コラム

中古車の修復歴を徹底解説 事故歴との違い、価格・安全性への影響、見極め方と書類、交渉・保証・開示義務

修復歴とは何を指し、事故歴との違いは何か?

ご質問の「修復歴」と「事故歴」は、日常会話では混同されがちですが、中古車業界では役割も意味も異なる用語として厳密に使い分けられています。

以下、定義・具体的な範囲・違い・実務上の扱いと、その根拠を体系的に解説します。

修復歴とは何か(業界での定義)

– 概要
「修復歴」とは、中古車の表示・査定において、車体の骨格部位(車体の主要構造部位)に損傷が生じ、その部位に修理(修正・交換・溶接など)が行われた経歴を指します。

ポイントは「骨格部位へのダメージがあり、当該部位が修復されたか」という点であり、外板や装飾パーツの交換だけでは修復歴にはなりません。

骨格部位の例
団体により用語の呼び方や細部は若干異なりますが、代表的には次のような部位が骨格部位(主要構造部位)として扱われます。

・フレーム/サイドメンバー(クロスメンバーを含む)
・フロントインサイドパネル、リアインサイドパネル
・ピラー(A/B/Cピラー)
・ダッシュパネル(カウルパネルを含む)
・ルーフパネル(ルーフサイド/ルーフレール含む)
・フロアパネル(センター/リヤ/トランクフロア等)
・ラジエータコアサポート(ボルト止めの脱着のみは除外、溶接交換・修正は対象)
・サスペンション取付部(ストラットタワーなど、車種により該当)
これらは、車体の強度・直進安定性・衝突安全に直接かかわる「骨格」です。

ここが曲がったり、切開・溶接・引き出し修正の痕跡があると修復歴となります。

修復歴に当たらない例
次のような「ボルトオン外板」や消耗部品の交換・修理は、単独では修復歴には該当しません。

・バンパー、ボンネット(フード)、トランクリッド
・ドア、フロントフェンダー、リアフェンダーの外板(車種により外板一体溶接のものは注意)
・ヘッドライト、テールランプ、ラジエーター等の補機類
・ガラス交換(骨格切開を伴わない通常交換)
・軽微な板金塗装(骨格に至らない表層的修理)
ただし、これらの作業であっても、実際には骨格にまで歪みや切開が及んでいた場合は修復歴となり得ます。

判断は現車の実見・測定で行われます。

「未修理の骨格損傷」の扱い
用語上「修復歴」は修理の履歴を指すため、厳密には「骨格損傷があるが未修理」の車は「修復歴あり」とは言い切れません。

しかし流通実務では、安全性に直結するため「骨格損傷あり(修復歴相当)」として修復歴車と同等に表示・告知の対象にする基準が普及しています。

オークション規約や第三者検査のレポートでも「骨格損傷あり」は強い減点・告知義務の対象です。

事故歴とは何か(一般的・広義の概念)

– 概要
「事故歴」は、当該車が過去に交通事故やそれに準じる出来事(衝突、接触、転倒、脱輪、側溝落下、単独事故など)に関与した経歴そのものを指します。

保険会社への事故報告や警察への物損・人身事故届、エアバッグ展開、レッカー搬送歴なども含む「出来事ベース」の広い概念です。

範囲の広さ
事故歴は外板の小傷から大破まで幅広く、骨格に影響しない軽微な接触も含み得ます。

また水没(冠水)、火災、落雷、雹害などの「災害歴」も、一般消費者の言い方では「事故歴の一種」として語られることがあります。

ただし業界表示では「冠水歴」「焼損歴」等として別途告知区分が設けられることが多いです。

事故歴と修復歴の包含関係
事故歴があっても、骨格部位に及ばない損傷で済み、骨格の修理がなければ「修復歴なし」となり得ます。

逆に「事故歴の申告がなくても」骨格に手が入っていれば修復歴ありです(事故ではなく段差衝撃やリフトアップのミス等で骨格が歪む事例も理論上あり得ます)。

このため、両者は一致しません。

両者の違いと実務上の重要性

– 表示義務と価格への影響
中古車の表示・査定では、「修復歴の有無(骨格部位修復の有無)」は最重要項目のひとつです。

修復歴あり(または骨格損傷あり)は安全性・耐久性・直進性等への潜在影響が大きいため、相場で大きく減価(車種や損傷部位・修復品質にもよりますが、同条件比較で2~3割以上の差がつくこともあります)。

一方、「事故歴(軽微)」で、外板交換やエアバッグ未展開、骨格未介入のケースでは、価格影響は限定的なことが多いです。

安全性・リスクの観点
修復歴のうち、ピラーやフロア、ストラットタワーなどに及ぶと衝突安全・ボディ剛性・アライメントが長期的に不安定となるリスクが高まります。

修復品質やジグ修正の精度、溶接方法、防錆処理の良否で差が出ます。

事故歴のみ(たとえばバンパー交換+塗装)では、適切に直っていれば安全性への影響は限定的です。

用語の混同と表示の実務
「事故車」という俗称は曖昧で、消費者は「事故車=修復歴あり」と受け取る一方、販売側は「事故はあったが修復歴なし(骨格不介入)」と説明する場面があり、誤解の温床です。

業界はこの曖昧さを避けるため、「修復歴の有無」「冠水歴の有無」「焼損歴の有無」「メーターの改ざん・交換歴」等の個別事実で表示するルールを整備しています。

具体例での対比
・フロントバンパーとボンネット交換のみ(骨格に波及なし)→事故歴はあり得るが、修復歴なし。

・右フロントインサイドパネルの引き出し修正+ラジエータコアサポート溶接交換→修復歴あり(骨格部位介入)。

・リアドアと外板の板金塗装のみ→事故歴はあり得るが、修復歴なし。

・冠水により室内フロアまで浸水、配線交換(骨格修理なし)→修復歴には直結しないが、冠水歴として重要事実の告知対象。

・エアバッグ展開あり、外板交換中心、骨格測定で歪みなし→事故歴ありだが、修復歴はなしと判断されることがある(検査で骨格の歪み・修正痕がなければ)。

根拠(規約・基準・第三者検査)

– 自動車公正取引協議会の「中古自動車の表示に関する公正競争規約・同施行規則・表示ガイドライン」
消費者庁および公正取引委員会の認定を受けた業界ルールで、中古車の広告・表示に関する用語や告知事項が定められています。

ここで、修復歴車は「車体の骨格部位に損傷があり、当該部位に修理・交換等が行われたもの(ボルト・ナットによる単純脱着の外板等は含まない)」といった趣旨で整理されています。

