電装系の保証でECU・オルタネーター・スターターはどこまでカバーされるのか?
前提と要点
– 本回答は日本国内で一般的に用いられている自動車の保証制度(新車メーカー保証、販売店の中古車保証、延長保証)を前提に、電装系の代表部品であるECU(電子制御ユニット)、オルタネーター、スターターがどこまでカバーされるかを整理したものです。
– 実際の適用は各社の保証書・約款が最優先です。
モデルや年式、使用条件(業務用等)で差が出ますので、最終的にはお手元の保証書(新車保証書・点検整備記録簿、延長保証約款、販売店保証規定)をご確認ください。
対象部品と典型的な故障
– ECU(電子制御ユニット)
– 役割 エンジン、AT、ABS、エアバッグ、ボディ電装などの制御中枢。
ソフトウェアとハードウェアで構成。
– 典型故障 内部回路不良、はんだクラック、基板腐食、フラッシュメモリ障害、ソフトウェア不具合。
症状はチェックランプ点灯、フェイルセーフ、始動不能等。
– オルタネーター(発電機)
– 役割 走行中に発電し12Vバッテリーへ充電、全電装へ電力供給。
– 典型故障 レギュレーター不良、ダイオード破損、ベアリング摩耗、整流不良。
症状は充電警告灯、電圧低下、各種電装誤作動。
– スターター(スターターモーター)
– 役割 始動時にエンジンを回す。
– 典型故障 マグネットスイッチ不良、コミュテータ・ブラシ摩耗、ワンウェイクラッチ不良。
症状は「カチッ音のみ」「空回り」「始動不可」等。
新車メーカー保証での基本的な考え方
– 枠組み(一般的な例)
– 一般保証 3年または6万kmのいずれか早い方まで。
内装・外装・多くの電装品等の素材/製造上の不具合を対象。
– 特別保証 5年または10万kmのいずれか早い方まで。
走行・安全に重大な影響を与える基幹部品(エンジン、動力伝達、操舵、制動、主要制御ユニット等)を対象。
– 上記は国内大手で広く用いられる一般的な区分で、細部はメーカーにより異なります。
– ECUのカバー範囲(目安)
– 多くの場合、エンジン/トランスミッション/安全制御等のECUは特別保証の対象に含まれます(素材・製造上の欠陥に起因する故障が条件)。
– ソフトウェア起因の不具合で、メーカーが対策プログラムを用意しているケースは、保証期間内であれば無償リプログラムやECU交換となることがあります。
リコール/サービスキャンペーンに該当すれば期間外でも無償。
– 除外されやすいもの 水没・浸水や社外機器の接続による過電流/逆接、改造やチューニング書き換え、事故・火災・落雷等の外因、錆や腐食の進行に起因するもの(保証書の免責に準拠)。
– オルタネーターのカバー範囲(目安)
– 一般保証の対象であることが多く、製造上の欠陥による内部不良は無償修理/交換。
– ベアリングやブラシは「消耗」位置づけですが、保証期間中に材質/製造不良が原因で早期故障した場合は対象になることがあります。
単なる経年摩耗は対象外。
– エンジンオイル漏れ等の他因が付着して故障した場合の扱いは、原因・結果の関係と保証約款次第(オイル漏れが特別保証対象の欠陥で、その二次影響としてオルタネーターが損傷した場合、関連修理まで認められることもありますが、一律ではありません)。
– スターターのカバー範囲(目安)
– 一般保証での対象が一般的。
内部コイルやマグネットスイッチの製造不良、アセンブリ不良などは無償。
– リングギヤ側の損傷(エンジン側のフライホイール/ドライブプレート)は別系統の判断。
噛み合い不良の原因が車両側欠陥か、使用/整備由来かで可否が分かれます。
– 頻繁な短距離走行や弱ったバッテリー起因の過負荷で劣化した場合は免責になることが多いです。
費用の扱い
– 部品代と作業工賃は、保証修理と認定された範囲で無償。
– 診断料は、保証適用となった場合には請求されないのが一般的。
ただし「故障再現せず」「外因/改造が原因」と判断された場合は有償診断となることがあります。
– レッカー/ロードサービスは、メーカーの新車付帯サービスで一定期間無料となる場合があります(年数・距離や条件はメーカー規定による)。
代車費用は保証の標準範囲外で、販売店の裁量/任意保険の特約次第。
中古車保証・延長保証での扱い
– 認定中古車(CPO)保証
– 期間1~2年が多く、走行距離無制限が一般的。
ECUは「電装・制御ユニット」として対象に含まれることが多い。
オルタネーター/スターターも含まれる例が多い。
– 消耗品(バッテリー、ベルト、ブラシ単体等)や外因による故障は除外。
故障時の上限額、免責金額、レッカー・代車の扱いは約款による。
– 民間の延長保証
– プラン階層(パワートレイン限定~包含範囲広いプラチナ等)により対象が変わる。
ECUは上位プランでカバーされやすい。
オルタネーター/スターターは中位以上で対象になることが多い。
– 免責金(自己負担)、1回あたり/通算の上限、工賃レートの上限、診断時間の上限、持込み工場の指定など細かな条件に注意。
– 社外電装の追加や改造、事故/水没、メンテ不良は除外が基本。
免責・除外となりやすい代表例
– 事故・天災(衝突、水没、落雷、火災、地震等)による損傷。
– 改造・社外品の取り付けが起因(ECU書換、電装の増設、ドラレコ/オーディオの不適切配線、ヒューズ容量変更、逆接続ジャンプ等)。
– 消耗・経年劣化・摩耗(ブラシ、ベアリング、ベルト、バッテリー自体など)。
ただし製造不良が原因なら期間内は対象になり得る。
– メンテナンス不履行(点検未実施や不適切な整備)が原因と判断された場合。
– 業務用・競技使用・過酷用途など、保証書で条件が付されている用途。
根拠(法制度・文書)
– メーカー保証書(新車保証書・点検整備記録簿)
– 一般保証/特別保証の定義、期間、対象部品の例示、免責事項が明記されています。
多くの国内メーカーで「電子制御ユニット」は特別保証の例示に含まれ、オルタネーター/スターターなどの電装品は一般保証の範囲として扱われます。
– 道路運送車両法に基づくリコール/改善対策/サービスキャンペーン
– 安全確保・環境保全に関わる設計/製造上の不具合は、保証期間を問わず無償で是正されます(リコール等の公表がある場合)。
ECUのリプログラムや置換が含まれることがあります。
