修復歴ありとは具体的に何を指し、告知義務や評価への影響はどうなるのか?
結論からいうと、「修復歴あり」とは、ボディの骨格(主要構造部位)に損傷・交換・修正が認められる車を指します。
バンパーやボンネット、ドアといった外板パネルの板金・交換だけでは(骨格まで損傷が及ばない限り)修復歴には該当しません。
「事故歴」という一般用語よりも狭く、かつ業界で厳密に定義された“査定上の概念”です。
以下、定義、告知義務、評価(相場)への影響、そして根拠を詳しく解説します。
1) 修復歴の定義(何を指すか)
– 基本定義
– 日本自動車査定協会(JAAI)やAIS(オークション検査機関)の基準では、「車両の骨格部位(主要構造部位)に損傷・交換・修正があるもの」を修復歴車と定義します。
– 事故によるものに限らず、災害や腐食(錆)等で骨格部位に修理・交換が生じた場合も修復歴となり得ます。
骨格部位(例)
フレーム(サイドメンバー)
クロスメンバー(フロント/リア)
ラジエーターコアサポート
ピラー(A/B/C)
ダッシュパネル(バルクヘッド)
ルーフパネル
ルームフロア/トランクフロア
インサイドパネル、バックパネル など
これらは衝突安全や寸法精度に直結し、損傷・修正の有無が車体剛性・直進性・事故時の安全性・水密性などに影響しうるため、査定上は明確に区別されます。
修復歴に該当しない代表例
ボンネット、トランクフード、ドア、フェンダー、バンパーなど“ボルト止め・外板”の交換や板金塗装のみ。
足回り部品(サスペンション、アーム、ナックルなど)の交換のみ。
ただし、外板交換の裏側でピラーやインサイドパネルに修正が及んでいれば修復歴です。
ラジエーターコアサポートのように車種によってはボルト止めのケースもありますが、骨格部位に分類されるため、交換・修正があれば修復歴と扱われます。
事故歴との違い
事故歴は「事故に遭った経緯」を指す一般用語で、軽微な接触事故や外板の傷で終わったケースも含み得ます。
修復歴は「骨格部位の損傷の有無」という技術的・査定上の判定。
事故歴があっても骨格まで損傷がなければ“修復歴なし”。
逆に、事故ではなくても骨格修理があれば“修復歴あり”です。
2) 告知義務(何を、誰が、どこまで知らせるか)
– 事業者(販売店)が消費者に販売する場合
– 自動車公正取引協議会が定める「中古自動車の表示に関する公正競争規約・同施行規則」により、販売事業者は修復歴(骨格部位の損傷・交換・修理の有無)を含む重要事項を明示表示する義務があります。
虚偽表示・不表示は不当表示(景品表示法上の優良誤認)に該当しうるため、業界では厳格に運用されています。
個人が買取店へ売却する(買取査定を受ける)場合
法律上、一般消費者に直接「表示規約」の義務はありませんが、買取契約書には通常「事故・冠水・改造・メーター交換等の申告欄」と「虚偽・不告知の場合の価格調整・契約解除条項」が盛り込まれます。
売買契約における信義則・契約不適合責任の観点から、把握している修理歴・事故歴・水没歴などは告知するのが原則です。
故意・重過失の不告知が後日判明した場合、契約の解除や買取価格の減額、損害賠償の対象となり得ます(民法の契約不適合責任・債務不履行責任の枠組み)。
オークション出品規約でも修復歴の不申告は重大クレームの対象であり、買取店は再販リスクを負うため、ユーザーへの申告欄が厳格化されています。
よくある誤解
「保険修理で直っていれば告知不要」→誤り。
骨格修理の事実は修復歴として重要事実です。
「外板交換だけなら黙っていてよい」→外板だけなら修復歴に該当しない可能性は高いものの、骨格まで及んでいるかの判断は専門検査が必要。
把握している範囲は正直に伝え、査定士の点検に委ねるのが安全です。
3) 評価(査定・買取相場)への影響
– 影響の基本構造
– JAAIの減点法やAIS(業者オークション検査)の評価では、骨格部位の修復・交換は大きな減点要因です。
修復歴が付くと、同条件の「無修復車」に比べて相場は概ね大きく下落します。
– 一般的には“相場の2〜4割減”が目安と言われますが、下落幅は以下の要素で大きく振れます。
下落幅を左右する主な因子
1) 年式(新しいほど下落が大きい)
登録後1〜3年程度の新しめ個体では、安全性・リセール期待が高い分、修復歴の影響は大きく、同条件比で20〜40%下落、個別には−30万〜−100万円超のケースも珍しくありません(C〜Dセグ相当)。
5〜7年程度では−15〜30%程度が目安。
10年超や低価格帯では下落率は縮小しますが、無修復との需給差は残ります。
2) 走行距離(短いほど下落率が大きい)
走行少なめの良条件ほど「無修復にこだわる」買い手が多く、修復歴のペナルティが目立ちます。
逆に過走行・年式相応の価格帯では差が圧縮。
3) 修復の箇所・程度
例 ラジエーターコアサポートの軽微な修正と、ピラーやサイドメンバー・ダッシュパネル等の複数骨格に及ぶ重修復では評価差が大きく、後者は相場上、敬遠されがちです。
交換より“修正”の方が軽いとは限らず、寸法出し・溶接品質・防錆処理の良否で評価は変わります。
4) 車種特性
大衆セダン・軽・コンパクトは無修復志向が強く下落が大きい傾向。
スポーツカー・希少車・旧車は、程度主義ながらも相対的に“修復歴許容”の市場があり、下落率が抑えられる(逆に、素性の良い無修復は強烈に高値)。
商用車は用途・価格帯次第で影響が緩むことがあります。
5) 冠水・火災・塩害等の災害歴
これは修復歴の概念とは別枠の“重大なマイナス要因”。
車種に関係なく商品性が大きく下がり、場合によってはオークションでの流通が制限されることもあります。
6) 評価点・検査機関の判定
AIS等では修復歴車は“R点(またはRAなど)”となり、評価点が一段落ちます。
