「事故歴」と「修復歴」はどう違い、どこまでが修復歴扱いになるのか?
結論の先取り
・「事故歴」は日常用語で、衝突・接触・冠水・火災など“事故や損傷に関わる過去”を広く指す曖昧な言葉。
表示や査定の基準語ではありません。
・「修復歴」は業界基準語で、車体の骨格(構造部位)に交換・修正・切開溶接などの“修理が施された履歴”を指します。
骨格に及ばない外板や付属品の交換・板金は修復歴には含みません。
・根拠は、中古車の表示ルールを定める「自動車公正取引協議会(公取協)の規約・施行規則(中古自動車の表示に関する公正競争規約)」、日本自動車査定協会(JAAI)、主要オートオークション・鑑定機関(AIS、JUなど)の査定・評価基準で、いずれも「骨格部位に対する修理の有無」で線引きしている点で概ね一致します。
なぜ“事故歴”ではなく“修復歴”で線引きするのか
・事故歴という言葉は、バンパー擦り傷から全損事故、あるいは水没・焼損まで幅広く含み、技術的な閾値が曖昧です。
これをそのまま表示項目にすると、販売・査定の実務でトラブルになりやすい。
・そこで業界は「安全性・走行安定性・耐久性に直接関わる構造部(骨格)に修理が入ったか」を共通の閾値に採用。
これに該当すれば“修復歴あり(修復歴車)”と明示し、該当しなければ“修復歴なし”とします。
・冠水、焼損、メーター交換・改ざんなどは別カテゴリー(事故・損害の履歴)として個別に表示対象になることがありますが、それ自体は修復歴の定義とは別枠です。
修復歴の判定基準(どこまでが修復歴扱いか)
実務では「骨格部位に対して、交換・修正(引き出し・歪み取り)・切開溶接などの修理があるか」で判断します。
代表的な骨格部位と取扱いは次のとおりです。
骨格部位(例)
・フロントサイドメンバー/リヤサイドメンバー
・クロスメンバー(ラジエータ下、フロア横断部など)
・ピラー(A/B/C 各ピラー、センターピラー)
・ダッシュパネル(エンジンルームと室内の隔壁)
・フロアパネル(フロント/センター/リヤ/トランクフロア)
・ルーフパネルおよびルーフレール(骨格相当部)
・バックパネル(リヤエンドの骨格側)
・ストラットタワー/サスペンション取付部(アッパー・ロア)
・サブフレーム/メンバー(サスペンション・駆動系の支持骨組み)
・ラジエータコアサポート(溶接固定型は骨格扱い。
ボルトオン型は扱いに注意、後述)
修復歴に「該当する」作業の例
・上記骨格部位の交換、切開・溶接、歪み修正(フレーム修正機での引き出し含む)
・サスペンション取付部やストラットタワーの修正・交換
・フロアやトランクフロアの凹み修正・交換
・ピラーのカット・溶接修理や交換
・ルーフパネルの交換(外板の軽微板金は除くが、骨格側に及ぶ修正は該当)
修復歴に「該当しない」作業の例(一般的取扱い)
・外板パネル(ボンネット、フロントフェンダー、ドア、トランクリッド、クォーターパネル等)の交換・板金
— ただし外板の修理であっても、インナーパネルやピラーに及ぶ切開・溶接を伴えば修復歴に昇格
・バンパー、ヘッドライト、ラジエータ、コンデンサー等、ボルトオンの補機・付属品の交換
・エアバッグ作動のみ(骨格修理が無い場合)
・ボルトオン型ラジエータコアサポートの単純交換
— 周辺の骨格に歪みが及び、修正を伴う場合は修復歴に該当
判断が分かれやすい“グレー”と一般的な考え方
・クォーターパネル交換 外板扱いで修復歴に含めないのが一般的。
ただし、インナーパネルやピラーの切開・溶接に及ぶ場合は修復歴。
・ルーフの凹み板金 外板レベルの板金・塗装なら非該当。
ルーフレールやピラーまで修正が及べば修復歴。
・バックパネル 外板の交換だけなら非該当だが、トランクフロアや後部メンバーに修正・交換が及ぶ場合は修復歴。
・ラジエータコアサポート 溶接固定型は骨格扱いで交換・修正=修復歴。
ボルトオン型は単体交換なら非該当。
ただしコアサポートの曲がりを「曲げ戻し」している、周辺メンバーに歪みがある等は修復歴。
未修理の骨格損傷(事故現状)について
・用語上は「修復歴」=修理された履歴ですが、骨格部位に損傷が残る“事故現状車”は、オークションや鑑定上で修復歴車以上に厳しい評価となります。
店頭表示では「修復歴あり(現状損傷)」などと明示されることが多く、実質的には“骨格に事故影響がある車”として同等以上のマイナス評価を受けます。
「事故歴」との違いを具体例で
事故歴だが修復歴ではない例
・追突されバンパーとテールランプ、バックドアを交換(骨格無傷)
・駐車場でドアパンチ、ドア交換のみ
・前周りのライト・ボンネット・ラジエータ・コンデンサーを交換(メンバー無傷)
・単独で縁石接触、アーム交換と四輪アライメント調整(取付部に修正なし)
・エアバッグ展開、外板・内装交換のみ(骨格に修理なし)
修復歴になる例
・正面衝突でフロントサイドメンバーの修正・交換
・側面衝突でBピラー切開溶接
・トランクフロアの修正、リヤメンバー交換
・ストラットタワーの引き出し修正
・サブフレームやメンバーの交換に加え、取付部の修正があるケース
評価点・減額への影響(相場感)
・オートオークションの評価点は会場ごとに方式が異なりますが、骨格修理が確認された車は数値点(4.5、4、3.5等)ではなく「R」「RA」などの記号評価に格下げされるのが一般的です。
未修理の骨格損傷や重大損傷は「事故現状」などさらに厳しい区分。
・買取価格・小売価格の影響は車種・年式・人気・修理品質・損傷部位で大きく変動しますが、同条件の「無修復歴車」対比で概ね10〜30%の減額がひとつの目安。
ピラーやフロア、メンバー類など安全性や直進性に直結する部位の修理はマイナスが大きく、ボルトオン部品中心のフロント周りやバックパネル軽修正は比較的小さく済む傾向です。
・修理品質(寸法管理、溶接・シーラーの処理、骨格治具記録など)が良好で、試走で直進性・異音が問題ない個体は、同じ修復歴でも相場上の評価が相対的に良いことがあります。
逆に再修復や不適切修理の痕跡がある場合は、査定で大幅減点の対象となります。
実務での見分け・確認ポイント