– 民法の契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)
– 売主(ディーラー等)に対する法的な責任の枠組みで、契約内容に適合しない場合の追完・損害賠償等を規定。
期間・通知要件等の制限あり。
メーカー保証とは別の法的ルートです。
– 製造物責任法(PL法)
– 身体・財産に生じた被害の賠償に関する法律で、無償修理の可否そのものを直接定めるものではありませんが、欠陥による事故等の被害救済の根拠になります。
– 各社延長保証/中古車保証約款
– カバー部位の列挙リスト、免責、上限、整備工場の指定等が明記されます。
ECU・オルタネーター・スターターが個別に記載されることが多いです。
実務上のポイント(請求の通りやすさ)
– まず正規ディーラー/保証取扱工場で診断(DTC読出し、波形測定、電圧降下、充電系統点検など)。
– 保証書・点検整備記録簿、車検証、延長保証証券(該当する場合)を持参。
– 社外電装の追加や配線加工がある場合は申告。
因果関係がない場合でも、撤去や原状回復を求められることがあります。
– 水濡れ・水没歴は結果に大きく影響。
フロア下浸水や泥の付着、カプラ腐食の有無で判断されます。
– 修理方法はメーカーの指定手順に従い、ECUは再学習・リプログラム・新品/リビルト交換のいずれか。
交換品には別途の部品保証(例えば修理後12カ月等)か、車両元の保証残の長い方が適用されるのが一般的です。
具体的なケース別の目安
– ECU内部不良でエンジンチェックランプ点灯、対策プログラムあり
– 新車一般/特別保証内 無償でリプログラムまたは交換。
期間外でもサービスキャンペーン/リコールなら無償。
– オルタネーターのダイオード不良で充電不足
– 一般保証内 無償交換。
バッテリー上がり自体の救援はロードサービス適用範囲による。
劣化したバッテリー交換は原則有償。
– スターターのマグネットスイッチ焼損
– 一般保証内 無償交換対象。
頻回の短距離走行や弱バッテリー起因と判断されれば免責もあり得る。
– ジャンプスタートの逆接続でECU損傷
– 外因のため保証対象外(多くの保証書で明確に免責)。
– 大雨走行後にECU基板腐食
– 水没・浸水判定なら免責。
カウルやシールの製造不具合が原因と立証できれば適用可能性はありますが難度は高い。
まとめ(カバー範囲の要点)
– ECU
– 多くの国内メーカーで特別保証(5年/10万km相当)の対象。
製造・材料不良やソフトウェア起因の不具合は期間内で無償。
リコール/改善対策は期間外でも無償。
改造・水没・外因は免責。
– オルタネーター
– 一般保証(3年/6万km相当)でカバーが一般的。
製造不良は対象、消耗や外因は免責。
関連故障の扱いは事案による。
– スターター
– 一般保証でカバーが一般的。
製造不良は対象、摩耗・弱バッテリー起因や外因は免責。
最後に
– 実際の可否は車台番号・走行距離・入庫時のDTCと凍結フレーム・電圧履歴・取付状態・水濡れ痕・改造有無など総合で判断されます。
保証の「根拠」は最終的に各社の保証書/約款と、道路運送車両法に基づくリコール・改善対策の公表文書になります。
お手元の保証書の「一般保証」「特別保証」「免責事項」「ロードサービスの範囲」の各章をあわせて確認いただくと、ECU・オルタネーター・スターターの扱いが明確になります。
必要であれば、車台番号をもとにディーラーで当該車両の公開TSB(サービス情報)やキャンペーン適用有無を照会してもらうと確実です。
ECU・オルタネーター・スターターの故障サインは何で、どう見分ければいいのか?
前提と概要
車の電装系で「エンジンがかからない/止まる/警告灯が点く」といった症状の主因になりやすいのが、ECU(エンジン制御コンピュータ)、オルタネーター(発電機)、スターター(セルモーター)の3点です。
これらは症状が似て見えることが多く、誤診しがちですが、いくつかの観察ポイントと簡単な計測で切り分けが可能です。
以下では「典型的な故障サイン」「現場での見分け方」「数値の目安」「なぜその症状が出るのか(根拠)」の順で詳しく解説します。
なお、診断の出発点としては必ずバッテリー(充電状態・端子腐食・アース)の健全性確認から始めるのが鉄則です。
バッテリー不良は3者すべての故障に酷似した症状を作るためです。
1) オルタネーター(発電機)の故障サイン
– 警告灯・メーターの挙動
– バッテリー警告灯(電池マーク)が走行中に点灯/点滅。
アイドル回転で点灯し、回転を上げると弱まることがある。
– メーターやナビの輝度がエンジン回転に連動して明滅する。
夜間ライトが脈打つ、ウインカーの点滅が不安定。
– 走行・始動症状
– 朝一は始動できるが、走行中に電装が次々弱り、最終的にエンスト。
再始動不能(バッテリー放電)。
– 停車直前にパワステが急に重くなる(電動パワステ車)。
– 異音・臭い
– 発電機付近から高周波の唸り音、焼けたような臭い。
ベルトの鳴きやテンショナーの振れ。
– 計測での特徴
– エンジン停止時のバッテリー電圧はおおむね12.5~12.8Vだが、エンジン始動後に13.8~14.6Vへ上がらない。
あるいは過充電(15V超)。
– オルタネーターのダイオード不良で、交流成分(リップル)が増える。
DC電圧は正常でもACレンジで0.1~0.5V程度の交流が観測され、ライトがちらつく。
– 根拠(なぜそうなるか)
– オルタネーターは回転を電気に変え、内蔵レギュレータで14V前後に制御します。
ブラシ摩耗、レギュレータ不良、整流ダイオード破損、ベアリング・ベルト不良で発電・整流・電圧制御が破綻し、車両全体の電圧が低下または過上昇。
低電圧ではバッテリーだけで走り続けるため、徐々に電装が落ちて最後に失火やエンストに至ります。
ダイオード不良はACが混じるためライトや電子機器がちらつきます。
2) スターター(セルモーター)の故障サイン
– 始動時の音・動き
– キーON/スタートで「カチッ」という単発のクリック音のみでクランキングしない(ソレノイドは動くがモーターが回らない)。
– 連続してカチカチ音(リレー作動のみ)。
あるいは無音。
– クランキングが異常に遅い、途中で止まる。
ヘッドライトはまだ明るい(電力はあるのにスターターが力不足)。
– ハンマーや棒でスターター本体を軽く叩くと一時的に始動できる(ブラシの固着・コミュテータのデッドスポット)。
