コラム

失敗しない中古車選び 「修復歴なし」「ワンオーナー」の定義・信頼性・見分け方と価格差/リセールの実態

「修復歴なし」「ワンオーナー」とは具体的に何を意味し、業界基準ではどう定義されているのか?

ご質問の「修復歴なし」「ワンオーナー」について、業界で一般的にどう定義・運用されているか、そしてその根拠や確認方法、注意点まで整理して詳しくご説明します。

用語の位置づけ

– 修復歴(修復歴あり/なし)
– 中古車業界で最も重要な表示事項の一つ。

公的なガイドラインや業界団体の査定基準に明確な定義があり、販売時の表示義務も課されています。

– ワンオーナー
– 販売現場で広く用いられる慣用表現。

法令で厳密に定義された語ではありませんが、実務上は「登録上の使用者(または所有者)が新車時から一人(1名)だけ」の車両を指すのが一般的です。

誤認防止の観点から根拠資料の提示が推奨されています。

「修復歴なし」とは何か(定義と基準)

– 基本定義
– 事故や衝撃などにより車体の骨格部位(構造部位)に損傷が生じ、当該骨格部位に交換・修理・修正等(溶接・切断・鈑金などによる形状復元)が行われた履歴が「ない」ことを意味します。

– 逆に言えば「骨格部位」に手が入っていれば「修復歴あり」。

外板やボルト留めの付属部品の交換・塗装は原則として修復歴には含みません。

骨格部位(代表例)

フレーム(サイドメンバー)
クロスメンバー(フロント/リヤ、サスペンションクロスメンバー含む)
ピラー(A/B/Cピラー)
ダッシュパネル
ルーフパネルおよびルーフレール
フロアパネル(フロント/センター/リヤ)、トランクフロア、バックパネル
インサイドパネル(フロント/リヤ)
ラジエータコアサポート(車種により構造差はあるが、骨格扱いが一般的)
これらは車体剛性や形状保持に直接関わるため、交換・切開・修正が行われると「修復歴あり」に該当します。

修復歴に「含まれない」主なケース

外板パネル等の交換・板金・塗装(例 ドア、ボンネット、トランクリッド、フロントフェンダー、バンパー、ヘッドライト等のボルトオン部品)
骨格部位に至らない軽微な歪み・小凹み・表面の補修
機関・足回りの通常の交換(例 ショック、アーム、ブレーキ等の消耗・損傷交換)。

ただしサスペンションメンバーやクロスメンバー等の骨格相当部位に及ぶ場合は修復歴の対象。

エアバッグ展開の有無は修復歴の判定とは独立(展開=必ず骨格損傷とは限らない)。

よくある誤解との違い

「事故歴」と「修復歴」は同義ではありません。

事故に遭っていても外板交換のみなら「修復歴なし」のことがあります。

逆に、外見がきれいでも骨格に手が入っていれば「修復歴あり」です。

「冠水(浸水)歴」「火災歴」「塩害」などは、修復歴の定義とは別枠の重要告知事項として扱われます(修復歴の「有無」だけでは判別不可)。

実務での判定方法(査定・鑑定の着眼点)

ボルト頭の回し跡、シーラーやスポット溶接痕の不整合、パネル合わせ面の不自然なギャップ、塗膜厚計での異常数値、フロアのシワ・波打ち、アライメントの異常、溶接・切断痕、修正機にかけた形跡などを総合判定
第三者機関の車両状態証明(AIS、JAAA、JUグループ、Goo鑑定など)で修復歴の有無が明記されるのが一般的

「ワンオーナー」とは何か(実務上の定義と注意点)

– 一般的な意味
– 新車登録から売却・下取りに至るまで、車検証上の「使用者(または所有者)」が同一で、名義変更が行われていない車両。

中古車として販売される段階で、過去の名義人は「1名」である状態を指します。

– 名義の読み方(車検証の項目)
– 所有者 法的な所有権者(ローン会社・リース会社名義のこともある)
– 使用者 実際に使用・管理する名義人(個人名・法人名)
– 実務上「ワンオーナー」は、使用実態に近い「使用者」が新車時から一人であることを意味する文脈が多いです。

注意が必要なケース

登録済未使用車 販売会社名義で登録だけされた車。

ユーザー使用実績がないため、消費者が期待する「一人が大事に長く乗った」というイメージとは異なる。

これを「ワンオーナー」と称するのは不適切。

試乗車・社用車・レンタカー・カーシェア 名義が1者でも、不特定多数の運転が想定される。

ワンオーナーの文言だけでは使用実態が見えないため、併記説明が望ましい。

リース車 所有者はリース会社、使用者が個人(または法人)。

個人リースで使用者が新車時から1名なら「ワンオーナー」と言える余地がありますが、法人リースや社用車では運転者が多数の場合があるため、実態説明が不可欠。

ディーラー買取→オークション→販売店 流通過程で「所有者」名義が販売店に移っていても、ユーザー側の履歴が一人ならワンオーナーと表現されます(仕入れ・在庫化はカウントしないのが通例)。

期待される付随情報

点検記録簿(新車時から継続の整備履歴)
車検証の写し(所有者・使用者欄)、登録事項等証明書(過去の名義変遷)
取扱説明書・保証書・スペアキーの揃い(大切に乗られていた痕跡)

根拠となる主な基準・ガイドライン

– 修復歴の定義・表示義務
– 自動車公正取引協議会(公取協)の「中古自動車の表示に関する公正競争規約・施行規則」
– 中古車広告・店頭表示の適正化を目的とする業界ルール。

修復歴の表示義務と、骨格部位に関する考え方が示されています。

販売事業者は修復歴の有無を明示しなければならないとされ、消費者の誤認防止が図られます。

– 一般社団法人 日本自動車査定協会(JAAI)「中古自動車査定基準・細則」
– 査定士が用いる公式基準。

修復歴の定義、骨格部位の具体例、査定減点などのルールが詳細に規定されています。

上記の骨格部位の扱いはこの基準と整合します。

– AISやJAAA(日本自動車鑑定協会)等の第三者検査機関の評価基準
– 車両品質評価書における「修復歴車」の判定基準は、JAAIや公取協の考え方に準拠。

骨格へのダメージや修理の有無で統一的に運用されています。

– ワンオーナー表示の考え方
– 法令で厳密な定義はありませんが、公取協の「表示に関するガイドライン」やJU(全日本中古車自動車販売協会連合会)等の内部指針では、客観的事実に基づく表示と根拠資料の保有(車検証・登録事項等証明・点検記録簿等)を求め、誤認を招く断定的表示を避けることが推奨されています。

