ローン残債がある車は本当に売却できるのか?
結論から言うと、ローン残債がある車でも原則として売却は可能です。
実務的には「所有権が誰にあるか」「残債と買取額の関係」「ローン契約の種類」によって手順が異なり、必要な同意や清算を踏めば問題なく売れます。
以下、売却できる理由(根拠)と、具体的な手順・注意点を詳しく解説します。
なぜ「残債あり」でも売却できるのか(法的・制度的な根拠)
– 民法の原則と契約実務
– 民法は契約自由の原則を認めており、売却自体は当事者の合意で可能です。
ただし、ローン契約に伴い「所有権留保(担保的な所有権)」や譲渡制限等の特約がある場合、それらの契約関係を清算・解除してからでないと第三者対抗力を備えた移転登録ができません。
– 判例・実務上、所有権留保は担保としての性格を持つと理解されており、代金完済により留保所有権は消滅し、所有権解除(名義変更)が可能になります。
– 道路運送車両法と登録実務
– 自動車の所有者の移転には運輸支局での「移転登録」が必要です。
登録手続では、車検証の所有者欄に記載されている者(信販会社など)が所有者の場合、その者の委任状・印鑑証明・譲渡証明書等の「所有権解除書類」がなければ移転登録できません。
逆に言うと、残債を清算して所有者の同意(解除書類)があれば、残債があった車でも名義を移せる、つまり売却が成立します。
– 割賦販売法の枠組み
– ディーラーローンや信販ローンなどの個品割賦販売では、所有権留保や譲渡担保が一般的に用いられます。
法律と監督実務は、適切な清算・手続を前提に所有権解除が可能であることを予定しています。
– 銀行系マイカーローンの性質
– 銀行や信用金庫のマイカーローンは多くが「無担保(保証会社保証)」で、車両自体に担保権が付いていないことが一般的です。
この場合、車検証の所有者は最初から購入者本人になっており、売却は契約違反にならない限り物理的にも法的にも可能です(ローンは車と別に返済義務が残るため、売却代金で繰上返済するのが通常)。
– 例外・違法の可能性
– 所有権留保がある車を所有者の同意なしに売却すると、第三者対抗力の欠如だけでなく、場合によっては横領等の刑事問題に発展するリスクがあります。
したがって、所有権者(多くは信販会社)の承諾と解除書類の取得が不可欠です。
まず確認すべきこと(最重要ポイント)
– 車検証の「所有者」欄と「使用者」欄
– 所有者があなた本人 銀行系ローンの可能性が高く、名義は自分。
売却は容易。
– 所有者が販売店・ディーラー・信販会社 所有権留保。
解除書類がないと名義変更不可。
– 残債額と清算方法
– ローン会社に残債(早期完済金額)を確認。
日割利息・事務手数料・清算期限(見積有効期限)をチェック。
– 付帯条件
– 残価設定型(残クレ)やリース契約の場合は、途中解約金・中途清算金や売却禁止等の条件があるため、契約書の条項と事前承諾の要否を必ず確認。
ケース別の売却可否と基本シナリオ
– ケースA 所有者が自分(銀行系ローン等)
– 売却は可能。
買取代金をそのままローン返済に充当するのが一般的。
売却時にローン残債が残っていても、名義移転自体はあなたの意思で可能。
もっとも、ローンの契約上、返済義務は存続するため、売却代金で繰上完済することを推奨。
– ケースB 所有者が信販会社等(所有権留保)
– 売却は「可能だが条件付き」。
残債を完済し、信販会社が所有権解除書類を発行→これを用いて名義変更して売却。
買取店が残債精算を「立替・代行」するスキームが広く普及しており、実務上はスムーズに進む。
– ケースC 残債が買取額を上回る(オーバーローン)
– 売却は可能だが、不足分を自己資金・別ローン(無担保ローン等)で補う必要。
買取店が残債に直接振込し、差額(不足分)をあなたが追加入金するか、乗換時に新車ローンへ組み替える(ただし総支払額は増える)。
– ケースD リース契約(所有権はリース会社)
– 原則として勝手に売却不可。
中途解約金や買取オプションの有無を契約で確認。
リース会社の同意を得た買取・名義変更手続が必要。
– ケースE 差押え・係争中・盗難登録・自動車抵当権・動産譲渡登記等が付着
– これらがある場合は売却が制限・不可となる場合があるため、買取店・運輸支局・専門家に要相談。
一般的な個人のマイカーローンでは稀。
具体的な売却手順(所有権留保の有無で分けて解説)
共通準備
– 車検証、自賠責、リサイクル券、リコール未対策の確認、スペアキー、整備記録簿の有無。
– 残債の確認(ローン会社へ連絡。
契約番号・氏名・車台番号が必要なことが多い)。
– 複数社で査定を取り、残債精算の代行可否・手数料・振込スキームを確認。
パターン1 所有者が自分(銀行系ローンが多い)
– 買取店と売買契約を締結(代金の支払予定日・名義変更期限を明記)。
– 売却代金の全部または一部を、あなた名義のローン繰上返済に充当。
完済後に完済証明を取得(必須ではないが安心)。
– 名義変更(移転登録)を買取店が代行。
あなたは譲渡証明書・委任状・印鑑証明等を提出。
– 引渡し(車両・鍵・書類)。
任意保険の解約や移行、自動車税の名義・還付(普通車の還付は抹消時のみ)に留意。
パターン2 所有者が信販会社等(所有権留保)
– 残債の清算方法を決める
– 方式A 買取店がローン会社へ残債を直接送金(代行精算)→ローン会社が所有権解除書類を発行→買取店が名義変更。
– 方式B あなたが自己資金で完済→所有権解除書類を受領→売却。
– 買取店と契約書に「残債精算の方法・期限・万一不足時の負担方法」を明記。
– 必要書類
– あなた側 印鑑証明、実印、委任状、譲渡証明書、本人確認書類、車検証、自賠責、リサイクル券等。
– ローン会社側 所有権解除通知(または譲渡書類一式)、所有者の印鑑証明、委任状。
これらは残債完済後に発行される。
– 引渡しと同時に買取店が残債を支払い、書類到着後に名義変更。
差額精算(不足があればあなたが入金、余剰があれば買取店からあなたへ入金)。
よくあるQ&A
– 途中解約の違約金はある?
– 一般的なオートローンは繰上完済手数料や日割利息がかかる程度。
残価設定型やリースは中途解約金が大きくなる場合あり。
– 売却代金の入金タイミングは?
