります。

低走行・屋内保管・記録簿完備の“優良個体”
同年式でも状態差で価格は大きく乖離。

10年落ちでも数万km、修復歴なし、下回り腐食なし、ワンオーナーであれば、新しいが荒く使われた個体より高くなる場合があります。

セグメント/ブランド特性
軽自動車・国産ミニバン・トヨタ系の一部は需要の裾野が広く、年式の下落係数が比較的緩やか。

逆に輸入プレミアム車は保証切れ後の維持費リスクで年式に対する感応度が高く、初期の落ち込みが大きい傾向。

EV特有の挙動
バッテリー技術の進化速度・メーカーの価格改定の影響で、年式の影響が「極端に大きく」なる局面があります。

初期EVは航続・急速充電性能が現行に比べ劣るため、年式の古さが強くディスカウントされがちです。

一方、低走行でSOHの高い個体は年式の割に高く評価されることもあります。

外生ショック・制度変更
輸出規制の変更、安全装備義務化の前倒し、税制改正、新型投入などで、特定年式のラインで需給が急変し、年式の価格弾力性が一時的に変わることがあります。

根拠(制度・データ・現場の実務)

– 査定基準の構造
日本自動車査定協会(JAAI)が定める「中古自動車査定基準書」では、年式と走行距離に対して別個の減点・係数が設けられています。

業者間オークションや買取店の査定システムもこれに準拠・応用しており、年式が価格形成の主要変数であることが制度化されています。

リース・ファイナンスの残価設定
オリックス、住友系、メーカー系ファイナンスなどが内部で用いる残存価値テーブルは、年ベースで設定されます。

一般に人気国産で3年残価50〜70%、5年で35〜55%(車種・グレード・時期で大きく変動)、輸入プレミアムは初期の下落が大きめ、というレンジ感が広く共有されています。

これがオークション相場と連動します。

税制・法規
自動車税(種別割)の経年重課(ガソリン車13年超、ディーゼル車11年超で税率上乗せ)、自動車重量税の経年区分(新規〜、13年超、18年超で税額上昇)は公的に定められており、維持費の増加が需要を減らす実務的根拠です。

さらに、衝突被害軽減ブレーキ等の装備義務化(新型車から段階的導入、既販型も一定年次で適用)は、旧年式の安全・商品力の見劣りを招きます。

海外輸入年式制限
日本発中古車の主要仕向け地では、輸入時の年式上限が一般化しています(例 ケニアは原則8年以内、バングラデシュやジャマイカ等は5年程度など、国により厳しさは異なる)。

この規制の境目で同車種でも年式差による価格段差が大きくなることが、業者間オークションの落札傾向で確認できます。

オークション相場の経験則
USS、TAA、JUなど国内オークションでは、フルモデルチェンジ直後に旧型の相場が5〜15%程度切り下がる事例が多く、3年・5年といったリース満了期に当該年式の出品台数が膨らみ価格が軟化するパターンが繰り返し観察されます。

半導体不足期(2021〜2023年)には一時的に年式の影響が薄れ、即納性がプレミアムとして乗る現象が広く報告されました。

工学的根拠
経年劣化に関する材料工学・電気化学の知見(ゴムのオゾン劣化、樹脂の紫外線劣化、電解コンデンサのドライアップ、ハーネスの硬化、腐食進行など)や二次電池のカレンダー劣化は、走行距離に依らず時間で進むことが実験・実務で確立しています。

これが「年式」を通じて市場の故障期待値を押し上げます。

実務的な示唆(売却タイミングと年式の扱い)

– フルモデルチェンジの前に動く 新型発表〜発売直後は旧型が下がりやすいので、その前に売るのがセオリー。

– 車検・税制の節目をまたがない 13年超の経年重課や車検直前は需要が細るため、その前に売却すると有利なことが多い。

– 記録簿・整備履歴・保管環境の可視化 年式の不利を状態の透明性で相殺できます。

下回り錆の少なさ、消耗品交換歴は年式ディスカウントを緩和します。

– 需要期を狙う 国内は3月決算期やボーナス期に小売需要が高まり、買取相場が底上げされやすい。

まとめ
年式が買取相場に大きく効くのは、(1)金融・残存価値モデルが年ベースで市場を規定し、(2)経年劣化という時間起点の故障リスクが実在し、(3)保証・税制・法規・輸出規制などの制度が年式を閾値としているからです。

一方で、希少・趣味性や供給制約、輸出嗜好、状態の卓越性などがあると、年式の影響は弱まり、場合によっては逆転します。

根拠としては、JAAIの査定基準、リース残価テーブル、国交省・総務省の税制・安全装備義務化、各国の輸入年式制限、国内オークションの実勢を挙げられます。

年式は強い説明変数ですが「絶対値」ではなく、仕様・状態・需給・制度の文脈で相対的に読むことが、より正確な相場理解につながります。

走行距離はどの閾値で相場が大きく変わるのか?

結論を先にまとめると、中古車の買取相場で走行距離による“段差(閾値)”が出やすいのは、概ね以下のラインです。

年式や車種、燃費/動力源、輸出需要の有無で強弱はありますが、市場で実務的に意識される代表的な閾値は変わりません。

1万kmごとの小さな段差(特に3万km・5万km・7万km・9万km)
3万km 新車に近い“低走行”ゾーンの終わり
5万km 整備・消耗品の節目が近づくライン、心理的にも区切り
7〜8万km 主要消耗品の交換期が重なり始める
10万km 保証・整備・販路・心理すべてで大きく相場が切り替わる“壁”
12〜13万km 国内小売より輸出・業販寄りに評価が振れやすい
15万km 耐久性に強い車種はここでも値が付くが、多くは価格が大きく圧縮
20万km前後 特殊需要・輸出・商用評価が中心

以下、なぜここで価格が動くのか(根拠)と車種別の違い、年式との相互作用、市場の最近の推移、実務的な売却タイミングのコツまで詳しく解説します。

閾値ごとの意味と相場の動き方(一般論)