・骨格判定のチェック例 スポット溶接痕の不連続、シーラーの塗り直し、パネルの重ね部の切開跡、冶具固定痕、寸法計測記録の有無、塗装肌の差、下回りの歪み・波打ち、アライメントの不自然な数値など。
・書類や履歴 保険修理見積・請求書、オークション出品票の「修復歴欄」、第三者鑑定(AIS/JAAA等)のレポート。
中古車販売では「修復歴の有無」は重要事項として口頭・書面で説明されるのが一般的です。
・冠水歴・焼損歴・メーター交換等は「修復歴」とは別表示ですが、価格や品質評価に大きく影響するため、合わせて開示の有無を確認しましょう。
根拠(基準・ガイドラインの出どころ)
・自動車公正取引協議会(公取協) 中古自動車の広告・表示に関する公正競争規約・施行規則で「修復歴の表示」を求め、骨格部位に対する修理の有無で表示判断を行うことを定めています。
消費者保護の観点から、表示の統一とトラブル予防を目的とした基準です。
・日本自動車査定協会(JAAI) 査定ハンドブック等で「修復歴車の定義=車体骨格等に修理が加えられたもの」と規定し、該当部位と修理態様(交換・修正・切開溶接等)を具体的に例示。
減価の考え方や部位ごとの影響度も示されています。
・主要オークション会場・鑑定機関(USS、CAA、HAA、TAA、JU、AIS、JAAA等) 出品票・評価基準で骨格部位を列挙し、該当修理があれば「修復歴(R/RA)」区分とする運用を明記。
ボルトオンのコアサポート単体交換等の扱いなど、細部の運用差はあるものの、骨格修理=修復歴という大枠は共通しています。
注記
・骨格部位の呼称や細目(例 ボルトオンのラジエータコアサポートの扱い、クォーターパネル交換の境界)は団体・会場ごとに運用差がわずかにあります。
最終判断は、その車両が査定・出品・販売される場の最新基準に従います。
・「修復歴なし」は「事故歴が全くない」ことと同義ではありません。
外板や付属品の交換歴はありえるため、現車確認や第三者鑑定レポートで具体的な修理箇所の有無を確認することが重要です。
まとめ
・事故歴は広く“何らかの事故・損傷に関わる過去”を指す総称で基準語ではない。
一方、修復歴は“骨格部位に対する修理が行われた履歴”という業界統一の基準語。
・修復歴の判定は「骨格部位」×「交換・修正・切開溶接の有無」が軸。
外板やボルトオン部品の交換・板金は原則として修復歴に含まない。
・評価点はR/RAなどの区分となり、価格への影響は同条件の無修復歴車比で概ね10〜30%減が目安(部位・品質・人気で変動)。
・根拠は公取協の表示規約・施行規則、JAAIの査定基準、主要オークション・鑑定機関の評価基準で概ね一致。
購入・売却時はこれらに沿った表示と第三者鑑定の活用が安心です。
車両の評価点はどう算出され、事故・修復歴はどれほど評価に影響するのか?
以下は日本の中古車市場(オートオークションや下取査定)で一般的に用いられている評価点の考え方と、事故歴・修復歴が評価と価格に与える影響についての整理です。
オークション会社や査定機関ごとに細部は異なりますが、基礎的な枠組みはほぼ共通です。
評価点はどう算出されるか(全体像)
– 減点方式が基本 検査員が車両各部の状態をチェックし、基準点から傷・凹み・再塗装・機関不良・臭気・欠品などのマイナス要因を加点(=減点)する「減点法」で全体の評価を決めます。
最終的な「総合評価点(グレード)」は加点・減点の単純合計というより、定められたレンジに当てはめる運用です。
– 評価は複合的 外装(板金塗装歴、傷へこみ、錆)、内装(汚れ・破れ・臭い)、機関(エンジン・AT・下回り油漏れ・異音)、足回り(タイヤ摩耗・アライメント)、電装(警告灯・装備動作)、走行距離・年式、修復歴(骨格部の修理・交換)などを総合化。
さらに「内装評価A〜D」や「外装評価A〜D」を併記する方式が一般的です。
– オークションの代表的な総合評価レンジ(目安)
– S/6/5 極上。
新古〜低走行で補修がほぼ無い。
– 4.5 上質。
ごく軽微な小キズや小補修がある程度。
– 4 良好。
小キズ・小凹み・小補修が複数箇所。
– 3.5 平均的。
目立つ傷や補修が散見、内外装の使用感強め。
– 3 状態悪め。
広い面のキズ・色ムラ・大きめの凹み等。
– 2〜1/0 過走行・著しい劣化・機関要修理・冠水等。
– R/RA 修復歴あり(骨格修理・交換)。
RAは軽度の修復歴を示す場合が多い。
– 損傷表記の例(代表)
– A 擦り傷、U 凹み、W 波打ち/歪み、S 錆、C 腐食、P 塗装、X/XX 交換済/交換相当、Y ガラスひび等。
数値(1〜3など)で程度を併記。
– 算出は「公式の数式」ではなく運用ルール 検査員がルールに従って採点し、最終的に検査責任者が相場観も踏まえてグレードを確定します。
同じ4点でも「小キズが多い4」と「大きな1カ所がある4」など実態はさまざまです。
だからこそ評価表(展開図)とコメント欄の読み込みが重要です。
事故歴・修復歴の定義(何が該当するか)
– 業界標準の考え方 修復歴とは「車台骨格(フレーム)部位に及ぶ損傷の修理・交換が行われた履歴」を指します。
骨格部位の例は以下のとおりです。
– サイドメンバー、クロスメンバー、ピラー(A/B/C)、インサイドパネル、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロアパネル(トランクフロア含む)、ラジエータコアサポート(溶接一体型の場合)、バックパネル等。
ボディ形式により相当部位が変わります(モノコック/ラダーフレーム)。
– 非骨格の外板(バンパー、ボンネット、フェンダー、ドア等)の交換・板金塗装だけでは通常「修復歴」には該当しません。
ただし減点や評価点には影響します。
– エアバッグ展開、メーター交換・改ざん、水没・冠水・火災・大規模な腐食は「修復歴」とは別カテゴリーですが、評価点と価格に強いマイナスをもたらし、多くは評価点が大きく制限されます。
事故・修復歴が評価点に与える影響(グレード面)
– 原則、修復歴(骨格修理)がある車は数値評価の上限が制限され、オークションでは「R(修復歴あり)」または「RA(軽度の修復歴)」の専用グレードに区分されます。
数値の4.5や4などは付与されません。