すなわち「名義上のオーナー数が1である事実」を裏づけられることが前提で、使用実態がイメージと乖離する場合は補足説明が望まれます。

「修復歴なし」「ワンオーナー」の価値と限界

– 価値(一般にプラス要素)
– 修復歴なし 骨格に手が入っていないため、車体剛性や直進安定性、将来の下取り価値の面で安心材料。

– ワンオーナー 使用・メンテ履歴が追いやすく、点検記録簿が揃いやすい。

内外装の扱いが丁寧な個体が相対的に多い傾向。

– 限界・注意点
– 修復歴なしでも外板の交換・再塗装歴はあり得るし、冠水・塩害・粗悪な改造などは別問題。

– ワンオーナーでも走行距離が極端に多い、使用環境が厳しい(短距離・過荷重・屋外保管等)とコンディションは千差万別。

– 結局は「個体の実物状態」と「第三者評価(車両状態証明)」で総合判断するのが重要です。

消費者としての確認ステップ

– 修復歴の確認
– 第三者機関の車両状態証明書(AIS、JAAA、JU、Goo鑑定等)の提示依頼
– リフトアップでの下回り確認、骨格周辺の溶接・シーラー・塗膜厚のチェック(販売店に依頼)
– オークション出品票(評価点・修復歴欄)の開示依頼(業販由来の場合)
– ワンオーナーの確認
– 車検証の写し(所有者・使用者欄、初度登録、前回登録年月日)
– 登録事項等証明書(運輸支局で取得可能)で名義変遷を確認
– 点検記録簿の連続性(新車時からの整備履歴が同一名義で継続しているか)
– リース・試乗・社用・レンタカー等の使用実態の有無を質問し、該当する場合は明示説明を求める

境界事例の扱い(参考)

– ラジエータコアサポート 車種によりボルト留めと溶接一体構造があり、評価機関は構造・損傷度合いで判定。

一般には骨格扱いで、交換・修正は修復歴に該当しやすい。

– ルーフパネル 外板の一種だが車体剛性に寄与し溶接交換を要するため、交換・修正は修復歴に該当。

– クォーターパネル(リアフェンダー外板) 多くは溶接一体のため、切開交換は骨格関連とみなされ修復歴に該当する取扱いが一般的。

– フロントフェンダー(ボルト留め) 交換しても原則修復歴には該当しない。

まとめ
– 修復歴なし=「骨格部位」に損傷・修理がないこと。

定義は公取協の表示規約やJAAIの査定基準、AIS/JAAA等の評価基準により統一されています。

– ワンオーナー=新車時から登録上の名義(主に使用者)が一人。

法的な定義語ではないため、車検証・登録事項等証明・点検記録簿等で裏づけできること、使用実態を誤認させない説明が重要です。

– いずれも「表示語」そのものより、第三者の車両状態証明と名義・整備履歴のエビデンスで確認し、個体の実物状態で総合判断するのが失敗しない近道です。

参考・根拠(名称)
– 自動車公正取引協議会「中古自動車の表示に関する公正競争規約・施行規則」(修復歴の表示義務/骨格部位の考え方)
– 一般社団法人 日本自動車査定協会(JAAI)「中古自動車査定基準・細則」(修復歴の定義・骨格部位・査定方法)
– AIS、JAAA、JU、Goo鑑定等の「車両評価基準・車両状態証明書」(修復歴車判定の運用)
– JU中販連・各販売士制度の表示ガイドライン(ワンオーナー等の用語表示における誤認防止の考え方)

上記基準やガイドラインは改定されることがあるため、購入・売却時は最新の車両状態証明や販売店の説明書面で必ず現行の扱いを確認してください。

なぜ中古車選びで「修復歴なし」「ワンオーナー」が重視されるのか?

中古車選びで「修復歴なし」「ワンオーナー」が重視されるのは、機械的な信頼性・安全性・将来の費用予測のしやすさ・再販価値の高さという、購入後のリスクを左右する要因に強く関わるからです。

以下、意味合いの正確さから始めて、重視される理由と根拠、注意点、確認方法までを体系的に解説します。

1) 用語の前提と定義
– 修復歴(あり/なし)
日本の中古車流通では、単なる外板の鈑金塗装やバンパー交換は「修復歴」に含みません。

車体の骨格(フレーム・サイドメンバー・ピラー・クロスメンバー・インサイドパネル・ラジエーターコアサポート・ルーフパネル・フロア・トランクフロア等)に損傷が生じ、その修理や交換を行った履歴があるものを「修復歴車」と扱うのが業界標準です。

これはAIS(第三者検査機関)や日本自動車鑑定協会(JAAA)、日本自動車査定協会(JAAI)などの査定・鑑定基準で明確化されています。

– ワンオーナー
新車登録から中古車として売りに出されるまで、原則として同一の使用者が継続して所有・使用してきた個体を指します。

販売現場では「ユーザー買取の一発仕入れ」や「新車時からの点検整備記録が通しで残る」個体をワンオーナーと称します。

なお、名義の一時的な変更(ディーラー名義・陸送名義など)を除外して「実質一人の使用者」という意味で使われることが多いです。

2) なぜ「修復歴なし」が重視されるのか
– 構造安全性・走行安定性の不確実性が低い
骨格部位にダメージがあると、たとえ修理後に外観が綺麗でも、ボディ剛性・クラッシュ時のエネルギー吸収経路・ホイールアライメントの根本精度に影響が残ることがあります。

結果として直進安定性、タイヤ片減り、異音(NVH)、ドア開閉のチリ、雨漏り、将来の溶接部からの錆進行といったリスクが上がります。

現代車は衝突安全ボディや溶接構造の最適化が進んでおり、骨格の修理品質が総合性能に直結します。

– 先進装備のキャリブレーション起因リスク
ADAS(衝突被害軽減ブレーキ、レーンキープ等)のセンサーブラケットやボディ基準点が微小にズレても、誤作動・警告・制限が起こる可能性があります。