– 残債精算を伴う場合、ローン会社への振込→所有権解除書類到着→名義変更の進捗に合わせて支払われる。
契約書で入金日を明確にする。
– 事故歴・修復歴を隠すと?
– 契約不適合責任や詐欺等のトラブルに。
既知の不具合や改造は正直に申告。
– 銀行系ローン中に売却しても問題ない?
– 多くは担保設定がないため物理的には可能。
ただし返済義務は残るので、売却代金で完済するのが合理的。
念のため金融機関の規約を確認。
トラブルを避ける実務ポイント
– 事前確認
– 車検証の所有者欄、残債額、有効期限(清算見積の期限)、早期完済の手数料有無。
– 契約書
– 残債精算の流れ、入金期日、名義変更期限、キャンセル条件、瑕疵の扱い、追加費用の有無を明記。
– 情報と物品の管理
– ドラレコ・ナビ・ETCの個人データ初期化、私物の撤去、スペアキーの確認。
– 税金・保険
– 普通車の自動車税は月割還付が「抹消登録時」に限り発生。
単なる売却(名義変更)では原則還付なし。
軽自動車も同様に月割還付制度はなし。
任意保険は中断証明書や車両入替を活用。
売却が難しい・不可になり得る主なケース
– 所有権留保で、残債超過が大きく、自己資金・借換えもできず、所有者(信販会社)が解除に応じない状況。
– リース(所有権はリース会社)で、中途解約不可または高額な解約金のため実務上困難。
– 差押え、盗難被害届、係争中、あるいは自動車抵当権・動産譲渡登記が付いている場合。
– 必要書類(所有者の印鑑証明・委任状・解除通知)が調達できない場合。
根拠のまとめ(参照すべき制度・公的情報)
– 道路運送車両法・関連省令 自動車の所有者の移転には移転登録が必要で、登録実務上は現所有者の承諾書類(解除・譲渡書類)が不可欠。
国土交通省および運輸支局の「自動車の登録手続」案内が実務根拠。
– 民法 契約自由の原則、所有権留保の担保的機能に関する法理。
完済により留保所有権が消滅し、自由に譲渡可能となるという実務。
– 割賦販売法 個品割賦販売・個別信用購入あっせんにおける所有権留保や中途清算の枠組み。
消費者保護と取引の公正を図る法制。
– 刑法 所有権者の承諾なく留保所有権付の車を処分すれば、横領等の問題が生じ得るという一般的なリスク。
– 実務慣行 買取店が残債精算を代行し、所有権解除→名義変更→代金支払の流れを契約で定めることが広く一般化。
まとめ
– ローン残債があっても「本当に」売却できます。
ただし、所有権留保の有無が分水嶺。
所有者が信販会社等なら、残債完済と所有権解除書類の取得が鍵です。
銀行系ローンで所有者が自分なら、売却は比較的簡単で、売却代金で繰上返済するのが一般的です。
– オーバーローンでも、自己資金や借換え、乗換えローンで対応可能。
ただし支払総額や金利負担を慎重に試算しましょう。
– 手続の核心は「車検証の所有者確認」「残債の確定」「解除書類の確保」「契約書での精算スキームの明確化」。
この4点を押さえれば、残債ありでも安全・合法に売却できます。
もし現在の状況(車検証の所有者欄、残債額、ローン種類、概算の買取査定額)が分かれば、あなたのケースに合わせて最適な手順と費用見込みを具体化できます。
必要であれば、想定スケジュールや必要書類チェックリストもお作りします。
売却前に確認すべき残債額・所有権・査定相場は何か?
ご質問のポイントは「残債額」「所有権」「査定相場」を売却前にどう確認し、どう判断・手続きするかです。
以下に、実務で使える確認手順、注意点、そして根拠(法令・公的手続・業界慣行)をまとめて詳しく解説します。
残債額(ペイオフ金額)の確認
まずは「いくら返せば所有権解除できるか」を正確に把握します。
残高照会アプリやWEBに出る“残高”と、完済に必要な“ペイオフ金額(一括精算額)”は一致しないことが多いので注意が必要です。
確認手順
– 契約先(信販会社・ディーラー系クレジット・銀行)へ電話または会員サイトで「本日(または○日付)の一括精算額(ペイオフ)と内訳(元金・未経過利息・手数料)」を取り寄せる
– 必要書類も同時確認(完済後の所有権解除書類の発行方法、発行日数、郵送先)
– 見積りや売買予定日の“期日指定ペイオフ”も出してもらう(査定成立から入金・抹消までのズレ対策)
金額が残高とズレる理由
– 未経過利息の精算方式(途中完済に伴う利息の清算)
– 繰上げ一括返済手数料(数千円〜1万円程度が多い)
– 事務手数料・書類発行費用
– 期日による日割り利息
判断の分岐(相場と比較)
– 査定額 > 残債額 プラスエクイティ。
買取代金で残債を完済し差額が手元に残る
– 査定額 = 残債額 イーブン。
持ち出しなしで精算可能
– 査定額 < 残債額 ネガティブエクイティ。
差額の持ち出し、または次のローンへ“残債のせ(借換え)”が必要。
ただし借換えは返済負担増や金利上昇リスクがあるため総支払額と家計キャッシュフローで必ず検証する
所有権(名義)の確認
車検証の「所有者の氏名又は名称」を必ず確認します。
売却の可否や必要書類がここで決まります。
ケース別
– 所有者=自分(または家族名義)
比較的簡単。
通常の移転に必要な個人書類を用意すればOK。
– 所有者=信販会社・ディーラー・リース会社(所有権留保)
典型的なオートクレジット。
完済または買取店の立替精算による「所有権解除書類」がないと名義変更できません。
買取店にローン情報(会社名・契約番号・連絡先)を共有し、買取店が残債精算→所有権解除→名義移転の流れを組みます。
– 銀行オートローン
多くは所有者がご本人で、銀行は所有権を持たず抵当権設定もしないのが一般的(例外あり)。
ただし売却には残債の完済が前提。
銀行に完済手順を確認。
– リース車(所有者はリース会社)
原則として中途売却不可。
満了時の買取オプションの有無・違約金・精算方式(残価設定の清算)を契約約款で確認。
所有権解除に伴う代表的な書類(普通車)
– 所有権者(信販会社等)から発行 譲渡証明書、委任状、(場合により)印鑑証明書、完済証明
– 売主(あなた)から 自動車検査証、印鑑証明書、実印、自賠責、納税証明(抹消時)等
– 軽自動車は手続先が軽自動車検査協会で、実印・印鑑証明が不要な運用が多い(ただし業者の求めに応じる)
実務の流れ(典型)
– 買取店がペイオフ照会→残債を立替払い(または売主が先に完済)→所有権者から解除書類が買取店へ→運輸支局で名義変更