– 軽微な骨格修理(例 前部のコアサポート軽微鈑金、バックパネルの軽度修正)であっても、骨格に及ぶ以上はR/RA扱いが原則です。
逆に、外板交換多数でも骨格に及ばなければ修復歴扱いにはなりませんが、4.5→4→3.5といった範囲で評価点が落ちます。
– 水没歴・冠水歴・火災歴がある場合、多くの会場で評価点が「0」「記載不可」相当になり、備考での厳しい注意喚起が行われます。
– 走行不明(メーター改ざん/交換不明)の場合も評価点は大幅制限。
相場評価は走行距離の信頼性が前提なので影響は極めて大きいです。
– エアバッグ展開歴は「修復歴」とは別管理でも、骨格損傷が伴うことが多く、R/RAまたは数値点の大幅制限対象になります。
事故・修復歴が価格(査定額)に与える影響(減額の実務)
– 相場全般の目安(オークション落札ベース)
– 修復歴なし同等車比のディスカウント幅 概ね15〜40%が中央値レンジ。
部位が重く新しい年式ほど−率は拡大し、30〜50%に達することも珍しくありません。
– 軽度(例 バックパネル軽修正、ラジエータコアサポート端部の軽鈑金)では10〜20%程度の下落で収まることもあります。
– 重度(例 サイドメンバー/ピラー交換、フロア歪大、ジグ修正歴)では30〜50%超の値引きを要求されやすく、販路が限られる車種では流通価格がさらに下がります。
– 部位・位置による差
– 前部骨格の損傷は安全・直進性への懸念から後部よりも影響が大きくなりやすい傾向。
ピラーやフロア、サイドメンバーは影響大。
バックパネル単体なら相対的に軽め。
– 年式・走行距離との相関
– 年式が新しい・走行が少ないほど、本来の価格水準が高いため、修復歴による相対的な下げ幅(%)は大きく出やすいです。
逆に過走行・低年式はもともと安価なので、%は小さめでも絶対額では一定のマイナスが残ります。
– 小売視点の減額(下取査定の減点法イメージ)
– 査定協会系の実務では、ベース価格に対し、骨格部位の修理・交換は大口の減点カテゴリーで、部位・程度ごとに定められた大きなマイナス点を合算します。
外板パネルの板金・再塗装は中小の減点を部位数で積み上げる方式。
結果として、同じ「修復歴あり」でも、どの骨格部位か、交換か修正か、変形残りや溶接痕の状態などで金額は大きく変動します。
「評価点」と「修復歴」の相互作用の具体像
– 修復歴の有無が評価点の土台を決める 無修復なら3.5〜5の範囲で質に応じて分布。
修復歴ありならR/RA枠に入るため、数値点による高評価(4.5や5相当)は原則つきません。
– 外装・内装の軽微な瑕疵は点数の微調整要因 同じ無修復でも小キズが多いと4→3.5へ、内装C評価だと4.5→4へ、のように段階的に影響。
– 機関不良や警告灯点灯は点数を強く下げる ATジャダー、エンジンオイル漏れ大、ABS警告灯などは重大な減点。
修復歴なしでも3〜2まで落ちることがあります。
根拠(基準や実務に関する出典・準拠)
– 定義・表示ルール
– 自動車公正取引協議会の中古自動車の表示に関する公正競争規約・同細則 修復歴の開示義務と「骨格部位に及ぶ損傷の修復・交換」を修復歴とみなす枠組みが広く参照されています。
– 一般財団法人 日本自動車査定協会(JAAI)の中古自動車査定基準 下取査定の加減点法、骨格部位の取扱い、減点の考え方が確立。
– 株式会社AIS・日本自動車鑑定協会(JAAA)等の鑑定ガイドライン 骨格判定、評価点レンジ、外装/内装評価の考え方が公開され、業界標準として用いられています。
– オークション実務
– USS、TAA、CAA、JAAなどの各会場の検査基準・出品規約 R/RA区分、評価点レンジ、展開図記号、告知事項(冠水・走行不明・エアバッグ展開等)の取扱いが明記されています。
– 価格影響の数値レンジ
– 上記基準に基づく検査票と実際の落札相場(業界端末や相場誌)に長年蓄積された経験則として、修復歴車が同等スペックの無修復車に比べ15〜40%程度安くなる傾向が広く共有されています。
車種希少性・モデルサイクル・季節要因で振れ幅は大きく、特に新しめの年式やスポーツ/高級車では下落率が拡大する傾向があります。
実務的な見分け・付き合い方(購入・下取の観点)
– 修理の「中身」を確認 骨格のどの部位か、交換か修正か、溶接方法、ジグ修正の有無、アライメント測定記録の有無、修理見積書・写真の有無。
– 走行テスト 直進性、ハンドルセンター、異音、段差での挙動、制動時のジャダーを確認。
– 下回りと溶接痕 シーラーの塗り方、スポット溶接痕の規則性、左右差、塗装肌の差、ボルトの回し痕など。
– 電装・安全装置 エアバッグ警告灯、ADASセンサーの作動、キャリブレーション履歴。
– 第三者鑑定・保証 AIS/JAAA等の鑑定書、販売店保証の範囲と期間。
– 修復歴車の合理的な使い方 通勤や趣味の足などで「走りが真っ直ぐ・機関好調・消耗品が整備済」であれば、価格メリットを享受できるケースもあります。
転売価値を重視する場合は無修復・高評価点が有利。
まとめ
– 評価点は減点法に基づく総合指標で、外装・内装・機関・走行距離・記録簿・改造の有無などを総合的に反映します。
無修復の車は3.5〜5(上物は4.5〜5)に分布し、軽微な瑕疵で上下します。
– 骨格部位に及ぶ修理・交換があると「修復歴」となり、評価点はR/RA枠に区分され、数値点の高評価は原則つきません。
価格面では同条件の無修復比で概ね15〜40%のディスカウントが一般的で、部位が重い・年式が新しい・スポーツ/高級車などでは30〜50%超になることもあります。
– 修復歴の有無だけでなく、部位・修理方法・仕上がり・現在の直進性や機関状態などの「質」が実価値を大きく左右します。
購入・査定の際は、評価点とともに検査票の展開図・コメント、整備記録・修理資料の確認を重視するのが実務的です。
– 本回答の根拠は、自動車公取協・JAAI・AIS/JAAA等の基準、主要オークション会場の検査基準、ならびにそれらに基づく相場運用の一般実務に拠っています。
最終的な評価点・減額は会場・時期・個体差で変動するため、個別車両では検査票と現車確認をもって判断してください。
減額要因には何があり、修復歴の有無で相場はどれくらい下がるのか?