修復歴車ではセンサー再調整や後々の追加整備が必要になるケースがあり、維持費の不確実性が増します。

– 保険・保証・融資の取り扱い
一部の延長保証・認定中古車プログラムでは修復歴車が対象外、もしくは保証範囲が限定されることがあります。

ファイナンスでも評価額や残価設定に影響が出やすく、総支払額や再販時の流動性に影響します。

– 相場(価格)への明確な影響
同年式・同走行の並行条件で比較すると、修復歴車は概ね10~30%程度安く提示される傾向が一般的に見られます。

損傷部位が主要骨格・交換点数が多い・エアバッグ展開歴あり等では下落幅がさらに大きくなります。

これは業者オークションの評価基準(車両状態のランク付け)や小売現場の販売速度(回転率)データに基づく実務的な相場観です。

– 表示義務という制度的裏付け
自動車公正取引協議会の表示規約では、販売時に「修復歴の有無」を適正に表示する義務が定められています。

市場全体が「修復歴の有無」を品質・価格決定の重要情報として扱っている制度的根拠といえます。

3) なぜ「ワンオーナー」が重視されるのか
– 使用実態と整備履歴の連続性
同一オーナーが乗り続けた車は、点検整備記録簿・保証書・請求書の名義や日付が一直線につながりやすく、メンテナンスの抜け漏れやメーター改ざんの可能性が低くなります。

特に日本では車検・定期点検で走行距離の記録が残るため、履歴の整合性確認がしやすいです。

– 取り扱いの丁寧さ・生活臭の一貫性
ワンオーナーだと喫煙・ペット・車内改造・保管環境(屋内外・海沿い・積雪地域)などが「一つのライフスタイルの癖」で貫かれる傾向があります。

車内消耗や匂い、内装トリムの擦れ等が予測しやすく、ばらつきが少ないのがメリットです。

– 残価・流動性の高さ
小売でも下取りでも「ワンオーナー」は販促上の強い訴求点で、次の買い手にも安心材料になります。

そのため業者は仕入れ段階からプラス評価を与えがちで、結果として再販価値の底堅さにつながります。

– リスク低減(統計的な発想)
オーナーが変わるたびに乗り方・管理の仕方・改造の方針が変わる可能性が生まれ、未知のリスクが増えます。

ワンオーナーはその「変数の数」が一つ少ないため、故障原因の切り分けや将来コストの見積もりが容易になります。

4) これらが評価される背景にある「市場の合理性」
– 情報の非対称性が大きい中古車市場では、「事故歴」と「所有履歴」は買い手にとって最重要な信頼シグナルです。

整備や修理の巧拙は外観では判断しにくい一方、骨格修理の有無・オーナー数は比較的客観的に提示でき、結果として価格・販売速度・保証付帯条件に直接反映されます。

– ディーラー系認定中古(メーカー保証付き)は、「修復歴なし」「整備記録が揃う」を条件とするケースが多く、実需サイドの要件としても事実上の標準になっています。

5) ただし知っておくべき注意点・例外
– 修復歴なし=無事故とは限らない
バンパー・フェンダー・ボンネット等、骨格外の交換や鈑金塗装は「修復歴なし」の範囲内です。

外板損傷でも修理品質が低ければサビ・色違い・クリア剥がれ・センサー誤作動などの不具合は起こり得ます。

逆に、修復歴ありでも適切なジグ修正・溶接・防錆・計測が徹底された高品質修理なら、日常使用で問題が出ない個体もあります。

– ワンオーナー=大切に扱われた、とは限らない
長期未整備・サーキット走行・過度なチューニング・屋外放置・下回り塩害など、ワンオーナーでもハードな使われ方の車はあります。

反対にオーナー複数でも、全期間で記録簿完備・認定中古継続・屋内保管という優良個体も少なくありません。

大事なのは「履歴の一貫性」と「現車状態」です。

– 表示のグレーゾーン
ワンオーナー表記は販売店の定義がまちまちで、登録上の名義変更(親族・法人⇔個人)や短期ディーラー名義をどう扱うかに揺らぎがあります。

過度に鵜呑みにせず、記録簿・伝票・車検証の記載で裏取りを。

6) 根拠となる指標・実務上のエビデンス
– 業者オークションや第三者機関の評価基準
AIS・JAAA・JAAIなどの検査票は、骨格損傷の有無と部位を明記し、点数(評価点)に直結させます。

評価点が1段下がると落札相場が顕著に下がる傾向があり、修復歴の有無は業者の仕入れ価格にダイレクトに反映されます。

– 小売現場の販売速度(回転率)
同条件なら「修復歴なし・ワンオーナー・点検記録簿付き」は問い合わせ数が多く、在庫期間が短くなりやすいという実務的傾向があります。

販売側にとっても回転率が高い在庫は価値が高く、仕入れ時にプレミアムを払う理由になります。

– 公的・自主規制の表示ルール
自動車公正取引協議会の表示規約で修復歴表示が義務付けられ、ユーザー保護の観点から透明性が担保されています。

ディーラー系認定中古の条件設定(骨格修理歴なし・純正修復・記録簿完備)も、メーカー保証や安全性能担保の要件に基づきます。

7) 実際の見極め・確認方法
– 修復歴の確認
第三者機関の車両状態証明書(AIS・JAAA等)を提示してもらう。

販売店のリフトで下回り・ラジエーターコアサポート・インサイドパネル・フロア・トランクフロア・ピラー付け根のシーラーや溶接痕、スポット打点の不自然さ、塗膜厚のムラ(膜厚計値)を確認する。

直進時のハンドルセンター、フルブレーキ時の流れ、タイヤ片減りもチェックポイント。

– ワンオーナーの裏取り
点検整備記録簿の名義と日付が新車時から連続しているか、ディーラーの入庫履歴が継続しているか、車検証の「使用者欄」の変遷(記録事項)と走行距離記録が整合しているかを確認。

記録の空白期間が長い場合は、その間の保管環境や整備の有無を質問。

– 総合評価
「修復歴なし・ワンオーナー」に加えて、記録簿完備、禁煙、下回り防錆状態、キー本数、取説・工具類の完備、純正度、リコール対策済み、消耗品(タイヤ・ブレーキ・バッテリー・油脂類)の残量や交換履歴など、複数の安心材料が積み上がる個体がベストです。

8) まとめ(意思決定の指針)
– 修復歴なし・ワンオーナーは「機械的・経済的リスクの低さ」を示す強いシグナルで、将来の維持費や売却価値の予見可能性が高まります。

市場全体の価格付け、表示規約、第三者評価の仕組みがそれを後押ししており、合理的にプレミアムが付与されます。

– ただし、それ自体は十分条件ではありません。

修復歴なしでも塗装品質が悪ければ劣化が早く、ワンオーナーでも整備が杜撰なら故障リスクは残ります。

最終判断は「履歴の一貫性」「現車の実測・実見(試乗・下回り・診断機)」「第三者証明」の三本柱で行うのが賢明です。

– 価格と状態のバランスを取るなら、「軽微な外装修理ありだが骨格無傷」「ワンオーナーではないが記録簿完備・認定中古」という現実的な選択肢も強力です。

条件にこだわり過ぎて本質(整備品質・現況)を見落とさないことが、満足度の高い中古車選びに直結します。

結局のところ、「修復歴なし」「ワンオーナー」が重視されるのは、単なるイメージではなく、構造安全性・整備履歴の連続性・市場の価格形成・保証適合性という実利面の根拠が積み重なっているからです。

これらを「入り口条件」として押さえつつ、現車確認と記録の裏取りで最終チェックを行えば、失敗確率を大きく下げられます。

表示はどこまで信頼できるのか?記録簿や査定での確認方法・見分け方は?