同じ修復歴でも、軽微判定(RA)と重度(R)の差は相場に響きます。
年式・走行距離別のざっくりした相場感(あくまで一般論・同一条件比)
登録後1〜3年・走行〜3万km −20〜40%(−30万〜−100万円超も)
4〜6年・走行3〜6万km −15〜30%
7〜10年・走行6〜10万km −10〜25%
10年超または過走行 −5〜20%
注 車種(特にスポーツ・輸入・希少グレード)、修復部位・数、色、装備、時期(決算期・季節)で上下幅は大きく変わります。
あくまで目安とご理解ください。
4) 実務での見分け・評価のポイント
– 修理の質と開示資料
– 修理見積書・作業明細・写真記録・使用部品(新品/リサイクル/社外)・塗装膜厚計の測定値など、裏付け資料があると評価が安定します。
しっかりした構造修理・防錆・シーリングが行われ、直進性・アライメントが良好であることの証跡があると、同じ“修復歴あり”でも相場の下振れをある程度抑えられます。
– 検査の要点
– スポット溶接痕・シーラーの乱れ、パネルの合わせ目、ピラー根元・コアサポートの波打ちや歪み、フロアの打ち上げ跡、溶接焼け跡、塗装肌・膜厚の急変、アライメント値・タイヤ片減り・ハンドルセンター等。
プロはリフトアップやアンダーカバー脱着のうえで骨格付近を確認します。
5) 告知・売却時の実務アドバイス
– 既知の修理・事故・水没等は正直に申告する(契約書の申告欄に沿って具体的に)。
– できるだけ“事実ベースの書類”を用意(修理明細・写真・見積・整備記録)。
曖昧な伝聞より、客観資料が価格の振れを抑えます。
– 複数店で査定を受ける(検査機関連携の店舗や、オークション相場に精通した店舗を含める)。
– 走行距離やタイミング(需要期)を考える。
新しいうちに手放すほど修復歴の下落率は大きいが、相場全体が高い時期には相対的なマイナスを吸収できる場合もあります。
6) 根拠(基準・規約・制度の出典)
– 日本自動車査定協会(JAAI)の「自動車査定基準」
– 「修復歴車=骨格部位に損傷・交換・修正がある車」とする定義、骨格部位の範囲、減点方式(査定点数化)などが示されています。
中古車業界の標準的な査定の拠り所で、査定士検定の教本・基準書で明文化されています。
– AIS(車両検査機関)・業者オークション各社の検査基準
– 評価点(4.5、4、3.5、R、RA等)や修復歴の判定基準を公開。
骨格部位リストと、交換・修正で“修復歴あり”とする運用が明確にされています。
USS等のオークション規約でも修復歴の申告義務とクレーム規定が整備されています。
– 自動車公正取引協議会「中古自動車の表示に関する公正競争規約・同施行規則」
– 事業者が消費者に販売する際の表示義務として「修復歴の有無」表示を必須事項と規定。
虚偽・不表示は景品表示法上の不当表示として問題となり得ます。
公正取引委員会・消費者庁の認定を受けた業界規約です。
– 民法(2020年改正後)における契約不適合責任
– 売買契約において、目的物が契約内容(告知内容)に適合しない場合の追完・代金減額・解除・損害賠償等のルール。
個人が買取店に売却する際の「虚偽・不告知」への法的帰結の背景となります(実務上は売買契約書の特約で詳細運用)。
まとめ
– 修復歴あり=骨格部位に損傷・交換・修正がある車。
外板交換のみは通常該当しない。
– 販売事業者には表示義務があり、個人の売却でも契約上の申告義務が実務的に求められる。
虚偽・不告知は解除・減額・損害賠償のリスク。
– 相場への影響は、年式が新しい・走行が少ない・修復箇所が重いほど大きく、一般に無修復比で2〜4割下落が目安。
ただし車種・程度・時期で大きく変動。
– 根拠はJAAI査定基準、AIS・オークション検査基準、自動車公取協の表示規約、民法の契約不適合責任に基づきます。
もし具体的な車種・年式・走行距離・修理内容(どの骨格部位か、交換か修正か)が分かれば、より現実的な相場幅や売却戦略(どの販路が有利か)まで踏み込んでお伝えできます。
修復歴ありの中古車はなぜ相場が下がり、一般的にどれくらい減額されるのか?
以下では、日本の中古車市場を前提に「修復歴あり(骨格部位に損傷があり修理した車)」がなぜ相場で不利になり、一般的にどれくらい減額されるのかを、年式別・走行距離別の見え方も含めて詳しく解説します。
最後に相場が下がる根拠(業界の評価制度や実務)もまとめます。
修復歴の定義と前提
・中古車広告でいう「修復歴あり」は、バンパーやドアの交換といった外板・ボルトオン部品の交換ではなく、骨格部位(フロントサイドメンバー、クロスメンバー、ピラー、ダッシュパネル、フロア、ルーフ、トランクフロア、溶接タイプのラジエータコアサポート等)に損傷があり、修正・交換・切開・溶接といった修理が行われた車を指すのが一般的です。
これは業界の査定ルール(オークション評価基準や査定協会の指針)に準拠しています。
・一方で、フェンダーやドア、バンパー等の交換・板金は「修復歴」には該当しない(=単なる事故歴・交換歴)ことが多く、相場への影響は別扱いです。
なぜ修復歴ありは相場が下がるのか(メカニズム)
・安全性・耐久性への不確実性
骨格部位の修理は、見た目が綺麗でも溶接部の強度、各部寸法の微妙なズレ、サスペンション取付点の精度、将来的な錆やシール不良のリスクなど、不確実性を抱えます。
走行中の直進性や異音、タイヤ片減りなどの懸念から、最終消費者が敬遠しやすく、需要が狭まります。
・再販リスクと販売期間の長期化
小売店は無事故車に比べ販売に時間がかかる(回転率が落ちる)ため、在庫コストや金利負担が増えます。
早期に売るには価格訴求が必要で、仕入れ段階(買取段階)から安く見積もられます。
・保証・下取り・融通性の低下