– 書類到着は3〜10営業日程度が目安。
月末・大型連休前は余裕をもつ
重要な期日の注意
– 自動車税(種別割)の賦課期日は毎年4月1日。
普通車は抹消すると月割還付がある一方、軽自動車は月割還付が原則ない。
3月末をまたぐ売却は段取りと精算条件の確認が重要。
査定相場の確認
「相場」とは一つではなく、立場により複数存在します。
売却判断では以下を組み合わせて把握します。
見るべき相場の種類
– 買取相場(小売ではなく業者が現金即買いする価格帯)
– 業者オークション相場(USS等の成約データ。
車種・年式・走行・評価点・修復歴で細かく相場化)
– 店頭小売相場(消費者向け価格。
ここから販売諸費用・利益・整備費を差し引いたのが業者の仕入れ期待値)
– 輸出相場(海外需要が強い車種・グレード・右/左ハンドルで加点)
実務での取り方
– 複数社査定(3〜5社)で同条件・同タイミングの金額を横比較
– 走行距離・修復歴・色・装備(安全装備、ナビ、冬タイヤ、有償保証加入可否)を正確に申告
– オークション相場提示の可否を質問(開示不可の会社もあるが、レンジ感は教えてくれる)
– 自社在庫需要や決算期・天候災害・為替・輸出規制等の市況要因を確認(短期に数万円〜十数万円動くことがある)
価格に効くチェックポイント
– 修復歴の有無(骨格部位交換・修正は大幅減額)
– 外装内装の状態(消臭・清掃・簡易補修で印象改善)
– 整備記録簿・取扱説明書・スペアキーの有無
– タイヤ残溝、車検残(車検2年付け直し前提で調整されることも)
– 人気色・人気グレード・4WDの地域需要
– 事故・水没歴の申告は誠実に(後で発覚すると差額請求や契約解除のリスク)
売却手順の全体像(残債あり前提)
– 事前準備
契約先にペイオフ金額・所有権解除手順を確認。
本人確認書類、車検証、自賠責、整備記録、スペアキー等を揃える。
– 相場把握
2〜3日の短期間で複数社査定。
同条件で一斉見積もりし、最終現車査定で金額確定。
– 収支シミュレーション
最高買取額とペイオフ金額の差、手数料、税金調整(還付・月割)を含め実質手取りを算出。
ネガティブエクイティなら持ち出し可否や借換え条件を比較。
– 契約・精算
買取契約書に「残債の精算方法・遅延時の扱い・キャンセル規定・減額条件(メーター改ざん・重大瑕疵発覚)・入金期日」を明記。
買取店が残債立替と所有権解除を行うスキームが一般的。
– 書類/引渡し
必要書類を期日までに提出。
引渡しと同時に代金(差額)受け取り。
残債不足分の持ち出しは振込で支払い。
– アフターフォロー
名義変更完了の通知や抹消登録証明書の受領を確認。
任意保険の中断・解約、ETCセットアップ情報変更、駐車場契約の解約などを実施。
よくある落とし穴と対策
– 残債不足を隠したまま商談
直前で成立しない原因に。
初回相談時にローン情報を開示した方が段取りが早い。
– ペイオフ金額の有効期限切れ
金額は日々変動。
期日指定の見積りを取り、契約・入金スケジュールを合わせる。
– 所有権解除書類の遅延
大手信販でも繁忙期は1〜2週間かかることあり。
車検証の所有者が信販会社なら余裕をもつ。
– 4月1日をまたぐ売却
普通車は抹消で月割還付あるが、名義が4/1にあなたのままだと新年度課税が来る。
3月中旬までにスケジュール確定を。
– 差額の“残債のせ”で返済苦
借換えは便利だが総支払額が増えやすい。
金利・返済期間・団信・手数料を加味して“家計に無理がないか”を数値で確認。
根拠・参考となる制度や公的情報
– 車検証と所有権の確認
自動車検査証は道路運送車両法に基づく公文書で、所有者欄により名義と所有権留保の有無を判断します。
登録・名義変更・抹消は国土交通省の運輸支局(普通車)/軽自動車検査協会(軽)で行う手続に従います。
よって、所有者(信販会社等)の譲渡同意=所有権解除書類がなければ移転登録ができません。
– 所有権留保の位置づけ
割賦販売等で用いられる所有権留保は動産売買の特約として広く認められている商慣行で、割賦販売法(分割払い・包括信用購入あっせん等の規律)と民法の契約自由の原則に基づくものです。
完済まで所有権は信販会社側に留保されるため、売却時は解除が必要です。
– 自動車税と還付
自動車税(種別割)の賦課期日は4月1日。
普通車は抹消登録で月割還付制度があり、軽自動車は原則還付なし(都道府県税制度・軽自動車税は市町村税から都道府県税に移行済だが月割還付の扱いは従来通りが一般的)。
売却の時期によって実質手取りが変わる根拠です。
– 信販・銀行の精算実務
ペイオフ金額に繰上げ手数料や未経過利息の清算が含まれるのは各社約款・商品約款に定められており、見積書で期日指定の一括精算額が提示されます。
所有権解除書類の構成(譲渡証明書・委任状・印鑑証明等)も運輸支局での登録要件に基づく実務です。
– 名義変更・抹消に必要な書類
普通車の移転登録・抹消登録では印鑑証明書や実印、譲渡証明書、委任状等が必要で、軽自動車は軽自動車検査協会の様式に従います。
これらは国土交通省・各運輸支局・軽自動車検査協会の公式案内に明記されています。
実務でのチェックリスト(売却前)
– ローン契約番号・会社名・問い合わせ先を控え、ペイオフ見積り(期日指定)を取得
– 車検証で所有者欄を確認。
所有権留保なら解除手順・必要日数を把握
– 査定は複数社、同日・同条件で現車査定まで実施
– 最高提示額ベースで残債と突き合わせ、持ち出し・借換えの可否を判断
– 契約書の精算条件・入金期日・名義変更予定日・キャンセル規定を確認
– 4月1日前後や連休前はスケジュールのリスクヘッジ
– 任意保険の中断証明や解約返戻の段取り(新車乗換なら等級引継ぎ)も忘れずに
まとめ
売却前に必ず押さえるのは、1)期日指定のペイオフ金額、2)車検証の所有者欄=所有権の有無、3)複数ソースでの査定相場。
この3点を同じカレンダー上で整合させることが、残債あり売却を最短・最小リスクで終えるコツです。
根拠は、道路運送車両法に基づく登録手続と、割賦販売法・各社約款に基づく所有権留保・精算実務、自動車税制度にあります。
これらを踏まえ、期日と現金収支を具体化してから売買契約に進めば、残債ありでも安全・スムーズに売却できます。
残債あり車の売却手順と必要書類はどう進めればいい?