ご質問の「事故歴・修復歴(評価点・減額要因)」について、業界で一般的に用いられている定義と査定の考え方、実際の相場への影響(どれくらい下がるか)、そしてその根拠を整理して詳しくお伝えします。
1) 用語整理(事故歴と修復歴、評価点)
– 事故歴
広義には「事故に遭った・修理した履歴」全般を指します。
外板の板金塗装やバンパー交換のように骨格に及ばない修理も含まれます。
販売店によっては軽微修理まで「事故歴あり」と告知するケースもあります。
– 修復歴(修復歴車)
日本の流通・査定の実務では、主要骨格部位(以下参照)に損傷が生じ、修理・交換・修正が行われた車を指します。
これは「骨格に手が入ったか」が判断軸で、板金や外装交換のみでは該当しません。
第三者機関(例 AIS、日本自動車査定協会など)の定義もこの考え方に沿っています。
– 評価点(オークション評価)
業者オークション(USS、TAA、CAA、JU等)では車両状態を総合点(例 6、5、4.5、4、3.5、3、2、1)と外装・内装の個別評価(A〜D等)で示し、骨格修復がある車は「R」「RA(軽微)」等の記号で明示されます。
R/RAは「修復歴あり」のシグナルで、多くの買い手が仕入れ時に最も気にする情報です。
2) 修復歴の判定基準(主要骨格部位の例)
– サイドメンバー(フロント・リヤ)
– クロスメンバー(フロント・リヤ)
– フロントインサイドパネル(ストラットタワー含む)
– ピラー(A/B/C)およびロッカーパネル(サイドシル)
– ダッシュパネル
– ルーフパネル
– フロアパネル(フロア、トランクフロア)
– リヤフェンダーのインナー構造部(外板単独は骨格外)
– サスペンション取付部位、ステアリングギア取付部
– 参考留意点 ラジエータコアサポート単体の交換は骨格扱いにしない基準が一般的ですが、取付部のインサイドパネル等に損傷・修正が及べば修復歴に該当します。
ボルトオンのサブフレーム単体交換は通常は骨格扱いしません。
3) 減額要因(事故・修復に関して何が価格を下げるか)
– 損傷部位の重み
前後のサイドメンバー、ピラー、フロア、ストラットタワーなど、剛性・安全に直結する部位ほど減額が大きくなります。
フロント周りの骨格は高速域の衝突安全に、ピラーやフロアはキャビン剛性・直進安定性に影響しやすい。
– 修理内容と方法
叩き出しやパネル交換のみ<骨格修正機(ジグ)で引き出し・溶接補修<複数骨格部位の交換・修正の順でマイナスが大きくなります。
溶接跡、パテ厚、スポット打ち直しの粗さ、歪み残りなどは減額要因。
– 修理品質の可視的要素
チリの不揃い、色ムラ・肌(オレンジピール)、オーバースプレー、シール剤の打ち直しの雑さ、ボルト頭の工具痕、異音、雨漏れ跡などは買い手の不安を強め、下落幅が広がります。
– 二次的影響・走行機能への影響
直進時のハンドルセンターずれ、片減り、ステアリングの戻り、アライメント不良、サスペンション・駆動系の異音があればさらに減額。
試運転での体感異常は価格に直結します。
– 安全装備・先進装備への影響
エアバッグ作動歴と交換の有無、SRS警告灯、センサーブラケットやレーダー・カメラの取付部損傷、エーミング未実施/記録なしは大幅減。
ADAS誤作動リスクは買い手が非常に嫌います。
– 冠水・火災・塩害等の特殊履歴
これらは「修復歴」とは別枠でもっと強いマイナス。
水没歴は電子機器の遅発故障リスクが高く、火災歴は内装・配線劣化を嫌われます。
海沿い使用での塩害進行も評価を下げます。
– 記録・書類の有無
修理見積・作業明細・写真、エーミング記録、四輪アライメント測定結果、メーカー/ディーラーでの修理証明などの裏取りがあれば不安が減り、下落幅が縮まる傾向。
– 車種特性・ユーザー層
走行性能や残価重視のスポーツ/高級車ほど修復歴を嫌い、軽自動車・大衆セダン/ミニバンは相対的に影響が小さめ。
輸入車は同条件でも下落が大きい傾向。
– 年式と走行距離
新しく走行が少ないほど「本来の価値」が高い分、修復歴の減額率が大きくなりがち。
古く多走行ではベース相場が低く、影響率は縮むことがあります。
– カスタム・改造
構造変更、社外足まわり、大径ホイール、ロールケージ等は修復歴と相まって嫌われやすく、下落幅を広げることが多いです。
4) 修復歴の有無で相場はどれくらい下がるか(目安)
車種・年式・走行・修理内容・季節相場で変動しますが、業者オークションの長期的な落札傾向と実務上の経験則を合わせると、一般的なレンジは以下の通りです。
全体感の目安
修復歴なしを基準100とした場合、修復歴ありは概ね80〜60(−20〜40%)に収まるケースが多い。
軽微な骨格修正・良好な修理品質・書類完備なら−10〜20%で済むことも、反対に複数骨格・品質不良・不具合ありなら−40〜60%に達する例もあります。
車種別の傾向(同条件比の概算)
軽・コンパクト −15〜30%
大衆ミニバン/セダン −20〜35%
輸入車・高級セダン −25〜50%
スポーツ(特にMT・高出力) −30〜60%
商用バン/トラック 用途・需要次第だが−10〜30%(機関健全性を重視)
年式・走行の影響
登録3年以内・走行3万km以内 −25〜50%(新しいほど痛手)
5〜7年落ち・走行5〜7万km −20〜40%
10年落ち・10万km超 −10〜30%(元値が下がっているため比率は縮小しがち)
損傷部位・内容別上乗せマイナス(修復歴あり前提の追加影響幅)
サイドメンバー・ストラットタワー・ピラー さらに−5〜15%
フロア・ルーフ・ダッシュパネル(キャビン剛性に関わる) −10〜20%
複数骨格部位に跨る、または前後両側 −10〜25%
溶接交換・切継多数、歪み残り・チリ不良・色ムラ顕著 −5〜15%
安全装備・特殊履歴の影響
エアバッグ展開歴(適正交換・診断済み) −10〜20%
エアバッグ未復旧・警告灯点灯・不明 −20〜40%(流通困難も)
冠水歴(床上浸水・ECU浸水) −30〜80%(売買対象外になる例も)
火災歴 −40〜80%(内装・配線焼損のため流通困難)
「事故歴ありだが修復歴なし」の場合
バンパー・ボンネット・フェンダー等の外板交換/板金塗装のみで骨格無関与、修理品質が高く記録が揃っている場合は、相場影響は0〜10%程度に留まることが多いです。