– 温度・再現性
– 熱くなった後の再始動(買い物後など)で出やすい。
冷えると一時的に直る(熱膨張で内部クリアランスが変わる)。
– 計測での特徴
– 良好なバッテリー電圧でも、クランキング時の電圧降下が大きすぎる/もしくはスターター端子まで電圧が届かない。
– クランキング電流が過大(内部機械抵抗増大・焼き付き)または過小(ブラシ摩耗・接点不良)。
– 根拠
– スターターは大電流(小排気量でも100~200A、V6/V8で150~300A)を瞬間的に消費。
ブラシ・コミュテータ摩耗、ソレノイド接点焼け、ベアリング固着で回転トルク不足や導通不良が起きます。
「カチッ」はソレノイドは動くが主電流が流れない典型。
叩いて一時復活するのはブラシが当たる位置が変わるため。
電圧降下試験でケーブルやアース不良も同様症状を生むことが分かります。
3) ECU(エンジン制御コンピュータ)の故障サイン
– 警告灯・通信
– エンジンチェックランプが複数の無関連コードで点灯(点火・燃料・スロットル・通信Uコードなどが同時多発)。
– 故障コードP060x(内部制御モジュール異常)や、スキャナがECUと通信不能、時々通信が切れる。
– エンジン挙動
– 全気筒にまたがる失火感、スロットル応答不良、突然のリンプモード、電動ファンが常時回る、アイドル不安定。
再現性が低く温度や振動で変化。
– イモビライザー認証が通っているのに燃料噴射や点火ドライブが出ない(ドライバ回路故障)。
– 視覚的手掛かり
– ECUハウジング内の腐食跡、ピンの緑青、焼け焦げ臭、ウォータートラック(水侵入痕)。
事故や後付け配線での電圧逆接・過電圧履歴。
– 計測での特徴
– ECUへの電源・アースは正常でも、5Vリファレンスが不安定、出力ドライバ波形が欠落。
フラッシュ書き込み不能・リセット後も症状持続。
– 根拠
– ECUは内部に電源レギュレータ、CPU、ドライバICを持ち、電圧・温度・湿気に弱い部分があります。
電解コンデンサ劣化、過電圧(ジャンプスタート誤り)、水分侵入、はんだクラックで内部エラーや通信断が発生。
個別センサー不良では通常は単独系統のDTCに留まりますが、ECU自体が不良だと系統横断的なDTCや通信不能が起きます。
ただし「5Vリファレンスが落ちる」現象は、センサー側の短絡が原因でECUが保護動作しているケースも多く、切り分けが重要です。
似た症状の現場での見分け方(簡易フロー)
– ステップ0 バッテリー確認
– 休止電圧12.5~12.8V、アイドリング時13.8~14.6V。
端子の腐食、アース線の緩み清掃。
ジャンプで始動性が改善するかもチェック。
– 始動不能時の切り分け
– クランキングしないで「カチッ」だけ スターター系(ソレノイド/本体/配線)疑い。
バッテリー・端子・スターターリレー・P/Nスイッチ(AT)/クラッチスイッチ(MT)も同時に確認。
– クランキングは力強いが掛からない ECU/燃料/点火系。
複数DTCや通信不能があればECU疑いが上がる。
– クランキングが弱々しい まずバッテリー。
ジャンプで改善すればバッテリー・充電系。
改善しないならスターター内部摩耗か配線抵抗過大。
– 走行中の不調・停車
– バッテリー警告灯の点灯、照明の明滅、回転上昇で改善する傾向 オルタネーター。
– 突然のリンプモード、複数システムの同時不具合、通信不良 ECUまたはパワー/グランド供給系。
– 雨天後・洗車後に悪化、ECUカプラの水跡 ECU・ハーネスの水侵入。
– 計測で確証を強める
– 充電電圧が規定外(低すぎる/高すぎる)→オルタネーター/レギュレータ。
ACリップル大→整流不良。
– クランキング時の電圧降下試験 バッテリー+端子からスターターB端子まで、スターターケースからバッテリー-まで、それぞれ0.5V以内が目安。
大きければ配線/接点不良。
– OBD-IIコード例 P0562(系統低電圧)、P0620(ジェネレータ制御)、P0615(スタータリレー回路)、P0606(ECU内部)。
U系コードの多発は通信/ECU/電源問題の示唆。
症状別の「なぜそうなるのか」の補足根拠
– ライトが回転に応じて明滅する理由
– オルタネーターは回転が低いと発電量が不足し、負荷変動の度に電圧が揺れます。
整流ダイオードの不良でAC成分が混入すると、照明・オーディオに周期的なちらつき・ノイズが出ます。
– 叩くとスターターが回る理由
– ブラシ摩耗やコミュテータのデッドスポットで接触が不安定。
振動で一時的に接触が回復しますが、根本は摩耗・接点焼損で要交換です。
– 複数無関連DTCや通信不能がECUを疑わせる理由
– 一つのセンサー故障は原則単一系統のコードを出します。
ECU内部電源やCPU/通信部が不安定になると、CAN通信断、複数系統の監視が一斉にエラー化し、P060xやUxxxxが同時に出やすくなります。
– 走行中に徐々に電装が落ちてエンストする理由
– 発電が止まるとバッテリーのみで供給。
残量が尽きると点火・燃料ポンプが動かず失火→停止。
これがオルタネーター故障の代表的な進行パターンです。
最新車両での注意点(スマート充電・アイドリングストップ車)
– 多くの現行車はECUがオルタネーターをLIN/BSSで制御し、省燃費のため充電電圧を意図的に上下させます。
正常でも12.5~15Vの幅で変動することがあるため、「常に14V」でないからといって即不良と断定しないこと。
バッテリー端子の電流センサ(IBS)不良がバッテリー警告灯を点ける例もあります。
– AGM/EFBバッテリー指定車は同等品が必須。
不適合バッテリーは充電制御の学習と合わず、誤った故障サインを誘発します。
簡易チェック手順(DIY向け)
– マルチメータで
– 停止時電圧12.5~12.8V、キーONで12.2V以上、クランキング最低電圧9.6V以上が目安。
– 始動後13.8~14.6V(負荷ONで13.5V以上)。
ACレンジで0.05V以下が理想、0.2V超は整流疑い。
– 聴診と観察
– 始動時の音(カチッだけか、遅いクランキングか)、ライトの明るさ変化、ベルト鳴き、焦げ臭。
– OBDスキャン
– DTCの有無だけでなく、バッテリー電圧のライブデータ、ジェネレータ目標/実電圧、スタータリレーコマンド、5Vリファレンスの健全性を確認。