以下は、日本で「残債あり」の車を売却する際の標準的な進め方、必要書類、ケース別の注意点、そして根拠(関連法令・実務慣行)を整理したものです。
買取店に任せる場合も、個人間売買や自分で運輸支局へ行う場合も、基本の考え方は同じです。
最初に確認すること(残債タイプの見極め)
– 車検証の「所有者」欄を確認
– 所有者があなた(本人)名義 銀行オートローンやマイカーローンで、所有権留保なしの可能性が高い。
名義変更は比較的スムーズ。
残債は売却代金で繰上げ返済する形が一般的。
– 所有者がディーラー名や信販会社名 所有権留保(ローン会社が名義上の所有者)。
譲渡には「所有権解除」が不可欠。
残債精算とローン会社の承諾書類が必要。
– 残債額の確定
– ローン会社に「一括精算額(○月○日付)」「残債証明」を取り寄せる。
多くの買取店はあなたの委任により残債照会・取り寄せを代行可能。
– 価値と残債の関係を把握
– アンダーローン 買取額が残債を上回る。
差額はあなたに入金。
– オーバーローン 買取額が残債を下回る。
不足分を自己資金で入金するか、買替ローン・残債整理ローンで手当。
第三者に所有権が残ったままの売却は不可。
売却手順(買取店に売る場合の標準フロー)
– 見積りと車両査定
– 車検証、リサイクル券、自賠責証明書を提示。
事故歴・修復歴・改造等は正直に告知(虚偽は後日の減額・損害賠償の対象になり得ます)。
– 残債照会・金額確定
– 買取店がローン会社に連絡し一括精算額を確定。
売買契約書には「残債は買取店がローン会社に直接送金する」「不足分は売主が決済日までに入金」などの決済条項が入るのが一般的。
– 売買契約締結・必要書類の準備
– 署名押印(普通車は実印、軽自動車は認印が多い)。
印鑑証明や委任状、譲渡証明書に押印。
住所・氏名に変更がある場合は住民票や戸籍の附票で連続性を証明。
– 決済(同時決済)
– 買取店が残債相当額をローン会社へ送金し、同時にあなたへの買取代金を支払う(オーバーローンの場合は不足分の入金後)。
この「同時決済」でトラブルを避けます。
– 所有権解除・名義変更
– 残債が清算されるとローン会社が「所有権解除書類(譲渡承諾書、委任状、印鑑証明など)」を発行。
買取店が運輸支局(軽は軽自動車検査協会)で移転登録や抹消登録を実施。
– アフター手続
– 任意保険は中断手続(中断証明)で等級を保存。
自賠責は車両に付帯し、新所有者へ承継されるのが通常。
抹消した場合は自賠責の未経過返戻あり。
自動車税は抹消登録時のみ月割還付(名義変更のみでは還付なし)。
個人間売買での注意点(所有権留保がある場合は特に要注意)
– 所有権留保中の個人間売買は、ローン会社の譲渡承諾と所有権解除が必須。
解除前に車両を引き渡すと二重譲渡・代金未払い等の重大トラブルの温床になります。
– エスクローや司法書士・行政書士を介した同時決済が安全。
所有権者(ローン会社)からの書類(譲渡承諾書等)が揃わない限り、引渡し・名義変更は行わない。
– 契約不適合責任(民法改正により瑕疵担保から移行)。
事故歴・水没歴・メーター巻き戻し等は告知義務。
免責特約を付けても故意・重過失の虚偽は免責されにくい。
必要書類(売主側・普通車)
– 自動車検査証(車検証)
– 実印および印鑑証明書(発行3か月以内が実務相場。
法定の有効期限はないが運輸支局・業者実務で3か月以内を求められる)
– 譲渡証明書(旧所有者・新所有者の記名押印)
– 委任状(業者に手続きを委任する場合)
– 自賠責保険証明書
– リサイクル券(自動車リサイクル料金の預託証明)
– 住所・氏名の連続性書類(車検証と印鑑証明の記載が一致しない場合。
住民票の除票、戸籍の附票、戸籍謄本等)
– 自動車税納税通知書や納税証明書(名義変更自体は原則不要だが、買取店が確認で求めることあり)
– 所有権留保の場合は、ローン会社が発行する所有権解除関連書類(譲渡承諾書、委任状、所有権者の印鑑証明など)
必要書類(売主側・軽自動車)
– 軽自動車検査証
– 認印(実印・印鑑証明は不要が一般的)
– 申請依頼書・譲渡証明書(様式は軽自動車検査協会)
– 自賠責保険証明書
– リサイクル券
– 所有権留保の場合は上記同様に所有権者の解除関係書類
– 住所相違時は住民票等で連続性確認
(軽は印鑑証明不要だが、所有権者が法人や信販会社の場合はその側の書類に実印・印鑑証明が必要)
買い替え(下取り)と買取専門店の違い
– 下取りは新車・中古車購入と同時に残債処理がセットになりやすく、オーバーローンでも同一ローン内でまとめる提案が受けやすい。
– 買取専門店は高価売却が見込める一方、買替ローンは別途手配が必要な場合あり。
どちらも残債処理は日常業務なので、所有権留保のままでも代行可能なことが多い。
銀行系ローン(所有者が本人名義)のポイント
– 名義はあなたなので移転登録は可能。
ただし抵当のような公的担保は通常付かないため、譲渡自体は法的には可能でも、実務上は売買代金で一括返済→完済後に名義変更という流れが安全。
– 一括繰上げ返済手数料や利息精算の有無を事前確認。
抹消(廃車)する場合
– 残債がある限り一時抹消・解体抹消は不可(所有権者の承諾・解除が必要)。
– 解体抹消時は自動車税種別割の月割還付、自賠責の未経過返戻が受けられる。
リサイクル法に基づく適正な引取・解体ルートを使用。
よくある落とし穴と対処
– 住所・氏名不一致 住民票や戸籍の附票で履歴をつなぐ書類を早めに準備。
– 印鑑証明の期限切れ 3か月以内を用意(実務運用)。
– 紛失書類 車検証・自賠責・リサイクル券は再発行可能。
時間に余裕を。
– 車庫証明の取り扱い 移転登録(新所有者側)では車庫証明が必要(軽は地域により保管場所届出)。
買取店が一時抹消する場合は不要なこともある。
– 反則金や放置違反金の滞納 名義変更自体は可能だが、車検の交付に影響する制度があるため、未払いは早めに解消。