また、冠水歴・焼損歴・メーター改ざん等の重要事項についても、告知の対象とする方針が示されています。

これらは景品表示法(不当表示の禁止)に照らして実務の標準になっています。

日本自動車査定協会(JAAI)の「中古自動車査定基準」
査定士が用いる基準書において、修復歴車の判定基準と骨格部位の範囲、減点・評価方法が具体的に定義されています。

例えば、ピラー・ルーフ・フロア・フレーム・インサイドパネル・ダッシュパネル等の骨格への修正・交換が確認できる場合は修復歴車として扱い、ボルトオン外板の交換は修復歴としない、などの原則が明文化されています。

第三者検査機関の基準(AIS、JAAAなど)
オークションや小売で広く用いられる第三者検査でも、上記の考え方に準拠した「骨格部位の定義」と「修復歴の判定手順」が採用されています。

ラジエータコアサポートはボルト脱着のみなら対象外、スポット溶接の切開・修正は対象、といった細部の基準まで公開されていることが多く、各社の検査票に「骨格修復歴あり/骨格損傷あり/修復歴なし」と明確に記載されます。

オートオークション規約
業者間のオークションでも、出品票に「修復歴」の有無と対象部位の告知が義務化され、発見時のクレームルール(告知漏れ時の返品・精算)が厳格に運用されています。

ここでも骨格部位の定義は上記団体の基準と整合しています。

実務上の見分け方・注意点

– 車検証では分からない
修復歴・事故歴は車検証(自動車検査証)に記載されません。

販売店の告知、第三者検査(AIS・JAAA等)、査定士のレポート、整備記録簿、修理見積・請求書、オークション出品票の履歴、損保会社の修理記録などから総合判断します。

現車確認のポイント
・各ピラーやフロア、ダッシュ・インサイドパネル周辺の溶接跡、シーラーの打ち直し、不自然な塗装肌、測定治具跡
・ストラットタワーの波打ちやスポット増し打ち
・ラジエータコアサポートの切開痕
・アライメント不良、走行時の直進性・異音・タイヤ偏摩耗
これらは骨格介入の痕跡として重視されます。

ディーラーや販売店の表示
「修復歴なし」は骨格に介入なしを意味しますが、「事故歴なし」とはイコールではありません。

重要事項説明で「修復歴の有無」「冠水歴の有無」「焼損歴の有無」「エアバッグ展開歴の有無」など、個別に確認するのがおすすめです。

まとめ

– 修復歴=骨格部位に及ぶ損傷があり、当該部位が修理・交換等された履歴(未修理でも骨格損傷は修復歴相当として厳重に扱われる)。

– 事故歴=過去の事故・トラブルの事実そのもの。

軽微な接触から大破・災害まで幅広いが、骨格に及ばなければ修復歴にはならない。

– 業界の表示や価格、品質評価では「修復歴(骨格介入)」が分水嶺。

安全・相場・再販性に直結するため、第三者検査や基準に基づく告知が徹底されている。

– 根拠は、自動車公正取引協議会の公正競争規約・表示ガイドライン、日本自動車査定協会(JAAI)の査定基準、AIS/JAAA等の第三者検査基準、オートオークションの告知・クレーム規約など、業界全体で整合したルールに基づくもの。

最後に、各団体の基準は改定されることがあり、モデルや構造(モノコック/ラダーフレーム、EVのバッテリーケース周り等)の進化で適用範囲が細かく更新される場合があります。

購入時には最新の表示ガイドラインと第三者検査票を確認し、疑問点は「骨格のどの部位にどんな修理が入ったか」を具体的に質問するとよいでしょう。

修復歴は中古車の価格や安全性・走行性能にどのような影響を与えるのか?

以下は、日本の中古車市場でいう「修復歴」が価格、安全性、走行性能にどう影響するかの整理と、その根拠となる考え方・業界基準・実務の観点です。

結論から言うと、修復歴は中古車価格を一般に下げ、また安全性・走行性能には修理の質次第で無視できない影響が出ます。

適切な工程・設備・部品で工場出荷レベルに近い修復が施されていれば実用上の問題が小さいケースもありますが、「見た目は直っている」だけでは判断できず、記録・計測・保証の裏付けが重要です。

1) 修復歴とは何か(定義の根拠)
– 日本の中古車業界では、自動車公正取引協議会の「中古自動車の表示に関する公正競争規約」や検査機関(AIS、JAAA、JAAIなど)の基準に基づき、車両の「骨格部位」に損傷があり、その修理・交換が行われた場合に「修復歴あり」と表示することが求められます。

– 骨格部位とは、ラジエータコアサポート、クロスメンバー、フロント/リアインサイドパネル、ピラー、ダッシュパネル、フロア、サイドメンバー(フレーム)、ルーフパネル、トランクフロア等の車体剛性や衝突安全に関わる主要構造を指します。

ドアやフェンダーのような外板の単純交換だけでは通常「修復歴」にはなりません。

– オークションでは修復歴車は評価点R(またはRAなど)で扱われ、非修復歴車(点数評価)と明確に区別されます。

これが後述の価格差の根拠の一つです。

2) 価格への影響
– 一般的な相場観として、同年式・同走行・同条件で比較した場合、修復歴ありは修復歴なしに比べて1〜3割程度安くなることが多く、内容が重い(骨格複数箇所、切継ぎ・加熱を伴う、高価なエアバッグ類の作動歴を含む等)と3〜5割以上下がることも珍しくありません。

年式が新しい・人気の高い車種ほど下落率が大きくなる傾向があります。

これは業者オークション(例 USS等)でのR評価車の落札相場が非修復評価車に比べて一段低く形成されやすいことや、小売段階でも販売店・保証会社・金融機関の取り扱いが慎重になることによる市場構造的な価格差が背景です。

– 下落の理由(根拠)
– 将来の再販売リスク(下取りが弱い、次の買い手の裾野が狭い)
– 保証・ローンの制限(延長保証の適用範囲が狭まる、事故・修復部位に起因する不具合は免責など)
– 実害リスク(足回り・骨格の微小な歪みや溶接品質差による不具合・異音・錆進行など)を価格に織り込む必要
– 例外的に、希少車や改造前提のスポーツモデルでは修復歴の価格影響がやや緩むケースもありますが、一般的には修復歴を理由に相応のディスカウントが常態化しています。

3) 安全性への影響
– 衝突安全性能(根拠 車体工学・メーカー修理基準)
– 乗用車の衝突安全は、クラッシャブルゾーンでのエネルギー吸収とキャビン保持(強固な乗員セル)という前提設計で成立しています。