延長保証の加入制限や保証範囲の縮小、将来の下取りでの評価低下が想定されます。
販売店はこれを織り込んで仕入れ価格を抑えます。
・業者オークションでの格付け低下
国内主要オークション(USS、TAA、JU、AUCNET等)では修復歴車は評価点が下がり、出品票に「R」「RA」などの区分で明示されます。
落札価格が統計的に低く出やすい(同条件の無事故車比で一定割合下落)ため、買取相場も自動的に低くなります。
・金融・保険・輸出ルートの制約
金融の可否自体は多くの場合変わりませんが、輸出先の規制や需要構造により、修復歴車が歓迎されにくい国・地域もあり販路が狭くなります(例外としてハイエース等一部車種は輸出人気に支えられ影響が相対的に小さいこともあります)。
一般的な減額幅(全体感)
以下は同一条件の「無事故・修復歴なし」車に対する目安。
あくまでレンジであり、修理部位や品質、車種人気、時期で前後します。
・オークション評価別の経験則(目安)
- RA(軽微な骨格修正) 無事故比で概ね10~20%下落
- R(骨格修復あり) 無事故比で概ね20~35%下落
- 事故現状(未修理) 無事故比で30~60%下落
・小売り現場での体感レンジ(合算)
- 一般乗用の大半 20~30%下落
- スポーツ/高級/輸入車 30~50%下落(ブランド価値や高速域の安定性重視で忌避感が強い)
- 軽/コンパクト 15~30%下落(絶対額は小さいが比率は似る)
- 人気SUV/ミニバン 20~35%下落(需給が強ければ下限寄り)
- 輸出強い商用・トヨタ系(ハイエース、ランドクルーザープラド等) 10~25%下落に収まる例も
年式別の影響(目安)
年式が新しいほど、「無事故が当たり前」という期待値が高く、減額率が大きく出がちです。
低年式・過走行になるほど、もともとの車両価格が低いことや需要層の許容度により、比率が縮む傾向。
・登録~3年 -25~40%
・4~7年 -20~35%
・8~10年 -15~25%
・11~15年 -10~20%
・16年以上 数万円~-10%程度(車種・程度次第)
同じ年式でも新車価格が高いモデルやブランド価値の強いモデルほど差が大きく出やすい点に注意。
走行距離別の影響(目安)
走行が少ないほど無事故前提の期待が強く、修復歴のマイナスが際立ちます。
過走行帯では相対的に影響が緩和されます。
・~3万km -25~40%
・3~7万km -20~35%
・7~10万km -15~25%
・10~15万km -10~20%
・15万km~ 数万円~-10%
例外として、海外需要が強いモデル×高走行では、走行より耐久・部品価値で評価され、修復歴の影響が相対的に小さい場合があります。
車種・セグメント別の傾向
・スポーツ・ハイパフォーマンス(WRX、フェアレディZ、AMG、M、RS系など)
高速域の直進性やボディ剛性、トラッキングのわずかな違和感が重視されるため、-30~50%と大きくなりがち。
サーキット走行痕跡やロールケージ跡があるとさらに敬遠されます。
・高級・輸入(メルセデス、BMW、アウディ、ポルシェ等)
購買層が状態に厳格で、保証や下取り時の影響も大きく、-30~50%。
修理品質の証明やメーカー系工場履歴があれば多少緩和。
・ミニバン/SUV(アルファード、ヴォクシー、プラド、CX-5等)
人気の強いモデルでは-20~35%に収まることが多い。
プラド/ハイエースは輸出筋で-10~25%のケースも。
・軽/コンパクト(N-BOX、タント、ヤリス、フィット等)
-15~30%のレンジ。
絶対額は大きくないが、修復箇所がピラーやフロアだと嫌気されやすい。
・商用(ハイエース、キャラバン等)
用途重視・部品供給の豊富さから、走行多めでも相対的に影響は小さめ。
ただしフロアやラダーフレームの修正は評価を大きく下げます。
修理内容・箇所・品質による差
・影響が大きい骨格部位
ピラー(A/B/C)、フロア、ダッシュパネル、ルーフ、リア周りのインナーパネル、ラジエータコアサポート(溶接タイプ)。
特に複数箇所や切開交換はマイナス増。
・影響が中程度の部位
フロント/リアのサイドメンバー先端部、クロスメンバー等。
修理品質・寸法管理次第。
・軽微と見なされやすいケース
ごく僅かな修正、もしくは骨格外の交換。
オークション評価でRAにとどまる内容は減額が相対的に小さい。
・修理品質の裏付け
修理明細、修理前後の写真、フレーム寸法計測結果、四輪アライメント測定結果が揃っていると、リスク認識が下がり減額幅が縮むことがあります。
季節・需給・相場環境の影響
・繁忙期(1~3月)は全体相場が強く、修復歴による減額率がやや緩む傾向。
・新型車発表やマイチェン直後は旧型の相場が軟化し、修復歴車にしわ寄せが出やすい。
・為替や海外情勢で輸出向け相場が変動すると、影響度が車種ごとに変わります。
金額イメージの具体例(目安計算)
・例1 5年落ちプリウス 走行5万km 無事故相場150万円
- RA相当(-15%) 約127万円
R相当(-25%) 約112万円
骨格2箇所・重め(-35%) 約98万円
・例2 12年落ちフィット 走行10万km 無事故相場25万円
- 軽微修復(-15%) 約21万円
- 実務では在庫コストを見込み18~20万円提示もあり得る
・例3 ハイエース 8年落ち 走行12万km 無事故相場220万円
- 修復歴あり(-10~20%) 約176~198万円(輸出筋の強さ次第で振れ幅あり)
売却時に減額を最小化するコツ
・情報開示を武器にする
修理明細・見積、修理前後の写真、アライメント測定結果、塗膜計測結果などを提示できると、買取店がリスクを読みやすく、減額が緩むことがあります。
・複数チャネルで相見積り
一般小売系、輸出バイヤー系、スポーツ・輸入専門店、同型車の強い店舗など、販路が異なる会社から見積を取ると、修復歴の評価差が顕在化します。