色ズレ・肌不良・再塗装が広範囲だと−10〜20%に拡大します。
5) 評価点と価格の関係(オークションの見方)
– 評価点6/5/4.5/4/3.5…は総合状態を点数化。
外装・内装は別途A/B/Cなどで表記されます。
– 修復歴ありは評価点に「R」「RA」等が付され、同点数帯の修復歴なし車と比較すると落札相場が明確に低くなります。
– RAは軽微な骨格修理(例 インサイド端部の修正・スポット少数)で、Rより相場下落が小さいのが通例です。
– 同じRでも「部位」「修理数」「現状の仕上がり」「機関・電装の健全性」で相場差は大きく開きます。
したがって評価票の細部(骨格判定図、交換/修正の記号、コメント欄)と現車確認が価格判断の鍵です。
6) 根拠について
– 定義・判定基準
日本の中古車流通で用いられる「修復歴」は、第三者検査機関(AIS等)や日本自動車査定協会(JAAI等)の「骨格(主要構造部)に及ぶ損傷・修理の有無」を基準にしています。
業者オークションの出品票もこの骨格判定を踏襲し、骨格部位の交換・修正・切継の有無を記号で明記します。
– 評価点の体系
大手オークション(USSほか)が公開している評価基準では、R/RAは骨格修復ありを示す区分として広く定着し、査定・買取・小売の現場でも共通言語として運用されています。
– 価格下落のレンジ
上記の%レンジは、業者オークションの落札傾向(修復歴のある車両が同条件の無事故車に対して安く取引される現実)と、ディーラー・買取店の減額ロジック(部位別の減点、エアバッグ・冠水等の危険要因の大幅減)に基づく実務上の経験則を統合したものです。
特定車種・時期の個別データでは上下しますが、複数市場・複数年にわたり概ねこの範囲に収まることが多いという業界的コンセンサスがあります。
7) 実務での見極めと下落幅を抑えるコツ
– 修理の透明化
修理見積書、作業明細、修理前後の写真、使用部材(新品/OEM/リビルト)、溶接・塗装工程の記録を揃える。
買い手の不安が減り、減額幅が縮みます。
– 機能の裏取り
四輪アライメント測定・調整記録、ADASエーミング実施記録、SRS自己診断の結果、試運転レポートを付ける。
異音や片減りがあれば事前整備。
– 仕上げ品質
パネルのチリ・面出し・塗装肌・色合わせ、ウェザーストリップ・シーラーの処理まで丁寧に。
外観品質が良ければ小売りでの評価が上がり、仕入れ側の警戒が和らぎます。
– 第三者鑑定書
AISやJAAA等の鑑定書を付けると「骨格修理の範囲」と「現状良好」が客観視でき、修復歴ありでも納得を得やすくなります。
– 安全装備の完全復旧
エアバッグ・センサー類は純正適合で確実に復旧。
警告灯は消灯させ、ログ上のDTCもクリア。
記録を必ず残すこと。
8) まとめ
– 修復歴は「骨格に及ぶ損傷・修理」の有無が判断基準で、単なる外装修理の「事故歴」とは区別されます。
– 減額要因は、部位の重さ、修理方法と品質、走行機能への影響、安全装備の復旧状況、特殊履歴(冠水・火災)など多岐にわたります。
– 相場下落の目安は、修復歴なし比で概ね−20〜40%がボリュームゾーン。
新しい車、スポーツ/高級車、重篤部位・複数部位、品質不良・不具合・エアバッグ未復旧・冠水などで−50%超もあり得ます。
軽微で良質な修理・記録完備なら−10〜20%程度に留まる場合も。
– 根拠は、業界で共通化された骨格判定(AIS/JAAI等)と、オークション評価・落札傾向、買取減額の実務ロジックに基づくものです。
個別の車両・時期・市場(輸入車市況、季節需要、限定色・限定グレード)で上下は避けられないため、最終判断は「第三者検査+現車確認+直近の業者オークション相場」をセットで照合するのが確実です。
必要であれば、想定の車種・年式・走行・修理部位を教えていただければ、より具体的なレンジでの下落幅目安もお伝えできます。
事故歴・修復歴はどのように見抜き、どの資料や検査で確認すべきか?
ご質問の「事故歴・修復歴(評価点・減額要因)」について、実務での見抜き方、確認すべき資料・検査、そして根拠となる基準まで、体系的にまとめます。
中古車業界(買取・販売・オークション)の用語・手順に沿って解説します。
まず押さえるべき定義と基準(根拠)
– 事故歴と修復歴の違い
– 事故歴 広義には衝突・冠水・火災などのダメージを受けた経歴があること。
日常会話では軽微な接触も含むことがある。
– 修復歴 業界での公式概念。
ボディの「骨格部位」に損傷が及び、修理・交換・修正が行われた車。
軽微な外板交換や塗装のみは含まない。
– 骨格部位(例)
– サイドメンバー、クロスメンバー、ピラー(A/B/C)、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロアパネル、トランクフロア、バックパネル、インサイドパネル、ラジエーターコアサポート(溶接交換の場合)など。
ラダーフレーム車はフレーム修正・交換で修復歴。
– 根拠
– 自動車公正取引協議会「中古自動車の表示に関する公正競争規約・同施行規則」およびガイドラインにおいて、「修復歴の定義」が示され、販売時の表示義務がある。
– 日本自動車査定協会(JAAI)の「査定基準書」、AIS(オークネット)・JAAAなど第三者検査機関の評価基準においても、骨格部位への損傷・修理が「修復歴あり」の判断基準とされる。
– オークション会場(USS等)の評価点・R/RA表記もこれらの考え方に準拠。
実車での見抜き方(外観・内装・エンジンルーム・下回り)
– 塗装・外板の手掛かり
– 塗膜厚の不均一 工場出荷の塗膜は概ね80~130μm台(車種差あり)。
再塗装は180~250μm以上、パテが入ると400~1000μm超になることが多い。
鉄・アルミ対応の塗膜厚計で、ルーフや中央部を基準に比較する。
– オレンジピール(塗肌)、ミスト(オーバースプレー)、マスキングの境目、ドア開口部の塗装段差。
– 外板パネルのチリ・面ズレ、ドア・ボンネット・ゲートの立て付け不均一、ゴムウェザーストリップの塗料汚れ。
– ボルト頭の工具痕・塗装割れ(フェンダー、ヒンジ、ラッチ、キャッチ)。
ボルトの向き・ワッシャーの位置ズレ。
– 溶接・シーラーの痕跡