骨格部位の修理は、このエネルギーの経路と吸収量、剛性バランスに影響を与え得ます。

– 高張力鋼・超高張力鋼(AHSS、UHSS)の採用比率が高い現行車では、製造時のスポット溶接・ボンド・ろう付け・ホットスタンプの条件が厳密で、メーカー修理書に沿わない加熱や切継ぎは金属の機械特性を劣化させ、想定通りの潰れ方にならないリスクがあります。

– 受動安全デバイス(エアバッグ・シートベルト)
– 衝突時に作動したエアバッグ、プリテンショナーは交換が必須で、制御ユニット(SRS ECU)の診断・交換、各センサーの取り付け角度・トルク・結線状態がメーカー規定に合致している必要があります。

不適切な修理は作動遅れ、誤作動、非作動のリスクを高めます。

– ADAS(先進運転支援)とセンサー校正
– ミリ波レーダー、前方カメラ、超音波センサー、ステレオカメラ等はミリ単位の取付精度と校正を要します。

フロント周り(コアサポート、バンパービーム)やガラス交換後に適切な静的・動的キャリブレーションを行っていないと、自動ブレーキやレーンキープの精度低下・誤警報が発生し、安全性低下につながります。

– 車検との関係
– 車検は基本性能の適合性(灯火器、制動、排ガス等)を見るもので、衝突時の再現的安全性やメーカー修理手順の完全準拠までは担保しません。

よって「車検に通っている=衝突安全も新車同等」とは限りません。

4) 走行性能・耐久性への影響
– アライメント・直進性・タイヤ摩耗
– サブフレーム、ストラットタワー、メンバー、トーコントロール関連が微妙に歪むと、四輪アライメントが規定値に収まらない、もしくは数値は入ってもハンドルセンターが出ない、直進時に取られる、偏摩耗が出る等の症状が起こります。

これらは長期的に乗り味の悪化・タイヤ/サスペンションの早期摩耗につながります。

– ボディ剛性・NVH(騒音・振動・ハーシュネス)
– 溶接ピッチやスポット数、構造用接着剤・シーラーの再現性が低いと、きしみ音、雨漏り、風切り音の増加、段差でのボディ共振などが生じやすくなります。

剛性低下は操縦安定性にも影響します。

– 冷却・空調・電装
– コアサポートや冷却系を含む修理で、ラジエータ・コンデンサ・ファンシュラウドのクリアランス、ダクトシールが不十分だと、渋滞時の水温上昇やエアコン効きの低下に繋がります。

衝撃で配線やアースが傷んでいると、断続的な電装不良の温床になります。

– 腐食(錆)
– 防錆下地(電着塗装層)の欠損、シーラーの未施工・不良施工、裏面防錆不足は数年スパンでの錆発生リスクを高め、再度の板金や下取り評価の悪化につながります。

特に積雪・融雪剤地域では顕著です。

5) 影響の大小を左右する要因(重要)
– 修理の質 メーカー修理書準拠、三次元測定(ボディベンチ/ジグ)を用いたフレーム修正、純正新品部品の使用、スポット溶接条件の再現、構造用接着剤・シーラーの適正施工、ADAS校正の実施、SRSの正規交換・診断記録等。

– 事故の態様 低速の軽微な追突と、高速域の前後大破・ねじれを伴う事故ではリスクが全く異なる。

左右対称部位の同時損傷やフロア・ピラー・ルーフに及ぶ損傷は重いシグナル。

– 記録と保証 修理見積書/写真/計測表の保存、修理工場の認証(特定整備認証、メーカー認定工場等)、修復部位に対する保証の有無・期間が安心材料になります。

6) 実務での根拠・データの所在
– 定義・表示義務 自動車公正取引協議会の規約およびAIS/JAAA等の検査基準で「修復歴」の対象部位が明示されています。

これに沿って販売店は表示する義務があり、業者オークションも評価基準を共有しています。

– 相場差 業者オークションでは評価点R(修復歴あり)区分が存在し、非修復歴(評価点3.5〜5など)に比べ平均落札価格が低く推移することは実務として広く認識されています。

具体的な下落幅は車種・状態で変わりますが、先述の1〜3割、ケースによってはそれ以上の差は業界の経験則に合致します。

– 安全・性能 自動車メーカーのボディ修理書は部位ごとの切断禁止・加熱禁止・補強材交換手順・スポット数・溶接電流等を厳密に規定し、ADAS校正を必須作業として指示しています。

これらに反した修理は設計性能を再現できないという工学的な根拠があり、国交省の「特定整備」制度(電子制御装置整備の認証)創設もADASの適正校正が安全に不可欠なことを制度面で裏付けています。

7) 購入検討時の実践チェックポイント
– 書類・履歴
– 修理見積書・写真(作業前中後)、三次元計測データ、使用部品(純正/社外/中古)、SRS交換・診断記録、ADAS校正記録、塗装保証の有無
– 目視
– シーラーの塗り跡の新旧差、スポット溶接痕の不均一、塗膜の肌・ミスト、パネル隙間の左右差、ボルト頭の回し跡、溶接焼け、下回りの折れ・波
– 測定・試走
– 四輪アライメント測定(トー・キャンバー・キャスター・スラスト角)、ハンドルセンター、直進安定、異音、制動時の片効き、タイヤの偏摩耗、ADAS作動の自然さ
– 第三者検査
– AIS/JAAA等の第三者検査、信頼できる板金工場でのリフトアップ点検、事故車に精通した査定士の意見
– 価格とリスクの釣り合い
– 値引き幅がリスクと将来の売却不利(再販価格低下)に見合うか、延長保証やメンテ費用の上振れを加味して総所有コストで比較する

8) どういう場合に「買って良い修復歴」になり得るか
– 軽微な骨格端部(例 コアサポート単独の軽微変形)で、三次元計測で基準内に復元済み、純正手順遵守、修理記録が完備、アライメント・ADAS校正に問題なし、販売店が修復部位に保証を付ける場合は、実用上のリスクは比較的小さく、その分の価格メリットが魅力になり得ます。

– 逆に、ピラー/フロア/ルーフ等、キャビン保持に関わる部位の損傷・切継ぎ、複数骨格部位の損傷、左右非対称の大きな歪み、修理記録がない、ADASやSRSの処置が曖昧、アライメントで違和感が残る、といった条件が重なる車両は避けるのが無難です。

まとめ
– 修復歴は中古車価格を一般に下落させ、売買・保証・融資の面でも不利に働くのが相場の現実です。

安全性・走行性能に関しては、骨格部位の修理は衝突エネルギー吸収や車体剛性、SRS・ADASの正確な作動に影響し得るため、修理品質と記録の有無が極めて重要です。

– 根拠は、日本の表示規約・検査基準(修復歴の定義と表示義務)、オークションの評価・相場形成(R評価の存在と価格差)、メーカー修理書と特定整備制度(正しい修理・校正の必要性)にあります。

– 修復歴車を選ぶ場合は、値段だけで判断せず、修理の質を裏付けるエビデンス(計測・写真・校正・保証)と現車の走行チェックを重視し、将来の下取り価格まで含む総所有コストでの意思決定が賢明です。

修復歴の有無を見極めるにはどこをチェックし、どんな資料を確認すべきか?