・需要期を狙う
決算期・繁忙期や、その車種の需要が高まる季節に合わせると、相対的に有利。
・再査定の材料を整える
四輪アライメント調整済み、最新点検記録、消耗品交換履歴等があると安心材料になります。
根拠(業界ルール・実務データの背景)
・定義の根拠
日本の中古車流通では、査定協会・業者オークションの基準により「骨格部位の損傷修理」を修復歴と定義し、広告表示も公正取引規約に準拠して行われます。
このため、どの流通チャネルでも「修復歴あり」は明確に区別され、同じ土俵で価格比較されます。
・価格下落の根拠
国内主要オークション(USS、TAA、JU、AUCNET等)の出品票には、修復歴の有無や評価区分(R/RA)が明記され、成約データとして落札価格が蓄積・可視化されます。
買取店は、類似条件(年式・走行・グレード・装備)の無事故車とR/RA車の過去落札価格差を参照して仕入れ(買取)価格を設定します。
経験則として、RAは-10~20%、Rは-20~35%下落というレンジが多くの相場データで再現されます。
複数骨格修理や切開交換・修理品質不明・事故現状はさらに下振れします。
・需要側の根拠
小売現場では、同程度・同価格なら無事故車を選ぶ顧客が多数であり、修復歴車を売るには価格差をつける必要があるという実務が長年あります。
また、延長保証や下取り査定での不利が周知されており、その将来不利を小売価格・仕入価格に織り込みます。
・回転率・在庫コストの根拠
修復歴車は販売日数(在庫日数)が長くなる傾向があるため、販売店は金利・保管・整備再手当(アライメントや足回り再点検など)のリスクを原価に上乗せします。
これが仕入れ値引き要因として機能します。
まとめ
・修復歴ありは、骨格部位の損傷修理という定義に基づいて市場で明確に区分され、需要の縮小・安全耐久性の不確実性・保証や再販時の不利・オークション評価の低下といった要因により、同条件の無事故車よりも下落します。
・一般的な減額幅は、軽微なRAで-10~20%、Rで-20~35%、重度や未修理で-30~60%が目安。
年式が新しい・走行が少ない・高級/スポーツ/輸入車ほど比率は大きくなり、低年式・過走行・輸出筋が強い車種では相対的に緩みます。
・修理箇所や品質の情報を整え、販路に合った買取店へ複数査定をとることで、減額幅を縮められる可能性があります。
必要であれば、具体的な車種・年式・走行距離・装備を教えていただければ、想定される「無事故相場」と「修復歴あり相場」のレンジをもう少し具体的に試算します。
年式別に見ると、何年落ちから買取相場の下落が大きくなるのか?
結論から言うと、「修復歴あり」の中古車は、年式による相場の落ち込みが大きくなりやすい“段差”がいくつかあります。
とくに大きくなるのはおおむね以下の節目です。
– 3年落ち(初回車検前後)
– 5年落ち(メーカー保障・延長保証の節目)
– 7年落ち(維持費の上振れ・消耗品フル更新の節目)
– 10年落ち(買い手層の激減・金融/保証制約)
– 13年落ち(自動車税の重課開始=保有コスト増)
以下、各節目でなぜ「修復歴あり」の下落が大きくなるのか、実務上の観測と制度面の根拠を交えて詳しく説明します。
1) 前提 修復歴ありの基礎ディスカウント
– 定義と市場の見方
修復歴ありとは、骨格(フレーム・ピラー・ダッシュパネル等)を損傷・交換・修正した履歴がある車で、査定やオートオークション(USSなど)では「R(修復歴)」「RA」等の評価となります。
外装板金やボルトオン部品交換だけの「軽微なキズ・事故歴」とは扱いが異なり、構造部分のダメージ修理は安全性・直進性・錆進行・将来の不具合リスクといった懸念が残るため、プロ買い手の需要が絞られます。
– ベースとなる価格差
同年式・同走行・同グレードで比較した場合、「修復歴なし」対比の価格は概ね2~4割安が多く、輸入車・高級車・スポーツ/高出力車では4~6割安まで広がるケースもあります。
軽・大衆車でも最低2割程度の差はほぼ固定的に意識されます。
つまり、同条件なら常に安くなりやすいのが「修復歴あり」の出発点です。
2) 年式別の“下落が大きくなる”節目と理由
– 0~2年落ち 初期はそもそも買い手が付きにくい
新しければ新しいほど、「少し高いお金を出してでも修復歴なしを買う」というユーザーが圧倒的多数です。
ディーラー系認定中古車は修復歴を基本的に扱わないため販路も限られ、在庫回転を優先する業者はさらに値付けを下げがち。
結果として、割安感で売るしかなく、年式の若さが価格を支えにくい状態になりやすいのが0~2年落ちです。
根拠 認定中古車の受け入れ基準(修復歴車は対象外)、オートローンや延長保証の適用条件(修復歴で不可・制限がかかる)が多いこと。
3年落ち 初回車検の壁(下落が一段大きくなる)
新車登録から3年で初回車検。
日本では3年・5年・7年と車検の節目ごとに乗り換えが発生しやすく、3年目にはリース/法人・個人の大量放出で「修復歴なし」の玉が多く市場に出ます。
比較対象が豊富かつ良質化するため、修復歴ありは相対的魅力が薄くなり、相場が一段落ちやすいです。
車検切れが近い在庫は仕入れ側にとって整備・タイヤ・ブレーキ等のコスト見込みが増えるため、査定でマイナスが積み増されます。
根拠 車検のサイクルによる放出増(オークション出品台数の季節性)、車検残月数による査定調整、保証3年満了(一部の一般保証は3年)による安心材料の喪失。
5年落ち メーカー保証(5年・10万km)の切れ目
多くのメーカーで「一般保証3年+特別保証5年/10万km」が目安。
5年を超えると、重大部位の無償修理カバーが切れ、修復歴車に対する不安(骨格修理による追従トラブルや錆、アライメントの持ちなど)が評価に強く反映されます。