– 〜3万km
– 意味 新車に近い低走行ゾーン。

展示で“ほぼ新古”として売りやすい。

– 価格感 3万kmをまたぐと同条件で数%程度の下げ。

人気車や高年式は顕著。

– 〜5万km
– 意味 新車保証(3年/6万km)に近づく。

主要消耗品(タイヤ・ブレーキ)の一巡が視野に入る。

– 価格感 3→5万kmでさらに数%下げ。

グレードや色・装備次第では体感差が大きい。

– 7〜8万km
– 意味 足回りやベルト類、CVTフルード等の交換検討域。

販売側が納車整備費を多めに見積りやすい。

– 価格感 5→7万kmで小〜中程度の下げ。

7→8万kmで“次は10万km”の意識が出て、販売現場は仕入れ慎重。

– 10万km(最大の壁)
– 意味 相場が段階的に切り替わる最大の閾値。

理由は多岐に渡る(後述)。

– 価格感 9→10万kmで一段と大きめに下がることが多く、同条件で1〜2割規模の調整が起きても不思議ではない。

保証加入不可や販路制限がかかる車種では下げ幅が拡大。

– 12〜13万km
– 意味 国内小売での回転が鈍る反面、輸出・業販需要で下支えされることがある。

– 価格感 10→12万kmでさらに段差。

以降は車種適性とコンディション勝負。

– 15万km
– 意味 商用・ディーゼル・耐久性に信頼のあるモデルは「まだ使える」評価が残るが、一般乗用は相場が薄くなる。

– 価格感 10万kmを超えてからの方が下げ幅は緩やかになりやすいが、買い手の裾野は狭まる。

– 20万km前後
– 意味 国内は特殊需要中心。

輸出・部品取り・業務用での評価がメイン。

– 価格感 コンディションが良ければゼロにはならないが、相場変動は個体差依存。

なぜその距離で相場が変わるのか(根拠)

– 査定・評価ルールの存在
– 日本自動車査定協会(JAAI)の査定基準では“年式×1万km”前後を標準走行距離とみなし、標準からの過不足で加減点する考え方があるため、年式と距離のバランスが崩れるほど評価が下がりやすい。

– 業者オークション(USS、CAA等)の評価でも距離は大きな減点要素。

評価点が下がると下見の母集団が減り、落札価格が下振れしやすい。

– メーカー保証・販売保証の閾値
– 新車一般保証は3年/6万km、特別保証は5年/10万km(主要国産で一般的)。

このラインを越えると販売店が付けられる保証が限定されたり有料化し、仕入れ基準が厳しくなる。

– 10万km超は一部の中古車保証プランで加入不可または高額化。

販路や金融・保証の条件も変わるため、仕入れ価格に反映。

– EV/ハイブリッドは駆動用電池保証が年数・距離で区切られる(例 EVで8年/16万kmなど)。

残保証の有無が強く影響。

– 整備・消耗品の交換期が重なる
– 5万km前後 タイヤ、ブレーキパッド等の一巡。

– 7〜8万km 足回りブッシュ、ダンパー劣化が見え始める個体が増える。

CVT/ATFの交換可否や履歴の有無が問われやすい。

– 10万km前後 タイミングベルト(採用車)、ウォーターポンプ、補機ベルト、点火系、ハブベアリング等の交換案件が見え、販売側の原価見積もりが厚くなる。

– 車検・フリートのサイクル
– 初回車検3年、その後2年周期。

個人は「2回目車検(5年)」前に手放す比率が高く、ここでの供給増が相場形成に影響。

– 法人・リースアップは3年/3〜6万kmや5年/8〜10万kmでの入れ替えが多く、ロットで流通。

10万km前後での大量出品は相場を“高距離側へ振りにくく”する。

– 小売の販売戦略・顧客心理
– 10万kmの壁はわかりやすい心理バイアス。

店頭でも「10万km未満」タグは検索性と売れ行きに直結しやすい。

– 低走行表示(3万km・5万km台)はキャッチコピーとして効きやすく、仕入れのプライス形成に織り込まれる。

– 輸出・地域需要
– 輸出先によっては「10万km以下」や「右ハンドル・ディーゼル・MT」を好む市場があり、ライン超過で買い手構成が変わる。

国内需要が弱くても輸出が強い時期は高距離でも底支え。

車種・用途別の閾値の強弱

– 軽自動車
– 5万kmから下げが目立ち、10万kmで大きく切り替わる傾向が強い。

年式が新しければ5→7万kmでも差が出やすい。

– コンパクト/ミドルセダン・SUV(ガソリン)
– 5万km、7〜8万km、10万kmが明確な段差。

人気SUVは距離耐性が相対的に強いが、10万kmはやはり壁。

– ミニバン
– 走行距離が伸びやすいが、需要も厚い。

7〜8万kmの段差はやや緩く、装備・内装状態が価格に効く。

10万kmは壁だが残価は比較的残る。

– 商用(バン/トラック)・ディーゼル
– 距離耐性が高い。

10万km超でも実用評価が続き、15万kmでも十分相場形成。

整備履歴が価格差の中心。

– スポーツ/趣味性・希少車
– 距離の影響は相対的に小さく、個体差(事故歴・改造・メンテの質)が支配的。

とはいえ“低走行プレミア”は強く、3万/5万/10万の節目はプレミアムの切れ目として機能。

– ハイブリッド/EV
– 駆動用電池の保証残と劣化状態が距離評価を増幅。

10万kmの壁は保証要件と連動しやすい。

EVは急速充電履歴、SOH(State of Health)で距離以上に評価が変動。

年式との相互作用(年式×走行距離の“許容帯”)