ご質問の「修復歴の有無を見極めるにはどこをチェックし、どんな資料を確認すべきか」について、実車確認の具体的チェックポイントと、裏付けとなる資料・制度、そしてそれらの根拠をまとめて詳述します。

ここでいう修復歴は、日本の中古車業界で一般に用いられる「車体の骨格部位に損傷が生じ、修正・交換などの修復がなされた履歴(修復歴車)」を指します。

ドアやボンネットなど外板の交換・塗装だけでは修復歴には当たらず、骨格(構造)まで損傷・修復が及んだかが判断の分かれ目です。

1) 修復歴の定義と判断の基礎
– 業界定義の概要
– 日本自動車査定協会(JAAI)、AIS、JU、オートオークション各社の検査基準や、自動車公正取引協議会が関与する中古車の表示に関する公正競争規約・運用細則では、「車体の骨格部位(フレーム/サイドメンバー、クロスメンバー、インサイドパネル、ピラー(A/B/C)、ダッシュパネル、ルーフパネル・ルーフサイドレール、サイドシル(ロッカーパネル)、フロアパネル、トランクフロア、バックパネル、ストラットタワー等)に損傷を受け、修正・交換などの修復がある車」を修復歴車とします。

– 外板(ボンネット、フェンダー、ドア、トランクリッド、バンパー)の交換・板金・再塗装のみは通常「修復歴」には該当しません。

ただし骨格に準ずる部位(例 バックパネルやラジエータコアサポート)は各検査団体で扱いが若干異なり、溶接構造や損傷の大きさ・取付方法次第で修復歴とされる場合があります。

– 根拠のポイント
– これらの基準は、中古車の表示の適正化(景品表示法に基づく公正競争規約)や、第三者検査の統一性・客観性を担保するために整備されています。

オークション評価のR/RA、第三者鑑定(AIS、JAAA、Goo鑑定等)でも骨格修正の有無が最重要要素として扱われます。

2) 現車でのチェックポイント(外観〜試乗)
専門設備がなくても、以下を一つずつ見ることで、修復歴の可能性を高めたり下げたりできます。

可能ならLEDライト、点検鏡、塗膜厚計(膜厚計)、OBD診断機を用意すると精度が上がります。

外装(外板・塗装)
– パネルのチリ・段差・面のうねり
– ボンネット/フェンダー/ドア/トランクの隙間が左右で不均一、面がうねる、折り目が甘いのは脱着・板金の痕跡。

骨格に損傷が及ぶとアライメントが崩れやすい。

– 塗膜厚の不整合
– 工場塗装は概ね80〜150μm程度が多く、再塗装は180〜300μm超、パテ厚は400μm超に達しがち。

複数部位で極端な厚みや左右差があれば再塗装/板金の可能性が高い(膜厚計の測定値に基づく経験則)。

– 塗装肌・マスキング跡・オーバースプレー
– 工場塗装は肌が均一。

補修塗装はオレンジピールの質感差、艶の違い、モールやゴムへの飛び散り、端部の段差が出やすい。

エンジンルーム
– ストラットタワー、フロントインサイドパネル(エプロン)、サイドメンバー
– 波打ち、折れシワ、引っ張り跡、チッピングの不自然な再塗装、スポット溶接痕の不均一(ピッチ違い・ドリル跡)は骨格修正の典型。

– ラジエータコアサポート、アッパータイバー
– 新旧混在、溶接痕、塗装の新旧差。

前周り大破の修理痕が出やすい部位。

– ボルト類の回し跡とマーキング
– フェンダー・ヒンジ・バンパービームのボルト頭の塗装割れ/工具痕、工場出荷時のトルクペイント(黄や白のマーキング)がずれている・消えていると脱着の可能性。