実務では5年落ちを境に、修復歴車の買取は同年式の無事故車よりも下げ幅が大きくなる傾向。
販売側も保証を付けにくくなるため、利幅を確保するには仕入れをより安くする必要が生じます。
根拠 メーカー保証条項(特に5年・10万kmの区切り)、販売保証の商品設計(年式制限・修復歴除外)。
7年落ち 維持費の山と需要の細り(もう一段)
7年あたりで、タイヤ・バッテリー・ショック・ブッシュ類・補機ベルト・冷却系などの大物消耗が重なりやすく、車検整備も厚くなりがち。
修復歴がある車は足回りやボディ剛性に対する懸念から、消耗が“見えないリスク”として嫌われ、代替需要(乗り換え)が増える一方で購入需要は縮小。
結果、7年を機に下落がまた一段深くなる場面が多いです。
根拠 整備実務の経験則(7年/7~8万km前後での更新項目増)、オークション落札コメントでの「要整備」車の増加傾向。
10年落ち 「二桁年式」と買い手層の急減
国内市場では「10年・10万km」を境目として商品性が大きく評価割れします。
金融審査や保証加入の制限、販売現場の在庫回転の悪化、輸出の受け皿も「修復歴あり」は敬遠という三重苦になりがち。
輸出相場が強いSUV/バン系でさえ、骨格修復は輸出先で事故歴として扱われることが多く、成約率が落ちます。
結果として10年を超えるタイミングで、修復歴なし以上に価格はガクッと落ちやすくなります。
根拠 小売金融・保証商品の年式制限、輸出商談での修復歴除外条件。
13年落ち 税負担アップで保有コストが跳ねる
初度登録から13年超(ディーゼルは11年超)で自動車税(種別割)の重課が始まり、軽自動車税でも同様に重課が導入されています。
保有コスト上昇は買い替えを促し、中古の買い手を減らす方向に働くため、さらに需要が細ります。
修復歴ありはもともと買い手が限られているため、重課ゾーン突入は価格下落への圧力がより強くなります。
根拠 自動車税の環境性能割・グリーン化特例等に基づく重課(13年超で加重、ディーゼルは11年超で加重という制度上の節目)。
15年超 スクラップ・部品価値に接近
ごく一部の趣味車・希少車を除き、相場は徐々に解体・部品取り・金属相場の下支えに収れん。
修復歴ありではコレクタブル需要も限定的で、車両本体の付加価値で値を支えるのが難しくなります。
3) 年式以外の“相場段差”を増幅させる要因
– 走行距離の閾値
3万km、5万km、7万km、10万kmは検索フィルターや購入心理で効く区切り。
たとえば7年落ち・9万kmと7年落ち・11万kmでは、同じ年式でも売れ行きが大きく変わり、修復歴ありではとくに10万km超が強いディスカウント要因になります。
– 車検残
車検残が短いほど、整備見込みと名義変更・納車整備のコストを見た仕入値引きが入ります。
修復歴ありは整備の“予備費”を厚めに見積もられやすい。
– セグメント差
軽・大衆ハッチは需要が厚く下落が緩やか。
ミニバン/SUVは相場が強い時期もありますが、修復歴ありは家族用途・安全性の観点で嫌われやすい。
輸入車・高額車は骨格修理の減価が大きく、段差の影響が増幅されます。
4) 実務的な「売り時」の目安
– 3年・5年・7年・10年の節目前に動くことで、次の段差を避けやすい
– 10万km到達前、車検残6カ月以上を確保できるタイミングを狙う
– 相場が強い季節(1~3月は動きが良い)やモデル末期の値崩れ前に売る
– 事前整備は“安全・走行に直結する最低限”に留め、重整備は見送り(費用回収が難しいため)
5) 数値イメージ(あくまで一般論のレンジ)
– 同条件の無事故車に対する修復歴ありの価格水準は、0~5年落ちで20~40%安、5~10年落ちで25~50%安、10年超では30~60%安に拡大しやすい。
– 年式別の「段差」は、3年/5年/7年/10年/13年の各タイミングで、同じ年式帯の無事故車よりも下げ幅が数ポイント大きく出ることが多い(保証・販路・金融・税制・整備見込みの複合要因のため)。
注 車種人気・相場局面(新車の供給制約や円相場による輸出活況)で上下します。
6) 根拠のまとめ
– 制度・ルール面
1) 車検サイクル(3年→以後2年ごと)に伴う市場放出と整備負担
2) メーカー保証の節目(3年・5年・10万km)
3) 認定中古車・延長保証・小売金融の適用条件(修復歴・年式制限)
4) 税制の重課(13年超〈ディーゼル11年超〉で自動車税が上がる)
– 市場実務面
1) オートオークションでの評価(R/RA評価は落札単価・成約率が低くなりやすい)
2) 在庫回転重視の小売現場で、修復歴ありは販売日数が延びがち=仕入値は低く出やすい
3) 輸出マーケットでの修復歴除外条件が多く、10年超の受け皿が狭い
7) まとめ 何年落ちから下落が大きくなるか
– 最初の明確な段差は「3年落ち」
– 次に「5年落ち」で保証切れの影響が顕在化
– 「7年落ち」で整備・消耗の山が来て、修復歴ありはさらに敬遠
– 「10年落ち」で買い手・金融・保証・輸出の面で一段と厳しくなる
– 「13年落ち」で税負担増が需要縮小を後押し
上記はあくまで全体傾向ですが、個別車種の人気、グレード・駆動方式、事故修復の内容(軽微なリアフロア修正と、フロントインサイド交換では評価が全く異なる)、修復の質(専門工場の高度な治具修正・計測記録の有無)によってブレます。
最も確実なのは、該当車の詳細(年式・走行・修復箇所・修理明細・車検残・装備)を揃え、複数の買取事業者と専門店(その車種に強い販路を持つ店)に同時査定を取り、さらに業者オークション代行の見積もりも併せて比較することです。
これにより、その時点の市場需給を反映した“本当の売れる値段”に近づけます。
走行距離別では、何万kmごとに相場はどの程度変動するのか?