– 基本線 年式×1万kmが標準。

これを大きく上回ると“過走行”評価、下回ると“低走行”評価。

– 例
– 3年落ち 標準3万km。

6万kmだと標準比+3万kmで、同年式の3万km個体に対し1割前後のディスカウントが生じても不思議ではない(装備・色・事故歴・整備履歴で変動)。

– 5年落ち 標準5万km。

8万kmはやや過走行だが、人気SUV/ミニバンなら相場耐性あり。

– 10年落ち 標準10万km。

8万kmなら“年式の割に低走行”で評価が上がりやすい。

逆に15万kmだと輸出・業販寄りの値付けに。

– 注意点 高年式・極低走行は“短距離・放置”のダメージ(バッテリー、ブレーキ固着、タイヤひび)を疑われることも。

整備記録で健全性を示せると強い。

2020年代の相場推移と距離ペナルティの変化

– 2021〜2023年 半導体不足・新車納期遅延で中古需要が逼迫。

距離ペナルティは相対的に緩み、高年式・過走行でも高値維持。

– 2024〜2025年 新車供給の正常化が進み、距離・年式の“常識”に回帰傾向。

10万kmの壁は再び強く意識され、5万km・7〜8万kmの段差も相対的に復権。

– 為替と輸出 円安期は輸出需要が強く、高距離・ディーゼル・4WDで下支え。

為替が戻ると国内小売の評価軸(保証・整備コスト)に重心が戻る。

どのくらい価格が動くのか(目安)

– 車種・相場水準で大きく上下しますが、同条件・同年式・装備同等と仮定した距離による相対差の体感目安は以下。

– 3万→5万km 数%(3〜8%程度)
– 5万→7万km 数%(3〜7%程度)
– 7万→9万km 数%(3〜6%程度)
– 9万→10万km 一段大きめ(8〜15%程度)
– 10万→12万km 小〜中(5〜10%程度)
– 12万→15万km 小〜中(5〜10%程度)
– ディーゼル/商用/希少スポーツは距離弾力性が低め、軽・コンパクトの量販は高めになりやすい。

保証・輸出要因で振れ幅は変わるため、あくまでレンジ感です。

実務的な売却タイミングのコツ

– 超える直前で売るべき“見切りライン”
– 5万km、7〜8万km、10万kmは明確。

特に10万km直前(9.5万km台など)は有利。

– 車検との合わせ技
– 2回目車検(5年)前は需要・供給双方の節目。

走行距離が5〜7万km台なら相対的に売りやすい。

– 記録と整備の可視化
– 定期点検記録簿、消耗品交換の領収、純正戻しの有無、タイヤ残山・ブレーキ残量等の“可視情報”で距離ハンデを緩和。

– コストの先回り
– 10万kmに向けて高額整備が見込まれる場合、実施前に売却した方がトータルで有利なことが多い(ただし既に症状が出ているなら整備済みの方が評価が安定するケースも)。

例外・注意点

– 高年式低走行の“置き物リスク” 短距離・アイドリング中心や屋外長期保管は劣化が潜む。

機関・下回りの状態説明が重要。

– 走行距離改ざん対策 点検記録、車検証記載の距離、電子記録(OBD)やオークション出品歴で整合性を示すと評価が安定。

– 色・装備・安全装備の世代差 年式が進むと装備差(ACC、LKA、ディスプレイサイズ等)が距離差以上に価格へ効く場合がある。

根拠のまとめ(制度・実務・心理の三位一体)

– 制度・基準
– 査定基準 年式×1万kmを標準とする評価軸(JAAI系の考え方)。

– メーカー保証 一般保証3年/6万km、特別保証5年/10万kmが多い。

HV/EVは電池保証に年数・距離条件。

– 車検サイクル 3年→2年周期が供給の波を作る。

– 実務・流通
– オークション評価点の距離減点、保証加入の可否・コスト、仕入れ後の整備見積もり(10万km付近で厚め)。

– 輸出の基準・為替影響で高距離帯の下支え。

– 心理
– “10万kmの壁”“5万kmの区切り”といった端数効果は、検索条件・店頭POP・説明のしやすさと直結し、結果として価格に反映。

最後に、あなたの車に最も効く“距離の閾値”は、年式・グレード・駆動源・販路(国内小売/業販/輸出)で変わります。

具体的な年式・車名・グレード・現在距離(および直近の整備履歴)が分かれば、どのラインをまたぐ前に動くべきか、より精密にアドバイスできます。

年式×走行距離の組み合わせで相場の推移はどう変化してきたのか?

要点サマリ
– 年式×走行距離のマトリクスは、2019年まで「年式が新しい・走行が少ないほど高い」という素直な勾配が支配的でしたが、2021~2023年は新車供給逼迫と円安・輸出需要で勾配がゆがみ、古い年式・多走行帯の相場も押し上げられました。

2023年後半~2024年は一部で平準化が進む一方、車種・動力別に差が拡大しています。

– 閾値(3万km、5万km、7万km、10万km/年式3年、5年、7年、10年/車検や保証の切れ目)をまたぐと下げ幅が非連続的に大きくなる傾向は一貫。

コロナ禍ではこの「閾値手前」のプレミアムが特に肥大化しました。

ベースとなる考え方(平時の構造)

– 年式(経年)と走行距離は独立ではなく相関しますが、価格への効き方は年式が基礎、走行距離が上げ下げの微調整という構図が一般的。

– 走行距離の影響は「連続的な逓減」と「閾値通過時の段差」が合成されます。

特に3万km、5万km、7万km、10万kmの節目と、初回車検(3年)、以降2年ごとの車検前後、メーカー保証の満了点(3~5年)で下げ幅が大きくなりやすい。

– 同じ年式なら低走行ほど高いが、年式が1つ古くても極端な低走行(例 7年落ちで2万km)などの希少条件は「年式差」を相殺しやすい。

一方、年式が新しくても多走行(例 2年落ちで6~8万km)は相場の下振れが目立ちます。

2018~2020年前半(コロナ前~直後)の一般的傾向

– マトリクスはきれいな右肩下がり。

3年落ちまでの減価が最も大きく、その後は緩やか。

10万kmの壁を超えるとディーラー小売りから外れ、業販や輸出向けの価格帯に落ち込みがち。

– セグメント差 軽自動車・ハイブリッド・ミドルSUVは残価安定。

輸入車は保証切れ(3年)が一つの段差で、5年以降の下げがやや大きい。

2021~2023年の特殊局面(上振れ期)