– スポット溶接のピッチが不均一、痕が欠損している、もしくは手打ち風。
– シーラーのビード形状が工場と異なる(太さ・波形・終端処理が不自然)。
左右で片側のみ新しい。
– ガラス・灯火類・ラベル
– ガラスの製造年週コードの不一致、片側のみ新しい。
ヘッドライト・テールの生産週が車体と大きくズレる。
– メーカーのパネル識別ラベル(QR/バーコード)の欠損や張替え痕。
– エンジンルーム・トランク内
– ラジエーターコアサポート・アッパータイバーの切継ぎ、シーラー塗り直し、塗装の艶違い。
– アプレン(インナーフェンダー)やストラットタワーの波打ち・引っ張り痕・塗膜割れ。
– バックパネル、トランクフロアの歪み、チッピングコートの新旧差、シーラー再施工。
– 下回り
– サイドメンバー・クロスメンバーの曲がり・潰れ、フレーム修正機のクランプ痕。
– アンダーコートが部分的に新しい、溶接スパッタの痕、表面錆の新旧差。
– サブフレーム・ロアアーム取付部の位置ズレや偏摩耗。
– 走行系の兆候
– タイヤ片減り、直進時の流れ・ステアセンターズレ、段差通過時のキシミ音。
– 強めの制動での片効き・ステアリング引き(ブレーキジャダーはまた別)。
– 内装・SRS関連
– エアバッグカバーのチリ・しわ、ダッシュボードの浮き、シートベルトプリテンショナーの交換痕。
– SRS警告灯の点灯シーケンスが不自然、警告灯の隠蔽(点灯しない)に注意。
計測・診断での確認
– 4輪アライメント測定
– キャンバー/キャスター/トー/スラスト角が規定内に収まるか、調整代が片側に寄り切っていないか。
調整しても規定に入らない場合は骨格歪みの示唆。
– ステア角センサーのゼロがしょっちゅうずれる場合、サブフレーム位置ズレや衝撃歴の可能性。
– ボディ寸法測定
– メーカーのボディ寸法図に対する三角寸(対角)測定。
トラムゲージや3Dボディ計測機での基準点比較。
誤差が累積的に出ると修復歴の可能性が高い。
– 診断機(OBD2/メーカー機)
– エアバッグECUのクラッシュイベントメモリ(DTC)、プリテンショナー作動履歴。
– ADAS(カメラ・レーダー)の較正ステータス。
ウインドシールド交換後未較正、あるいは較正偏差が大きい。
– ABS/ESCのヨーレート・舵角センサーゼロ点履歴、衝撃イベント後の記録。
– 塗膜厚計・磁石
– 塗膜厚は複数点を比較(同一パネルで端と中央、左右対称点)。
アルミ・樹脂・CFRPは磁石が使えないので材質を確認。
書面・履歴での確認(請求可能な資料)
– 車検証・記録簿
– 取扱説明書内の定期点検整備記録簿(ディーラー・認証工場のスタンプ)。
骨格修理は記載が残ることが多い。
走行距離推移の整合性も確認。
– 修理明細・見積・保険書類
– 鈑金塗装の納品書、交換部品名(インナーパネル、ピラー、コアサポート溶接交換等があれば修復歴の根拠に)。
– 保険会社の修理見積・支払通知(対物保険適用の痕跡)。
– 第三者の鑑定・査定書
– AIS車両品質評価書、JAAA鑑定書、JAAIの査定書。
骨格部位の修復有無、交換・修正箇所の図示、評価点の根拠が明記。
– オークション検査票
– 会場の評価点(4.5/4/3.5…、RA、Rなど)と展開図。
RA/Rは修復歴ありを示唆(会場基準による差異あり)。
外装評価(A1~、U1~)も参考。
– 走行距離管理システム照会(業者向け)
– オークションや点検時の走行記録の整合性。
メーター改ざんや事故でメーター交換の有無の推定。
– メーカーサービス履歴
– ディーラーでの板金・ボディ修理、エアバッグ交換、ADAS較正履歴などが残る場合あり。
– 根拠
– 公取協の表示規約では、販売時に「修復歴の有無」と主な状態を表示する義務。
第三者機関の鑑定はこれに準拠し、骨格修理の有無を明確化するため広く利用されている。
試乗でのチェック
– 直進安定性、ステアリングのセンター、戻り性。
– ブレーキング時の姿勢・片流れ、路面の轍での追従性。
– 段差での異音(ピラー・ルーフ付近のキシミは骨格応力の偏りを示すことがある)。
– 高速域での振動(プロペラシャフト・サブフレーム位置ズレ、ホイールハブの微小曲がり)。
評価点と減額要因の考え方(相場観)
– オークション評価点の目安
– 4.5~5~6 無事故で良好。
軽微な小傷のみ。
– 4~3.5 無事故だがキズ・補修多め、内装使用感あり。
– RA/R 修復歴あり(RAは小修復の扱いが多い)。
骨格交換・修正を含む。
– 0や特殊記号 冠水・焼損・重大瑕疵など。
– 減額の一般傾向(目安であり車種・年式・市場状況で変動)
– 無事故と比べ、修復歴ありは概ね10~40%の価格下落。
軽微な骨格修正・良質修理で10~20%、ピラー・フロア・ルーフなど重度で30~40%以上。
– エアバッグ展開歴は大幅減(安全装置作動=衝撃大の示唆、修理品質・将来不安)。
– 冠水歴・焼損歴はさらに大きな減価、販売対象外となることも。
– 高級車・輸入車・高年式ほど無事故プレミアムが強く、修復歴の減額幅が大きくなる傾向。
– 査定・減点の根拠
– JAAI査定基準では、骨格部位の損傷・修理は大きな減点対象。
合計減点により買取価格が算出される仕組み。
– オークション評価基準(各会場規程)および第三者検査機関の基準は、骨格損傷の有無を最重視。
実務的なチェック手順(おすすめの流れ)
– 事前情報
– 掲載情報で「修復歴の有無」「第三者鑑定の有無」を確認。
可能なら鑑定書・整備記録・修理明細の事前入手。
– 現車確認(昼間・屋外光が望ましい)
– 外板と塗装肌、パネルチリ、ボルト頭、ガラス・灯火類の年週。
– 塗膜厚計で各パネルを測定し左右対称で比較。
ルーフを基準に。
– リフトアップ
– 下回りの骨格・サブフレーム・アーム取付部・アンダーコート・溶接痕。
– エンジンルーム・トランク
– コアサポート、ストラットタワー、バックパネル、フロアの歪みとシーラー。
– 診断機スキャン
– SRS・ADAS・ABS系の履歴とDTC。
エアバッグ展開履歴の有無。
– 4輪アライメント
– 測定結果の提示を依頼。
調整内に収まるか、スラスト角の偏差。
– 書面確認
– 第三者鑑定書(AIS/JAAA等)、整備記録簿、修理明細、オークション検査票(輸入経路がオークションの場合)。