– 補機類の年式・純正度
– ラジエータ、コンデンサー、ファンシュラウド等が新しいのに周囲は古い、メーカー刻印や年式コードの不一致は前回り修理の手がかり。

トランク・リアまわり
– トランクフロア/バックパネル/スペアタイヤハウス
– パテ痕、シーラーの手打ち感、溶接痕、塗装の質感差、排水穴ゴム栓の脱着痕。

後方からの追突修理で痕跡が残る。

– テールランプやリアガーニッシュの年式・刻印
– 片側だけ新しい、製造年コードが車齢より新しい場合は交換歴。

室内
– フロアカーペット下・シートレール
– めくれる範囲で錆・歪み・再塗装・配線テープ巻き直しの痕跡。

強い衝撃や冠水があると錆の出方が不自然。

– ダッシュパネル付近
– ダッシュ交換や強い前衝突では、配線ハーネスの固定クリップ、吸音材の切れ、ボルトマーキングの不一致が出やすい。

– SRS(エアバッグ)
– 警告灯の自己診断で消灯するか。

ステアリングやダッシュのエアバッグカバーの色艶違い、シートベルトプリテンショナーの交換痕や製造ラベル年式の差異。

診断機でクラッシュデータ履歴が読めることもある。

下回り
– サブフレーム・クロスメンバー・ロッカーパネル
– 曲がり、座屈、パウダーコートの割れ、増し塗り。

牽引フックの曲がりも要注意。

– サスペンション取付部
– 偏芯ボルトの位置が左右で極端、ブッシュの偏摩耗、ボルトに回し跡。

サブフレームの位置調整跡。

– 排気系・フロア
– 新旧差の大きい部品や不自然なアンダーコートの再塗装で溶接・板金痕を隠している例。

ガラス・ライト・ラベル類
– ガラス刻印(DOTやメーカー刻印)と年式コード
– 全面同年式が自然。

部分的に新しければ交換歴。

飛び石ではなく複数面交換は事故の可能性。

– ヘッドライト/テールライトの製造コード、シートベルトのタグ年式、エミッション/空気圧ラベルの貼り替え痕なども整合性の確認材料。

走行テスト
– 直進性・ステアリングセンターズレ・ブレーキ時の引き・振動
– 骨格歪みや足回りの損傷・アライメント狂いの兆候。

– 異音
– サスペンションの打音、ギシギシ音。

組み付け精度低下や溶接部の歪みで出やすい。

– タイヤの偏摩耗(片減り・フェザーエッジ)
– 長期的なアライメント不良の証拠。

3) 書面・資料での裏取り
実車の状況と書面を突き合わせると精度が上がります。

重要度の高い順に挙げます。

第三者検査の鑑定書・検査表

AIS、JAAA、Goo鑑定、JU検査、AUCNET等の検査結果。

骨格判定(修復歴の有無)と、修正・交換部位の特定が明記される。

オークション出品票では評価点(R/RA含む)と「修復歴有」の告知が基本。

根拠 これらは標準化された検査基準に基づき、骨格損傷・修復の判定を行う公正な第三者の記録。

点検記録簿・整備手帳(メンテナンスノート)

定期点検・車検時の記録。

大きな修理や部品交換が記載される場合がある。

記載が途切れない連続性も信頼性を高める。

修理見積書・請求書・板金塗装明細

交換部品名(例 フロントインサイドパネルASSY、サイドメンバー、ピラー補強等)、作業内容(鈑金修正、溶接、フレーム修正機使用など)が明記。

骨格部位の記載があれば修復歴を裏付ける一次資料。

保険会社の事故関連資料

交通事故証明書(自動車安全運転センター発行)は事故の事実確認に有用。

支払い明細や修理写真が残っていれば修理範囲の特定に役立つ。

ディーラーDMSの整備履歴開示

正規ディーラーでの入庫履歴。

VINで追跡できる場合がある(個人情報やポリシーにより開示範囲は限定)。

アライメント測定結果(ホイールアライメントシート)

キャンバー/キャスター/トーのBefore/After。

調整範囲を外れる・調整で収まらない場合は骨格の歪みが疑われる。

OBD診断レポート

SRS(エアバッグ)やABS、ボディ制御の故障履歴。

クラッシュデータやプリテンショナー作動履歴が残る車種もある。

販売店の告知書・適合規約への加入状況

自動車公正取引協議会会員店や認証工場・指定工場であれば、修復歴の告知義務や表示基準に従っているか確認しやすい。

告知書面(修復歴の有無、交換・修正部位の明細)があると信頼度が上がる。

写真記録

オークション時の出品画像、修理前後の写真。

文章だけでなく視覚的な裏付けになる。

4) 実務的な進め方(チェック順のおすすめ)
– 事前情報の収集
– 販売店に「修復歴の有無」「第三者検査の有無」「点検記録簿の有無」「オークション履歴の有無」を質問。

可能なら書面での回答を依頼。

– 現車の静的チェック
– 外装→エンジンルーム→トランク→室内→下回りの順で、前述の痕跡を体系的に確認。

矛盾点をメモ。

– 試乗
– 直進性、異音、ブレーキ挙動を確認。

試乗後にタイヤ摩耗も再確認。

– 診断・計測
– 膜厚計で左右複数ポイントを測る。

簡易OBDでSRS/ABSのDTCを読む。

可能ならアライメント測定を依頼。

– 書面の裏取り
– 鑑定書・検査表・整備記録・修理明細の原本を確認。

部位名と現車の痕跡に整合性があるかチェック。

5) よくある見落としと注意
– ラベル・年式コードの不一致
– ガラス、ライト、シートベルト、ラジエータなどの年式コードは地味だが強い示唆。

片側だけ新しい場合は事故交換の可能性。

– 過剰なアンダーコート
– 下回りの厚い再塗装は溶接痕隠しのことがある。

均一性と養生跡を確認。

– 水没・冠水歴は別枠
– 修復歴の定義には含まれなくても重大欠陥。

フロア下の泥、シートレール錆、シート下配線の腐食・青錆、室内のカビ臭なども併せて確認。

– 純正シーラーと手打ちシーラーの違い
– 工場はロボットで均一な幅とリズム。

補修は蛇行や途切れが出やすい。

6) これらのポイントの根拠(なぜ有効か)
– 製造工程の均一性
– 工場出荷時は溶接ピッチ、シーラー形状、塗膜厚、ボルトマーキングが均一。

事故修理では同品質の再現が困難で、不均一さが痕跡として残る。

– 構造部位の役割
– ピラーやフロア、メンバーは車体剛性・クラッシャブルゾーンを担う。

ここに修正・交換が入ると、アライメントや剛性に影響し、走行直進性やタイヤ摩耗に反映される。

– 検査基準の収斂
– JAAI/AIS/JU/オークション各社の判定基準は市場の透明性確保のため長年運用され、骨格修復の有無を最重要視している。

第三者検査書類が強い根拠になるのはこのため。

7) プロに依頼すべきケース
– 重大事故を疑う痕跡が複数見つかる、試乗で真っ直ぐ走らない、SRSの履歴が不自然、下回りに大きな歪みがある場合は、認証工場や板金工場でのリフトアップ点検、フレーム計測機による測定、詳細なアライメント計測を推奨します。

費用はかかりますが、購入判断の精度が大きく向上します。

8) まとめ
– まずは骨格部位に修正・交換があるかに注目し、外観の整合性、溶接・シーラー・塗装の質、ボルトや部品の年式整合、走行挙動を総合評価する。

– 書面は第三者検査の鑑定/検査表、点検記録簿、修理明細、保険資料、アライメントシート、OBD診断など複数を突き合わせる。

– 根拠は業界の統一基準(JAAI、AIS、JU、公正競争規約)と、工場製造の均一性・自動車構造力学に基づく痕跡の一貫性にあります。

以上を踏まえれば、単一のサインに頼らず、痕跡と資料の整合性で「修復歴の有無」を高い精度で見極められます。

購入前に可能な範囲で第三者の検査と書面の裏取りを行うことを強くおすすめします。

修復歴車を購入・売却する際、価格交渉や保証のポイントは何か?