保証申請時に有効な「根拠」資料・測定値
– 測定値の記録(電圧・電流・リップル)、DTCのFreeze Frame、通信ログ。
– 充電系統の電圧グラフ(走行中データロガーでの記録)。
ライト明滅の動画など再現性の証拠。
– ECUカプラの腐食写真、浸水痕。
メーカーTSB/リコール該当の確認。
– 交換前に電源・アース・配線の電圧降下試験結果。
これが揃うと保証認定がスムーズです。
誤診を避けるコツ
– バッテリーを必ず最初に評価。
弱ったバッテリーは、スターター不良のような遅いクランキング、オルタネーター不良のような警告灯、ECU不良のようなランダムDTCを誘発します。
– 「バッテリーを外して発電確認」は厳禁。
過電圧スパイクでECUを破壊します。
– ECU疑いの前に、電源/アース、5Vラインの短絡センサー有無を切り分け。
センサーを1つずつ外して5Vが復帰するかの試験が有効。
代表的な故障コードと示唆
– オルタネーター系 P0562(系統低電圧)、P0620/0622(ジェネレータ制御)、BMS/IBS関連コード。
– スターター系 P0615/0616(スタータリレー回路)、クランキング回転数異常に関連するP0335(クランク信号)が二次的に出ることも。
– ECU系 P0606/060A(内部コントロールモジュール)、U0100(ECMとの通信喪失)、フラッシュ失敗ログ。
最終的な切り分けの目安まとめ
– バッテリー警告灯+走行中徐々に電力低下+充電電圧不良→オルタネーター。
– 始動時のみ症状、クリック音や叩くと改善、クランキング電流異常→スターター。
– 複数系統の同時異常、通信不良、内部モジュール系DTC、電源健全でも出力欠落→ECU。
以上を踏まえ、保証対象として申請する際は、症状の再現条件、測定値(静止電圧、充電電圧、ACリップル、電圧降下、電流)、DTCとフリーズフレーム、写真・動画のエビデンスを併せて提示すると通りやすくなります。
まずは安全確保のため、高負荷の電装をオフにし、発電不良が疑われる場合は早めに走行を中止してください。
保証適用の条件・期間・必要書類はどうなっているのか?
前提
以下は日本国内で販売される一般的な乗用車(国産メーカーを想定)の新車・中古車保証の実務に基づく整理です。
最終的な適用可否は各メーカー・販売会社が発行する保証書(メンテナンスノート内の保証規定)に従います。
車名・年式・グレードやハイブリッド/EV等の駆動方式により区分や期間が変わることがあります。
保証の基本枠組み(新車)
多くの国産メーカーは新車保証を大きく2区分で定めています。
– 一般保証
– 期間 新車登録から3年または走行6万kmのいずれか早い方
– 対象 車体・内外装・電装品を含む一般部品(消耗品等を除く)
– 特別保証(主要機能部品)
– 期間 新車登録から5年または走行10万kmのいずれか早い方
– 対象 安全・走行に重大な影響を与える主要部位(エンジン本体、動力伝達、ステアリング、ブレーキ、懸架装置等)。
一部の制御コンピュータ(ECU)がここに含まれる場合あり
ハイブリッドやEVはこれに加え、高電圧バッテリーやインバータ等に独自の長期保証(例 5年/10万km〜8年/16万km程度)が設けられることがあります。
ECU・オルタネーター・スターターの分類と期間(一般的な取り扱い)
– ECU(エンジン/パワートレイン制御コンピュータ)
– 取り扱い メーカーにより「特別保証」扱い(5年/10万km)が多い傾向。
特にエンジンやハイブリッドシステムの制御ECUは主要機能部品として扱われやすい
– 例外 ボディ制御用や快適装備系ECU(BCM、パワーウィンドウ制御等)は「一般保証」扱い(3年/6万km)となることがある
– オルタネーター(発電機)
– 取り扱い 多くのメーカーで「一般保証」(3年/6万km)
– スターターモーター(始動機)
– 取り扱い 多くのメーカーで「一般保証」(3年/6万km)
重要
上記は代表的な例です。
特にECUは車種・機能により区分が分かれるため、保証書の部品表や区分表での確認が必要です。
保証適用の主な条件
– 正常な使用状態で発生した製造上の原因(材料・加工・設計)による不具合であること
– 保証期間内(年数・走行距離)に故障が発生し、かつ期間内に販売会社へ申し出ていること
– 実務上は「期間内に故障が発生し、期間内に申し出た」事実があれば、入庫・修理が期間をわずかに超えても保証修理を認める運用が一般的
– 指定・推奨の点検整備が適切に実施されていること(点検整備記録の提示が求められる場合あり)
– 純正同等品の使用・不適切な改造や社外チューニングがないこと
– 例 ECUの書き換え、サブコン装着、電装配線の切り継ぎ、オルタネーター容量変更などは保証否認の典型例
– 事故、外的要因、天災・水没・塩害・薬品腐食、誤使用に起因しないこと
– 逆接続のジャンプスタート、過大な後付け電装による過負荷、劣悪な社外バッテリーによる電圧異常などは対象外になり得る
– 消耗・摩耗・経年劣化に該当しないこと
– 一般にブラシやベアリングの自然摩耗は保証対象外とされるが、期間内早期故障で製造上の瑕疵が認められる場合は対象になりうる
保証の対象外になりやすい例
– 社外ECU・チューニング(ECU書換、吸排気・過給圧改変に伴うDTC)
– 大容量オーディオや増設ライトなどにより充電系へ過大負荷をかけた事案
– 逆極性接続、サルフェーション進行のバッテリーを放置したことによる電圧ドロップ起因の故障
– 水没・浸水・泥水侵入によるECU基板腐食
– 衝突・落下等の外的損傷
– 定期点検を極端に未実施で、不具合因果にメンテ不良が関与する場合
保証申請に必要な書類・情報(新車)
– 保証書(メンテナンスノート内の新車保証書)
– 自動車検査証(車検証)
– 点検整備記録簿(法定点検・定期点検の記録、オイル交換等の整備履歴)
– 購入時の販売証明(初度登録日・引渡日がわかる書類。
通常は保証書に記載済み)
– 連絡先・現象の詳細(発生条件、警告灯点灯の有無、再現性)
– 参考資料(可能なら)
– DTC(自己診断コード)読み出し結果、フリーズフレーム
– 故障発生時の写真・動画、装備の後付け有無の申告
– 牽引・レッカーの証憑(遠隔地での故障時にロードサービスを使った場合、精算のため求められることがある)