– 契約前
– 契約書に「修復歴の有無」の明記、万一の相違時の対応(返品・価格調整)を取り決め。
よくある誤判定と注意点
– フロントフェンダーやボンネット、ドアのボルト痕=即修復歴ではない(外板はボルトオン交換で修復歴に含まれない)。
ただし骨格に及ぶ裏側の変形がないか要確認。
– ガラスやライトの年週差は飛び石・盗難・紫外線劣化による交換の可能性もあり、単独では事故断定不可。
– 塗膜厚は工場塗装でもばらつきがある。
複数点・左右対称で比較し、総合判断が重要。
– 熟練工場の高品質修理は痕跡が極めて少ないことがある。
逆にアライメントや診断履歴の方が手掛かりになる場合も。
EV・アルミボディ・先進安全装備車の特記事項
– アルミ・複合材はリベット・接着・ボンドラインで修理され、鉄板の溶接痕とは異なる痕跡になる。
専用治具修理の有無を明細で確認。
– 高電圧バッテリーへの衝撃歴、バッテリーケースの歪み、オレンジ色ハーネスの交換歴、BMSのイベントログ(メーカー機での確認が必要)。
– ADASの較正履歴(フロントガラス・バンパー・レーダーブラケット交換時)。
較正不能や偏差大は骨格・ブラケット位置ズレの示唆。
dealer・売り手に具体的に求めるべきもの
– 修復歴の有無を記した車両状態表示(公取協に基づく表示)。
– 第三者機関(AIS、JAAA、JAAIなど)の最新鑑定書の原本または写し。
– 4輪アライメントの測定結果。
– 整備記録簿、過去の修理見積・明細(骨格・ピラー等の文言有無を確認)。
– 診断機スキャンの結果(SRS・ADAS中心)。
– 契約書への明記と、相違時の措置。
まとめ(判断の軸)
– 根拠は、公取協の修復歴定義とJAAI/AIS等の査定・検査基準。
骨格部位に及ぶ修理・交換・損傷が「修復歴あり」。
– 見抜くには、目視(塗装・チリ・溶接・シーラー・ボルト痕)+計測(塗膜厚・アライメント・ボディ寸)+診断(SRS/ADAS)+書類(鑑定書・修理明細)を併用する。
– 減額は、骨格損傷の部位・程度・修理品質・エアバッグ展開・冠水歴の有無で幅が大きく変わる。
高年式・高級車ほど影響大。
参考となる基準・機関(名称)
– 自動車公正取引協議会「中古自動車の表示に関する公正競争規約・同施行規則」およびガイドライン(修復歴の定義、表示義務の根拠)
– 日本自動車査定協会(JAAI)「査定基準書」(骨格部位の定義と減点体系)
– AIS(株式会社オークネット)車両品質評価基準、JAAA(日本自動車鑑定協会)鑑定基準
– 各オークション会場(USS、TAA、HAA等)の評価基準・検査票
最後に、完璧な見抜きはプロでも難しいため、第三者鑑定とアライメント測定、SRS/ADAS診断までセットで確認するのが最も再現性が高い方法です。
売買時は「修復歴の有無」の明記と、相違時の契約条項を必ず取り交わすことをおすすめします。
事故・修復歴車を売買する際の注意点とトラブルを避けるコツは何か?
以下は日本の中古車市場(国内流通・オークション・小売)で一般的に用いられる基準や実務に基づく、事故歴・修復歴車の売買における注意点と、トラブルを避けるコツ、加えて根拠の概要です。
用語整理(誤解によるトラブルを避ける第一歩)
– 事故歴(俗称) 事故に遭った経緯があること全般を指す俗な言い方。
外板の交換や鈑金のみで骨格に及ばない場合も含めて「事故車」と呼ぶことがあり、用語として曖昧。
– 修復歴(業界用語) 日本自動車査定協会(JAAI)が定義。
骨格(車体の主要構造部位)に損傷・修正・交換が認められる車。
中古車広告やオークションでは「修復歴あり/なし」で明確に区別。
– 鈑金歴・交換歴 外板(フェンダー、ドア、ボンネット等)の修理・交換。
骨格に及ばなければ「修復歴」には該当しない。
→ トラブルの典型は「無事故と言われたが、実は修復歴あり」または「事故はあったが修復歴はないと言われた」の認識違い。
契約書や説明書は「修復歴の有無」で表記されるのが基本。
修復歴の業界定義(何が“骨格”か)
– 代表例(JAAI基準の骨格部位の例) ラジエータコアサポート、フロントサイドメンバー、フロントインサイドパネル、ピラー(A/B/C)、ルーフパネル、ダッシュパネル、サイドシル、フロア(センター含む)、トランクフロア、リアサイドメンバー、クロスメンバー、サスペンションメンバー等。
– これら骨格部位に「交換・修正・切継ぎ・鈑金変形」があると修復歴となる。
逆に、ボルトオンの外板交換(ドア・フェンダー・ボンネット・バックドア等)は修復歴に該当しない。
評価点(オークションや第三者検査)
– 業者オークション(USS等) 外装総合評価点(5、4.5、4、3.5、3…)と、事故修復歴のある車は「R/RA」等の区分。
R/RAは修復歴車の標準表記。
内装評価(A〜E)や細かな減点記号も付く。
– 小売での第三者検査 AIS(カーセンサー認定)、JAAA(グー鑑定)などの「車両状態証明書」。
修復歴の有無、骨格部位の修理状況、塗装・パネル交換の有無、内外装評価が明示される。
– ディーラー系認定中古車も第三者またはメーカー基準で状態証明を付ける例が多い。
減額要因(相場が下がるロジック)
修復歴車の価格は、同等条件(年式・走行・グレード)の「修復歴なし」より下がるのが一般的。
減額幅は車種人気や年式にもよりますが、傾向は以下。
– 部位の重要度 フロント・リアサイドメンバー、ピラー、ルーフ、フロアの交換・切継ぎは大きく減額。
ラジエータコアサポートやクロスメンバー修正も影響大。
ボルトオン外板は影響小。
– 修理方法と品質 交換よりも大がかりな切継ぎ・溶接、素人溶接跡、歪み残り、シーラー処理の粗さ、アライメント不良、下回り波打ちや折れ跡はマイナス大。
フレーム修正機と三次元計測での適正修理記録があれば減額緩和。
– 安全装置の作動履歴 エアバッグ展開歴やシートベルトプリテンショナ作動歴がある場合は減額大。
交換・エアバッグECU初期化・自己診断OKの記録があると緩和。
– 電装・ADASの再調整 ミリ波レーダー、カメラ、ヘッドライト(AFS)などのエーミング未実施はマイナス。
実施記録があれば緩和。
– 冠水・塩害・火災歴 修復歴とは別軸だが大幅減額要因。