– ネットの個人売買で手付のみ・所有権留保解除前引渡し 極めて危険。
同時決済・エスクロー徹底。
根拠・法的背景(代表例)
– 道路運送車両法(登録制度の根拠)
– 所有者の変更があった場合、移転登録を申請しなければならない旨(同法第12条、第13条等)。
申請期限は原則15日以内(自動車登録規則に具体)。
– 移転登録・抹消登録の手続は同法施行規則(自動車登録規則、昭和26年運輸省令第58号)に詳細。
– 自動車の保管場所の確保等に関する法律(いわゆる車庫法)
– 登録自動車の移転時には新所有者の保管場所証明が必要(地域・車種で届出か証明かの別あり)。
– 自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)
– 引取・解体・リサイクル料金預託の確認が義務化。
リサイクル券の確認は実務上必須。
– 民法(売買・所有権留保)
– 売買契約における所有権留保の合意は有効(民法の売買・債権総則に基づく一般原則、判例・実務で確立)。
所有権者の承諾なく譲渡・抹消はできないのが実務。
– 地方税法
– 自動車税種別割は毎年4月1日時点の所有者等に課税。
抹消登録時は月割還付制度あり。
名義変更だけでは還付なし(売買当事者間での月割清算は契約上の取り決め事項)。
– 実務慣行・運用
– 印鑑証明は3か月以内、住所・氏名の連続性書類の要求、買取店による同時決済などは運輸支局・金融機関・業界実務で定着した運用。
– 軽自動車では印鑑証明不要(軽自動車検査協会の手続要領に基づく)。
スケジュール目安
– 1~3日 査定・残債照会・見積り
– 1~7日 契約・書類準備(住所連続書類が必要な場合は長引く)
– 1~3日 同時決済・所有権解除書類の発行指示
– 3~10日 名義変更・抹消登録完了(混雑や郵送日数により前後)
まとめ(最短ルート)
– 車検証の所有者欄で所有権留保の有無を確認
– ローン会社から残債(一括精算額)を取得
– アンダー/オーバーローンを判断し決済方法を確定
– 必要書類を準備(特に印鑑証明・住所連続書類)
– 買取店の同時決済スキームで残債処理と所有権解除
– 名義変更・抹消後、保険・税の後処理
残債ありの売却は「所有権者の承諾(解除)」と「同時決済」が肝です。
大手買取店・ディーラーであれば日常的に代行しており、個人で運輸支局へ行くより手間もリスクも小さくなります。
逆に個人間売買で所有権留保のまま進めるのは非常に危険なので避けてください。
地域や金融機関によって細部の運用は異なるため、最終的には所管の運輸支局・ローン会社・買取業者へ事前確認のうえで進めると確実です。
残債の精算方法(自己資金・買取業者の立替・買い替えでの残債移行)はどれを選ぶべきか?
前提整理
車を「残債あり」で売却する際の精算方法は主に次の3つです。
– 自己資金で完済してから売却(自己資金精算)
– 買取業者がローンを立替精算し、売却代金から相殺(業者立替)
– 買い替え時に新しいローンへ残債を移行(残債移行・乗せ換え)
どれを選ぶべきかは、あなたの「資金余力」「金利条件」「与信(返済比率)」「今後の保有期間・リスク許容度」によって最適解が変わります。
結論を先に要約すると以下の通りです。
結論サマリー(まずはここから)
– 残債<買取額(プラスエクイティ)の場合
– 業者立替が最も手続きが簡単で安全。
自己資金で先に完済するメリットは限定的(キャッシュフローに余裕があり、相手先を一本化したい人向け)。
– 残債>買取額(マイナスエクイティ)の場合
– 手元資金に余裕があるなら「自己資金で差額を埋めて売却」が原則ベスト。
総支払利息が最も少なく、与信も健全に保てるため。
– 資金はあるが手続き負担を減らしたいなら「業者立替+不足分のみ自己資金」で実質同等。
手数料の有無だけ確認。
– 手元資金を残したい(または新車側の金利が極めて低い)場合のみ「残債移行」を検討可。
ただし債務超過でスタートするため、金利負担・与信悪化・将来の下取りでまた債務超過になりやすいリスクを理解して選ぶ。
以下、それぞれの方法の仕組み・メリット/デメリット・向き不向き、そして根拠を詳しく解説します。
自己資金で完済してから売却(自己資金精算)
仕組み
– 自分でローン会社から「一括精算見積(完済金額)」を取り寄せ、期日までに振込。
所有権留保が解除され、完済証明と所有権解除書類が発行される。
– その後、車を買取店に売却し、売却代金を受け取る。
メリット
– 総支払利息が最小化。
新たな借入れを増やさないため、返済比率(年収に対する年間返済額の割合)を健全に保てる。
– 契約関係がシンプル(ローンは完了・名義もクリアな状態で売却)。
交渉力がやや上がる場合がある(「残債処理込み」の前提が外れるため)。
– 信用情報(CIC/JICC)の観点でも、延滞や複雑な乗せ換え記録を残さずクローズできる。
デメリット
– 一時的にまとまった資金が必要。
完済後に売却代金が入るまで資金繰りにタイムラグがある。
– 自分でローン会社・買取店・陸運局(名義変更の委任含む)の調整が必要で、手続き負担はやや大きい。
根拠
– 金利のある負債を早期に返済することは「金利分の確実なリターン」を得るのと同義。
例えば年3.9%の自動車ローンを繰り上げ完済することは、税引前3.9%の無リスク運用に相当。
– 与信審査では返済比率30~35%程度が目安。
借入れを増やさないほうが今後の住宅ローン等にも有利。
– 日本のオートローンは元利均等が一般的で、途中完済時は未経過利息が免除される一方、事務手数料がかかることがある。
総コストは早期返済のほうが通常小さい。
向いている人
– 手元資金に余裕がある、または短期間で資金化できる人
– 将来の借入れ(住宅ローン等)に備え、与信を最良に保ちたい人
– 手続きの主体を自分で握りたい人
買取業者が立替精算(業者立替)
仕組み
– 買取業者があなたのローン残債をローン会社に直接一括で支払い(立替)。