前提の整理
・ここでいう「修復歴あり」は、骨格(ラジエータサポート、フレーム、ピラー、クロスメンバー、インサイドパネル等)に修理・交換歴がある個体を指す一般的な定義です。
外板のみの板金・交換は通常「修復歴なし」扱いです。
・修復歴ありの相場は、同年式・同条件の無事故車に対してベースでマイナス(おおむね10〜40%のレンジ、部位や修理品質で変動)を負った上で、走行距離・年式・装備・色・需要期などでさらに上下します。
・走行距離の影響は「連続的な減価」と「節目(大台)に到達した時の段差的な減価」の二つで構成されます。
以下は業者オークション相場の通説、買取現場の査定ロジック(距離帯ごとに減点が積み上がる方式)に基づく経験則です。
個体差・車種差が大きいため、あくまで目安の範囲としてご覧ください。
走行距離別の変動目安(修復歴ありの場合)
同一条件(年式・グレード・装備・色・地域)で、1万km増えるごとの価格変化率の目安です。
年式が新しいほど距離感応度は高く、年式が古いほど鈍くなります。
0〜5万km帯
・連続的な変化(1万kmごと) -1〜-2%
・節目の段差 5万km到達時に追加で-2〜-4%
ポイント 新しめ・低走行の需要が強いため、修復歴ありでも「低走行プレミアム」は一部残りますが、無事故車ほどは効きません。
5〜7万km帯
・連続的な変化(1万kmごと) -2〜-3%
・節目の段差 7万km到達時に追加で-2〜-3%
ポイント 消耗品交換(足回り、ブレーキ、冷却系、ベルト類等)の予防整備コストを見込む買い手が増え、下げ幅が少し大きくなります。
7〜10万km帯
・連続的な変化(1万kmごと) -3〜-4%
・節目の段差 10万km到達時に追加で-5〜-10%
ポイント 国内小売で「10万km超」を嫌う層が根強く、保証やローンの条件が厳しくなる店舗も多いため段差が大きく出ます。
修復歴あり×10万km超の組み合わせは敬遠されやすく、下げ圧は強め。
10〜15万km帯
・連続的な変化(1万kmごと) -4〜-5%
・節目の段差 15万km到達時に追加で-3〜-5%
ポイント 相場水準が下がってくるため絶対額では下げ幅が小さく見える一方、比率ではまだ下げが続きます。
輸出向け・業販向け比率が増え、国内小売前提のバイヤーは控えめ。
15〜20万km帯
・連続的な変化(1万kmごと) -2〜-3%
・節目の段差 20万km到達時に追加で-5%前後(車種により無視されることも)
ポイント 相場の“底”が見え始め、距離による追加下落は鈍化。
ただし20万kmは心理的な大台として意識されます。
20万km超
・連続的な変化(1万kmごと) -1〜-2%(車種・輸出需要により変動、フロアに張り付くケースも)
ポイント 国内の小売対象から外れ、海外需要や部品取り評価に寄ると距離差はさらに鈍くなります。
しきい値(大台)が効く理由
・検索と比較のしやすさ オークションや小売サイトで「〜5万km」「〜10万km」など距離帯で絞り込まれるため、帯を跨ぐと比較対象が変わり一段安になりやすい。
・保証・ローン条件 延長保証や販売店保証の付帯条件に距離上限を設けるケースがあり、上限超え個体は小売難度が上がる。
・整備費の織り込み 7〜10万kmで高額メンテの可能性が増し、買い手はその期待コストを仕入れ値に反映する。
・心理的な閾値 10万kmのキリ番は消費者心理に強く作用します。
修復歴ありではリスク感度が高い買い手が多く、影響が増幅されがち。
車種・用途別の感応度の違い
・軽自動車/コンパクト 距離への感応度が相対的に高い。
10万kmの段差が大きめ。
修復歴ありでは-1万kmごとの下落レンジが上記目安の上限寄りになりやすい。
・ミニバン/SUV 人気モデルは需要が厚く、距離ペナルティがやや緩むことがあるが、10万kmの段差は依然大きい。
・輸入車 走行距離によるメンテコスト懸念が強く、7万km以降の下げが大きくなりがち(1万kmごとに+1%程度余分に下がるイメージ)。
修復歴ありの敬遠度も強い。
・商用バン/トラック 用途特性上、距離に寛容で、連続的な下げは上記目安の下限寄り。
代わりに年式と整備履歴、架装状態が強く見られる。
・ハイブリッド/EV 10万km超の電池・ハイブリッド系統の劣化懸念が評価に織り込まれる。
保証条件や実測のSOH(健全度)情報があると緩和される。
年式との相互作用
・新しい年式ほど「同年式内での距離差」が価格に効きます。
例えば登録後3年以内なら、0〜5万km帯の1万kmあたり-1.5〜-2%のペースで効きやすい。
・古い年式になると、機関良好・修理品質・外装内装の状態差が相対的に重要になり、距離の弾力性は低下します。
修復歴の内容によるベース差
・同距離でも、修理部位・方法・歪み残りの有無で、無事故車比のベースディスカウントが大きく変わります。
- 軽微(コアサポート交換、バックパネル修正等) 無事故比-10〜-20%
– 中程度(フロントインサイド、ラジエータサポート+周辺修正) -20〜-30%
– 重度(フレーム、ピラー、フロア、サイドメンバー等複数骨格+歪み) -30〜-40%超
・修理見積書・写真・ジグ修正記録が提示でき、試走で直進性・異音問題がなければ、買い手のリスクプレミアムがやや和らぎます。
具体的な計算例(イメージ)
・前提 ある年式・人気度の平均的な車種。
修復歴あり・5万kmの業販相場を100万円とする。
- 7万kmまで増加 1万kmあたり-2〜-3% ×2万km=-4〜-6%、7万km到達段差-2〜-3% → 91〜94万円
– 10万kmまで増加 さらに1万kmあたり-3〜-4% ×3万km=-9〜-12%、10万km段差-5〜-10% → 69〜80万円
– 15万kmまで増加 1万kmあたり-4〜-5% ×5万km=-20〜-25%、15万km段差-3〜-5% → 49〜57万円
このレンジ感は車種・季節・相場局面で上下しますが、10万kmでの段差が大きい点は多くの車種で共通です。
根拠・背景(なぜそうなるのか)