特に冠水は電装腐食リスクが高く敬遠される。
– 再販性 人気車・新しめの年式ほど相対的な減額率が大きく出やすい(買い手が“修復歴なし”を選びやすいため)。
年式が古く価格帯が低い車は減額率がやや緩やか。
– 参考的な相場感(あくまで一般傾向) 軽微な骨格修正で1〜2割、主要骨格の交換や複数部位で2〜4割、重度や安全装置作動・水害併発でそれ以上の下落も。
車種・季節・需給で変動。
買う側の注意点とコツ
– 表示と証明のダブルチェック
– 店頭・広告の「修復歴」表示、第三者の車両状態証明(AIS/JAAA等)、元オークション車なら原本の出品票(評価点・R/RA表記・コメント)を確認。
– 点検記録簿、鈑金・フレーム修正の見積書・作業明細、エーミング実施記録(ADAS)、エアバッグ交換記録の有無を資料で確認。
– 実車確認の要点
– パネルのチリ・面ズレ、塗装肌やオーバースプレー、ウェザーストリップの塗装乗り、シーラーの不自然さ、ボルト頭の工具痕、溶接跡を観察。
– 下回りやトランクフロアのシワ、牽引フック周辺の歪み、スペアタイヤハウスの波打ち。
– 試乗 直進性、ハンドルセンター、ステア戻り、異音(段差・旋回)、速度域での振動、ブレーキ時の偏り、タイヤ偏摩耗。
– 電装 SRS警告灯の自己診断シーケンス、ADAS作動、雨漏り・風切り音。
– 独立した点検
– 購入前に認証工場やディーラーでリフトアップ点検・四輪アライメント測定。
結果を紙で受領。
– 契約・書面
– 重要事項説明書と注文書に「修復歴の有無・対象部位」を明記。
広告のスクリーンショット保全。
– 保証対象範囲の確認。
修復歴車は一部保証除外や短期化があるため、部位・期間・上限額を把握。
– 価格交渉
– 修復部位・方法・記録の有無、R/RA評価、エアバッグ作動履歴を材料に相場からの減額幅を交渉。
記録が揃っている良修理は“安心材料”として価格の妥当性を判断。
売る側(個人・業者)の注意点とコツ
– 情報開示の徹底
– 修復歴の有無だけでなく、部位、修理方法(交換/修正)、実施時期、作業工場、エーミングやアライメント実施の有無、エアバッグ交換の有無を明記。
– 可能なら第三者の車両状態証明を取得し、広告や商談に添付。
信用度が上がり価格も安定。
– 記録と写真
– 修理前後の写真、見積書・請求書、計測データ(四輪アライメント、ADASエーミング完了記録)を保管・提示。
– 価格設定
– 同条件の「修復歴なし」相場から減額する。
主要骨格やエアバッグ展開歴がある場合は思い切ったディスカウントで回転を重視。
複数社査定・委託販売・業者オークション出品も検討。
– 契約
– 注文書・現状確認書に「修復歴あり/対象部位」を明記。
個人間売買でも告知書を作成。
後日の紛争抑止になる。
– 法令順守
– 「無事故」などの曖昧表示は避け、修復歴の有無を基準表記。
意図的な未告知・虚偽表示は景品表示法や民法上の契約不適合責任の問題になる。
トラブルを避けるコツ(双方共通)
– 用語の統一 事故歴ではなく「修復歴の有無」で会話・記載。
– 第三者エビデンス 車両状態証明、オークション出品票、修理記録、アライメント・エーミング記録のセット化。
– 事前点検と試乗 可能なら第三者工場での事前点検を合意。
費用負担の取り決めを事前に。
– 契約書の明文化 修復歴有無・部位、付帯装備の作動、保証範囲、引渡し状態、付属品(スペアキー等)を記載。
– 連絡履歴の保存 広告、見積書、説明メール・メッセージ、写真を保存。
– オンライン購入時 返品特約・保証条件、輸送時のリスク分担、到着後の初期不良申告期限を確認。
よくある紛争パターンと初動
– 無事故と説明されたが修復歴だった
– 初動 販売店に証拠(第三者検査、オークション票)を提示し協議。
解決しない場合は自動車公正取引協議会、消費生活センターへ相談。
– 走行後に直進性不良・偏摩耗が判明
– 初動 四輪アライメント測定結果を取得。
納車時の状態との相違を立証し、是正修理または費用補填を交渉。
– 冠水歴の未告知
– 初動 腐食・泥痕・配線カプラの錆・臭気等の鑑定結果を基に交渉。
重大な告知義務違反は契約解除や損害賠償の対象になり得る。
根拠・参照指針(要旨)
– 業界定義 日本自動車査定協会(JAAI)の「修復歴車の基準」。
骨格部位に損傷・修正・交換がある場合を修復歴とする旨。
– 表示ルール 自動車公正取引協議会(公取協)の「中古自動車の表示に関する公正競争規約・同施行規則」。
修復歴の有無、走行距離、年式等の適正表示を義務付け。
– 第三者検査 AIS(カーセンサー認定)、JAAA(グー鑑定)等の車両状態証明制度。
修復歴の有無、骨格部位の判定、評価点の付与。
– 民法(2020年改正) 契約不適合責任。
重要事実の不告知や説明と実態の齟齬があると、追完請求・代金減額・損害賠償・解除の対象になり得る。
– 景品表示法 優良誤認・有利誤認表示の禁止。
無事故と誤解させる表現や修復歴の不記載は問題となる。
– 道路運送車両法・保安基準 修理後の保安基準適合、エアバッグ・シートベルト・ADAS等の整備と機能確保は保安面の前提。
まとめ
– 「修復歴あり」は骨格に及ぶ修理歴のこと。
用語の正確な理解がトラブル防止の出発点。
– 価格は部位・修理方法・品質・安全装置作動歴・電装再調整の有無で変動。
良質な修理と記録の整った個体は、修復歴車でも安心材料が多く、減額幅が緩む。
– 買い手は第三者証明と記録の裏付け、試乗・事前点検、契約書の明文化でリスクを管理。
売り手は誠実な開示と記録提示、適正価格・明確な契約で紛争を予防。
– 根拠はJAAI基準、公取協の表示規約、第三者鑑定の枠組み、民法の契約不適合責任等に裏打ちされる。
これらに沿って「見える化」された情報と書面化が、事故・修復歴車の健全な売買とトラブル回避の鍵になります。
【要約】
事故歴は日常語で損傷の過去全般を指す。修復歴は業界基準で骨格部位に交換・修正・切開溶接などの修理があった履歴。外板やボルトオン部品の交換は原則非該当。判定は公取協・JAAI基準に準ずる。冠水や焼損、メーター改ざんは別枠。骨格未修理の現状損傷も実務で修復歴以上に厳評価。クォーターパネル等も骨格へ及べば該当。ラジエータコアサポートは溶接型は該当、ボルトオン単体交換は非該当。