以下は日本国内の中古車市場を前提に、修復歴車(骨格部位に損傷・修理のある車)を購入・売却する際の、価格交渉と保証に関する実務的なポイントと、その根拠・背景です。

法律・規約の一般知識と業界慣行に基づく情報で、最終判断は契約書と個別条件をご確認ください。

1) 修復歴車の基礎認識(交渉の前提)
– 修復歴の定義 フェンダーやドアなどのボルト止め外板の交換は含まず、フレーム・サイドメンバー・ピラー・フロア・クロスメンバー・ダッシュパネル・ルーフレール等「骨格部位」やその取付部に損傷・修理がある車が「修復歴車」です。

これに該当するか否かで市場価値・保証可否が大きく変わります。

– 市場価格の傾向 同年式・同走行・同グレード比で、軽微な修復歴ならおおむね10〜20%安、骨格部位の大規模修理・複数箇所・歪み残り等があると25〜40%超のディスカウントが相場観です。

人気車種は下げ幅が縮み、輸出需要が強い車は別挙動もありえます。

– 再販・下取りへの影響 買うときの割安分以上に、売るときの買い取りが渋くなる(査定減点が大きい)傾向が強く、長期保有でも残価面のリスクを織り込む必要があります。

2) 購入時の価格交渉ポイント
– 価格根拠を可視化する
– 第三者評価書の提示を求める(AISやJAAAの鑑定書、オークション評価表)。

修復箇所・方法(交換/修正/切継ぎ)、作業の品質、評価点を確認。

– 四輪アライメント測定記録(入庫前/納車前)を提示要求。

基準値内で安定しているか、左右差・ハンドルセンターのズレを確認。

ズレがある場合は調整・関連部品の交換まで価格に織り込む。

– 修理見積・工程写真・フレーム修正機での計測記録があれば提示を依頼。

工場の認証(特に指定/認証工場)や部位ごとの作業内容が明確だと安心材料。

– 値引きの基準線
– 非修復歴の相場(同条件のGoo-net/Carsensor掲載価格、業者オークション相場)からの差額で交渉する。

軽微(例 コアサポート単体交換)なら最低10%減、骨格溶接やピラー・サイドメンバー修理は20〜30%減を目安に「相場×減額理由×整備条件」で具体化。

– 車検・タイヤ・ブレーキ・消耗品・アライメント調整・ホイールバランス等の納車整備を価格に含めるか、別建てならその分を追加値引き要求。

– 付帯で埋められがちな「値引き代替」(コーティング・ドラレコ・保証延長)は、金額換算し、現金値引き優先か付帯優先かを自分で選ぶ。

残価リスクが大きい車は現金値引きを厚めに。

– 交渉フレーズ例
– 「修復歴ありの再販リスクとアライメントの維持費を考慮し、非修復歴相場の◯%ダウン+2年保証(骨格由来の不具合を含む)を条件に検討したい」
– 「納車前に四輪アライメントとサスペンションブッシュ類の点検・必要分交換を価格内で対応してほしい。

難しければ◯万円の値引きで合意したい」
– 避けたいリスク部位
– A/B/Cピラー・サイドメンバー・フロア・ルーフレールの切継ぎや大変形履歴は、剛性・直進性・静粛性・雨漏りリスクが残ることが多く、強い値引きか見送りが無難。

3) 購入時の保証・契約のポイント
– 契約不適合責任(民法)と告知義務
– 店舗販売でも、契約内容と異なる重大な不適合(未告知の修復歴など)があれば、修補・代替・解除・損害賠償を請求し得ます。

修復歴の有無は「重要事項」なので、表示・説明が契約書・車両状態記録簿に明記されているか確認。

– ディーラー/販売店の保証条件
– メーカー系認定保証は原則「修復歴車は対象外」。

一般店の販売保証や有料延長保証も「骨格・事故由来・足回り/アライメント・ボディ雨漏り・異音」は免責が多い。

ここが最大の落とし穴。

– 対策として、保証書に「骨格・事故起因不具合の扱い」を明記させる。

最低でもステアリング流れ・異常摩耗・雨漏り・溶接部のクラック・電装不具合(事故起因と争いになることが多い)の扱いを具体化。

– 初期不良の無償期間を明確化(例 30〜90日/3000〜5000km)。

口約束でなく記載させる。

– 返品・クーリングオフ誤解
– 店舗での任意購入は原則クーリングオフ対象外。

販売店独自の返品制度があるか契約前に確認。

– 車両保険と時価
– 修復歴車は事故時の「時価額」評価が低めに出やすい。

車両保険金額の設定や免責を再確認し、総保有コストへ織り込む。

4) 売却時の価格交渉ポイント
– 正直な開示が最善の値決め戦略
– 未開示で高値を狙うと、実車査定や板金測定でほぼ露見し減額・キャンセルのリスクが上昇。

最初から修理明細・写真・アライメント測定書を揃え、「適正修理・直進性良好」を示した方が最終手取りは上がりやすい。

– 売却チャネルの選び分け
– 事故車・修復歴車の専門買取店や輸出向け需要のある業者オークションに強い業者へ。

一般店の一括査定は最初の見積が高くても、現車確認で大幅減額されやすい。

– 価格の作り方
– 「非修復歴の業者相場 − 修復歴減(10〜30%) − 修理の質に応じた加減点」で話を組み立てる。

修理品質の証拠があると減点幅を圧縮できる。

– 早期売却が有利。

季節・決算期(3月・9月)やモデルチェンジ前なども価格形成に影響。

– トラブル回避
– 査定申告書に修復歴の有無と範囲を正確に記入。

売買契約書にも明記。

後日の「契約不適合」争いを防止。

5) 実務チェックリスト(購入時)
– 書類・記録
– AIS/JAAA等の第三者評価書(修復部位と方法の明記)
– 四輪アライメント測定書(入庫時/納車前)
– 修理見積・工程写真・計測記録(可能なら)
– 車両状態記録簿(公取協様式)で「修復歴あり」と部位が明記
– 保証書 対象部位・免責・期間・走行上限・初期不良対応・ロードサービス
– 現車確認
– 直進時のハンドルセンター・ブレーキ時の片効き・段差での異音・左右タイヤの片減り
– パネルのチリ・塗装肌・シーラー跡・溶接跡・水漏れ(トランク/ルーフ/フロア)
– 交渉条件の文言化
– 値引き額だけでなく、「納車前整備の具体項目」「再調整の無償期間」「骨格起因不具合の扱い」を文章で残す

6) 実務チェックリスト(売却時)
– 事前準備
– 修理明細・写真・アライメント測定書をセットで用意
– 自社修理なら工場の資格(認証/指定)を提示
– 査定時
– 先に修復歴を申告し、良好な直進性・消耗品の状態・整備履歴を強調
– 複数社比較。