・査定ロジックの構造 大手買取店や検査機関(AISやJAAA等)の評価は、年式・距離帯ごとに減点(配点)が設定され、減点が増すほど仕入上限が下がる仕組み。
修復歴は独立の大減点で、距離減点と合算で価格に反映されます。
・業者オークションの落札傾向 出品票の距離帯検索とバイヤーの小売想定(保証条件・広告の見栄え)により、5万・7万・10万kmなどのキリ番で入札が間引かれ、落札レンジが下方にスライドします。
・整備・耐久コストの期待値 7〜10万kmはタイヤ・ブレーキ・ダンパー・ブッシュ・冷却系・駆動系消耗が重なる帯。
修復歴ありでは「経年+事故由来リスク」の複合で期待コストが上振れしやすく、仕入価格が抑えられます。
・販売面の制約 10万km超・修復歴ありは店頭保証やローン付帯で不利になりやすく、回転率(在庫日数)リスクも上がるため、仕入れ時点で値引きが要求されます。
実務的な売り方のヒント
・大台に乗る前に動く 49,xxx/69,xxx/99,xxxkmのうちに売ると段差を避けやすい。
・情報開示を厚くする 修理見積書・写真・整備記録簿・直進性や異音のチェック結果など、品質の不確実性を下げる資料は価格下支えになります。
・需要の厚い販路へ 個体や車種によっては輸出需要が強く、10万km超でも評価が安定するケースあり。
複数査定(業者オークション系、輸出系、リテール系)で比較しましょう。
・軽微な不具合は直してから 警告灯、オイル滲み、小さな補機類の不調などは高コスパで印象を改善します。
逆に外装の過度な塗装直しは修復疑義を招くこともあるため要相談。
注意点
・上記のパーセンテージは「平均的な相場局面」の感覚値です。
為替、燃料価格、モデル末期/フルチェンジ、特定車種のブーム、災害・輸出規制等でズレます。
・同じ修復歴でも部位・方法・歪み残り・塗装肌・下回り腐食の有無で評価が大きく変わります。
まずは現物評価が最優先です。
まとめ
・修復歴ありの中古車は、無事故比のベースディスカウントに加え、1万kmごとに概ね-1〜-5%(距離帯により幅あり)で下がり、5万・7万・10万・15万kmなどの節目で追加の段差的な下落(-2〜-10%程度)が入りやすい。
・特に10万km到達時の下落が大きく、売却タイミングではこの大台を意識するのが重要です。
・車種・用途・修理品質・販路で感応度は大きく変わるため、複数チャネルで見積もりを取り、個体に合った市場での評価を確かめるのが確実です。
年式×走行距離×修復部位の組み合わせで、相場の目安はどう見極めればよいのか?
ポイントを先にまとめます
– 基本は「無修復・同等条件」の卸相場(オートオークションの成約価格)を起点に、年式・走行距離・修復部位と修理品質・コンディションで減額(または増減)していく。
– 減額は相対(%)と絶対(円)の両方で考える。
高額帯は%、低額帯は円の下限(フロア)で効く。
– 修復部位は骨格(サイドメンバー・ピラー・ルーフ・フロア・ダッシュ)>準骨格(アッパー/ロアアプリン・コアサポート・クロスメンバー)>外板(クォーター切継・リアパネル)>ボルトオン(ドア・ボンネット等)の順に影響が大きい。
– 走行距離は年式相応(目安1万km/年)からの乖離幅で調整。
新しめの車ほど距離の増減率が効く。
– 最終価格は、オークション落札見込み−各種費用(出品・陸送・整備・在庫リスク)=買取上限、という逆算。
前提と用語
– 買取相場の源泉は国内オートオークション(USS/TAA/ARAI/JU等)。
店頭小売価格ではなく、業者間の卸成約が基準。
– 修復歴の定義はJAAI/AIS等の基準に準拠。
骨格部位(インナー)に損傷・修理が及んだものを「修復歴あり」とする。
ボルトオン部品交換のみは原則「無修復」。
– 評価点(R/RA/3点台など)や「指摘部位」が相場形成に直結。
年式×走行距離×修復部位の見極め方(手順)
1. 無修復・同等条件の基準価格Pcleanを取る
– 同年式・同グレード・同装備・近似走行の無修復車のオークション平均(または分布の中央値)を探す。
– 店頭小売から逆算するなら「掲載価格×0.75〜0.85 ≒ 卸相場のレンジ」と置く(整備・販売経費やマージンを控除)。
2. 年式補正(必要時)
– 同年式のPcleanが取れれば不要。
年式違いでしか取れない場合は残価曲線で補正。
– 一般的な国産普通車の残価感覚(新車対比)目安
1年 70〜80%、3年 50〜60%、5年 35〜45%、7年 25〜35%、10年 10〜20%
軽は初期減価がやや速く、人気SUV/商用・一部スポーツは高止まり傾向。
3. 走行距離補正
– 年式相応値=約1万km/年を基準に、1万kmの超過ごとに−1〜3%(車格・パワートレインで変動)。
逆に少なければ+1〜3%。
– 新しめ(〜5年落ち)は距離感度が高く、古い(10年超)は感度が鈍る(絶対額の下限が効きやすい)。
– HV/PHVはバッテリーの劣化懸念で距離ペナルティがやや強め。
EVは航続/SoH次第で影響大。
4. 修復部位・修理品質補正
– 骨格部位(重度) サイドメンバー、ピラー(A/B/C)、ルーフ、フロア、ダッシュパネル
影響度 −25〜−50%
– 準骨格(中度) アッパー/ロアアプリン、ラジエーターコアサポート、フロント/リアクロスメンバー
影響度 −10〜−30%
– 外板の切継・バックパネル(軽〜中度) クォーターパネル切継、リアパネル修正
影響度 −10〜−20%
– ボルトオン交換のみ(原則無修復扱い) −0〜−5%
– 品質係数 フレーム修正機記録・計測値良好、溶接/シーラー仕上げ良、直進性/アライメント良=影響の下限側。
逆に歪み・溶接粗・水密不良・警告灯歴=上限側。
– エアバッグ作動歴は心理減額。
−3〜−8%を上乗せする商慣習も。
5. コンディション・等級補正
– 評価点R/RA/3点台、内外装C/D、下回りサビ・オイル滲み、タイヤ摩耗、ブレーキ/足回り等の整備要見込みで−2〜−10%。
– 人気色/装備(サンルーフ、先進安全、本革/電動、純正ナビ大画面、先進ライト)で+1〜+5%。