買取額から残債を相殺し、差額をあなたへ支払う。
– マイナスエクイティの場合は、不足分をあなたが業者へ追加で支払う(または事前入金)。
その後に所有権解除書類を業者が取得し、名義変更まで代行。
メリット
– 手続きが最も簡単で早い。
所有権留保(車検証の「所有者」が信販会社)でもスムーズに処理できる。
– 現金の一時立替が不要。
複数の窓口(ローン会社・陸運局等)を業者が一括代行。
– プラスエクイティの場合、あなたが一旦完済するよりキャッシュフローが楽で、実質的な金利差はない。
デメリット
– 立替・名義変更等の事務手数料が発生する場合がある(数千円~1~3万円程度。
会社により異なる)。
– 不誠実な業者だと、車を引き取ったのに残債精算が遅れる等のリスクがゼロではない(大手・上場企業・口コミ評価の高い業者を選ぶ、精算期日を契約書に明記させる等の対策が必要)。
根拠
– 日本の中古車流通では、信販会社名義(所有権留保)の車は「第三者への譲渡不可」が原則。
所有権解除書類の取得と同時進行での決済を業者が一括で行うのが最も実務的。
– 時間価値・事務負担の観点で、あなたの手元資金を寝かせずに済み、手続きミスも減る。
向いている人
– 手間を最小化したい人
– プラスエクイティで、迅速に売却を完了したい人
– マイナスエクイティでも、不足分は一括で支払えるが手続きは任せたい人
買い替えで残債移行(乗せ換え)
仕組み
– 下取りまたは買取+新車(または別の中古車)購入の際に、旧車のマイナスエクイティを新しいオートローンに上乗せして一本化。
– 残価設定ローン(据置型)や長期ローンと組み合わせて月々負担を抑えるケースが多い。
メリット
– 手元資金を温存できる。
緊急資金や運用資金を確保したい人には有利。
– メーカー系の低金利キャンペーン(0.99~1.9%等)が使えると、追加利息負担を相対的に抑えられる場合がある。
– 手続きがシンプル(販売店が下取り・残債精算・新規ローン手配を一括対応)。
デメリット
– 新しい車に乗り換えた瞬間から債務超過でスタートしやすい。
次回以降の買い替えでもマイナスが雪だるま式に膨らむ恐れ。
– 総支払利息は増えやすい。
特に金利が3~7%・期間が長期化(60~84回)だと負担は無視できない。
– 返済比率が上がり、与信余力が低下。
保険で全損になった場合、保険金ではローン全額を賄えず自己負担が出やすい(GAP補償がないと危険)。
根拠(簡易試算)
– 例 残債180万円、買取150万円で不足30万円。
これを年3.9%・60回に上乗せすると総利息は概算で約2.9万円。
年7.9%なら約11.9万円。
不足額が100万円ならそれぞれ約9.7万円/約39万円。
ローンを伸ばすほど利息負担は増大。
– 新車は購入直後の値落ちが大きく、LTV(ローン残高/車価)が100%超だと売却・事故時に自己資金が必要になりやすい。
向いている人
– 手元資金を確保する必要が高い(事業運転資金・緊急予備資金など)
– 非常に低金利(1~2%台)かつ返済比率に余裕があり、車を長く保有して元本をきちんと減らす計画がある
– GAP補償(ローン残債と保険金の差額をカバー)が用意できる
状況別のおすすめ意思決定フロー
1. まず「エクイティ」を把握
– エクイティ=買取額-残債一括精算金額(元金+経過利息+解約手数料)
– プラスなら簡便性重視で「業者立替」。
手数料が高ければ自己資金精算も選択肢。
– マイナスなら次へ。
手元資金の余力と金利を比較
– 差額を即時に出せるなら「自己資金」または「業者立替+差額のみ持ち出し」。
– 低金利で資金を温存したい合理性(事業・投資・緊急資金確保)があるなら「残債移行」も可。
ただし返済比率・保険・保有期間を厳格に管理。
与信と将来計画
– 1~2年内に住宅ローン等の予定があるなら、残債移行は回避推奨。
返済比率悪化や新規の多重与信は審査に不利。
– 次の買い替えまで短期(3年以内)なら、残債移行は特に非推奨。
値落ちと元本減少のペースが合わず、債務超過が蓄積しやすい。
手続きの具体的ステップ
共通準備
– ローン会社へ「一括精算見積」(精算期日を指定)を請求。
未払元金・経過利息・解約事務手数料の内訳を確認。
– 車検証、印鑑証明書、実印、自賠責保険証明書、自動車税納税証明書、リサイクル券、リモコンキー・取説・整備記録簿等を用意。
– 複数の買取店で査定(下取りと買取専門店の併用)。
提示は「残債あり前提」で明確化。
自己資金精算の流れ
– 指定日にローンを完済→完済証明・所有権解除書類の受領
– 買取店と売買契約・車両引渡し・代金受領
– 名義変更完了の通知を受け取る
業者立替の流れ
– 買取店と「残債立替・精算期日・不足分の支払い方法」を契約書に明記
– 不足分があれば事前に入金(または当日相殺)
– 業者がローン完済→所有権解除→名義変更→差額入金(または不足分精算)
残債移行の流れ
– 下取り査定→マイナス分を含めて新ローン仮審査
– 金利・期間・総支払額・返済比率・GAP補償の有無を確認
– 旧ローン完済と新ローン実行を販売店が一括手配
費用・手数料の注意点
– 立替・名義変更代行手数料 0~3万円程度(相場は業者による)
– ローン一括精算の事務手数料 数千円~1万円前後(信販会社による)
– 残価設定ローンを途中で解約する場合の精算方式 未経過利息の扱い、中途解約金の有無を必ず確認
– 自動車税の還付は抹消時のみ。
通常の名義変更では年税は月割還付なし(売買価格に織り込まれることが多い)
リスク管理と実務上のコツ
– 立替精算は大手・評判の良い事業者を選び、精算期日と不履行時の措置を契約書に明記。
入金証憑・完済証明のコピーを必ず受領。
– 残債移行を選ぶ場合は、車両保険にGAP相当の特約が付けられるか確認。
付けられないなら自己資金クッションを確保。
– 次回買い替えまでの保有期間は長めに設定(少なくとも元本が十分減る期間)。
月々の支払いは「繰上げ返済余力」を持たせる。