中古車(認定中古車等)の場合
– 期間 販売会社の中古車保証に依存(例 3カ月、6カ月、1年、オプションで延長1〜2年など)
– 対象部品 プランにより異なる。
主要機能保証のみ、または一般部品を広く含むものまで幅がある
– 必要書類 中古車保証書、車検証、納車時点検記録、販売契約書
– 注意 消耗品扱いの範囲が広い場合がある。
改造車や社外ナビ・ドラレコ等の電装追加が多い場合、電装系保証が制限されることがある
申請から修理までの流れ(実務)
– 申し出 故障発生を販売会社(ディーラー)に期間内に連絡
– 受付・初期診断 DTC読取、電圧・充電圧測定、配線導通チェック等
– 判断 保証適用可否(必要に応じてメーカー承認)
– 修理 部品交換または内部修理(近年はユニット交換が主流。
ECUは基本交換)
– 費用負担 保証適用時は部品・工賃は無償。
付帯費用(代車、レッカー、保管、ナビ再設定等)はメーカー・販売会社・加入サービスにより異なる
– 再発時対応 保証修理に対する再修理保証が付く(規定による)。
根本原因が別系統にある場合は別途対応
期間の起算・継承・その他の細目
– 起算日 新車登録日(保証書記載の保証開始日)
– 走行距離 メータ表示。
メータ交換時は交換記録と累計距離の立証が必要
– 期間内申告の扱い 期間内に故障発生および申告があれば、入庫が期間後でも保証対象とする旨を定めるメーカーが多い
– 所有者変更 新車保証は通常、車両に付随して次オーナーに承継可能(保証書・メンテ記録の引継ぎが条件)
– 地域・用途制限 営業用・特殊用途車は期間が異なる場合あり
よくある論点と回避策(ECU・オルタネーター・スターター)
– ECU
– 否認リスク チューニング痕跡、社外電装の取り付け不良によるCAN通信異常、浸水
– 回避策 純正状態を維持、OBD機器は信頼性あるものを使用、洗車・冠水路走行時はECU配置に配慮
– オルタネーター
– 否認リスク 過剰電装の常時負荷、逆接続ジャンプ、社外バッテリーの極端な電圧変動
– 回避策 消費電力の総和管理、ジャンプ時の極性確認、適合バッテリー選定
– スターター
– 否認リスク 長時間連続クランキング、エンジン不調(点火/燃料系)放置による過負荷
– 回避策 始動不良時は原因切り分けを先行、連続クランキングの回避
根拠(代表例・一次情報)
メーカーが公開する新車保証規定の代表例(いずれも日本国内向け)
– トヨタ自動車
– 保証区分・期間(一般保証3年/6万km、特別保証5年/10万km)や対象・除外事項を明記
– 参考 トヨタ 保障制度(新車保証)ページ。
一般に「メンテナンスノート(保証書)」にも同内容が記載
– 日産自動車
– 新車保証の概要・区分・適用条件を公開
– 参考 日産 新車保証制度ページ(新車保証 一般/特別の区分、対象外事項)
– 本田技研工業(ホンダ)
– 保証制度のページで期間・対象・除外条件を明示
– 参考 Honda アフターサービス 保証制度ページ
これらの一次情報では、部品の具体例(例 「発電機(オルタネータ)」「始動機」)が一般保証の範疇として明記されることが多く、エンジン制御コンピュータ等の一部ECUが特別保証側に列挙されるケースが確認できます。
実車の保証書(部品区分一覧)で最終確認してください。
法令上の背景(補足)
– メーカー保証は契約上の任意保証であり、民法上の契約不適合責任や製造物責任法(PL法)とは別枠です。
安全リコールは道路運送車両法に基づき無償改修となりますが、保証修理とは制度が異なります。
したがって、通常の故障は「保証書の規定」に基づいて取り扱われます。
まとめ(要点)
– ECUは車種により特別保証(5年/10万km)対象になりやすい。
オルタネーター、スターターは一般保証(3年/6万km)が一般的
– 適用には「期間内発生・期間内申告」「正常使用・適切整備」「改造・外的要因なし」が要件
– 必要書類は保証書、車検証、点検整備記録が中心。
症状やDTCの情報があると円滑
– 中古車は販売会社の保証メニュー次第。
範囲・期間・免責の確認が重要
– 最終判断は各社の保証書・部品区分表に従うため、車両固有の保証書で確認し、ディーラーに事前相談するのが確実
もし車名・年式・グレード(ハイブリッド/ガソリン等)を教えていただければ、公開されている保証区分表の該当箇所をより具体的に案内します。
診断から修理・交換までの流れと費用負担はどう決まるのか?
ご質問の「電装系故障(ECU・オルタネーター・スターター)の保証対象、診断から修理・交換までの流れ、費用負担の決まり方、そしてその根拠」について、ディーラー(正規販売店)での一般的な実務に沿って詳しくご説明します。
メーカーや車種、販売店の運用によって差異はありますが、日本国内の新車保証・認定中古車保証・延長保証に共通するポイントを中心に整理しています。
対象となる主な部品と故障の典型
– ECU(エンジン制御コンピュータや各種コントロールユニット)
症状例 エンジンチェックランプ点灯、失火、通信不能、起動不能、フェイルセーフ、ファン回りっぱなし等。
ソフト不具合(リプログラムで改善)とハード故障(ユニット交換)の両方があり得ます。
– オルタネーター(発電機)
症状例 バッテリー警告灯点灯、電圧低下、アイドリング不安定、夜間照度低下、電装機能の落ちや誤作動。
ダイオード不良やレギュレータ故障が典型。
– スターターモーター
症状例 セルが回らない、空回り、断続的な始動不能、金属打音。
ソレノイド不良やブラシ摩耗、配線接触不良など。
診断から修理・交換までの基本フロー
– 受付・症状聴取
いつ、どの状況で、ランプ表示、直前の作業や洗車・大雨・ジャンプスタートの有無、後付け電装品の有無などを詳細に確認。
再現性の有無は重要です。
– 初期点検
バッテリー状態(SOC/SOH)、端子の腐食・接続、アースポイント、ヒューズ、目視での配線・コネクタ損傷、水濡れ痕などの確認。
– 診断機接続と故障コード確認
メーカー純正テスタでDTC、フリーズフレーム、ライブデータ、アクティブテストを実施。
サービス情報(TSB/サービスキャンペーン/ソフト更新)該当の有無をチェック。
– 切り分け試験
オルタネーターの出力電圧・波形(リップル)、スターターの始動電流・電圧降下、CAN通信ラインの抵抗・終端、配線導通、代替部品による仮組み等。