専門業者と一般買取での差を把握
– 契約
– 修復歴の範囲を契約書に明記し、後争い(契約不適合)を防止

7) 根拠・背景となる基準・規約・慣行
– 定義・表示義務の根拠
– 一般社団法人 日本自動車公正取引協議会(公取協)の「中古自動車の表示に関する規約・施行規則」では、修復歴の有無、走行距離等の重要事項表示を求めています。

表示が不適切だと景品表示法上の問題ともなり得ます。

– 修復歴の判定基準は、業界ではオークション会場やAIS/JAAAの評価基準、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)の査定基準(骨格部位の損傷・修理で修復歴車扱い、査定減点が大きい)に整合しています。

– 価格差の慣行
– 業者オークションの評価点・修復歴有無による相場は恒常的に差があり、軽微で約10〜20%、骨格大修理では25〜40%程度のディスカウントが一般的という市場実務が蓄積されています(車種・需要で変動)。

– 契約・保証の法的枠組み
– 民法の契約不適合責任(2020年改正)により、重要事項の不一致(未告知の修復歴等)があれば買主は修補・代替・代金減額・解除・損害賠償を請求し得ます。

期間や通知義務は契約で調整されることが多いものの、BtoCでは消費者契約法により、事業者の故意・重過失に関する損害賠償責任を全面免責する条項などは無効となります。

– 多くの延長保証は約款で「事故・修復歴起因の不具合」「骨格・足回り・アライメント・雨漏り・異音」を免責としており、ここは購入時の交渉と書面化が不可欠です。

– メーカー系認定中古車
– 多くのメーカー認定制度は「修復歴なし」を認定条件としており、修復歴車はそもそも対象外(よって同等の長期保証は付きにくい)。

この差が市場価格差の一因です。

8) まとめ(戦略の骨子)
– 購入側 「適正な値引き+アライメント・初期不良・事故起因不具合の取り扱いを保証書に明記」が肝。

数万円の付帯より、将来の残価と足回りの安定性に効く条件を取る。

– 売却側 「正直な開示+修理品質の証拠」で減点幅を圧縮。

専門チャネルでの競争入札を活用し、早期に売り切る。

この流れで、価格は相場からのディスカウント根拠を具体化し、保証は曖昧な免責を可能な限りつぶすのがポイントです。

交渉は「金額だけ」でなく「条件セット(整備・測定・保証)」で組み立てると、修復歴車でも満足度の高い取り引きが実現しやすくなります。

修復歴の開示義務やトラブルを避けるための対策は何か?

前提の整理
日本で「修復歴」という言葉は、とくに中古自動車の取引で使われ、車体の骨格(構造)部分に損傷を受け、それが修理・交換された履歴を指します。

外板(ドア・ボンネットなど)の交換や軽微な板金塗装は「修復歴」に含めません。

一方、不動産の世界では一般に「修繕履歴」「改修履歴」と呼ぶことが多く、重要事項説明や告知義務の文脈で扱われます。

以下では主に中古車の修復歴を中心に、最後に不動産のポイントも補足します。

中古車の「修復歴」の定義と表示の基本

– 定義の要点
– 「修復歴車」とは、車体の骨格等の特定部位(例 フレーム(サイドメンバー)、クロスメンバー、ピラー(A/B/C)、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロア、トランクフロア、ラジエータコアサポート、フロント/リアインサイドパネル、サイドシル等)に損傷を受け、当該部位の交換・修理が行われた車両をいいます。

– 外板(フェンダー、ドア、ボンネット、バンパー等)やボルトオン部品の交換・修理のみで骨格に及ばないものは、通常「修復歴」には該当しません。

– 表示の基本
– 中古車の広告や店頭表示では、「修復歴の有無」を明確に表示することが求められます。

「修復歴なし」は「無事故」と同義ではなく、外板交換や軽微な修理歴はあり得るため、誤解のない説明が必要です。

– 第三者機関(AIS、JAAA、JAAI等)の車両状態評価書や鑑定結果を用いた客観表示が推奨されます。

修復歴の開示義務の根拠(中古車)

– 中古自動車の表示に関する公正競争規約・同施行規則(自動車公正競争規約)
– 公正取引委員会の認定を受けた「公正競争規約」(景品表示法31条に基づく業界ルール)として、自動車公正取引協議会が運用。

– 広告や店頭での表示事項に「修復歴の有無」が含まれ、虚偽・誇大表示の禁止、誤認されるおそれのある表示の禁止が定められています。

– 実務上、修復歴の定義・判定は、同規約や第三者評価基準(AIS/JAAA判定基準)に沿って行うことが一般的です。

– 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)
– 第5条に基づき、実際より著しく優良・有利であると示す表示(優良誤認・有利誤認)が禁止。

修復歴を隠して「無事故車」と誤認させる表示は違反に該当し得ます。

行政処分(措置命令)の対象となることがあります。

– 消費者契約法
– 第4条(不実告知・断定的判断の提供等)により、重要な事項について事実と異なる説明を受けた場合、消費者は契約を取り消せる可能性があります。

修復歴の不実告知は典型例。

– 第8条~第10条により、事業者の故意・重過失による損害賠償責任の全部免除など、消費者の利益を一方的に害する条項は無効。

例えば「現状有姿・一切免責・ノークレームノーリターン」などの包括免責は無効となり得ます。

– 民法(契約不適合責任)
– 2020年改正後の民法では、売買目的物が種類・品質・数量について契約内容に適合しない場合、買主は追完請求・代金減額請求・損害賠償・解除等を請求できます(民法第562条以下)。

「修復歴なし」という合意や表示が契約内容に取り込まれていた場合、実は修復歴があれば契約不適合に該当し得ます。

– 特定商取引法(通信販売・訪問販売等に該当する場合)
– オンライン販売等では、誤認を招く表示の禁止、返品特約の明示義務などが課され、虚偽・誇大表示には行政処分の可能性があります。

– 古物営業法
– 中古車販売業者は古物商許可・取引記録の保存が義務。

直接の修復歴表示義務を定める法律ではありませんが、適正取引の基盤になります。

トラブルを避けるための実務対策(売り手側)