– 新車納期遅延と半導体不足で「若年×低走行」の高額化が顕著。

登録済未使用車や1~2年落ち低走行への需要集中で、3万km未満のプレミアムが拡大。

– 円安と輸出需要(ロシア・中東・アフリカなどの右ハンドル圏)で「中~高年式×多走行」帯まで底上げ。

従来は業者間安値に沈んでいた10年落ち10万km超でも、相対的な持ち直しが観測されました。

– 結果、マトリクスは全体に高止まりし、等高線が平時より「年式方向に寝て」見える(=古い帯の持ち上がり)。

一方で、極端な低走行個体の希少性プレミアムはさらに拡大。

2023年後半~2024年の調整と差異拡大

– 新車供給の段階的回復で、3年落ち以内の「新しさプレミアム」は徐々に平準化。

ただし人気SUV・軽やハイブリッドは高止まりを維持。

– BEV(電気自動車)は、バッテリー劣化懸念と新車価格改定(値下げ)の影響で、3~5年落ちでも価格の下方圧力が出やすい。

一方でPHEV・ハイブリッドは燃費メリットと需要の安定で堅調。

– 輸入車は保証切れ帯の下げ戻し(平時化)が進行し、超低走行の希少個体だけが強さを保ちやすい。

組み合わせ別の推移の具体像

– 若年×低走行(~3年×~3万km)
平時でも最上位価格帯。

2021~2023年は新車遅延で最も高騰。

2024年は車種により高値維持(国産SUV・軽・人気ミニバン)と緩やかな調整(セダン・一部輸入車)に二極化。

– 若年×多走行(~3年×5~8万km)
コロナ前は「やや割安」で収まっていたが、2021~2023年は不足感から相対的に下落幅が縮小。

ただし2024年は供給改善で「多走行の割引」が再拡大。

– 中年式×低走行(4~7年×~5万km)
平時はお買い得帯。

2021~2023年はこの帯が最もタイトになり、価格が大きく切り上がり。

2024年は個体差(整備履歴・グレード・装備)で価格差が広がる。

– 中年式×多走行(4~7年×7~12万km)
コロナ前は値落ちが大きかったが、輸出需要と代替需要で2022~2023年に底上げ。

2024年も下値は堅いが、国内小売り向きではないため状態次第の選別が強化。

– 高年式×低走行(8~12年×~5万km)
希少価値が映える帯。

2021~2023年に希少プレミアムが拡大。

2024年も「ワンオーナー・点検記録・事故歴なし」の条件が揃うと強い。

– 高年式×多走行(8~15年×10万km超)
従来は国内相場の底。

2022~2023年は円安・輸出で持ち直し、2024年も下支えが続くが、国内販路向けでは価格は伸びにくい。

ディーゼル・商用・SUVは比較的堅調。

閾値・イベントの影響

– 走行距離の段差 3万km・5万km・7万km・10万kmをまたぐ瞬間に下げが非連続的に出やすい。

2021~2023年は特に「5万km未満」を死守する価値が高かった。

– 年式の段差 3年(初回車検)・5年(保証満了やモデルチェンジ周期)・7年(輸出・下取り評価の分水嶺)・10年(税制・整備費意識)が節目。

– 車検・保証 車検残多・メーカー延長保証付は同じ帯でも上振れ。

平時化してもこのプレミアムは維持。

– モデルサイクル フルモデルチェンジ直後は先代が弱含み、マイナーチェンジ直前は装備差でばらつき。

2021~2023年はモデル差より供給要因が勝り、装備差の価格反映は弱まる傾向がありましたが、2024年は再び装備・安全支援の差が価格に織り込まれやすくなっています。

セグメント別の注記

– 軽自動車 新車納期遅延の影響が大きく、若年×低走行の高騰が顕著。

2024年も堅調。

– ミニバン・SUV 需要堅調で全帯域が高め推移。

特に残価の強い国産ブランドは5年落ちまでの値持ちが良い。

– 輸入車 保証切れ帯の下げ戻しが2024年に進行。

ディーゼルは輸出で下支え。

– BEV 2023~2024年に中古相場が相対的に弱含み。

走行距離感度がハイブリッドより高い。

– 商用バン・トラック 走行距離の減価が相対的に緩く、機関・架装の状態説明が価格決定要素に。

根拠(方向感を示す公開情報・市場実務)

– オートオークション統計・指数
国内大手AA(USSなど)の成約単価や指数は、2021~2023年に歴史的高水準へ上昇、2024年に一部調整という傾向を示しました。

買取相場の原資がAA価格であるため、年式・距離全帯域の底上げ/平準化の説明根拠になります。

– 中古車ポータルの価格レポート
カーセンサー、グーネット等の月次レポートは「掲載車両の中央値の上昇→高止まり→車種別二極化」を示し、特に軽・SUV・ハイブリッドの強さと、EVや一部輸入車の弱さを確認できます。

掲載データは走行距離帯別の在庫偏りとも連動します。

– 新車供給と納期に関するメーカー/報道
2021~2023年の半導体不足・物流影響で新車納期が長期化したことは各社発表と業界紙・一般紙(日経など)で繰り返し報じられ、若年×低走行帯の需給ひっ迫の主因となりました。

– 円安と中古車輸出統計
財務省貿易統計・業界団体資料にて中古車輸出台数/金額の増加が確認でき、特に2022~2023年に顕著。

国内AA価格の下支え要因として「高年式×多走行」帯の持ち直しを裏づけます。

– ディーラー下取/残価設定ローンの残価推移
残価率の見直し(上方修正~足元の平準化)が複数ブランドで観測され、若年帯の価格強含み→一部正常化の流れと整合します。

– 実務観測
業者間では「閾値手前」の落札競争が激化した時期(~2023年)と、2024年の選別強化(修復歴/整備履歴/保証有無の格差拡大)が広く共有されています。

実務への示唆(売却・仕入のタイミング)

– 売却側 閾値をまたぐ前(5万km直前、車検切れ前、保証満了前)が依然有利。

人気セグメントは冬~春の繁忙期前が強い。

一方、EVは新車価格動向に敏感なためニュースフローを注視。

– 仕入側 2024年以降は「状態・履歴」の価格反映が戻っているため、同じ年式×距離でも整備記録、タイヤ・ブレーキ残、ADASの有無で再販速度と粗利が分かれる。

輸出向きは相場下支えがあるが為替リスク管理が重要。

まとめ
– 年式×走行距離マトリクスの推移は、平時の減価カーブに対して、2021~2023年の供給ショックと輸出需要が全体を押し上げ、特に「若年×低走行」と「中~高年式×多走行」を同時に高値化させたのが最大の特徴です。

2024年は新車供給回復により若年帯のプレミアムが一部縮小し、車種・動力別の二極化が拡大。

閾値の重要性は不変で、今後も車検・保証・モデルサイクルや為替/輸出の動きがマトリクスの等高線を動かす主要因となります。


– 上記は日本市場全体の方向感です。

個別車種・グレード・装備・事故修復歴・地域で大きく変動します。

可能であれば最新のAA落札相場(型式・評価点・距離条件一致)と、直近1~3カ月の小売り在庫回転を併せて確認することを推奨します。

市況・季節・モデルチェンジは相場の上下にどう影響しているのか?