– 信用情報に延滞を絶対に発生させない。
乗せ換えプロセス中の二重計上や引落しタイミングに注意。
よくあるケース別アドバイス
– プラスエクイティ(例 残債120万円、買取150万円)
– 業者立替で即日完了が合理的。
あなたが先に120万円を出して完済しても、経済的メリットはほぼ同等。
事務負担と資金繰りの観点で立替優位。
– 小幅なマイナス(例 不足30万円)
– 資金があるなら自己資金で埋めるのが王道。
3.9%・60回で乗せる利息は約2.9万円と小さく見えるが、常に債務超過でスタートするクセがつくと将来的な自由度を削る。
原則は現金で解消。
– 大きなマイナス(例 不足100万円以上)
– 手元資金の安全余裕(生活費6か月分+緊急資金)を確保できるなら、自己資金で解消するのが長期的に最も健全。
– 余裕がない場合は、低金利キャンペーン+長期保有+GAP補償の3点セットを満たした上で残債移行を検討。
それでも返済比率が35%を超えるなら見送りを推奨。
法的・実務上の根拠まとめ
– 所有権留保が付いた車は、ローン会社の承諾と所有権解除なしに第三者へ譲渡不可。
したがって業者立替または自己資金完済が必要(道交法・商慣行上の実務)。
– 信用情報機関(CIC/JICC)には借入残高・返済状況・契約終了が記録。
延滞や多重債務は将来の審査に不利。
早期完済は一般にポジティブ。
– ファイナンスの基本原則として、金利のある負債を減らすことは確実な利回りを得るのと同義。
低金利のプロモーションを利用する場合でも、LTVやリスク(事故全損・買い替え時の再債務超過)を踏まえた総費用・安全性で判断するのが合理的。
最終的な選び方の指針
– 短期の手続き容易さを最優先 業者立替
– 総コスト最小化と与信健全性を最優先 自己資金精算(不足分のみ持ち出し含む)
– 手元資金の確保と月々負担の平準化を最優先(条件が厳格に良い場合のみ) 残債移行
迷った場合は、まずローン会社の一括精算金額を取り寄せ、複数の買取店で査定した上で、「総支払額(利息・手数料込み)」と「返済比率」を数値で比較すると判断がぶれません。
条件を数値化すれば、最適解はほぼ自ずと定まります。
トラブルを避けるための注意点と信頼できる業者選びのコツは何か?
以下は、残債あり(ローン残高がある)状態でクルマを売却する際の手順、トラブルを避けるための注意点、信頼できる業者選びのコツ、そしてそれらの根拠のまとめです。
実務に落とし込みやすいよう、手順とチェックポイントを具体的に整理しています。
まず把握すべきこと(ローンの種類と名義)
– ローンの種類を確認
– 所有権留保付きオートローン(信販系・販売店系の割賦) 車検証の「所有者」欄が信販会社やディーラー。
残債完済と所有権解除がないと名義変更・売却はできません。
– 銀行系マイカーローン(無担保が多い) 車検証の「所有者」欄が本人。
売却自体は可能ですが、ローンは残るため売却代金や自己資金で残債を清算する必要があります。
– リース 名義はリース会社。
原則、途中売却はできません(中途解約・買取オプションの条件を確認)。
– 車検証の確認
– 所有者欄、使用者欄、住所表記(過去の住所からのつながりが必要な場合あり)を確認。
– 残債の正確な額と精算方法
– ローン会社から残債証明(残債額証明書)を取り寄せ、「一括完済額」「日割り利息」「完済に必要な振込方法」を把握。
売却の基本手順(残債ありの場合)
– 相場の把握と相見積もり
– 可能なら3〜5社で査定。
出張査定でも、後出し減額条件が厳しすぎる業者は避ける。
– 事故歴・修復歴・水没歴などは正直に申告(後日の減額請求リスクを下げる)。
– 残債の清算方法を確定
– 代表例
1) 買取代金から業者が残債を一括精算し、差額をあなたに振込(業者が精算代行)
2) あなたが先に自己資金で完済し、所有権解除後に売却
3) 銀行ローン等の場合は売却代金で返済を継続(所有権は本人なので名義変更自体は可能)
– 精算代行の場合、誰がいつ・いくらを・どこへ振り込むか、完済確認の方法を契約書に明記。
– 契約・書類準備
– 普通車 実印・印鑑証明書・譲渡証明書・委任状・車検証・自賠責・リサイクル券・自動車税納税証明(必要に応じ)など。
– 軽自動車 認印で可、印鑑証明不要のケースが多い。
– 住所や姓が車検証と異なるときは住民票や戸籍の附票など「つながり書類」が必要になることあり。
– 所有権留保の場合は、ローン会社からの所有権解除書類が不可欠(完済後に発行)。
– 引渡しと入金
– 引渡し日・時刻・車両状態を記録(受領書・引取伝票)。
違反等の責任が移るタイミングを明確化。
– 入金(差額振込)の期日・条件(抹消/名義変更完了を条件にする等)を契約に明記。
– 名義変更・抹消の完了確認
– 買取業者から名義変更完了の通知(車検証コピー等)や残債完済の証明を受領。
– 遅い場合は催促。
一定期間(例 2〜4週間)を超える遅延は要注意。
– 付帯手続き
– 任意保険の解約または中断証明の取得(買い替え予定があるなら中断が有利)。
– ETCマイレージ、駐車場契約、ドラレコSD、ナビの個人情報削除など。
トラブルを避けるための注意点(重要ポイント)
– 所有権留保車は完済・所有権解除がないと名義変更できない
– 所有者がローン会社のまま譲渡書類が出ないと、買い手は名義変更不能。
完済による所有権解除が前提。
– 「減額条件」の明確化
– 売却後に「傷が増えた」「事故歴があった」と一方的に減額請求されるケースに注意。
修復歴の定義(骨格部位の修理等)や査定時点の車両状態を写真等で記録し、契約書に「減額可能な事由」を限定。
– 支払と精算のタイミング
– 残債精算を業者が代行する場合、完済確認前の車両持ち出し・所有権解除書類未発行はリスク。
契約書に「完済→所有権解除→差額振込」の順や締切を記載。
– 名義変更が遅れるリスク
– 自動車税や違反の通知が元の使用者に届くことがある。