– 仕入れ・査定段階
– 仕入れ時に骨格部位の損傷・修理の有無を入念に点検。

リフトアップ・測定器具の活用、溶接痕やシーラー、塗膜厚のチェックを行う。

– 第三者機関の査定・鑑定を取得し、車両状態評価書を保存・顧客に提示できるようにする。

– 表示・説明
– 広告・店頭・ウェブ掲載で「修復歴の有無」を明示。

ある場合は、どの部位・どの程度の修復か概要を記載。

– 「修復歴なし=無事故車」と誤解しないよう、「外板交換や軽微な修理はあり得る」等の補足説明を行う。

– 書面化・記録
– 重要事項確認書や状態表示シートに、修復歴の有無、説明内容、顧客の確認署名を残す。

– 納車前点検記録、整備明細、修理伝票、写真記録をファイリング。

一定期間(例 5~7年)保存。

– 契約条項の整備
– 契約書に「修復歴の定義」「表示の根拠(第三者評価等)」「虚偽判明時の対応(契約不適合 解除・代金減額・修補・損害賠償)」を明文化。

– 消費者契約法に抵触する包括免責は避け、合理的な保証範囲・期間(例 主要機関保証、骨格・安全性に関わる重大欠陥は個別対応)を設定。

– クレーム対応
– 事実確認を迅速に行い、第三者検査の再実施や返金・返品・修理等の選択肢を提示。

対応記録を残す。

– 社内体制
– 自動車公正競争規約の教育・遵守、広告審査フローの整備、苦情処理規程の運用。

トラブルを避けるための実務対策(買い手側)

– 質問・確認
– 「修復歴の有無」を口頭だけでなく書面で確認。

可能なら具体的な部位・内容・時期も聞く。

– 点検記録簿、整備・修理明細、第三者評価書の提示を求める。

– 現車確認・試乗
– 下回り・エンジンルーム・トランク内の溶接痕、シーラー不自然、パネルギャップ、塗膜厚の不均一、錆・歪みの有無を確認。

– 試走で直進性、振動、異音、ハンドルセンター、ADAS校正状況に注意。

– 第三者査定
– 購入前検査(出張査定サービスやディーラー点検)を活用し、骨格損傷の有無評価を得る。

– 契約書面
– 「修復歴なし」が契約内容であること、虚偽の場合の対応(解除・返金・損害賠償)を明記。

口頭説明は「合意書面」に反映。

– 通販・遠隔契約では返品特約・初期不良対応を事前確認。

– 認識ギャップの回避
– 「修復歴なし」は「新品同様」ではないことを理解し、外板交換や軽微修理の有無も納得してから契約する。

よくあるグレーゾーンと注意点

– 「事故歴」と「修復歴」の違い
– 事故歴は広い概念(接触・自損等)で、修復歴は骨格修復の有無に限定。

事故歴があっても骨格に達していなければ「修復歴なし」と判定され得ます。

この点は誤解の温床なので、説明時に用語の意味を明確に。

– 水没・冠水・腐食
– 水没歴は電装・安全性に重大影響を及ぼすが、骨格修理がなければ形式上「修復歴なし」になり得る。

水没・冠水・塩害・長期放置による腐食の有無は別途説明・開示するのが望ましい。

– メーター交換・巻き戻し
– 走行距離不明は価値に大きく影響。

修復歴と同列に、距離計改ざんや交換の事実は厳格に開示が必要(景品表示法、公正競争規約の観点)。

– 先進安全装備の校正
– 骨格損傷やバンパー交換後、ADASセンサーの再校正が必須。

校正履歴も説明・記録しておくとトラブル予防に有効。

不動産(建物)の修繕・改修歴に関する開示の要点(参考)

– 開示義務の枠組み
– 宅地建物取引業法第35条 宅建業者は契約前に重要事項説明を行う義務。

既存建物では、建物の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分の状況について、既存住宅状況調査(インスペクション)を実施した場合はその結果・実施の有無を説明。

– 宅建業法第47条 重要な事項について故意に事実を告げない等の不当な行為の禁止。

既知の重大な不具合や過去の大規模修繕・事故(雨漏り、白蟻被害、耐震補強や欠陥修補など)は実務上の告知対象。

– 民法(契約不適合責任) 合意内容と異なる品質・性能の場合、買主の追完・減額・損害賠償・解除などが認められる。

売主が宅建業者か個人かで責任の範囲・期間の慣行が異なるため、契約書で明確化。

– 消費者契約法 不実告知による取消し、免責条項の無効などは不動産にも準用。

– トラブル回避策
– 売主側 過去の修繕・改修の工事記録、図面、保証書、点検報告書、アスベスト・配管・耐震補強等の情報を収集・整理し、重要事項説明書・売買契約書の付随資料として提示。

– 買主側 インスペクションの実施、長期修繕計画(マンション)、管理状況、過去の漏水・雨漏り・傾き・地盤改良・火災・心理的瑕疵の告知書を精査。

疑義は質問書で書面回答をもらう。

まとめ

– 中古車の「修復歴」は骨格修理の有無が基準で、開示は業界規約(自動車公正競争規約)と一般法(景品表示法、消費者契約法、民法の契約不適合責任等)により強く要請・規律されています。

虚偽や不十分な説明は、取消し・解除・損害賠償・行政処分につながり得ます。

– 売り手は、第三者評価を活用した適正表示、丁寧な説明、書面化、記録保存、妥当な保証と迅速対応でリスクを低減できます。

買い手は、書面確認・現車確認・第三者検査・契約条項の明確化で防御力を高められます。

– 不動産では用語は異なるものの、重要事項の適切な告知と契約不適合責任の整理が肝要です。

主な根拠・参照先(法令・制度)
– 中古自動車の表示に関する公正競争規約・同施行規則(自動車公正取引協議会が運用、景品表示法31条に基づく認定規約)
– 景品表示法 第5条(不当表示の禁止)
– 消費者契約法 第4条(不実告知等による取消し)、第8~10条(免責条項の無効 等)
– 民法 第562条以下(契約不適合責任 追完、代金減額、損害賠償、解除 等)
– 特定商取引法(通信販売等における表示・返品特約の明示 等)
– 宅地建物取引業法 第35条・第47条(重要事項説明・不当行為の禁止)[不動産の場合の参考]

注記
– 実務の判定基準や表示方法は、第三者評価(AIS/JAAA/JAAI等)の最新基準や自動車公正競争規約の改定により運用が変わることがあります。

具体の案件では最新の規約・運用と、専門家(弁護士、行政機関、業界団体)の確認を推奨します。

【要約】
「修復歴」は骨格部位に損傷が生じ修理・交換・溶接等が行われた履歴(未修理でも骨格損傷は実務上告知)。外板交換のみは該当せず。一方「事故歴」は事故等の出来事全般で範囲が広い。両者は一致せず、中古車では修復歴の有無が価格・安全性に大きく影響し、軽微な事故歴のみは影響が小さい。骨格はフレームやピラー、フロア等を指し、第三者検査やオークションでも告知義務・減点対象。購入時は修復歴欄や検査記録で骨格介入の有無を確認することが重要。

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