結論の要点
– 「修復歴なし」と「ワンオーナー」は、一定の業界基準に基づく表示で、きちんとした販売店や第三者鑑定がついた車であれば、相応の信頼性はあります。

ただし絶対ではありません。

– 確認の基本は「書類(車検証・登録履歴・点検整備記録簿)」「第三者鑑定票(AIS/JAAA等)」「オークション出品票(評価表)」「現車確認(目視・試乗)」の4本柱です。

– 契約書に「修復歴なし・冠水歴なし・メーター交換/改ざんなし・レンタ/カーシェア/タクシー/教習車歴なし」を特約で明記し、虚偽時の解約/返金を取り決めるのが最終防衛線です(民法の契約不適合責任に基づく)。

用語の正しい理解(なぜ表示に幅が出るか)

– 修復歴
– 自動車公正取引協議会(公取協)の「中古自動車の表示に関する公正競争規約・施行規則」では、車体の骨格部位(サイドメンバー/クロスメンバー等のフレーム、ピラー、ダッシュパネル、サスペンション取付部、ルーフ、フロア、ラジエータコアサポート、クォーターパネルなど)に及ぶ損傷を修復・交換したものを「修復歴あり」と定義します。

– 逆に、ボルトオン部品(ドア、ボンネット、フェンダー、バンパー等)の交換や軽板金・塗装は通常「修復歴」に含みません。

つまり「修復歴なし」でも、過去に外装修理が一切無いとは限りません。

– エアバッグ作動歴や冠水(浸水)歴、火災歴は、修復歴表示の定義に含まれないため、別途開示・確認が必要です。

ワンオーナー

一般に「新車登録から今回の販売に至るまで、名義上の所有者(または使用者)が一人(1名義)だった」ことを指す表示です。

ただし実務上の注意点として、以下のケースが「ワンオーナー」でも実質的に複数ドライバーで使われている可能性があります。

リース車(名義はリース会社1社でも、利用者は複数)
会社名義・社用車(ドライバー複数)
ディーラーの試乗・代車(ディーラー名義1名義)
一方、レンタアップ車は法令・業界規約上、使用歴(レンタカー)を表示すべき情報に当たり、「ワンオーナー」でもその旨の開示が必要です。

ここを曖昧にする表示は要注意です。

表示の信頼性(どこまで信用できる?)

– 信頼性が比較的高い順
1) メーカー系認定中古車(CPO) メーカー基準の点検・保証、第三者検査(AIS等)連携が多く、誤表示のリスクや発覚時の対応力が高い
2) 大手中古車チェーンで第三者鑑定(AIS/JAAA等)やオークション評価表提示がある車
3) 公取協の会員店や中古自動車販売士在籍店で、記録簿原本・仕入履歴が明確な車
4) 根拠資料の提示が乏しい個店・個人売買
– 根拠
– 表示は景品表示法(不当表示規制)の対象で、優良誤認等に当たれば行政処分のリスク。

さらに公取協の規約に反すれば是正指導・除名などの内部ペナルティもあります。

大手ほどコンプライアンスの観点から虚偽表示のインセンティブが低く、是正体制が整っています。

– ただし、修復歴の判定は最終的に現物の状態判断であり、見落としやグレー領域(例 ボルトオンのコアサポート交換、ストラットタワー周辺の軽微修正等)で見解が分かれることはあり得ます。

記録簿・査定・鑑定での確認方法(実践手順)

– 書類での確認
– 車検証(自動車検査証)
– 使用者・所有者名義、用途(自家用/事業用)を確認。

使用者がレンタカー会社や大手リース会社なら、その使用歴を疑う材料になります。

– 備考の「走行距離計表示値」欄(継続検査や名義変更時に記録)で、走行距離が時系列に増えているか確認。

メーター交換時は注記される場合があります。

– 登録事項等証明書(履歴事項証明)
– 運輸支局(軽は軽自動車検査協会)で発行可。

移転登録の履歴(名義変更の有無・時期)がわかるため、ワンオーナー表示の裏付けに有効です。

数百円で取得可能。

– 点検整備記録簿(記録簿)
– 新車時からの連続性、押印事業者、走行距離と日付の整合性を確認。

抜けや不自然なメーター値(突然の減少等)がないか。

– 同一ディーラーで継続整備・定期点検(12ヶ月/24ヶ月)が続く車はメンテの質が安定しやすい。

オイル・ブレーキ液・冷却液・ATF・タイミングベルト/チェーン関係、足回りブッシュ・ブレーキ周りの交換履歴を確認。

– 複写の「再発行」や直近のみの記録簿の場合、走行距離の裏付けとして弱い点に留意。

第三者鑑定・査定情報

AIS(カーセンサー認定)、JAAA(Goo鑑定)などの検査票を提示してもらう。

検査員が骨格部位、パネルの塗膜厚、下回り、溶接跡、シーラー、アライメントのズレ等をチェック済み。

出所がオークションの車両は「出品票(評価表)」の提示依頼を。

評価点(例 4.5/4/3.5、R/RA)は修復歴の有無と程度の目安。

R/RAは修復歴車、A1~U1などの小傷記号やXX(交換)・W(波)・P(ペイント)等の記号で外装補修の有無も読めます。

走行距離管理システム(業者間で共有するオークション連携データ)への照会結果があれば、メーター改ざんの抑止力になります。

現車での見分け方(自分でできる範囲)

エンジンルーム ラジエータコアサポート、サスペンション取付部(ストラットタワー)のスポット溶接痕・シーラーの均一性、純正ステッカーの欠落や再貼付の痕跡、ヘッドライトブラケットの割れ接着跡や左右交換歴。