6. リスク・コスト控除
– 業者手数料、輸送費、軽補修費、金利在庫リスク、万一の再修理・クレームリスク。
合算で概ね−3〜−10%を見込む。
– 安価帯(卸50万円未満)は%よりも−3〜−15万円の絶対額フロアで考える。
計算式の考え方(目安)
– 乗算型(高額帯向け) Pest ≒ Pclean × f距離 × f修復 × f状態 × f人気 − コスト
例 f距離=0.96(1万km過走)、f修復=0.75(準骨格中度)、f状態=0.98、f人気=1.02
– 加算型(低額帯向け) Pest ≒ Pclean − 距離控除(円) − 修復控除(円) − 整備見込み(円) − コスト
例 修復控除は部位に応じて−5〜−30万円のレンジで設定
部位別の相場感(根拠と背景)
– サイドメンバー/ピラー/ルーフ/フロア 骨格安全性・二次事故リスク・直進性の不安。
買手層が大きく縮小し、金融/保証の制約も。
オークションでも同等無修復比で−30%前後の指値が多い。
重複部位なら−40〜−50%級。
– アプリン/コアサポート 前廻りの構造部。
外観良でもラジエーター支持部の打替は評価が下がる。
−10〜−25%が分布の中心。
– クォーターパネル切継/リアパネル 外板だが切継は修復歴該当。
水密・錆・板金精度の懸念。
−10〜−20%。
– ボルトオン交換 修復歴ではないため、基本減額なし。
ただし色違い/チリ/塗装肌で−1〜−5%。
年式×距離×部位の相互作用
– 新しく高額な車ほど「%減」が大きく響く(同じ−25%でも絶対額が大きい)。
逆に10年超・卸50万円級では、重度修復でも−10〜−25万円の絶対額で落ち着くことが多い。
– 距離過多と重度修復が重なると買手層がさらに狭まり、相場のばらつきが拡大。
乗算で効かせたうえに、在庫リスク控除を厚めに見るのが実務。
– 人気車種/輸出需要が強い領域では修復の減額が相対的に緩む場合がある(商用バン、旧めのSUV/四駆、スポーツで海外需要が太い場合など)。
具体例(すべて概算)
例1 5年落ち・5万km・ラジエーターコアサポート打替(準骨格)
– 同条件無修復Pclean=150万円
– 距離は年式相応で補正なし、f修復=0.80、状態軽微−2%、コスト−5%
– Pest ≒ 150 × 0.80 × 0.98 − 5% ≒ 117.6 − 5%(約5.9)→ 約112万円
– 買取上限はさらに数万円の安全マージンを引き、約105〜110万円レンジ
例2 8年落ち・8万km・左Bピラー交換+サイドシル修正(骨格)
– 同条件無修復Pclean=100万円
– 距離相応、f修復=0.65(骨格重度寄り)、状態−3%、コスト−6%
– Pest ≒ 100 × 0.65 × 0.97 − 6% ≒ 63.05 − 6 → 約57万円
– 品質良好の資料ありなら0.70まで引上げ可→約62万円
例3 3年落ち・2万km・右クォーターパネル切継(外板)
– 無修復Pclean=220万円
– 低走行+2%(f距離=1.02)、f修復=0.88、状態良、コスト−4%
– Pest ≒ 220 × 1.02 × 0.88 − 4% ≒ 197.4 − 7.9 → 約189万円
– 人気色/OP豊富なら+数万円の上振れ余地
実務でのチェックポイント(修復部位の裏取り)
– 評価表の「指摘部位」 サイドメンバー/ピラー/インサイドパネル/アプリン/コアサポート/クロスメンバー/フロア/ダッシュ/ルーフなどを確認。
– 修理記録 フレーム修正機の計測データ、板金請求書、交換部位写真。
品質の根拠は価格を数%押し上げる効果。
– 実車症状 タイヤの片減り、ハンドルセンターずれ、試乗での直進性/振動、各部クリアランス、塗膜計での再塗装厚。
相場の下限・上限について
– どれだけ減額しても「解体・輸出スクラップ価値」の下限がある。
普通車で5〜20万円、軽で2〜10万円程度(相場変動あり)。
– 一方、整備済保証付で小売に強い販社は修復歴車でも高めに取るケースがあるが、転売先と在庫回転の自信が根拠。
個人が一般化するのは危険。
根拠と背景
– 減額レンジは国内大手オークションマーケットの長期観察と業界査定基準(JAAI/AIS/自動車公正競争規約の表示基準)に基づく商慣行。
– 骨格損傷=安全性・将来故障・再販時の苦戦リスク→買手母集団縮小→需給で価格低下、という経済合理性。
– 距離・年式の感応度は残価曲線(統計的に距離は新しいほど価値説明力が高い)に一致。
補足のコツ
– 同一条件の無修復事例が乏しい時は、近い車種/グレードの係数で補正し、複数事例の中央値で判断する。
– %の単純加算は避け、基本は乗算。
極端に安価帯は絶対額で上書き。
– 交渉時は「無修復の相場証拠(事例)−部位別減額根拠−整備/在庫コスト」の3点セットでロジックを提示。
まとめ
– 年式×走行距離×修復部位の相場は、①無修復の卸相場を起点に、②距離は年式相応からの乖離、③修復は部位と品質で係数、④状態とコストを控除、という順で見極める。
– 骨格>準骨格>外板>ボルトオンの順に減額が大きく、新しめ・高額車ほど%減の影響が強い。
古い・安価帯は絶対額フロアで考える。
– 根拠はオートオークションの価格形成と査定基準、買手層縮小リスク(安全・保証・金融)の実務背景にある。
この手順と係数レンジを使えば、年式×走行距離×修復部位の組み合わせごとに、ブレ幅を把握しつつ再現性のある買取目安を作れます。
実査定では、実車の修理品質の裏取りと、足元のオークション事例の確認が最後の詰めになります。
【要約】
「修復歴あり」は骨格(主要構造部位)の損傷・修理・交換がある車を指し、外板の交換のみは原則含まず。事故に限らず災害・腐食も対象。販売店は表示義務があり、個人売買でも告知が望ましく、不告知は解除・減額の対象。相場は無修復車より概ね2〜4割下落し、新しい年式ほど影響が大きい。事故歴は経緯の概念で骨格損傷の有無を判定する修復歴とは別。JAAIやAIS基準で査定減点。骨格の例はピラーやサイドメンバー等。