ご質問の主旨は「年式・走行距離別の買取相場の推移」において、市況・季節・モデルチェンジがどのように上下動をもたらすか、そしてその根拠は何か、という点ですね。

以下では、まず年式と走行距離で決まる“ベースライン”を整理したうえで、そこに市況(マクロ環境・需給・輸出)、季節性、モデルチェンジの3要因がどう上乗せ・下押しするかを体系的に説明します。

最後に実務的に「いつ、どう動くべきか」の示唆も付けます。

1) 年式・走行距離がつくるベースライン
– 年式と走行距離は、相場の基礎的な残存価値カーブを規定します。

一般に新車から1年の初期減価が最も大きく、その後3〜5年で緩やかな下落、7〜10年で整備コストや陳腐化の影響が表れやすく、10年超で輸出・低価格帯需要に支えられて“底”を形成しやすいというのが平均的なカーブです。

軽や国産実用セダン・ハッチは下落が緩やか、輸入車や大型高級車は下落が速い傾向があります。

– 走行距離は「閾値」で段差が出やすいのが実務上の特徴です。

5千km、1万km、3万km、5万km、7万km、10万kmあたりはオークションの入札レンジが切り替わりやすく、直前での売却と直後では数万円〜十数万円の差が出ることが珍しくありません。

査定の技術基準上も走行距離は減価の主要因とされ(日本自動車査定協会の査定要領等)、市場側の入札運用とも整合します。

– 車検タイミング(初回3年、以後2年毎)もベースラインに段差を作ります。

車検残が長い個体は小売り側の回転が良く、買取でも高めに付きやすい一方、車検直前の「重整備リスク」を嫌気して弱含むケースがあります。

2) 市況が与える影響(マクロ・ミクロ)
– 新車供給と半導体/物流の制約
2020〜2022年の半導体不足や物流遅延は新車納期を長期化させ、短期的に中古車需要を強く押し上げました。

その結果、相場のベースライン自体が高止まりし、年式の新しい個体ほど上振れしました。

2023年後半〜2024年にかけて新車供給は正常化の方向で、上昇圧力は弱まり調整局面が増えました。

根拠は自動車各社の生産回復発表やメディア報道、業者オークションの平均成約単価の推移(USSなどのIR資料や市場レポート)です。

– 為替と輸出需要
円安は輸出採算を改善し、国内で輸出対象となるモデル(クロカン/SUV、商用バン、コンパクト、ハイブリッド、4WDの軽など)を押し上げます。

2022年以降の円安局面では、ランドクルーザー/プラド、ハイエース、プロボックス、アクア、フィット、軽4WDなどの相場が底堅く推移しました。

日本銀行の為替統計で円相場を確認でき、輸出業者向けの動向はオークション市況や貿易統計に反映されます。

加えて各仕向け国の年式規制(例 一部アフリカでの輸入年式制限、ニュージーランド/パキスタン等の排ガス・年式要件)があるため、該当年式に達する直前・直後で価格が跳ねやすい(または急落しやすい)現象が見られます。

– 燃料価格とパワートレインの選好
ガソリン価格が高い局面ではハイブリッドや軽の人気が上がり、相場が相対的に強含みます。

2023年前後にレギュラー180円/L台に達した時期があり(資源エネルギー庁の小売価格統計で確認可)、プリウス/アクア/フィットHVや軽全般の相場にプラスに働きました。

逆に燃料が落ち着くと相対優位は薄れます。

– 金利・与信環境
日本は超低金利が続いてきましたが、与信審査の引き締めや金利上昇観測は月々ローン負担を意識させ、価格帯のシフト(新しめ高年式→年式落ち高走行)を誘発することがあります。

結果として高年式低走行の上値は重く、逆に手頃な年式・走行の回転が良くなるといった需給の変化が起きます。

– 災害・天候
水害や台風の後には地域的に代替需要が高まり、軽・コンパクト・ミニバンの相場が一時的に強含むことがあります。

また降雪期前には4WD・スタッドレス適合車が地域偏在的に上昇します。

3) 季節性が与える影響(年内サイクル)
– 1〜3月(繁忙期・強気)
新生活の需要、年度末登録の駆け込み、ボーナスの一部繰越効果などで小売りが活況。

業販仕入れ競争が強まり、オークション成約単価が上がりやすい=買取も強気。

特に軽、コンパクト、ミニバン、4WDは強い。

3月はリース・レンタの大量放出で供給も多いが、需要がそれを上回りやすいのが通例です。

根拠はUSS等オークションの月次動向や中古車販売台数の季節パターン(業界統計)。

– 4〜5月(一服)
需要の反動で相場はやや緩む。

ゴールデンウィークは店舗稼働・オークション日程の影響で売買ともにやや中だるみ。

– 6〜7月(梅雨〜夏ボーナス期)
店頭来場が鈍る一方、夏ボーナス期前後に家族用ミニバンやレジャー系SUVの動きが良化。

台数が細る分、優良個体への競争は続き、相場は横ばい〜やや強めで推移することが多い。

– 8月(お盆・供給減)
オークション休催や物流停滞で供給が痩せ、良質在庫に買いが集中して取り合いに。

小売りは来店減もあるため、車種によって強弱が分かれる。

– 9〜10月(戻り)
お盆明けの補充で供給が回復、相場は落ち着く。

台風や豪雨の影響が出る年は一時的に需要が底上げされる地域も。

– 11〜12月(年末・冬需要)
雪国向け4WD、SUV、軽4WD、スタッドレス付きの付加価値が上乗せされやすい。

一方、年末在庫圧縮の値引きが出始めるため、2WDセダン等は弱含み。

12月後半はオークション薄商いで玉不足になり、良質個体は堅調。

これらの季節要因は、年式・走行距離によって振れ幅が異なります。

具体的には、年式が新しく走行の浅い車は繁忙期の上振れが大きく、古年式・多走行は輸出や低価格帯需要の影響が相対的に強い季節(円安期・冬の4WD需要など)に連動しやすい傾向です。