トランク・床下 フロア/ラゲッジフロアの波打ち、折れ、再塗装のオーバースプレー、シーラーの乱れ、牽引フック周辺の歪みや新旧ボルト混在。

外板・隙間 各パネルのチリ・面(ドア/ボンネット/ハッチ)の面一性、塗膜のオレンジピールの違い、モールやゴムにかかった塗装ミスト。

下回り メンバー・アームの曲がり、アンダーコートの塗り直しムラ、腐食の局所差。

試乗 直進性、ハンドルセンター、ブレーキング時の片効き、異音(ストラット・ハブ・メンバー)、段差通過時のボディ鳴き。

車内の使用感 ステアリング・シフト・ペダルの摩耗、座面の潰れ、荷室の傷。

走行距離と使用感の釣り合いをみる(低走行で過度の摩耗は要注意)。

ワンオーナー判定の実務的チェック

– 車検証・登録事項等証明書の「移転履歴」が最重要根拠。

移転記録がなければ実質ワンオーナーの可能性が高い。

– 記録簿の押印事業者・名義が一貫して同一(同一ディーラー/同一住所)であれば信頼度が上がる。

– 仕入先の確認
– ディーラー下取・顧客下取 ワンオーナーの根拠が取りやすい
– オークション仕入れ 出品票にオーナー数や使用歴の注記があることが多い
– 注意する表示の例
– 「ワンオーナー(ただしリース/社用/試乗車)」は実運用者多数の可能性。

整備は良好でも使用環境は必ず確認。

– 「登録済未使用車」は事実上ワンオーナー(ディーラー名義)が多いが、保管環境や短期大量移動(構内走行)も確認。

「修復歴なし」でも見逃しやすいリスク

– 事故歴=修復歴ではない
– 例えばフロントフェンダーとバンパーの交換のみの接触事故は「修復歴なし」と表示され得ます。

事故の有無自体を重視する場合は「鈑金・外装修理歴の有無」も申告してもらいましょう。

– 冠水・塩害
– 修復歴に含まれないため、別途確認。

「室内ヒューズボックスやシートレールの錆、シート下配線の泥、シートベルト下端の泥跡、ヘッドライト内部結露跡」などを確認。

販売店に「冠水歴なし」の書面化を依頼。

– エアバッグ作動歴
– バックルやエアバッグ、シートベルトプリテンショナーの交換歴で推測できる場合あり。

SRS警告の自己診断履歴、純正部品の製造ロット差もヒント。

販売店の申告と記録簿で確認。

具体的な交渉・契約のコツ(買う前にやること)

– 質問リスト
– 修復歴の判定根拠は?
第三者鑑定票(AIS/JAAA)やオークション出品票は見せられる?

– 板金・塗装歴(修復歴に含まれない軽微な補修)も含めて開示可能か?

– 前使用者の用途(個人/リース/社用/試乗/レンタ/カーシェア)は?
記録簿の名義や整備工場は?

– 走行距離の裏付け資料(車検証記録、記録簿、オークション履歴、納品書等)は?

– 冠水歴・火災歴・エアバッグ作動歴・メーター交換歴の有無は?

– 仕入先はどこか(下取・買取・オークション)。

入庫時の査定票はあるか?

– 書面化(特約)
– 注文書/売買契約書に「修復歴なし、冠水歴なし、メーター交換歴・改ざんなし、レンタ/カーシェア/タクシー/教習車歴なし」を販売条件として記載し、虚偽の場合は契約解除・全額返金・付随費用(登録費用等)も含めた負担を明記。

– 民法(2020年改正)上の契約不適合責任の対象になるよう、具体的な適合内容を列挙しておくと紛争予防に有効。

– 保証
– 認定中古車や長期保証付き商品を優先。

骨格部位に関わる不具合やメーター不正発覚時の取り扱いを保証書で確認。

根拠・規範・背景となるルール

– 自動車公正取引協議会の「中古自動車の表示に関する公正競争規約・施行規則」
– 修復歴の定義(骨格部位の修復・交換が対象)、メーター交換歴、使用歴(レンタカー・タクシー等)の適正表示などを規定。

会員店はこれに従う義務があり、違反すれば是正指導等の対象。

– 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)
– 「修復歴なし」「ワンオーナー」等の表示が事実と異なり、消費者に優良と誤認させる場合は、措置命令等の行政処分の対象になり得ます。

– 道路運送車両法・自動車登録制度
– 車検証や登録事項等証明書により、移転登録履歴(名義変更)や検査時の走行距離計表示値が記録・閲覧可能で、ワンオーナーや走行距離の裏取りに資する制度的根拠があります。

実用的な見分けのコツ(短時間チェック用)

– 10分チェック
– 車検証の使用者名・住所と名刺の店舗所在地を照合(仕入れ背景の一貫性)
– ヘッドライト・フロントガラスの製造年週コードが車両年式と極端にズレていないか
– ボンネット裏・ドア開口部・トランク開口のシーラーとスポット痕の左右差
– タイヤの偏摩耗とアライメントの直進性
– 記録簿の走行距離推移が単調増加か、整備工場の押印が散発的すぎないか

追加で可能なら

リフトアップで下回り(メンバー・フロア・コアサポート下端)
塗膜厚計で複数パネルを比較(明らかな膜厚差は再塗装のサイン)

表示を過信しないバランス感覚

– 「修復歴なし=完璧」ではありません。

小規模の外装修理や消耗部品の劣化、使用環境(短距離・高負荷)は別問題です。

– 「ワンオーナー=良質」も先入観です。

長距離を一定速度で走った複数オーナー車の方が、短距離・始動停止が多いワンオーナー車より機関が健全な場合もあります。

記録簿・現車状態の総合評価が重要です。

まとめ(実行順のおすすめ)

– 1) 表示の定義を理解(修復歴=骨格部位、ワンオーナー=名義ベース)
– 2) 書類で裏付け(車検証・登録履歴証明・記録簿)
– 3) 第三者鑑定票・オークション評価表を入手
– 4) 現車を目視・試乗で確認(骨格・足回り・直進性)
– 5) 使用歴(リース/社用/レンタ等)と冠水・エアバッグ・メーターの有無を販売店に書面確認
– 6) 契約書に特約を明記し、保証内容を確認

この流れを踏めば、「修復歴なし」「ワンオーナー」の表示をどこまで信用してよいか、そして自分で確かめるための実務的な見分け・裏付けが可能になります。

業界の公的ガイドライン(公取協の規約)、景品表示法、登録制度という法制度に支えられつつも、最終的には資料の突き合わせと現車確認、そして契約上の担保でリスクを許容範囲にまで下げる、というのが王道です。

価格やリセールバリューにどの程度の差が出るのか?