間欠不良は時間がかかることも。
– 診断結果の説明と見積り
原因部位、必要作業、部品・工賃の概算、納期、保証適用可否の見立て、代車やレッカーの扱いを説明。
保証見積りと有償見積りの両方が示されることもあります。
– 保証審査・部品手配
保証対象と判断されれば、ディーラーがメーカーへ保証申請(必要に応じ写真、DTC記録、故障品返却)。
部品は新品またはメーカ承認のリビルトが手配。
– 修理・交換・プログラミング
ECUはコーディング・イモビライザ登録・学習が必要。
オルタネーター交換後は充電制御の初期化、アイドリング学習、バッテリーセンサー(IBS)リセット等。
スターター交換後は配線締結トルク確認と電圧降下確認。
最終的にDTC消去・試運転・品質確認。
– 納車・書類
作業明細、保証修理票、交換部品の扱い(多くはメーカー所有に帰属)、今後の注意点を説明。
費用負担の基本ルール
– 新車保証下の場合
一般的に部品代・工賃・関連する小部品は無償。
診断料も保証修理に含まれます。
牽引は新車付帯のロードサービス範囲内で無償になることが多いです。
– 保証対象外の場合
診断料、工賃、部品代、諸経費(ショートパーツ、廃棄物処理、コーディング料等)はお客様負担。
レッカー費用や代車費用は別途。
原因が後付け電装や誤用に起因する場合、そこに関わる復旧費用も有償です。
– 延長保証・認定中古車保証
契約プランに従い、対象部品なら無償または免責額(例 5,000~20,000円)を差し引いて修理可能。
事前審査・事前承認が必要な場合あり。
– 併発損害の扱い
例 オルタネーター故障が原因でバッテリーが過放電・過充電により劣化した場合、因果関係が認められればバッテリーも保証対象になることがありますが、バッテリーは消耗品扱いのためメーカー方針と診断内容により分かれます。
– 代車・休業補償
多くの保証は代車費用・時間的損失・営業損害は対象外。
代車は販売店のサービス裁量で用意されることがあります。
– 金額の目安(国産一般車の相場感)
オルタネーター 部品5~15万円+工賃1~3万円
スターター 部品3~8万円+工賃1~2万円
ECU 部品8~20万円超+工賃/設定1~3万円
診断料 0.5~1.5時間相当(5,000~20,000円)
レッカー 距離・条件で1~2万円台~
実費は車種・輸入車・部品供給や作業難易度で大きく変動します。
保証適用判断のポイント
– 期間・走行距離
新車保証は一般保証と特別保証の二本立てが通例。
一般保証 初度登録から3年または6万kmまで(早い方)
特別保証(動力伝達・走行安全に関わる重要部位) 5年または10万kmまで(早い方)
ECUやオルタネーター・スターターは多くのメーカーで「一般保証」扱いが基本ですが、エンジン制御の中核ECU等は特別保証に含まれる場合もあり、保証書の部品表が決定的です。
– 使用・管理状況
取扱説明書に反する使用、競技・過負荷、誤ったジャンプスタート、バッテリー逆接、粗悪・非適合電装品の取り付け、浸水・水没・火災・落雷などは免責が一般的。
– 改造・後付け機器
社外セキュリティ、ドラレコ、オーディオ、追加電装が故障要因と認められる場合は保証対象外。
配線割り込みやCAN干渉が疑われるケースは特に厳格です。
– 整備・点検記録
定期点検・車検の実施履歴、メーカー指定油脂・部品の使用履歴はプラスに働きます。
メンテ不良が原因なら免責となることがあります。
– 既知不具合・リコール・サービスキャンペーン
リコール・改善対策案件であれば無償(期間・距離制限なしが原則)。
サービスキャンペーンは期間・範囲限定の無償是正。
TSB(技術情報)起因のソフト更新は無償対応されることが多いです。
根拠・制度面
– メーカーの保証書(新車保証書・保証規定)
保証範囲、期間、対象部品、免責事由、手続きが明記され、これが一次的な根拠です。
一般保証と特別保証の線引き、消耗品(バッテリー・ブレーキパッド等)の扱い、後付け装置による不具合の免責などが定義されています。
– 道路運送車両法のリコール制度
構造・装置が保安基準に適合しないおそれがある場合、メーカーは回収・無償修理の義務があります。
これは保証とは別枠で、経年・走行距離に関係なく無償是正されます。
– 民法(契約不適合責任)
新車・中古車の売買において、契約内容に適合しない場合の売主の責任が規定されています(2020年改正民法)。
実務ではメーカー保証が一次対応となるものの、売買契約の属性によって販売店が一定の責任を負う可能性があります。
消費者契約法により不当な免責の制限もあり得ます。
– 保証適用の内部審査
ディーラーは故障情報(DTC、破損部写真、診断所見)を添えてメーカーに保証申請し、承認に基づいて無償修理を実行します。
交換部品は解析目的でメーカーに回収されるのが通例です。
– 延長保証・認定中古保証の契約約款
カバー範囲、免責額、事前承認、除外項目(消耗・摩耗、経年劣化、配線・ハーネスの一部等)が規定されており、これが費用負担の直接の根拠になります。
よくあるケース別の費用負担判断
– ECUソフト不具合(アップデートで解消)
新車保証内なら無償。
保証外でもリコール・サービスキャンペーン該当なら無償。
該当なしのアップデートが有償となる場合は工賃相当(30分~1時間)が発生。
– ECU本体故障
保証内 部品・工賃無償。
全キー持参が必要な場合あり(イモビ登録)。
保証外 高額になりやすく、リビルトや中古良品の選択肢を提示されることも。
– オルタネーター不良
保証内 一式無償。
バッテリー劣化の因果関係が明確ならバッテリーもカバーされる場合あり。
保証外 バッテリー同時交換やベルト同時交換を勧められることが多く、総額が嵩む傾向。
– スターター不良
保証内 無償。
保証外 ソレノイド単体修理が不可でASSY交換となる車種が多い。
配線・アース強化や接点清掃等の追加整備は有償。
– 後付けドラレコやセキュリティの影響
異常電流やCAN干渉が原因と判断されれば保証適用外。
原因の取り外し・復旧も含め有償。
– 誤ったジャンプスタート・逆接
ECUやレギュレータ損傷は免責が基本。
複数ユニットの同時交換で高額化します。
実務上のコツ(ユーザー側の準備)
– 症状動画・写真・警告灯点灯のタイミング、再現条件をメモ。
診断精度が上がります。