4) モデルチェンジ(FMC/MC)が与える影響
– フルモデルチェンジ前後の典型パターン
発表・予約開始のリーク段階で旧型は弱含みやすいものの、「新型の価格上昇」「納期長期化」「装備差の小ささ」が重なると旧型の玉不足が発生し、むしろ上振れする事例もあります。

直近の例として、人気ミニバンやハイブリッドの新型登場後に長納期化し、旧型の上級グレード・低走行が強含んだ局面が観察されています(各紙・業界レポートに散見)。

– マイナーチェンジと安全装備の標準化
自動ブレーキやACC、全周囲カメラなどのADASの世代更新は価値に直結します。

MCで安全装備が大幅進化した場合、旧装備の個体は相対的に評価が下がりやすい。

一方で新装備のコスト上昇で新車価格が上がれば、旧型上級グレードの相対魅力が増し、価格低下が緩和されることも。

– デザイン評価・希少グレード
デザインが賛否両論の新型が出た場合、先代の人気度合いによっては先代が指名買いされ相場が下支えされます。

限定車・特別仕様・MT設定などの希少グレードは、モデル末期にプレミア化するケースもあります。

– 供給の谷
FMC切替期は旧型の新車在庫が払底し、中古市場も良玉が一時的に枯れることで、状態の良い旧型の買取相場が意外と強く出ることがあります。

5) 年式・走行距離と3要因の相互作用(どの層が影響を受けやすいか)
– 高年式・低走行(登録から1〜3年、〜3万km)
季節の繁忙期とモデルチェンジの影響を強く受けます。

新型の価格・納期次第でブレ幅が大きい。

小売りのローン需要とも連動。

– 中年式・中走行(4〜7年、3〜7万km)
市況の需給(輸出、為替、燃料価格)に感応しやすい層。

維持費と装備バランスの実用需要が厚く、季節要因はややマイルド。

– 旧年式・多走行(8年〜、7万〜10万km超)
輸出や地域需要(4WD/商用)、燃料高の軽・HV選好の影響が大きい。

年式規制の閾値や10万km超の心理的ハードルを跨ぐタイミングで段差が出やすい。

6) 根拠・参照できるデータの所在
– 業者オークションの価格・出来高
USSなど大手オークション運営企業は決算資料や月次概況で出品台数・成約率・平均成約単価などを公表します。

これらは相場の方向性や季節性の確認に有効です。

– 行政・業界統計
経済産業省 資源エネルギー庁の石油製品価格動向(ガソリン価格)、日本銀行の為替レート統計、日本自動車販売協会連合会/全国軽自動車協会連合会の登録・販売台数、貿易統計等。

いずれも無料公開されています。

– 査定・減価の考え方
日本自動車査定協会(JAAI)の査定基準や業界向け教本では、年式・走行距離・修復歴等の減価項目が体系化されています。

具体の金額は市場連動で変動しますが、距離の閾値の概念や装備の評価は整備されています。

– 民間レポート
オークネット、車流通系シンクタンク、各ポータルサイトの相場動向レポート。

モデルチェンジや季節イベントに伴う需要変化の解説が豊富です。

7) 実務的な使い方(売り時・注意点)
– 繁忙期(1〜3月)の前に仕入れ・放出を計画。

売却側は1〜2月の買取競争が活発な時期を狙うと優位。

軽・コンパクト・ミニバン・4WDは特に効果的。

– 走行距離の閾値を跨がない売却戦略。

例えば5万km直前、10万km直前で動く。

月3,000km走るなら、3か月先に持ち越すコスト(距離減価+季節要因)を比較検討。

– モデルチェンジ発表の動向を注視。

新型が高額・長納期なら旧型は下がりにくい。

逆に新型が大幅商品力アップ(安全・燃費・静粛性)で価格据え置きなら旧型は早めの見切りが吉。

– 円安進行時や輸出強含み局面では、該当モデル(SUV/商用/軽4WD等)の売却を前倒ししやすい。

逆に円高転換や輸出規制強化のニュースが出たら、該当車種は早めの手当てが無難。

– 地域需要を考慮。

降雪地では秋〜初冬に4WDの評価が上がるため時期選定の妙が出る。

8) まとめ
– 年式と走行距離で決まるベースラインに対し、相場は「市況(供給制約・為替・燃料・輸出・災害)」「季節(繁忙期・休暇・降雪)」「モデルチェンジ(FMC/MCと価格・納期・装備差)」の3つで上下にブレます。

– 近年の大きな上振れ要因は半導体不足による新車延納と円安による輸出強化、燃料高によるHV/軽人気でした。

2024年以降は新車供給正常化で過熱感は剥落しつつも、為替と輸出、季節要因は引き続き相場の主要ドライバーです。

– 根拠としては、業者オークションの成約単価・成約率の季節推移、資源エネルギー庁の燃料価格統計、日本銀行の為替統計、各販売協会の登録台数、JAAIの査定基準など公的・準公的データで補強可能です。

個別車種のモデルチェンジ影響はメーカー発表・業界レポートと実勢相場(落札結果)を突き合わせるのが実務的です。

補足 買取相場は車両状態(修復歴、外装内装の評価点、タイヤや消耗品、点検記録、オプションの有無)で同年式・同距離でも数十万円の差が出ます。

時期・市況の見極めに加えて、出品前の最低限の整備・清掃、付帯品の揃え、写真の質(業者間取引の場合)なども、最終的な成約価格に確かな違いを生みます。

今売るべきか待つべきか、相場の先行きをどう見極めればいいのか?