ご質問のポイントを整理します。

– 修復歴なし・ワンオーナーで、中古車の価格やリセールバリュー(再販価値)がどの程度変わるか
– その根拠

結論(相場感の目安)
– 修復歴の有無による差
– 同一条件(年式・走行・グレード・状態などが近似)で比べると、「修復歴あり」は「修復歴なし」に対して、概ね10〜30%程度安くなることが多い。

構造部位の修理が重い、スポーツ/プレミアム車、輸出需要が強い車は20〜40%と差が拡大するケースもある。

– ワンオーナーの有無による差
– 同一条件比で、ワンオーナーは概ね2〜8%程度のプレミアム(上振れ)になりやすい。

プレミアム輸入車や希少グレードで5〜10%に達することもある一方、軽や大衆セダンでは2〜4%程度にとどまることが多い。

– 組み合わせ効果
– 「修復歴なし かつ ワンオーナー」は、相場上は最も売りやすい条件の一つ。

上記のプレミアムは基本的に乗算的に効く(例 ベース価格を100とすると、ワンオーナー+5%で105、そこから修復歴あり−20%なら84 というイメージ)。

実務では「修復歴の有無」の影響が圧倒的に大きく、「ワンオーナー」は最後の一押し(数%の上振れや販売スピード向上)として機能することが多い。

なぜ差が出るのか(メカニズム)
– 修復歴の定義と買い手のリスク認識
– 日本の中古車流通では、一般財団法人 日本自動車査定協会(JAAI)などの基準で「修復歴」は骨格(ラジエータコアサポート、フロント・サイドメンバー、ピラー、クロスメンバー、フロアなど)に及ぶ損傷・修理・交換の履歴を指す。

外板の板金塗装やボルトオン部品の交換は「修復歴」に該当しないことが多い。

– 構造部位の損傷は直進安定性、耐久性、将来故障の不確実性、売却時の再評価リスクにつながるため、買い手(小売/業販/エンドユーザー)は明確なディスカウントを要求する。

– オートオークション評価の影響
– 業界ではUSS/TAA/ARAI/JU/HAAなどのオートオークションで「評価点」と「修復歴(R/RA表記)」が付与され、落札価格が形成される。

評価点4〜4.5の「無事故」個体が基準価格帯を作り、3.5は−5〜10%、R(修復歴)はさらに−10〜25%といった階段的な価格差が一般的に観察される。

重度の修復や複数部位だと−30%超も珍しくない。

– ワンオーナーが好まれる理由
– 管理履歴の一貫性(整備記録簿が揃いやすい、使用実態を説明しやすい)、内外装の手入れが均質になりやすい、改造や過酷使用の可能性が相対的に低い、売却時にも次の買い手に説明しやすい、など販売上の心理的メリットが価格に反映される。

– ただしワンオーナー自体は法的定義がある言葉ではなく、登録上の所有者が1名(1社)で推移してきたことを指す販売用語。

法人ワンオーナーで多数ドライバーがいた、短期リース解約後など、実態は様々。

効果は整備記録や状態とセットで評価される。

セグメント別の相場差イメージ(同条件比の中央値レンジ)
– 軽自動車(N-BOX、スペーシア等)
– 修復歴あり −8〜18%
– ワンオーナー +2〜4%
– 国産コンパクト/ミニバン(フィット、ヤリス、セレナ、ノア等)
– 修復歴あり −10〜22%
– ワンオーナー +3〜6%
– SUV/クロカン(ハリアー、RAV4、プラド等)
– 修復歴あり −12〜25%(輸出需要が強い車種は−20〜35%)
– ワンオーナー +4〜7%
– スポーツ/高性能(86/BRZ、WRX、ロードスター、一部欧州ホットハッチ)
– 修復歴あり −18〜40%(走りの個体差リスクが敬遠されやすい)
– ワンオーナー +4〜8%(整備記録の充実で+10%級も稀に)
– 輸入プレミアム(メルセデス/BMW/Audi/ポルシェ等)
– 修復歴あり −15〜30%(保証/認定対象外化の影響が大)
– ワンオーナー +5〜10%(ディーラー記録簿・認定適合で伸びやすい)

価格差を左右する補正要因
– 年式・走行距離の重み
– 走行の影響は大きく、同年式で2万km違えば5〜10%の差は珍しくない。

高走行だと「ワンオーナー」のプレミアムは薄まりやすい。

– ディーラー認定の有無
– 認定中古車は無事故・整備履歴明瞭なワンオーナー比率が高く、保証と整備込みで相場比+10〜20%程度の価格帯を形成。

プレミアムの一部は保証/整備の価値が占める。

– 車種人気/カラー/グレード/装備
– 人気色・人気OP(先進安全、サンルーフ、レザー、純正ナビ/カメラ、ドラレコ等)はプラス。

希少グレードはワンオーナー効果が乗りやすい。

– 市況・季節性・輸出需給
– 半導体不足や円安で新車待ちが長い時期は中古相場が上振れ。

輸出向け強含みの車は修復歴の減価が拡大しやすい(輸出先の受入基準が厳しいため)。

– 販売チャネル
– 小売店頭>業販>オークションの順で価格水準は上がり、ワンオーナー表示の効果は店頭でより顕在化。

オークションでは評価点・修復区分が価格をほぼ決める。

簡易試算例(イメージ)
– 例1 5年落ち 国産ハイブリッド コンパクト(基準 修復歴なし・複数オーナー・評価4・6万km=150万円)
– 修復歴あり(R/RA) −18% → 約123万円
– ワンオーナー(修復歴なし) +5% → 約158万円
– 修復歴あり+ワンオーナー 150×1.05×0.82 ≒ 約129万円
– 例2 3年落ち プレミアム輸入SUV(基準 400万円)
– 修復歴あり −25% → 300万円
– ワンオーナー +8% → 432万円
– 認定中古(無事故・ワンオーナー・保証付) +15%相当 → 460万円前後もあり得る
– 例3 7年落ち 軽スーパーハイト(基準 120万円)
– 修復歴あり −12% → 105.6万円
– ワンオーナー +3% → 123.6万円