– 直前の整備・電装品取り付けの履歴、給油・洗車・水没歴の有無を共有。
– 可能ならDTCを勝手に消さない(記録が根拠になるため)。
バッテリー外しも避ける。
– 全てのキーを持参(ECU関連作業で必要になることあり)。
– 保証書・延長保証契約書・点検整備記録簿を持参。
– 見積りの内訳(部品代・工賃・診断料・プログラム料・諸費用)を確認し、保証適用の前提条件(期間、距離、除外要因)を文書で説明してもらう。
インターミッテント(断続的)不具合への向き合い方
– 再現待ち時間やデータロガー貸与で日数が延びることがあります。
保証内でも代車は店舗裁量。
– 診断に着手工賃を設定する店舗も(保証外時のみ請求)。
保証適用が決まれば診断工賃はメーカー支払いに振替されるのが通常。
交換後の初期化・学習
– ECU ソフト適合、イモビライザ同期、各種学習(スロットル、アイドル、燃料トリム)。
– オルタネーター 充電制御学習、IBSリセット、電圧マップ適合。
– スターター 電圧降下確認、端子締め付け再点検、場合により始動学習。
– これらの作業時間も保証内でカバーされるのが一般的。
保証外ではプログラミング料として別計上されます。
グッドウィル(善意)対応
– 保証期限超過や走行超過が軽微で、メンテ履歴良好、既知不具合に近い症状、同症歴があるなどの事情があれば、メーカー・販売店の裁量で一部~全額をサポートするケースがあります。
確約ではありませんが、相談の価値はあります。
よくある誤解の注意点
– 「診断だけは無料」ではない
保証外・適用外が明確な場合、診断は有償です。
保証適用が確定すれば診断分も無償化されるのが一般形。
– 「代車は保証で必ず出る」わけではない
多くは販売店サービスで、台数・保険条件に依存します。
– 「交換した部品は返却される」わけではない
保証交換部品は原則メーカーの所有物として回収・解析されます。
まとめ(費用負担決定の枠組み)
– まず保証書の期間・距離・対象部位に適合するかで一次判定。
– 取扱遵守・改造の有無・外的要因の有無で免責の検討。
– リコール・改善対策・キャンペーン該当なら期間・距離を問わず無償(リコール)。
– 適合すれば部品・工賃・診断は無償。
併発消耗品は因果関係に応じて扱いが分かれる。
– 不適合なら延長保証やグッドウィル、リビルト活用などの選択肢を検討。
最後に、最も確実な根拠はお手元の保証書・契約約款・ディーラーが参照するメーカー技術情報です。
車種・年式・グレードにより、ECUが特別保証に分類されるか、オルタネーター・スターターの部品区分がどう扱われるかが異なることがあります。
来店前に保証書の該当ページ(保証期間、対象部品、免責事項)へ付箋を付け、サービスアドバイザーに「本件の保証条項はここに基づく理解で合っていますか」と確認すると、話がスムーズで、費用負担の判断も迅速になります。
保証対象外や無効になるケース、故障を防ぐ予防策には何があるのか?
前提と範囲
自動車の電装系(ECU・オルタネーター・スターターモーター)の保証は、国産車ディーラーの新車保証、メーカー系の延長保証、中古車保証、サードパーティ保証で用語・期間・免責が少しずつ異なります。
一般的には次の枠組みです。
– 新車保証は「一般保証(多くは3年または6万km)」と「特別保証(多くは5年または10万km)」の二本立て。
ECUは重要保安部品として特別保証に含まれることが多く、オルタネーターとスターターは多くのメーカーで一般保証に含まれます(ただしメーカー・車種により分類が異なるため、実際は各社の保証書で確認が必要)。
– 延長保証は上記の期間を有償で延ばす制度で、加入条件として定期点検・法定点検の受検や純正同等部品の使用が求められるのが通例。
– 中古車保証やサードパーティ保証は「保証対象部位の限定」「修理上限金額」「免責期間」「持ち込み修理不可」などの特則が付きます。
保証対象外・無効になる主なケース
メーカー保証書・延長保証約款・中古車保証規定などに共通する「保証対象外・無効」事由は概ね以下です。
括弧内は電装3部品に関係の深い具体例です。
1) 消耗・経年・自然現象
– 消耗品・経年劣化は対象外。
例 ブラシ摩耗(オルタネーター)、ソレノイド接点の摩耗(スターター)、ゴムブーツ・ベルトのひび割れ、端子の腐食。
– サビ・腐食・塩害・樹液・糞害・害獣による配線かじりなどの外因。
2) 不適切な使用・誤操作
– 逆接や過電流を招く行為。
例 ジャンプスタートの極性逆接、溶接作業時にバッテリー未脱着でECUにサージを印加。
– 長時間の連続クランキング(スターターの焼損を誘発)。
– 指定外のバッテリー(アイドリングストップ車に通常鉛バッテリーを装着など)や規格外ヒューズの使用。
3) 改造・社外品の影響
– ECU書き換え、サブコン・ピギーバックの装着、ECUハーネスの加工。
– 社外オーディオ・ドラレコ・追加メーターなどの不適切な電源取り(バッ直無ヒューズ、アース不良、CAN配線への割り込み)。
– 発電量アップ仕様のオルタネーターや軽量フライホイールなどの改造による派生不具合。
4) 事故・天災・水害
– 事故・衝突・火災・落雷・浸水(水没歴)。
水没はECUやスターター内部腐食・短絡を招き、ほぼ一律で保証対象外。
5) 法令違反・過酷な使用
– レース・競技・ジムカーナ・ドリフトなど競技使用。
過積載・牽引限度超過。
– 車検不適合状態での使用による派生故障。
6) メンテナンス不履行・記録不備
– メーカー推奨点検・整備未実施、リコール・サービスキャンペーン未対処。
– 整備記録簿やレシート未保管で「適正な維持管理」を立証できない場合に適用拒否される例。
7) 誤燃料・劣悪燃料・薬剤
– ディーゼルにガソリン誤給油、過剰な接点復活剤・導電グリスの誤用で短絡。
8) 所有・表示に関わる事項
– 走行距離計の改ざん、並行輸入車や改造届出不備車、盗難車の可能性などが疑義となる場合。
上記は多くのメーカーの「新車保証書(一般条項)」や中古車保証規定、延長保証約款に共通する免責事由で、特に「改造・競技使用・水害・消耗品・メンテ不履行」は明確に列挙されるのが通例です。
なお、製造物責任法(PL法)は人身・財産被害に対する責任であり、製品の無償修理を約束する「保証」とは別枠です。