結論の前に全体像です。

中古車の買取相場は「年式(初度登録からの年数)×走行距離×車種カテゴリ(軽・ミニバン・SUV・輸入車・EV等)×供給需給(新車の納期・為替・輸出需要)×季節性」で動きます。

今売るべきか待つべきかの判断は、この5軸を自分の車に当てはめ、節目(モデルチェンジ、走行距離のキリ番、車検や税のタイミング)をまたぐかどうかで決めるのが実務的です。

以下、年式・走行距離別の目安、相場の先行きの見極め方、売り時の条件分岐、根拠とデータの見方を詳述します。

1) 年式・走行距離別の基本的な減価パターン(相場の骨格)
– 0〜3年・〜3万km
新車供給が逼迫している時期はプレミアが乗りやすいゾーン。

通常は新車比で1年落ち▲15〜25%、以後は年▲5〜10%が目安。

3年・3万kmを越えると「初回車検」「3万kmの節目」で査定の減点幅が広がりがち。

待つほど逓減が速く、相場が強いとき以外は「早めに売る」優位。

– 3〜5年・3〜5万km
最も流通量が多く、相場は相対的に安定。

5万km到達は多くの買い手が心理的に気にする節目で、直前と直後で数万円〜十数万円の差がつくことがある。

売るなら5万km手前で。

– 5〜7年・5〜7万km
年式による逓減が続くが、車種差が拡大。

人気SUV/ミニバン/ハイブリッドは底堅い。

マイナーチェンジ・フルモデルチェンジの有無次第で振れ幅が出る。

– 7〜10年・7〜10万km
10万km到達で明確な段差。

未到達なら到達前に売却を。

到達済みなら、状態・整備履歴・事故歴の影響が相対的に大きくなる。

輸出需要がある車種は為替・海外需要で底値が切り上がることも。

– 10〜13年・10万km超
国内需要は細るが、商用・海外向けニーズで二極化。

13年超で自動車税・重量税の経年重課(税負担増)がかかるため、その直前で需要が細りやすい。

12年目までに売るのがセオリー。

– 13年超
国内は税負担と古さで弱い一方、輸出や愛好家向けは別物。

JDMスポーツ(例 ハイパフォーマンスモデル)や希少グレードは米国の25年ルール到達時に跳ねるケースがある。

該当するなら「25年到達まで待つ」のも戦略。

2) 車種・パワートレーンによる相場感の違い
– 軽自動車
国内需要主導。

燃料価格や家計のセンチメントに敏感。

輸出の下支えが限定的なため、供給が増える局面では下げが出やすい。

季節性(2〜3月の繁忙期)を狙うのが定石。

– コンパクト/ミニバン/SUV
流通量が多く、人気度で明暗。

SUVとミニバンは相場が強い時期が多い。

輸出適性のあるモデルは円安局面で強含みやすい。

– スポーツ/趣味性
走行距離よりコンディション・記録簿・純正度が重要。

限定車・高年式MTは在庫希少で逆行高も。

25年ルール・生産終了ニュースがトリガー。

– 輸入車
年式劣化が相対的に速く、保証切れ・メンテ費の懸念で下げ足が早い。

マイチェンでの装備刷新で陳腐化しやすい。

例外はGクラス等の指名買い。

– EV/PHEV
技術進化と補助金の影響が大きく、初期EVは中古相場が軟調。

電池健全性(SOH)を提示できる個体は相対優位。

新型の航続伸長や急速充電性能向上が出るほど旧型の下げ圧力がかかるため「早めに売る」が基本。

3) 季節性・イベントの効き方
– 2〜3月 決算と新生活需要で中古の繁忙期。

多くのカテゴリーで高めに出やすい。

– 8月 お盆前後は動きが鈍りやすいが、4WD・スタッドレス需要は秋〜初冬に強まる。

– モデルチェンジ フルモデルチェンジの正式発表・発売前後で旧型は下方向。

人気最終型や限定車は下げづらいが基本は「発表前に売る」。

– 車検 残月が長いと小売では有利だが、買取では評価が限定的な場合も。

車検直前に高額整備を入れても売却価格に乗り切らないことが多い。

4) マクロ要因と先行き判断のフレーム
– 新車供給・納期
半導体不足などで新車納期が長期化すると中古が代替され上昇。

供給正常化は逆風。

メーカーの受注停止・受注再開のニュースは中古相場の先行指標。

– 為替(円安・円高)
円安→輸出採算改善→輸出向け車種(SUV、商用バン、ディーゼルなど)中心にオークション価格が上がりやすい。

円高は逆。

自車が輸出人気車かを確認。

– 燃料価格・金利
ガソリン高→ハイブリッド・軽が強く、大排気量は弱い。

金利上昇→オートローン負担増→需要軟化。

– 政策・税制
補助金(EV等)やエコカー減税の見直しは新車需要を直接動かし、中古に波及。

13年超の経年重課は買い手が嫌うため、その手前で売るのが理にかなう。

– 物価と家計マインド
実質可処分所得の変動は大衆セグメントの中古需要に直結。

景況感悪化で値引き要求増・在庫滞留→相場軟化。

5) 実務 今売るか待つかの判断フロー
– 自分の車が属する「カテゴリ」と「輸出適性」を判定
例 ガソリンSUV・4WD・ディーゼル・商用バンは輸出で強い傾向。

軽や一部コンパクトは国内主導。

– 6カ月以内のイベントを洗い出す
フル/マイチェンの噂・発表時期、車検時期、走行距離の節目(3/5/7/10万km)をカレンダー化。

– 3カ月分の相場を“指標+実見積もり”で追う
– オークション系指数・市況コメント(USS、JU系、市場価格動向レポート)
– 新車登録台数(日本自動車販売協会連合会、軽自動車検査協会)
– 為替(USD/JPY)と原油価格
– 実務的には毎月、買取店3社以上+出品型サービス(例 買取オークション)で査定を取り、推移を記録
– 意思決定の目安
– 30日以内に走行が「節目」を跨ぐ予定→その前に売る
– フルモデルチェンジが公表間近→公表前に売る
– 円安が進行中で輸出適性あり→短期は強含み、様子見も可。