根拠(情報源・業界実務の仕組み)
– 修復歴の公的な定義枠
– 一般財団法人 日本自動車査定協会(JAAI)や業界団体の基準で「骨格部位への損傷/交換」が修復歴の対象。

これは査定実務・オークション出品票でも共通理解。

– オートオークションの評価と価格相関
– USS/TAA/ARAI/JU等の出品票には「評価点(例 4.5/4/3.5)」「修復歴(R/RA)」が明記され、落札価格データに明確な差が出るのが通例。

業者は過去成約事例(相場検索)を基に仕入・買取価格を決めるため、この差が小売価格にも転写される。

– 小売プラットフォームの傾向
– カーセンサー(リクルート)、グーネット(プロトコーポレーション)などの掲載データを見ると、同条件比較で「修復歴あり」が明確に安い分布を取り、無事故・ワンオーナー表記は上位価格帯に寄る傾向が定性的に確認できる。

カーセンサー編集部や各社のリセールバリュー特集でも、無事故・整備記録簿・ワンオーナーが高値成約の要素と繰り返し言及されている。

– 査定減点・保証適合の現場論
– 査定士は骨格部位損傷の有無で大幅減点を行い、結果として買取上限が下がる。

輸入車やプレミアムでは、修復歴があるとディーラー認定基準から外れることが多く、保証付帯不可=小売売価の上限が下がるため、相場差が拡大しやすい。

– 輸出バイヤーの基準
– 中東・アフリカ・ロシア周辺・アジア向けなど、輸出先で無事故条件が重視されるモデル(ランクル/プラド/ハイエース等)は、オートオークションでもR車が敬遠され、落札価格の差が国内需要中心の車種より拡大する実務がある。

注意点・例外
– 走行距離・状態差が大きいと、「修復歴なし・ワンオーナー」でも価格優位が薄れる。

例 無事故でも10万km超は相場の下端に寄る。

– 軽微な修復(RA相当、単一部位、作業品質が高い等)は、−10%未満で収まる場合もある。

一方、複数骨格部位・修正機履歴・溶接痕が明瞭などは、見た目が綺麗でも相場の下方乖離が大きい。

– ワンオーナーは「表示」であり、実質的価値は「整備記録簿の連続性」「事故・修理履歴の明確さ」「使用環境(禁煙/車庫保管/過度な改造なし)」が担保する。

ワンオーナーでも記録が乏しければプレミアムは縮む。

売る側・買う側の実務アドバイス
– 売却時に価値を最大化するコツ
– 整備記録簿・取扱説明書・スペアキー・純正パーツの保管
– 定期点検の実施記録を欠かさず残す(ディーラーや指定工場の記録は強い)
– 事故時は骨格に及ばない修理方法の検討(保険修理であっても修復歴扱いになるか要確認)
– 過度な改造は控え、純正戻し可能な状態を維持
– 禁煙・車内クリーニング・傷の適切なタッチアップ
– 購入時に「割安」を狙うなら
– 軽微な修復歴で作業品質の高い個体は、リスクと価格差のバランスが良いことがある。

車両状態表/下回り/計測値/直進性チェックを実施し、保証の付帯可否も確認。

– ワンオーナー表記だけでなく、整備記録簿の連続性・前オーナー属性(個人/法人)・使用環境の聞き取りで実態を確認。

– 認定中古は高いが、保証・消耗品更新・修復歴なしがほぼ前提で、総所有コストでは逆転する場合がある。

実務的なまとめ
– 価格やリセールの差は「修復歴の有無」が主因で、概ね−10〜30%(条件次第で−40%級)というのが業界相場感。

ワンオーナーは+2〜8%程度の上振れ要素で、プレミアム輸入車・希少グレード・認定適合条件が揃うと+10%級に達することもある。

– ただし走行距離・年式・装備・保証・販売チャネル・市況の影響が大きく、個体差が最終価格を決める。

価格判断は「修復歴」「整備記録」「評価点」「実車状態(下回り/骨格跡/計測)」「需要動向」の総合評価が肝要。

もし具体的な車種・年式・走行距離・装備(色やOP)をご提示いただければ、相場データの考え方に沿って、もう少し精度の高い価格レンジと、修復歴/ワンオーナーによる差分の概算をご提案できます。

どんなユーザーに向いているのか?走行距離やメンテ履歴との優先順位はどう決めるべきか?

「修復歴なし・ワンオーナー」は中古車選びでよく耳にする安心材料ですが、どんなユーザーに向いているのか、走行距離やメンテ履歴と比べてどう優先順位を付けるべきかは、用途や保有期間、車種で変わります。

以下に詳しく解説し、判断の根拠も示します。

用語の整理と前提

– 修復歴なし 日本の査定基準(AIS/JAAIなど)の定義では、骨格(フレーム・ピラー・クロスメンバー等)に損傷・交換・修正がないこと。

フェンダーやドア、バンパー等の外板交換や軽微な板金は「修復歴なし」に含まれる場合があります。

– ワンオーナー 新車からの保有者が一人(個人・法人を含む)。

一人だから丁寧かどうかは保証しませんが、履歴の一貫性が期待できます。

どんなユーザーに向いているか

– 初めて中古車を買う人、機械に詳しくない人
履歴がシンプルで状態が読みやすい。

大きな外れを引く確率を下げられる。

– 長く(5~10年)乗る予定の人
骨格に手が入っていない個体は経年での足回りジオメトリー変化や異音リスクが低め。

長期保有のトータルコスト面で有利。

– 安全性重視のファミリーユース
フレーム歪みや溶接修正がない方が衝突時のエネルギー吸収性能がカタログ設計値に近いと期待できる。

– リセールを気にする人
相場上「修復歴なし」「ワンオーナー」は評価が伸びやすい。

記録簿完備なら次の買い手も安心しやすい。

– 希少グレードや輸入車・高額車、コレクター志向
価値の保全や将来の流通のしやすさの面で強いアピール要素。

– 法人・社用でコンプライアンス/監査に耐える個体が必要な人
履歴が明確で第三者の鑑定が取りやすい。

一方で、以下のユーザーは「ワンオーナー」自体の価値は相対的に下がります。

– 足グルマや短期乗り潰し派 価格重視でメンテ済み多走行の方がコスパ良い場合も。

– 商用利用 所有者の数よりも消耗品の更新サイクルや稼働実績が重要。

優先順位の基本(総論)
中古車の品質に影響する因子の優先度を高い順に並べると、一般には以下の通りです。

1) 修復歴の有無(骨格ダメージの回避)
2) 動力系・車体のコンディション現物(異音・オイル漏れ・真っ直ぐ走るか・下回り錆)
3) メンテナンス履歴の確かさ(記録簿・明細・交換時期)
4) 走行距離(距離は一つの劣化指標だが、整備でカバー可能な部分も多い)
5) 所有者数(ワンオーナーはプラスだが、上記4要素に劣後)
6) 外装・内装の美観(機能や安全に比べて優先度は下)