法的には2020年改正民法の「契約不適合責任」がありますが、通常の無償修理範囲・条件は各保証書・約款の特約が優先します。
故障を防ぐ予防策(実務的なポイント)
共通の基本
– 電源健全性の維持
バッテリーは定期点検で電圧・導電率・内部抵抗を測定し、容量劣化や自己放電が進む前に交換。
端子の腐食は重曹水で清掃し、締付トルクを規定値に。
アイドリングストップ車は必ずAGM/EFBなど指定品を使用。
短距離走行が多い場合は月1回程度、30分以上の連続走行で充電状態を回復。
– 後付け電装の正しい取り回し
バッ直配線は必ず近傍に適正容量のヒューズを追加し、リレーで負荷を切り分け。
アースは既設アースポイントを使用し塗装落としや勝手な穴あけは避ける。
CAN/LIN等の通信線へ割り込まない。
安価な常時通電OBDアダプターは待機電流や通信不具合の原因になり得るため常時接続は避け、異常時はいったん外す。
– サージ・静電気対策
ジャンプスタートは取扱書の極性・順番を厳守。
溶接や大電流作業時はバッテリーのマイナス端子を外す。
充電器は自動電圧制御・逆接保護付きの信頼できる機器を使用。
– 防水・防塵・熱害対策
エンジンルームへの高圧洗浄を避け、洗車時はECU・ヒューズボックス・オルタネーター周辺に直接噴射しない。
カウルトップ排水路を清掃し、車内ECUの設置位置を浸水させない。
駐車環境の高温・多湿を避け、配線束の擦れ・接触・固定不良を点検。
– 点検・アップデート
リコール・サービスキャンペーン・ECUリプログラムは正規ディーラーで適時実施。
定期点検でベルト・プーリー・ハーネス固着、ヒューズ・リレーの接触、充電電圧の確認を行う。
ECU固有の予防
– チューニングや書き換えは行わない。
学習リセットや診断はメーカー適合ツールで実施。
– 接点復活剤や導電グリスの塗布は端子形状により絶縁不良の原因となるため慎重に。
防水型コネクタは清潔保持と適正嵌合が基本。
– バッテリー脱着時は取扱書の手順に沿い、イグニッションOFFで一定時間待ってから作業してスリープを待つ。
オルタネーター固有の予防
– 補機ベルトの摩耗・張力・鳴きの点検と早期交換。
張力不足は空転・発熱を招き、過張力はベアリング損耗を招く。
– 充電電圧を定期測定(多くの車種で約13.8~14.5Vが目安)。
高すぎる・低すぎる場合は早期点検。
– エンジンルームの防水。
泥はね・オイル漏れがブラシ・レギュレータの寿命を縮めるため、オイルシールの整備も重要。
スターターモーター固有の予防
– 長時間の連続クランキングを避ける(10秒以内を目安、間隔を空ける)。
始動性が悪い場合は原因切り分け(燃料・点火・圧縮)を先に行う。
– バッテリー・アース線の健全性確保。
電圧降下が大きい配線や端子緩みは過電流・発熱の原因。
– ATは必ずP/Nで始動。
クラッチスイッチ・ニュートラルスイッチの故障を放置しない。
予兆に気づく
– オルタネーター バッテリー警告灯点灯、夜間ヘッドライトの明滅、ベアリングの唸り、焼けた臭い。
DTC例 P0562(系統電圧低下)、P0620(ジェネレーター制御回路)。
– スターター カチカチ音のみで回らない、回りが重い、始動時にギャー音。
端子の焼け・溶損。
– ECU チェックランプ多発、通信断(Uコード)、複数系統の同時不具合、過去に水侵入歴。
保証を活かすための実務
– 記録の保持 定期点検・オイルやバッテリー交換のレシート、リコール実施記録、社外品取付の作業伝票(適正施工の証拠)を保管。
– 早期入庫 警告灯点灯や異音はできるだけ早くディーラーへ。
故障が連鎖して他部位に波及すると「派生損害」は免責となる場合がある。
– 事前相談 社外品を取り付ける前に「保証影響の有無」をディーラーに確認。
電源取りの指示書が出る場合もある。
– 保障範囲の確認 新車保証の「一般/特別」どちらに該当するか、延長保証加入の有無、上限金額や免責金額の確認。
– 中古車保証の条件 免責期間、修理可能回数、持ち込み不可条項、改造歴・水没歴の除外特約に注意。
根拠について
– 国産主要メーカー(トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スバル等)の新車保証書には、一般保証3年/6万km、特別保証5年/10万kmの基本枠、消耗品除外、改造・競技・水害・事故・天災・不適切使用・整備不履行は免責、という趣旨が明記されています。
ECUは特別保証に含まれる例が多く、オルタネーター・スターターは多くのメーカーで一般保証扱いですが、分類はメーカー・車種により差があるため保証書の「対象部品一覧」を要確認です。
– メーカー系延長保証(例 トヨタの延長保証プラン、ホンダのホッと保証プラス等)は「定期点検を受けること」「指定消耗品・油脂を指定規格で使用すること」「改造・社外品起因は免責」などを加入条件・免責として明記しています。
– 中古車保証(例 メーカー系認定中古車の長期保証、U-Carロング系)は、ECU・発電装置・始動装置を対象部位に含めつつ、修理費上限、免責期間、自然摩耗・消耗・水害・改造の除外を約款に明記するのが通例です。
– 法的背景としては、保証の詳細は契約(保証書・約款)で定まり、製造物責任法は無償修理の可否とは別。
2020年の民法改正で瑕疵担保責任は契約不適合責任へと移行しましたが、車両保証の実務は各社保証書の特約に従います。
道路運送車両法の保安基準に適合しない改造は保証適用外の根拠となり得ます。
最後に
– ECU・オルタネーター・スターターはいずれも「電源品質」と「適正な取り付け・防水」が寿命を大きく左右します。
改造予定がある場合は、保証影響を最小化するためにリレー・ヒューズ・電流配分を含めた設計と、施工記録の保存を強く推奨します。
– 実際の適否は年式・走行距離・故障モード・施工履歴・車両個体差で判断されるため、最終的には現物確認と保証書の条項が決め手です。
疑義がある場合は、診断レポート(DTC・フリーズフレーム・電圧波形)を交え、ディーラーのサービスアドバイザーと具体的に詰めるとスムーズです。
【要約】
メーカー認定中古車(CPO)の保証は1~2年が主流で走行距離無制限。素材・製造起因の不具合は部品代と工賃を無償。ECU・オルタネーター・スターター等の主要電装も原則対象だが、消耗や改造、浸水など外因は免責。全国の正規ディーラーで対応、適用外診断は有償となる場合あり。