完了時の車検証コピー提出を義務化。
遅延時の対応条項も入れる。
– キャンセル料・手数料の透明性
– 出張料、名義変更費用、陸送費、査定料、キャンセル料がどの条件で発生するか事前確認。
– 口頭約束に依存しない
– 金額、支払期日、残債精算、引取日時、減額事由等は全て書面(メール可)に残す。
– 個人情報の処理
– ナビの履歴、ETC情報、ドラレコ、車載通信のアカウント紐付けは必ず解除・初期化。
– 税金・保険の整理
– 自動車税(4月1日基準)や軽自動車税は原則、名義変更しても年度途中の公的な還付はありません(廃車等を除く)。
未経過分を買取価格に織り込む慣行の有無を確認。
– 訪問買取・一括査定の注意
– 電話勧誘や当日成約を急かす手口に注意。
クーリングオフは適用されない場合が多く、慎重に比較検討を。
信頼できる業者選びのコツ
– 許認可・資格
– 古物商許可番号の表示と実在性(会社名・所在地・許可公安委員会)を確認。
– 自動車公正取引協議会等の業界団体加入、査定士資格(JAAIなど)の保有はプラス材料。
– 透明なプロセス
– 残債精算の流れ、手数料、名義変更の期日、減額条件の文書化に応じるか。
– 車両引取から入金までのスケジュールを日付レベルで提示できるか。
– 契約書の質
– 売買契約書に必要条項(売買代金、支払期日、残債の扱い、減額要件、キャンセル規定、引渡し日時・場所、危険負担・責任移転時点、名義変更期日、個人情報の扱い)を備えているか。
– 実績・評判
– 直近の口コミで「後出し減額」「名義変更遅延」「連絡不通」の繰り返しがないか(量より質を確認)。
– 会社の所在(実店舗・固定電話)、決算公告や行政処分歴の有無。
– コンプライアンス姿勢
– 本人確認(古物営業法に基づく)をきちんと行うか。
高額の現金手渡しを避け、銀行振込のトレースを推奨するか。
– 複数社で比較
– 高額査定でも条件が不透明なら危険。
2〜3社で「条件の明確さ」を競わせるとボロが出やすい。
具体的な進行モデル(例)
– Day 1 ローン会社に残債証明を請求。
車検証・リサイクル券・自賠責・納税確認。
– Day 2〜4 3〜5社査定。
価格だけでなく残債精算の書面条件を比較。
– Day 5 最有力1〜2社と最終条件交渉。
減額条項と名義変更期日を確定。
– Day 6 契約締結(売買契約・委任状・譲渡証)。
引取日と入金スケジュール確定。
– Day 7〜14 引取→残債精算→所有権解除→差額入金。
完了書類の受領。
– 翌月 任意保険の解約/中断、CIC等で完済反映(必要なら確認)。
よくある勘違い・落とし穴
– 「銀行ローンなら売れない」は誤り 無担保なら売却は可能。
ただしローンは残るため返済計画が必要。
– 「4月以外に売ると損だけ」は一概に言えない 自動車税は4/1基準だが、相場やモデルチェンジ、走行距離増など他要因も影響。
総合判断が必要。
– 「先に車だけ渡してもすぐ入金されるはず」 支払条件は契約書で担保。
引渡しだけ先行は危険。
– 「データ消去は業者任せでOK」 ナビ・ドラレコ・アプリ連携は自己責任で確実に初期化。
根拠・背景(要点)
– 所有権留保車の名義変更
– 名義変更には現所有者(車検証の所有者)の譲渡書類が必要。
所有権が信販会社等にある場合は、完済後に所有権解除書類が発行されない限り移転登録できません(運輸支局の実務運用)。
– 必要書類
– 普通車の移転登録で実印・印鑑証明・譲渡証・委任状が必要なのは国土交通省/運輸支局の定める標準手続。
軽自動車は手続が簡素。
– 古物営業法
– 買取業者には本人確認義務や帳簿記載義務があり、適切な本人確認を行わない事業者は法令順守に問題がある可能性。
– 消費者トラブルの型
– 国民生活センター等には自動車買取に関する相談(減額請求、キャンセル料、名義変更遅延など)が毎年寄せられ、契約書の不備や説明不足が原因となる事例が多いとされます。
後出し減額や不透明な手数料は典型的リスク。
– クーリングオフ
– 自動車の買取取引はクーリングオフが適用されない場合が多く、契約前に十分な比較・検討が必要とされています(適用可否は取引形態・法律の要件次第のため、事前に確認が無難)。
実用チェックリスト(契約前に)
– 残債証明の金額・有効期限は?
– 所有者欄と所有権解除の手続きは?
解除書類の手配者は?
– 買取価格の内訳(手数料・名義変更費)は?
– 減額条項は限定的か?
修復歴・水没歴の定義は明確か?
– 支払期日・振込条件・残債精算のタイムラインは?
– 引渡し日時・場所・危険負担移転時点は明記されているか?
– 名義変更完了の期限と報告方法(車検証コピー等)は?
– キャンセル条件・違約金の有無と発生要件は?
– 個人情報の取り扱いとデータ消去の責任分担は?
– 本人確認・古物商許可・会社情報が明確か?
まとめ
– 残債あり売却の核心は「残債の正確な把握」「所有権(名義)と手続の整合」「支払・名義変更のタイムラインの文書化」です。
相見積もりで価格を競わせつつ、減額条項や精算フローの透明性を最重要視するとトラブルを大きく減らせます。
古物商許可、契約書の質、本人確認の厳格さなど、コンプライアンス姿勢が見える業者を選ぶことが最善の防御策です。
もしお手元の条件(車検証の所有者欄、ローン会社名、残債おおよその額、普通車/軽の別、売却希望時期)がわかれば、それに合わせて必要書類のリストアップと、より具体的なスケジュール・文面例(契約書で押さえる条項案)まで作成します。
【要約】
車検証で所有者が信販会社等か確認。ローン会社へ早期完済額を照会し、買取店で査定・金額決定。買取店が残債を直接精算(不足分は自己負担)し、同意と所有権解除書類を取得。書類一式で運輸支局に移転登録、車両引き渡し・清算完了。必要書類例は委任状・譲渡証明・印鑑証明。完済金額は利息等で日々変動するため、見積有効期限や振込先指示も買取店と確認して進める。ナンバーや自賠責・税の精算は買取店の案内に従う。