根拠 
– 安全性と直進性・アライメントは骨格精度に強く依存。

修復歴ありはフレーム修正の巧拙や経時での再変形リスクが増える。

– メカは「使い方×整備」で劣化が大きく変わる。

適切なオイル/フルード交換、消耗品のタイムリーな更新の有無は信頼性に直結。

– 距離はサスペンションブッシュやベアリング、内装摩耗の指標だが、手入れが良ければ延命可能。

逆に低走行でも年数劣化(ゴム・シール硬化、燃料系詰まり、腐食)は進む。

– ワンオーナーは「履歴の一貫性」と「乱暴な複数ユーザー使用のリスク低下」が期待できるが、運転・保管環境が悪ければ意味が薄れる。

具体的な優先順位の決め方(用途別)

– 3年以内に乗り換え前提(リセール重視)
修復歴なし > 走行距離(年1万km以下のペース目安) ≧ 記録簿完備 > ワンオーナー
– 5~10年の長期保有(総コスト・信頼性重視)
修復歴なし > 記録簿・整備実態 ≧ 下回り錆の少なさ > 現物コンディション > 走行距離 > ワンオーナー
– 初めての中古&故障不安が強い
修復歴なし > 記録簿(定期点検整備記録簿・明細) ≧ 第三者鑑定/保証付き > 走行距離 > ワンオーナー
– スポーツ/走り重視
修復歴なし(骨格精度) ≧ アライメント履歴・足回り状態 ≧ メンテ履歴(油脂・冷却) > 走行距離 > ワンオーナー

ケース比較(判断のコツ)

– A 6万km、ワンオーナー、記録簿完備、修復歴なし
– B 3万km、2オーナー、点検記録薄い、修復歴なし
長期保有ならAが有利。

距離は多いが整備実態が明確。

短期で手放す・内装美観重視ならBも選択肢。

A 2万km、ワンオーナー、下回り錆多い(雪国・海沿い)、記録薄い
B 5万km、2オーナー、下回り良好、防錆施工・整備明細充実
錆は構造腐食と固着トラブルに直結するためBが堅実。

メンテ履歴の見るべき具体項目

– 取扱説明書・保証書・定期点検整備記録簿(年次と走行の整合)
– オイル/フィルター交換間隔(ガソリン5,000~10,000km目安、直噴・ターボは短め)
– ATF/CVTフルード交換履歴(メーカー推奨に準拠)
– 冷却水、ブレーキフルード、プラグ、エア/キャビンフィルター
– タイミングベルト交換(ベルト式は走行・年数で要チェック)、チェーンは伸び・テンショナー音
– タイヤ製造年週・残溝・偏摩耗、ブレーキ残量
– 下回り錆、ブーツ・ブッシュ類の亀裂、エンジン・ミッション周りの滲み
– 交換明細・領収書の現物

車種別の特記事項 
– ハイブリッド/EV 駆動用バッテリーSOH、保証残、冷却ファン清掃履歴、急速充電比率
– ターボ・直噴 オイル管理、カーボン堆積対策
– 4WD デフ/トランスファーオイル
– ディーゼル DPF再生履歴、EGR清掃

ワンオーナーの活きる/活きない場面

– 活きる 記録簿が連続し、保管環境(屋内/屋外)が一貫、内装やステアリングの摩耗が距離相応で整合する。

– 活きない 長期放置・短距離ばかりの使用でバッテリー/排気系に負担、屋外・海沿いで腐食進行、禁煙表記でも臭気残り等。

オーナー1名でも使い方次第で劣化は進む。

価格とリセールの現実的な影響

– 相場傾向として「修復歴なし」は大前提で、同条件比較なら「ワンオーナー」「記録簿完備」「内外装上物」で数%程度の上振れが起きやすい。

ただし車種人気、流通量、時期で変動。

– 将来売却時も「修復歴なし×記録簿」は評価が得やすく、ワンオーナーは二人目以降でも「新車時からの履歴が連続」という付加価値になる。

現物確認と第三者チェック

– 書類 車検証(使用者/所有者の変遷)、記録簿、明細、スペアキー有無
– 外観・骨格の目視 パネル隙間の不均一、塗装肌/色味不整合、シーラーの手直し跡、ボルト頭の回し跡
– ガラス刻印の年式差(全交換が悪いとは限らないが整合をみる)
– 直進性/ブレーキング時の片効き、段差での異音
– 下回り防錆/腐食、フロアやメンバーの波打ち
– 可能なら第三者鑑定(AIS評価、オークション評価表、JAAA等)。

膜厚計で再塗装の有無も推定可能。

まとめの指針(簡易スコアリング)

– 必須ライン 修復歴なし(骨格無傷)を満たすこと
– 強く重視 記録簿と整備明細が連続し、下回り・動力系の現物状態が良好
– 次点 走行距離は「年式との整合」と「消耗の程度」で判断
– 追加価値 ワンオーナーは履歴一貫性のシグナルとして加点。

ただし他要素を上回って優先しない
– 価格 上記を満たす個体は多少高くても長期的な手直し費を抑えやすく、総額では有利になりやすい

結論として、「修復歴なし・ワンオーナー」は有力な安心材料ですが、最優先は安全・骨格・現物コンディションと整備履歴です。

走行距離は参考指標に留め、記録簿の連続性と下回り状態を重視してください。

ワンオーナーは「良い可能性が高い」というシグナルであり、決め手はあくまで実態(メンテ履歴・現物)です。

用途と保有期間に応じて、上の優先順位を当てはめて選ぶのが失敗の少ない戦略です。

【要約】
修復歴なしは骨格部位に損傷・交換・修正がない状態。外板交換や機関の通常交換は含まず、事故歴とは別。冠水・火災は別告知。判定は溶接痕・塗膜厚・パネル精度や第三者鑑定で確認。ワンオーナーは新車時から車検証の使用者が1名。未使用車・試乗車・レンタカー等は実態要確認。個人リースは該当し得るが法人・社用は注意。

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