ただし距離・年式の節目が迫るなら前倒し
– 新車の受注再開や在庫潤沢のニュース→中古は弱含みやすい、早めに売る
– EV/初期PHEV→技術陳腐化が早い、基本は早めに売る
– 2〜3月が近い→季節要因でやや強い。

逆に真夏は焦らず、秋口〜繁忙期前へ。

6) 年式・距離をまたぐ「境界」の具体策
– 5万km、10万km、3年、5年、7年、13年の各境界を跨がない
次の境界までの想定期間中に上昇する特別材料(円安加速、海外需要急増、限定モデル化など)が見込めない限り、境界前で売るのが価格面で合理的。

– 走行距離の増分コストを意識
一般的な査定ロジックでは「標準走行距離(年1万〜1.5万km)」超過分が減点。

短期に数千km伸びる予定なら、その前に。

– 車検・重整備は「売る前提なら最低限」
タイヤ4本・ブレーキ・大物整備は価格への上乗せが限定的なことが多い。

消耗品交換は売却先のコスト想定に織り込まれるため、過剰投資は回収しにくい。

7) 価格を最大化する運用術
– チャネルを分散
店頭買取、専門店、輸出向け業者、出品型オークションを並行活用。

車種によって強いチャネルが異なる。

– 情報整備
整備記録簿、取扱説明書、スペアキー、純正戻し可能な社外品の有無を明示。

1オーナー・禁煙・実走行・事故修復歴なしの裏付けは強力。

– 外装・内装の“見た目”改善は費用対効果が高い
洗車・簡易磨き・消臭・小傷タッチアップ程度で印象が変わる。

高額板金は回収しづらい。

– 相見積りは短期一括で
見積り間隔を空けると市場が動いて比較しにくい。

48〜72時間でまとめて実車査定→その場でせり上げる。

8) 根拠(なぜそう考えるか)
– 年式・距離の段差
業界査定は「標準走行距離」からの乖離や節目での心理的減点が存在。

3/5/7/10万km、1/3/5/7/10/13年といった区切りで小売り回転が鈍るため、下取り側もリスクを価格に反映。

– 季節性
日本の中古車販売は2〜3月が決算・進学・就職で最大商戦。

流通現場の成約率上昇が買取価格の引き上げに波及。

– モデルチェンジ効果
新型の安全・快適装備や燃費改善が中古の相対価値を低下させ、旧型の価格が滑りやすいのは長年の経験則。

最終型・限定グレードは例外。

– 新車供給・為替・輸出
半導体不足期(2021〜2023年に顕著)は新車長納期→中古高騰が各種オークション指数・流通各社の月次で確認された。

円安は輸出採算を押し上げ、四駆・SUV・バン・ディーゼル等の落札価格が連動。

逆に円高や輸出規制強化で反落。

– EVの相場軟化
電池コスト低下と新型の航続・充電性能の進化が早く、補助金の有無も大きくブレるため、中古での期待価値が目減りしやすい。

SOH提示による個体差は大きいが、セグメント全体では逓減が速い傾向。

– 税制の影響
13年超の経年重課(自動車税・重量税の加重)は所有コストを押し上げ、買い手の敬遠につながる。

結果としてその手前の年式で売却が合理的。

9) 実際の「売る/待つ」判断のサンプル
– 新しめのハイブリッド(2年落ち・2.5万km) 今後1年で3万kmと3年落ちに到達予定。

新車の納期が短縮傾向なら早めに売るのが優位。

2〜3月が近いならそこに照準。

– ガソリンSUV(6年・6.5万km・4WD) 円安・輸出強含みなら冬前〜冬の需要期まで待つのも一案。

ただし7万kmとモデルチェンジ発表が迫るならその前に。

– ミニバン(9年・9.8万km) 10万km到達前に即売却がセオリー。

達した後は整備状態勝負で季節待ちの効果は限定的。

– EV初期型(5年・4万km・SOH不明) 技術陳腐化と補助金の不確実性。

SOHを測って可視化し、早期売却。

10) 相場の先行きを掴むための具体的ウォッチリスト
– オークション市況
USSやJUの市況コメント、成約台数・成約率、在庫日数。

買取店の「在庫圧縮」発言が増えたら弱気サイン。

– 新車関連
メーカーの受注停止/再開、納期短縮、決算期の大幅値引き情報。

これらは中古相場の先行指標。

– マクロ
USD/JPY、WTI(原油)、政策動向(補助金・税制改正のパブコメや方針発表)。

– 店頭価格の滞留
ポータル(カーセンサー、グーネット)で自車と同等条件の掲載期間を観察。

回転が鈍い=相場弱含み。

最後に要点整理
– 境界(3/5/7/10/13年、3/5/7/10万km、モデルチェンジ、車検)を跨がない。

– 自分の車が輸出向きか、国内需要型かを見極め、為替で戦略を変える。

– 新車供給が潤沢化する局面は中古に逆風。

半導体不足のような特需は薄れつつあることが多いので「早め」が基本。

– EVは逓減が速い、ハイブリッドは底堅い、SUV/ミニバンは強い、軽は季節性重視。

– 指標と実査定を“連続して”観測し、価格が2カ月連続で弱含む・あるいは節目前なら売却判断。

このフレームに沿って、自車の具体条件(年式、距離、車種、装備、状態、売却予定時期)を当てはめ、2〜3社の同時査定と市況チェックを1〜2カ月続ければ、「今売るべきか/待つべきか」の答えは高い精度で見えてきます。

【要約】
中古車相場で年式が効くのは、残存価値モデルや保証・与信の閾値、税制・法規、モデルチェンジ、リース放出など流通節目、輸出規制に年式が結び付くため。初期3年の下落が大きい。年式は経年劣化や故障リスクの指標で、HV/EVはバッテリーのカレンダー劣化が効く。走行距離とは独立に効き、相互作用で査定が決まる。税は13年超等で重く、輸出8年制限で段差。例外は限定車の希少性や新車供給制約時の即納性重視で年式差が薄まる。

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